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プロローグ 死後の世界

ごめんなぁ、孫よ

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(ごめんなぁ、孫よ、じいちゃんもう少し頑張ってたらなぁ)


真っ暗で、寒くて怖くて冷たくて、意識が沈むから、あー、私死ぬのか。とそんな中懐かしい声が聞こえた気がした。





「――はい、あなたの番号は20691番です。これから四十九日の間忙しいと思いますが、頑張ってくださいね!」



次に目を開けた瞬間、可愛らしいお姉さんに番号を腕にマジックで書かれ、笑顔で激励されてしまった。


「あの、ここは――??」


「あ、あんまり時間をお1人に割けなくて、ご案内はあちらの―あ、あなた守護霊さんが居らっしゃるじゃないですか!お繋ぎいたしますのでこのままお待ちください!」


守護霊とナチュラルなフレーズが聞こえたし、さっき四十九日とか言われた辺り、自分は死んだのだろうと、理解した。

順応が早いのが自分の長所であり、短所でもあると自負しているが、わがままを言ったところで煩わしいなら、聞き分けがいいことに越したことはないのだ。

そんな前世長女気質も受け入れる。


(しかし、死んだショック意外と少ないなぁ。痛かった記憶もないし。もう前世とか言っちゃったし、そんなもんなのかな)


ぼんやりと待っているように見えて、さっと生前の自分を受け入れつつも整理し終えたところで、お待たせしました!と
先程の整理番号係のお姉さんが戻ってきた。


「ごめんなぁ、じいちゃんが浮かれとったもんだから、お前のこと助けてやれなかったんだ」

「全くまた相談もなしに全ポイント注ぎ込むから!またあんたは!!!」


「じいちゃん?ばあちゃん?」


守護霊を連れてくる、確かにそう言っていたお姉さんが連れてきたのは、もう10年近くも前に死んだはずの祖父母で。

大好きで、大人になればなるほどもっと話してみたいと思っていた、でも二度と会えないのだと、お墓で一方的に語りかけるか、想像の中でしか会話できなかった祖父母が。

なのに、感動の再会そっちのけで夫婦喧嘩という名の通常運転をしているから。

「2人とも、その辺にしないと、アキサが困ってるだろ」

「コウ兄ちゃん??」

「時間勿体ないからな、並びながら話そうな」


抗う間もなく、自然と握られた手は懐かしい子供の頃に感じた安心感のままで。
でも、ここに彼もいるということは、やはり彼もまた死んでしまっていたのだと。自分の死を受け入れるよりも哀しくて。
私、アキサは泣くのを堪えた、不貞腐れたような声で、うん、と頷くのが精一杯だった。
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