上 下
1 / 8
プロローグ 死後の世界

ごめんなぁ、孫よ

しおりを挟む

(ごめんなぁ、孫よ、じいちゃんもう少し頑張ってたらなぁ)


真っ暗で、寒くて怖くて冷たくて、意識が沈むから、あー、私死ぬのか。とそんな中懐かしい声が聞こえた気がした。





「――はい、あなたの番号は20691番です。これから四十九日の間忙しいと思いますが、頑張ってくださいね!」



次に目を開けた瞬間、可愛らしいお姉さんに番号を腕にマジックで書かれ、笑顔で激励されてしまった。


「あの、ここは――??」


「あ、あんまり時間をお1人に割けなくて、ご案内はあちらの―あ、あなた守護霊さんが居らっしゃるじゃないですか!お繋ぎいたしますのでこのままお待ちください!」


守護霊とナチュラルなフレーズが聞こえたし、さっき四十九日とか言われた辺り、自分は死んだのだろうと、理解した。

順応が早いのが自分の長所であり、短所でもあると自負しているが、わがままを言ったところで煩わしいなら、聞き分けがいいことに越したことはないのだ。

そんな前世長女気質も受け入れる。


(しかし、死んだショック意外と少ないなぁ。痛かった記憶もないし。もう前世とか言っちゃったし、そんなもんなのかな)


ぼんやりと待っているように見えて、さっと生前の自分を受け入れつつも整理し終えたところで、お待たせしました!と
先程の整理番号係のお姉さんが戻ってきた。


「ごめんなぁ、じいちゃんが浮かれとったもんだから、お前のこと助けてやれなかったんだ」

「全くまた相談もなしに全ポイント注ぎ込むから!またあんたは!!!」


「じいちゃん?ばあちゃん?」


守護霊を連れてくる、確かにそう言っていたお姉さんが連れてきたのは、もう10年近くも前に死んだはずの祖父母で。

大好きで、大人になればなるほどもっと話してみたいと思っていた、でも二度と会えないのだと、お墓で一方的に語りかけるか、想像の中でしか会話できなかった祖父母が。

なのに、感動の再会そっちのけで夫婦喧嘩という名の通常運転をしているから。

「2人とも、その辺にしないと、アキサが困ってるだろ」

「コウ兄ちゃん??」

「時間勿体ないからな、並びながら話そうな」


抗う間もなく、自然と握られた手は懐かしい子供の頃に感じた安心感のままで。
でも、ここに彼もいるということは、やはり彼もまた死んでしまっていたのだと。自分の死を受け入れるよりも哀しくて。
私、アキサは泣くのを堪えた、不貞腐れたような声で、うん、と頷くのが精一杯だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ダンジョン・ホテルへようこそ! ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します!

彩世幻夜
ファンタジー
異世界のダンジョンに転移してしまった、ホテル清掃員として働く24歳、♀。 ダンジョンマスターの食事係兼ダンジョンの改革責任者として奮闘します!

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

処理中です...