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103号室 柊一・柚
103号室 柊一・柚
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「あ……来た来た!」
103号室を訪れた進一郎を迎えたのは、またしても見知った少年だった。
「進一郎お兄ちゃん……!?」
こちらを驚いた顔で見つめてくるのは、五十嵐柚一。
外はねのショートカットに意志の強そうな瞳。
やはり真心と同様に制服風のブレザーとミニスカートに身をまとって一見、中学生の少女に見えるが、小学五年生、まだ11歳の少年だ。
「ん? 来たの? 柚ちゃん……?」
部屋の奥からもうひとりの声が聞こえて来る。
「進一郎お兄ちゃん……?」
姿を現したそのもうひとりも驚きの声を上げた。
綺麗に切りそろえられたおかっぱに、セーターという育ちのよさそうな出で立ち。
進一郎と同じ大きな丸眼鏡にくりくりとした瞳を隠したこの少年は北羽柊一。小学四年生の10歳だ。
が、そんな知りあいたちの出現に、進一郎もまた驚きの声を上げた。
「103号室で待ってるっていうの……柚クンと柊クンだったのか……」
しかし今は、大きな荷物を抱えているところだ。
「ゴメン、ともかくこの子を寝かせてやってほしいんだ」
そう頼み、進一郎は部屋に通してもらい、光児をソファの上へと横たえた。
「えと……ということは……お兄ちゃんが……?」
少し落ち着いてから、柚が口を開く。
「うん、動画の作り方を見学に……」
「そ……そう……」
進一郎の答えに、何だか柚も柊一も落ち着かない様子だ。
「あの……お兄ちゃん、この部屋には、何の用で?」
柚が、ためらいがちに問う。
「えと……蒼生クンに言われて……」
やっぱりという顔で、柊一が尋ねてきた。
「蒼生ちゃん、他に何か言ってませんでした?」
「いや、別に」
進一郎が首を横に振るのに、ふたりは失意の表情になった。
「何か、あるの?」
「「う……うぅん、別に……っっ」」
柊一と柚は、揃って首を横に振る。
「ふ~ん……」
しかしそんなふたりの様子は、どこか不自然だ。
頬を僅かに赤らめ、落ち着きなく身体を小刻みに振るわせたりしている――それは丁度、何かをガマンしているかのような――。
「あの、ふたりはここで何をしてたの……?」
素朴な質問を投げかける進一郎だが、またふたりは身体をびくんと震わせた。
「「べ……っっ、別に……っっ!!」」
また揃って、同じ答え。
「も……もうダメだよ、柊クン、他の部屋のを使った方が……」
「柚ちゃん、聞いてなかったの? 下水管の呼称だから、建物全体がダメだって……」
ふたりはこちらを無視し、何やら小声で囁きあっている。
手持無沙汰になって、進一郎はテーブルの上に無造作に置かれた書類をふと、手に取った。
――プレスリリース 小学五年生 梶谷真心タソが小便器チャレンジ!
どうやらそれは、動画のプレスリリースのようだ。ちなみに、プレスリリースというのは商品について、宣伝して欲しいメディアなどに対しての説明をする文書などのことだ。
しかし、「光児」の名前が「真心」に替えられている。
蒼生の言葉によれば、当初は「光児」のままで出る予定だったから、これはさっき見たパッケージよりは時期の新しいものみたいだ。
そんなことを考えつつ、進一郎はプレスリリースを何気なくぱらぱらとめくっていく。
――本企画は梶谷真心本人のたっての希望から始まった。
――好きなオトコの子/娘のおしっこを飲むのが大好きな真心は、自ら本動画への出演を望み、笑顔で人間小便器の役にチャレンジ――。
「はぁぁ……っ」
あまりのことに、進一郎はため息を吐いて書類をテーブルに放り出す。
「ね、この書類だけど――」
声をかけようとして、進一郎はふたりがいまだこそこそ話しあっていることに気づいた。
そして向こうも声をかけられ、初めて進一郎がプレスリリースを読んでいたことに気づき――。
「「ああああぁぁぁぁ……ッッ!!」」
また声を揃え、悲鳴を上げる。
「ち……ッ、違うんです……ッ!!」
涙目になり、柊一が訴える。
「だ……だから、そのッ、そのプレスリリース、あくまで仕事だから……ッ!」
「そう、僕たちも、書きたくて書いたわけじゃ……っ!」
柚もまた、言い訳する。
その剣幕に驚きつつ、進一郎は返した。
「えぇと、つまり……ふたりが仕事で書いたの?」
「「そ……ッッ、それは……ッッ!!」」
また声を揃え、口籠る。
「あ……あの、ぼくもこんなことしたくはないんですけど……」
柊一が口を開く。
「でも、僕たち、文芸室のスタッフだから……」
柚がその後を引き継いだ。
なだめるように、進一郎は返した。
「ま……まあ、気にしないで……みんな仕事でしょうがなくやってるって、わかってるし……」
「分かってくれればいいんですけど……」
安堵の表情を浮かべる柊一だが、進一郎は続けた。
「でも、こうじ――真心クンが自分から進んでこの企画に出演したっていうのは……」
が、またふたりは揃って首を、ぶんぶんと横に振る。
「そ……それは違いますっ!」
「そ……そうですよ、プレスリリースなんて宣伝だから、嘘でも何でも耳目を引くようなことを書くんですよ」
柊一と柚とが、口々に言い訳がましく説明する。
「な……なるほど」
進一郎は馬鹿正直に感心し、メモにペンを走らせる。
【動画制作の極意その3.「宣伝には嘘でも何でも耳目を引くようなことを書く」】
「そ、それよりお兄ちゃん、その……」
と、柚がためらいがちに言ってきた。
「あの、蒼生クン、トイレについて……何か言ってませんでした……?」
「別に何も……」
また進一郎が首を横に振るのに、柚は失意の表情になった。
「トイレがどうかしたの?」
進一郎の問いに、柊一も重い口を開いた。
「あの……その、トイレが壊れちゃってて……」
「じゃ、他の部屋に借りに行けば?」
しかし柊一は首を横に振る。
「他の部屋もみんな故障中で……」
「え? そんな様子――」
進一郎が「そんな様子、なかったけどなあ」と言おうとした、その声を遮って。
がちゃッ。
ドアが開かれ、向こうから真心が現れた。
「お……遅くなってすみませんッ!」
どたどたと、慌てた様子で部屋に上がり込んできて、そしてソファに着いている柊一と柚の前に膝を突いた。
「さあ、どうぞ……」
真心が顔を上げると、丁度ふたりの下腹部を望む格好になる。
そこで真心は何かを待ちわびるような表情で、唇を開く。
「えと……真心ちゃん、何を……?」
柊一が怪訝そうな顔になった。
「だから……おトイレ、です」
真心の答えに、柚も不思議そうな顔になる。
「おトイレって……」
真心はちょっと焦れたように返した。
「だって……柊君と柚君、プレスリリースに書いてくれたじゃないですか。ぼく、小便器になるって――」
――えええぇぇぇ~~~ッッッ!!!???
内心、進一郎は大声を上げた。
柊クンたちは嘘だって言ってたけど、じゃあ、あれはやっぱり……!?
「そ……そんなこと、できないよッ!!」
しかし柊一も柚も、ためらいを見せる。
このふたりは基本、常識人といっていい性格をしているので、無理はない。
しかしよく見ればふたりとも、ずっとさっきから尿意を堪え、落ちつかない。
柊一は半ズボンから突き出した、柚はミニスカートから伸びた太股を、さっきからずっともぞもぞと擦りあわせている。
「ほら……もう、ガマンの限界でしょ? だからぼくに……」
真心が柊一の下腹部へと手を伸ばす。
「ひ……ひぃぃ……ッ!」
素っ頓狂な悲鳴を上げ、柊一がぴょんと飛び退く。
「あぁ……そんな、逃げなくても……」
と、真心はくるりと柚へと向き直る。
「柚君……ぼくを、お便所にして……っ♥」
「い……いやぁぁ……ッッ!」
柚も慌てて、その場を飛び退いた。
「あぁん……オシッコ……ぼくにオシッコして……くださいぃぃ……ッ」
さっきの余韻が残っているのか、真心はヤバいクスリの禁断症状でも起こしているかのようだ。
しかし、一度立ち上がった柊一も柚も、またその場へとしゃがみ込んでしまった。
「「う……うぅぅ……ッッ」」
ふたりの尿意は、動くこともままならないほどに限界に達しつつあるようだ。
「あ……あの、その、じゃあちょっと、ペットにでもしちゃえば……」
転がっていた空のペットボトルを見て、進一郎が進言するが、ふたりは苦しげな表情なまま、首を微かに横に振る。
どうも、ヘタに育ちがよくて、そうしたことができないみたいだ。
「ねえ、柊君……ぼくを柊君の小便器にして……!」
「そ……そんな……っ!」
四つ足で這うように真心が柊一を追い、そして柊一も腰を抜かしたように尻もちを搗き、脚と脚とをM字に広げたまま、そこから逃げようとして――。
ぢゅんッ。
秘めやかな音が、僅かに聞こえた。
「え……?」
進一郎が聞き耳を立てると、柊一の微かな水音が響いてきていることが分かる。
しゃあああああああああ……っ。
「あぁ……あはぁ……あぁぁぁ……ッ」
顔を上気させ、眼鏡の奥の双眸を涙に潤ませ、柊一がその愛らしい唇から絶望の声を漏らした。
「や……やぁぁ……ッ、ぼ、ぼく……あぁん、ぼく、おもらし……あぁ、おもらし……しちゃったぁぁ……ッ!」
広げられた腿と腿との付け根を覆う半ズボンの布地には染みが浮かび上がり、それは次第に広がっていく。
「あぁ……止まんない……あふぅ、おしっこ……止まんないぃ……ッ!」
染みはなおも広がり、やがて床の上に水たまりを作り、僅かな湯気を沸き立たせた。
「あはぁ……っ♥」
が、真心は嬉しげな声を上げ、柊一の股間へと顔を埋めるようにする。
「ま……真心ちゃんッ!?」
仰天する柊一に、しかし真心は優しげに微笑んだ。
「大丈夫……だから……♥」
ちゅぷッ。
真心は床の上の、小さな小さな小水の海へとへと口づけて、それを啜り飲んでいく。
ぢゅ……っ、ぢゅる……っ、ぢゅるるるるるるぅぅ……っ!
「そんな……ダメ……零れたおしっこなんか、飲んじゃダメぇぇ……っ!」
ぶんぶんと、かぶりを振る柊一だが、真心は顔を上げてにっこりする。
「大丈夫だよ……ほら、こっちも……」
両手を彼の半ズボンへ伸ばし、手際よくホックを外し、ファスナーを降ろす。
と、その下からは淡黄色に塗れた純白のブリーフが姿を現した。
「う……ッ、ううぅぅ……ッ! や……止めてぇぇ……ッ」
恥じらいにか、べそを掻き出す柊一だが、真心は手を止めない。
ズボンをその脚から抜き取ってしまうと、再び脚と脚とを大きく開き――。
ぢゅぷッ。
そのぐっしょりと濡れたブリーフへと唇を這わせた。
「ん……ッ、んふ……んちゅぅぅ……ッ」
小鼻から吐息を漏らしつつ、真心は熱心に、ブリーフの木綿が吸い取った柊一の尿を啜り、吸い上げ、そして嚥下していく。
「あ……あぁ……ま……こちゃん……だ……ダメぇぇ……ッ!」
閉じた双眸から涙滴をあふれさせつつ、許しを請う柊一。
「んんッ、んく……んふぅ……んちゅぅぅ……ッ」
しかし真心はなおも木綿に沁みた水密を啜り続け――。
「んんぅ……ッ!?」
一瞬、驚いて口を離した。
見ればそのブリーフの中央は少しずつ隆起していき、濡れて透けた布地は勃起した包茎ペニスの様子を、くっきりとこちらに伝えていた。
「あはぁ……♥ 柊君、ぼくの舌……気持ちよかったんだね……♥」
真心が嬉しそうなため息を漏らす。
「あ……あぁ……ッ」
と、その時。
自分の背後から微かな喘ぎが聞こえてくるのに、真心は振り向いた。
「あぁ……柊クン……気持ちよさそう……」
それは柊一の姿を羨望の目で見つめる、柚の姿。
なおも立ち尽くしたまま尿意を堪えようとして、柚は意識してかせずしてか、両手でそのスカートの前を持ち上げていた。
そのため、艶やかな二本の腿と、その付け根を覆う女児向け下着が丸出しになってしまっていた。
「ごめん……柚君のこと、忘れてた……」
真心が柚の足下へと、床を這っていく。
「ほら……オシッコ、ぼくにして……♥」
柚の顔を見上げ、にっこりと微笑む真心。
――と、その瞬間。
「あ……あぁぁぁ……ッ!」
――ちゃあああああああああ……っ。
また微かな音とともに、女児向け下着のぷっくりとした膨らみから水が沸き立った。
まるで泉のごとく、白い布地からレモン色の清水があふれ、それは二本の腿を伝い、これも純白のソックスを濡らし、また床に水たまりを作る。
「あん……ッ」
真心は慌てて柚の下半身に縋りつき、その股間へと唇を這わせた。
「あふぅぅ……っ!?」
がくん、と腰を震わせる柚の身体を両腕で掻き抱いたまま、真心はその下着から沸き出す尿を啜り飲んでいく。
「ん……っ、んくぅ……っ、んぅぅ……んふ、んぅぅ……っ、んくぅぅ……っ」
「あ……あぁぁ……んふぅ……っ、真心ちゃん、ダメ……っ、だって僕……っ!」
しかし真心はあふれ出る尿を懸命に飲みつつ、その目だけで「大丈夫だ」と伝えてくる。
そして、これらの様子をずっとデジカメに収めていた進一郎は――。
た……確かにそうだ……だって柚クンは「貴婦人の膀胱」だから……。
ふと、思い至った。
そう、柚は膀胱が並外れて大きく、一度放尿すると、その量は膨大なものになるのだ。
本人もそのことを危惧しているが、しかし真心は平然とその股間に吸いついたまま、身動ぎもしない。
「んぅ……っ、ん……んく……んふぅぅ……っ、んんぅ……っ、んふぅぅ……」
小鼻から吐息を漏らしつつ、その唇をブリーフに口づけたまま、ただ一心不乱に飲尿を続けていた。
「あぁ……僕の……僕のおシッコ……全部……あはぁ、全部真心ちゃんに……吸われちゃうぅぅ……ッ!」
艶めかしく上半身をくねらせながら、それでも柚はただ、尿を飲まれるに任せていた。
「う……うぅぅ……っ」
そして、その悲鳴も途切れがちになった頃。
ちょろろッ。
ようやく真心が股間から唇を振り解き、そして黄色い滴が一、二滴、床へと滴った。
「あはぁ……柚君のオシッコ……美味しかったよ……♥」
満足そうなため息と共に、真心は柚を見上げて微笑んだ。
そしてまたレモンイエローに染まった柚の下着へと口づけ、ちゅうちゅうと尿を啜っていたが――。
ふぁさっ。
飲尿に夢中になるがあまり、そのウィッグが落ちて転がった。
「――――――ッッッ!!!???」
これには真心も声にならない叫びを上げて――。
大慌てでそのウィッグを拾い上げようとして、進一郎と目があった。
いや、進一郎はデジカメのファインダーを覗いていたので、目と目があったわけではないが――。
「お……お兄……ちゃん……!?」
思わず進一郎もファインダーから目を離し、今度こそ目と目があってしまう。
「えと……柚……クン?」
「あは……あはははは……あはははは……っ!!」
真心は――否、光児はパニくって笑声を上げ、そしてそのまま――。
すてんッ。
床へと転がり、またも気を失った――。
103号室を訪れた進一郎を迎えたのは、またしても見知った少年だった。
「進一郎お兄ちゃん……!?」
こちらを驚いた顔で見つめてくるのは、五十嵐柚一。
外はねのショートカットに意志の強そうな瞳。
やはり真心と同様に制服風のブレザーとミニスカートに身をまとって一見、中学生の少女に見えるが、小学五年生、まだ11歳の少年だ。
「ん? 来たの? 柚ちゃん……?」
部屋の奥からもうひとりの声が聞こえて来る。
「進一郎お兄ちゃん……?」
姿を現したそのもうひとりも驚きの声を上げた。
綺麗に切りそろえられたおかっぱに、セーターという育ちのよさそうな出で立ち。
進一郎と同じ大きな丸眼鏡にくりくりとした瞳を隠したこの少年は北羽柊一。小学四年生の10歳だ。
が、そんな知りあいたちの出現に、進一郎もまた驚きの声を上げた。
「103号室で待ってるっていうの……柚クンと柊クンだったのか……」
しかし今は、大きな荷物を抱えているところだ。
「ゴメン、ともかくこの子を寝かせてやってほしいんだ」
そう頼み、進一郎は部屋に通してもらい、光児をソファの上へと横たえた。
「えと……ということは……お兄ちゃんが……?」
少し落ち着いてから、柚が口を開く。
「うん、動画の作り方を見学に……」
「そ……そう……」
進一郎の答えに、何だか柚も柊一も落ち着かない様子だ。
「あの……お兄ちゃん、この部屋には、何の用で?」
柚が、ためらいがちに問う。
「えと……蒼生クンに言われて……」
やっぱりという顔で、柊一が尋ねてきた。
「蒼生ちゃん、他に何か言ってませんでした?」
「いや、別に」
進一郎が首を横に振るのに、ふたりは失意の表情になった。
「何か、あるの?」
「「う……うぅん、別に……っっ」」
柊一と柚は、揃って首を横に振る。
「ふ~ん……」
しかしそんなふたりの様子は、どこか不自然だ。
頬を僅かに赤らめ、落ち着きなく身体を小刻みに振るわせたりしている――それは丁度、何かをガマンしているかのような――。
「あの、ふたりはここで何をしてたの……?」
素朴な質問を投げかける進一郎だが、またふたりは身体をびくんと震わせた。
「「べ……っっ、別に……っっ!!」」
また揃って、同じ答え。
「も……もうダメだよ、柊クン、他の部屋のを使った方が……」
「柚ちゃん、聞いてなかったの? 下水管の呼称だから、建物全体がダメだって……」
ふたりはこちらを無視し、何やら小声で囁きあっている。
手持無沙汰になって、進一郎はテーブルの上に無造作に置かれた書類をふと、手に取った。
――プレスリリース 小学五年生 梶谷真心タソが小便器チャレンジ!
どうやらそれは、動画のプレスリリースのようだ。ちなみに、プレスリリースというのは商品について、宣伝して欲しいメディアなどに対しての説明をする文書などのことだ。
しかし、「光児」の名前が「真心」に替えられている。
蒼生の言葉によれば、当初は「光児」のままで出る予定だったから、これはさっき見たパッケージよりは時期の新しいものみたいだ。
そんなことを考えつつ、進一郎はプレスリリースを何気なくぱらぱらとめくっていく。
――本企画は梶谷真心本人のたっての希望から始まった。
――好きなオトコの子/娘のおしっこを飲むのが大好きな真心は、自ら本動画への出演を望み、笑顔で人間小便器の役にチャレンジ――。
「はぁぁ……っ」
あまりのことに、進一郎はため息を吐いて書類をテーブルに放り出す。
「ね、この書類だけど――」
声をかけようとして、進一郎はふたりがいまだこそこそ話しあっていることに気づいた。
そして向こうも声をかけられ、初めて進一郎がプレスリリースを読んでいたことに気づき――。
「「ああああぁぁぁぁ……ッッ!!」」
また声を揃え、悲鳴を上げる。
「ち……ッ、違うんです……ッ!!」
涙目になり、柊一が訴える。
「だ……だから、そのッ、そのプレスリリース、あくまで仕事だから……ッ!」
「そう、僕たちも、書きたくて書いたわけじゃ……っ!」
柚もまた、言い訳する。
その剣幕に驚きつつ、進一郎は返した。
「えぇと、つまり……ふたりが仕事で書いたの?」
「「そ……ッッ、それは……ッッ!!」」
また声を揃え、口籠る。
「あ……あの、ぼくもこんなことしたくはないんですけど……」
柊一が口を開く。
「でも、僕たち、文芸室のスタッフだから……」
柚がその後を引き継いだ。
なだめるように、進一郎は返した。
「ま……まあ、気にしないで……みんな仕事でしょうがなくやってるって、わかってるし……」
「分かってくれればいいんですけど……」
安堵の表情を浮かべる柊一だが、進一郎は続けた。
「でも、こうじ――真心クンが自分から進んでこの企画に出演したっていうのは……」
が、またふたりは揃って首を、ぶんぶんと横に振る。
「そ……それは違いますっ!」
「そ……そうですよ、プレスリリースなんて宣伝だから、嘘でも何でも耳目を引くようなことを書くんですよ」
柊一と柚とが、口々に言い訳がましく説明する。
「な……なるほど」
進一郎は馬鹿正直に感心し、メモにペンを走らせる。
【動画制作の極意その3.「宣伝には嘘でも何でも耳目を引くようなことを書く」】
「そ、それよりお兄ちゃん、その……」
と、柚がためらいがちに言ってきた。
「あの、蒼生クン、トイレについて……何か言ってませんでした……?」
「別に何も……」
また進一郎が首を横に振るのに、柚は失意の表情になった。
「トイレがどうかしたの?」
進一郎の問いに、柊一も重い口を開いた。
「あの……その、トイレが壊れちゃってて……」
「じゃ、他の部屋に借りに行けば?」
しかし柊一は首を横に振る。
「他の部屋もみんな故障中で……」
「え? そんな様子――」
進一郎が「そんな様子、なかったけどなあ」と言おうとした、その声を遮って。
がちゃッ。
ドアが開かれ、向こうから真心が現れた。
「お……遅くなってすみませんッ!」
どたどたと、慌てた様子で部屋に上がり込んできて、そしてソファに着いている柊一と柚の前に膝を突いた。
「さあ、どうぞ……」
真心が顔を上げると、丁度ふたりの下腹部を望む格好になる。
そこで真心は何かを待ちわびるような表情で、唇を開く。
「えと……真心ちゃん、何を……?」
柊一が怪訝そうな顔になった。
「だから……おトイレ、です」
真心の答えに、柚も不思議そうな顔になる。
「おトイレって……」
真心はちょっと焦れたように返した。
「だって……柊君と柚君、プレスリリースに書いてくれたじゃないですか。ぼく、小便器になるって――」
――えええぇぇぇ~~~ッッッ!!!???
内心、進一郎は大声を上げた。
柊クンたちは嘘だって言ってたけど、じゃあ、あれはやっぱり……!?
「そ……そんなこと、できないよッ!!」
しかし柊一も柚も、ためらいを見せる。
このふたりは基本、常識人といっていい性格をしているので、無理はない。
しかしよく見ればふたりとも、ずっとさっきから尿意を堪え、落ちつかない。
柊一は半ズボンから突き出した、柚はミニスカートから伸びた太股を、さっきからずっともぞもぞと擦りあわせている。
「ほら……もう、ガマンの限界でしょ? だからぼくに……」
真心が柊一の下腹部へと手を伸ばす。
「ひ……ひぃぃ……ッ!」
素っ頓狂な悲鳴を上げ、柊一がぴょんと飛び退く。
「あぁ……そんな、逃げなくても……」
と、真心はくるりと柚へと向き直る。
「柚君……ぼくを、お便所にして……っ♥」
「い……いやぁぁ……ッッ!」
柚も慌てて、その場を飛び退いた。
「あぁん……オシッコ……ぼくにオシッコして……くださいぃぃ……ッ」
さっきの余韻が残っているのか、真心はヤバいクスリの禁断症状でも起こしているかのようだ。
しかし、一度立ち上がった柊一も柚も、またその場へとしゃがみ込んでしまった。
「「う……うぅぅ……ッッ」」
ふたりの尿意は、動くこともままならないほどに限界に達しつつあるようだ。
「あ……あの、その、じゃあちょっと、ペットにでもしちゃえば……」
転がっていた空のペットボトルを見て、進一郎が進言するが、ふたりは苦しげな表情なまま、首を微かに横に振る。
どうも、ヘタに育ちがよくて、そうしたことができないみたいだ。
「ねえ、柊君……ぼくを柊君の小便器にして……!」
「そ……そんな……っ!」
四つ足で這うように真心が柊一を追い、そして柊一も腰を抜かしたように尻もちを搗き、脚と脚とをM字に広げたまま、そこから逃げようとして――。
ぢゅんッ。
秘めやかな音が、僅かに聞こえた。
「え……?」
進一郎が聞き耳を立てると、柊一の微かな水音が響いてきていることが分かる。
しゃあああああああああ……っ。
「あぁ……あはぁ……あぁぁぁ……ッ」
顔を上気させ、眼鏡の奥の双眸を涙に潤ませ、柊一がその愛らしい唇から絶望の声を漏らした。
「や……やぁぁ……ッ、ぼ、ぼく……あぁん、ぼく、おもらし……あぁ、おもらし……しちゃったぁぁ……ッ!」
広げられた腿と腿との付け根を覆う半ズボンの布地には染みが浮かび上がり、それは次第に広がっていく。
「あぁ……止まんない……あふぅ、おしっこ……止まんないぃ……ッ!」
染みはなおも広がり、やがて床の上に水たまりを作り、僅かな湯気を沸き立たせた。
「あはぁ……っ♥」
が、真心は嬉しげな声を上げ、柊一の股間へと顔を埋めるようにする。
「ま……真心ちゃんッ!?」
仰天する柊一に、しかし真心は優しげに微笑んだ。
「大丈夫……だから……♥」
ちゅぷッ。
真心は床の上の、小さな小さな小水の海へとへと口づけて、それを啜り飲んでいく。
ぢゅ……っ、ぢゅる……っ、ぢゅるるるるるるぅぅ……っ!
「そんな……ダメ……零れたおしっこなんか、飲んじゃダメぇぇ……っ!」
ぶんぶんと、かぶりを振る柊一だが、真心は顔を上げてにっこりする。
「大丈夫だよ……ほら、こっちも……」
両手を彼の半ズボンへ伸ばし、手際よくホックを外し、ファスナーを降ろす。
と、その下からは淡黄色に塗れた純白のブリーフが姿を現した。
「う……ッ、ううぅぅ……ッ! や……止めてぇぇ……ッ」
恥じらいにか、べそを掻き出す柊一だが、真心は手を止めない。
ズボンをその脚から抜き取ってしまうと、再び脚と脚とを大きく開き――。
ぢゅぷッ。
そのぐっしょりと濡れたブリーフへと唇を這わせた。
「ん……ッ、んふ……んちゅぅぅ……ッ」
小鼻から吐息を漏らしつつ、真心は熱心に、ブリーフの木綿が吸い取った柊一の尿を啜り、吸い上げ、そして嚥下していく。
「あ……あぁ……ま……こちゃん……だ……ダメぇぇ……ッ!」
閉じた双眸から涙滴をあふれさせつつ、許しを請う柊一。
「んんッ、んく……んふぅ……んちゅぅぅ……ッ」
しかし真心はなおも木綿に沁みた水密を啜り続け――。
「んんぅ……ッ!?」
一瞬、驚いて口を離した。
見ればそのブリーフの中央は少しずつ隆起していき、濡れて透けた布地は勃起した包茎ペニスの様子を、くっきりとこちらに伝えていた。
「あはぁ……♥ 柊君、ぼくの舌……気持ちよかったんだね……♥」
真心が嬉しそうなため息を漏らす。
「あ……あぁ……ッ」
と、その時。
自分の背後から微かな喘ぎが聞こえてくるのに、真心は振り向いた。
「あぁ……柊クン……気持ちよさそう……」
それは柊一の姿を羨望の目で見つめる、柚の姿。
なおも立ち尽くしたまま尿意を堪えようとして、柚は意識してかせずしてか、両手でそのスカートの前を持ち上げていた。
そのため、艶やかな二本の腿と、その付け根を覆う女児向け下着が丸出しになってしまっていた。
「ごめん……柚君のこと、忘れてた……」
真心が柚の足下へと、床を這っていく。
「ほら……オシッコ、ぼくにして……♥」
柚の顔を見上げ、にっこりと微笑む真心。
――と、その瞬間。
「あ……あぁぁぁ……ッ!」
――ちゃあああああああああ……っ。
また微かな音とともに、女児向け下着のぷっくりとした膨らみから水が沸き立った。
まるで泉のごとく、白い布地からレモン色の清水があふれ、それは二本の腿を伝い、これも純白のソックスを濡らし、また床に水たまりを作る。
「あん……ッ」
真心は慌てて柚の下半身に縋りつき、その股間へと唇を這わせた。
「あふぅぅ……っ!?」
がくん、と腰を震わせる柚の身体を両腕で掻き抱いたまま、真心はその下着から沸き出す尿を啜り飲んでいく。
「ん……っ、んくぅ……っ、んぅぅ……んふ、んぅぅ……っ、んくぅぅ……っ」
「あ……あぁぁ……んふぅ……っ、真心ちゃん、ダメ……っ、だって僕……っ!」
しかし真心はあふれ出る尿を懸命に飲みつつ、その目だけで「大丈夫だ」と伝えてくる。
そして、これらの様子をずっとデジカメに収めていた進一郎は――。
た……確かにそうだ……だって柚クンは「貴婦人の膀胱」だから……。
ふと、思い至った。
そう、柚は膀胱が並外れて大きく、一度放尿すると、その量は膨大なものになるのだ。
本人もそのことを危惧しているが、しかし真心は平然とその股間に吸いついたまま、身動ぎもしない。
「んぅ……っ、ん……んく……んふぅぅ……っ、んんぅ……っ、んふぅぅ……」
小鼻から吐息を漏らしつつ、その唇をブリーフに口づけたまま、ただ一心不乱に飲尿を続けていた。
「あぁ……僕の……僕のおシッコ……全部……あはぁ、全部真心ちゃんに……吸われちゃうぅぅ……ッ!」
艶めかしく上半身をくねらせながら、それでも柚はただ、尿を飲まれるに任せていた。
「う……うぅぅ……っ」
そして、その悲鳴も途切れがちになった頃。
ちょろろッ。
ようやく真心が股間から唇を振り解き、そして黄色い滴が一、二滴、床へと滴った。
「あはぁ……柚君のオシッコ……美味しかったよ……♥」
満足そうなため息と共に、真心は柚を見上げて微笑んだ。
そしてまたレモンイエローに染まった柚の下着へと口づけ、ちゅうちゅうと尿を啜っていたが――。
ふぁさっ。
飲尿に夢中になるがあまり、そのウィッグが落ちて転がった。
「――――――ッッッ!!!???」
これには真心も声にならない叫びを上げて――。
大慌てでそのウィッグを拾い上げようとして、進一郎と目があった。
いや、進一郎はデジカメのファインダーを覗いていたので、目と目があったわけではないが――。
「お……お兄……ちゃん……!?」
思わず進一郎もファインダーから目を離し、今度こそ目と目があってしまう。
「えと……柚……クン?」
「あは……あはははは……あはははは……っ!!」
真心は――否、光児はパニくって笑声を上げ、そしてそのまま――。
すてんッ。
床へと転がり、またも気を失った――。
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