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101号室 洩斗・そそお
101号室 洩斗・そそお
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「……」
「…………」
「………………」
――それから数日後。
進一郎はとあるマンションの101号室を訪れていた。
応接間に通され、落ちつかない様子でソファに座り、もう何分経ったろうか。
彼をここへよこしたのは言うまでもなく、さくら。
――しょーがない。動画作りの勉強をしてもらうしかないわね。あたしの知りあいの会社に紹介状を書いてあげるわ。
そう言う彼女に逆らえず、こうして進一郎は動画制作の会社へと、見学に来たというわけだ。
とんとん。
ノックの音と共に、扉が開く。
「失礼します」
現れたのは腰にまでストレートの黒髪を伸ばし、つぶらな瞳をした美少女。
年齢的にはまだ小学生くらいに見えるが、どこかの女子校の制服を思わせるブレザーとミニスカートに身を包んでいた。
この部屋を訪れた進一郎をこの部屋へ通してくれたのが彼女だ。
「すみません、お待たせしちゃって……あの、どうぞ」
少女は手にしたペットボトルから紙コップへと、コーラを注いでくれた。
「う……うん、ありがとう……」
実はコーラのおかわり、さっきからもう三度目くらいなのだが、進一郎はせっかくだからと飲み干した。
「あの、もう飲み物はいいですから……」
「え? もう充分ですか、進一郎君?」
「えぇ……!?」
美少女に名を呼ばれ、進一郎はびっくりした。
「ぼ……ぼくたち、どこかで会ったこと、あったっけ……?」
まじまじとその少女の顔を見つめると、何だか会ったことがある気もしてくる。
「え……えっとぉ……」
見つめられ、少女は頬を赤らめて口籠った。
――ん?
と、進一郎は思い当たる。
あ、そうか……編集長から連絡が行ってるんだから、名前くらいは知ってても不思議じゃないか……。
見ればまた少女がコーラを注いでいるのに気づき、もったいないからと飲み干す。
「あはぁ……♥」
と、そんな進一郎を見て、少女は嬉しげなため息を漏らしてひとりごちた。
「進一郎君でよかった……好きな子のを飲めるのなら……」
「え? どういう意味……?」
少女はそれ以上何も言わないが、その目は熱を帯びてこちらを見つめている。
「………………」
進一郎もその表情に見とれてしまうが、その時。
がちゃんッ。
と、ドアが再び開いた。
「お待たせしちゃったね、進一郎クン♥」
「ふふ、どっちかと言えばもうちょっと遅れた方がよかったみたいだよ♥」
見つめあう進一郎と少女へと面白そうな視線を投げかけるのは、まるで鏡に映したようにそっくりな姿をしたふたりの少年であった。
まだ11歳の小学五年生にもかかわらず、ふたりとも折り目正しいベストとネクタイ姿に、半ズボンという正装。
一卵性双生児の江木月洩斗と尾根河|《おねかわ》そそおのふたりだ。
深いブルーの瞳でこちらを見つめているのが洩斗。
碧の双眸を細め、笑っているのがそそおだ。
「なぁんだ、洩斗クンたちか……」
見知った仲のふたりが登場したのに、緊張を続けていた進一郎は安堵のため息を吐く。
「あ……あの……っ、そ……それじゃ……っ」
一方、少女は緊張の面持ちでふたりの少年に向き直った。
「それじゃあホントに、相手は……その、進一郎君……?」
しかし洩斗は首を横に振った。
「進一郎クンはただの見学だよ」
「えぇ……ッッ!?」
悲しみに顔を歪める少女に、そそおは困ったような声を上げる。
「いや……本人がいいならいいんだけどさ……進一郎クン、出る?」
自分に振られ、進一郎は面食らった。
「え……何が、です……?」
と、少女がこちらへと向き直る。
「オシッコ……です……♥」
「ええぇぇ……ッッ!?」
素っ頓狂な声を上げる進一郎をなだめるように、洩斗は言った。
「そりゃ無理だよ、だってコーラ飲んだばっかりでしょ?」
いっぽうそそおは、少女をなだめるように言う。
「真心ちゃん、僕たちはすぐにでも出そうなんだけど……僕たちじゃ、ダメかな……?」
「え……?」
真心と呼ばれた少女の顔が、また赤く染まった。
「僕の、真心に飲んで欲しいな……♥」
洩斗が真心の前に進み出ると、まるで彼女は催眠術にでもかかったかのように、床へと膝を突いた。
「あはぁ……♥ ず、ずるい……ですぅ……そんなこと言われたら、ぼく……」
真心が甘えたような声を上げながら、無意識の動作か、両手のひらで自らのスカートの裾を握りしめる。
――ぼく……?
その一人称の不自然さに、思わず彼女へと目を向けて――進一郎は気づいた。
持ち上がったスカートの下から、白い布が見えている。
しかし、その女児向けの下着は――小さくテントを形作っていた。
――え……あの娘……?
進一郎が戸惑う。
あの娘は今、興奮しておちんちんを大きくさせている。
ということはつまり、あの娘はオンナの子じゃなくて――?
彼が思う間にも、洩斗もまた半ズボンの前開きを開き、そして。
ぽろんッ。
真っ白な、愛らしい茎を露出して、真心の鼻先へと突きつけた。
「あはぁぁ……ッ♥」
眼前にぶら下げられた、そのたっぷりとした包皮に包まれた肉茎に、真心は熱い吐息を漏らす。
――え……な……何? ちょっと、これから何が起きるわけ……ッッ!?
戸惑う進一郎の肩を、そそおが叩く。
「ほら、撮影お願い」
振り向くと、彼は進一郎へと、デジカメを手渡してきた。
「え……?」
「撮影、してくれるんでしょ?」
当たり前のことのように、そそおは言った。
――しょーがない。動画作りの勉強をしてもらうしかないわね。あたしの知りあいの会社に紹介状を書いてあげるわ。
進一郎の脳内で、再度さくらの言葉が再生される。
つまり、この「会社」はそういう「動画作り」をしていて、ぼくは「社会科見学」という口実でテイよくカメラマンとして駆り出されて――。
そこまで思い至ると、この動画の「ジャンル」も大体見当がつく。
洩斗やそそおたちは『WWW』の採り上げる少年たちの中でも、「Pre Semination Age」と呼ばれていた。【semination】というのは、まあ、語義は多義に渡るが、ひとつには「射精」の意味。つまりプレセミネーションエイジというのは、まだ射精できない少年たちのことで、そんなオトコの子/娘たちの出演する動画となると、つまり――。
進一郎が思う間にも真心は洩斗のペニスを間近に、双眸を潤ませていた。
「わ……分かりましたぁ……進一郎君、ちゃんと撮ってくださいね……」
真心に懇願され、進一郎は慌ててカメラのファインダーを覗く。
と、カメラの捉えた真心は、その愛らしい唇を大きく開き、眼前で頼りなげに垂れ下がっている肉茎に――。
「ちょっと待ってよ」
真心が洩斗のペニスに口づけようとしたその時、そそおが止めに入る。
「真心ちゃん、そんなことしたらおちんちんが見えないよ」
「えぇッッ!?」
と、真心はものすごく理不尽なことを言われたかのような声を上げた。
「で……でも、おちんちんにお口をつけないと、オシッコ飲めないじゃないですかぁ……」
その言葉に、そそおが頭を抱える。
「だから、お口を大きく開けて、受け止めればいいから……」
洩斗が言うが、真心は首を横に振った。
「でもぉ……それじゃあ、オシッコ零しちゃいそうです……それに――」
「それに?」
そそおに問われ、真心は蚊の泣くような声を上げる。
「それに……おちんちんをお口に入れて……感じたいんです、オシッコの熱い奔流を……」
「え……?」
さすがの洩斗も、さすがにちょっと退いている。
「だって……おちんちんをお口の深くにまで含んでからオシッコしてもらうと、喉を灼くように熱い流れを感じられるんです……」
真心は陶酔した目で、洩斗のペニスを見上げた。
「お口の中いっぱいに広がるオシッコを、零しちゃいけないって思いながら一生懸命飲む時に、感じるんです……今、ぼくはオシッコを通して溢れるほどの愛をもらってるんだって……♥」
「あ……あはは、でもね、真心ちゃん……」
そそおの方も退きつつ、何とか説得を試みる。
「だから、動画を撮るんだから。お口でおちんちんを隠しちゃ、観る人がつまらないでしょ? それに、お小水だって見えなくなるし」
洩斗も続いて説得した。
「そうだよ真心ちゃん。動画を作る者は常に、鑑賞する人の立場に立っていなきゃいけないんだよ」
――そ……そうか。
妙なところで進一郎は感心し、用意してきたメモにペンを走らせた。
【動画制作の極意その1.「動画を作る者は常に、鑑賞する人の立場に立っていなきゃいけない」】
進一郎がそんなふうに見学に勤しむ間にも、真心は拗ねたような声を上げた。
「でもぉ……おちんちんから出るオシッコを一生懸命お口で受け止めるの、楽しみにしてたんですぅ……」
「困った娘だね……じゃあ、これでどう?」
ふと見れば、そそおは真心が持って来ていた、コーラのペットボトルを手にしていた。
中身は全部、進一郎の腹に収まり空っぽのペットのラベルを剥がし、そしてカッターでそこを切り取ってしまう。
「あ……あの、そそおクン、それは……?」
呆れたような声を上げる進一郎に、そそおはドヤ顔で頷いた。
「そう、ペットボトル飲尿器」
感心したように、洩斗もまたうんうん頷く。
「なるほど……昔のブルセラビデオでよくあった……」
そんなマニアックな会話は理解できず、真心も進一郎も頭の上にはてなマークを浮かべていたが――。
「ほら、ここにしてあげるよ」
そそおはペットボトルの飲み口を、真心の口許に突きつけた。
「あはぁぁ……ッ♥」
と、餌を与えられたように嬉しげなため息を漏らし、真心は反射的に、まるで特大のペニスをフェラチオするように飲み口をくわえ込む。
ペットの切られた底の部分から覗くと、真心のピンクの口腔内が覗けたことだろう。
そんなペットボトルへと、洩斗はずっと露出しっぱなしのペニスを挿し入れる。
「あ……ッ」
いったん、ペットから口を離し、真心が懇願した。
「あ……あの……っ、そそお君のも、ください……」
「え? 僕?」
面食らうそそおに、真心は続けた。
「はい……そそお君と洩斗君のオシッコ……ぼく、いっぺんに受け止めたいんです……♥」
そそおはしょうがないなあという顔になって、やはり半ズボンのジッパーを降ろし、生白いペニスを外気へと晒した。
そして彼もまた、それをペットへと挿し入れて――。
「じゃ、いいかな洩斗?」
「うん、行くよそそお?」
真心は再び飲み口を口に含み、そして何かを待ちわびるような目を、ふたりの少年へと向けた。
――ま……まずい……!
慌ててファインダーを覗き、進一郎は撮影を開始する。
と、その次の瞬間。
――ぷしゃあああああああああああああ……っっ。
と、ふた振りのペニスから、それぞれ黄金色の水流が迸った。
二条の奔流が交差しながら飛び、ポリエステルを叩き、涼やかな音を立てながら、コーラのペットボトルをレモンイエローの液体で満たしていく。
「んふぅぅぅ……っ♥」
悩ましげな鼻息を漏らしつつ、真心は憑かれたような目で喉を鳴らした。
と、ふたりの少年の尿によってあふれそうになっていたペットの水量が、少しずつ減っていく。
「んぅ……んふぅ、んん……ッ、んくぅ……ふぅぅんん……っ」
苦悶にも、歓喜の声にも聞こえる喘ぎを漏らしつつ、真心はその細い喉をこくこくと鳴らしていた。
――あの娘……おしっこ飲んでるんだ……。
その光景に憑りつかれたように、進一郎はファインダーを覗き続けた。
その足下へと目を向けると、まくれ上がったミニスカートの下からは、やはりテントを作った白布が見える。
――オンナの子のカッコしてるけど、あの子はオトコの子で……それで、洩斗君やそそお君のおしっこを飲みながら、興奮してるんだ……!
その倒錯的な光景を録画しつつ、確かに真心がふたりの少年の尿を自分から進んで嚥下していることを理解して、進一郎の胸の中にも形容しがたい興奮が湧き上がってくる。
双子の少年の包茎からはなおも尿が放たれ、それはペットボトルを満たし――しかし真心の熱心な飲尿の勢いがそれに拮抗して、水量は見た目は変わらないように見えた。
「ん……んぅ……んはぁ……はぁぁぁ……っ♥ んくぅ……んん……っ、んくく……っ」
額に汗を浮かべ、頬を赤らめつつ、懸命に小水を飲むその吐息には、いつからか明らかに甘やかな響きが混じっていた。
「あん……っ、あはぁぁ……っ♥ んく……んくぅぅ……っ、んちゅ……っ♥」
ペットに注がれる尿に追い立てられるように、真心はそれを飲み下していく。
が、いつまでも続くかと思われた放尿も、やがて次第にその勢いを衰えさせていき――。
ちょろろッ。
ふた振りのペニスは、申しあわせたように同時に、放尿を終えた。
「んん……ッ、んふぅ……んくく……んぅ……んくくく……ッ」
まだペットに残った黄金の液体が、真心の喉が動くと共にその量を減らしていく。
「ん……んふぅぅ……ッ」
中身を飲み干し、空にすると、真心はようやくペットをその唇から解放した。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁぁぁ……ッ」
大きく息を吐きながら、真心はその双眸を潤ませていた。
洩斗は腰を屈めて、そんな真心の頭を撫でてやる。
「全部飲んでくれたね……嬉しいよ」
「あ……ふぅぅ……♥」
目を細め、ため息を漏らす真心。
その頬に淡いレモン色の滴がこびりついているのを見つけ、そそおもまた腰を屈め、舌を這わせた。
んちゅッ。
尿を舐め取り、妖しげな笑みを浮かべると、真心へと尋ねる。
「美味しかった? 僕たちのお小水……?」
「はいぃぃ……美味しかったです……あぁ……ぼくのおなかの中……洩斗君とそそお君のオシッコで……いっぱいですぅぅ……♥」
真心は満足げな声を上げるうち、感極まったように、その場へと頽れた――。
「あ……あの、大丈夫!?」
慌てて抱き起す進一郎だが、真心は双眸を閉じたまま、荒い息を吐くのみ。
「あ~あ、興奮しすぎて失神しちゃったみたいだね……♥」
そそおが面白そうにつぶやく。
「そ……そんな呑気な……っ!」
泡を食う進一郎だが、洩斗も平静さを崩さない。
「大丈夫だって。この娘のいつものクセなんだよ」
「ほ……ホントに大丈夫なの……?」
少し安心して、それでも進一郎は彼女をベッドに運ぼうと、抱きかかえてやろうとする。
と、その時。
――ふぁさっ。
真心の美しく長い髪が進一郎の手の中に、転がり落ちてきた。
「え? えぇぇ…っっ!?」
素っ頓狂な声を上げる進一郎。
一瞬、自分が髪の毛をもぎ取ってしまったのかと思ったが――。
ストレートのロングヘアの下から出てきたクセっ毛に、進一郎は見覚えがあった。
「あれ……こ……光児……クン……?」
そう、ウィッグを取った上でその子の顔を見て、ようやく思い至った。
この顔に眼鏡をかければ、自分のよく知る少年とそっくりになることを――。
「あ……あの……?」
事情を尋ねようと、進一郎は洩斗とそそおに向き直る。
「うん、その子は光児クンだよ」
こともなげに、洩斗が返す。
「その子は女装すると、リミッター振り切っちゃうんだよ」
そそおの声に、普段の真面目な光児とのギャップに、進一郎はようやく納得した。
洩斗はすぽり、と再び光児にウィッグを被せると、進一郎へと向き直る。
「でも、ウィッグが取れると素に戻るから、気をつけてね」
続いて、そそおは進一郎へと告げた。
「じゃ、後はよろしく。102号室で次の男優さんがお待ちかねだよ」
「え? で……でも、ぼくだけじゃ……」
戸惑う進一郎に、洩斗はことなげに返した。
「大丈夫だって。男優さんたちに聞けば分かるから」
そして進一郎は意識のない光児を抱えたまま、外へと放り出されたのだった――。
「…………」
「………………」
――それから数日後。
進一郎はとあるマンションの101号室を訪れていた。
応接間に通され、落ちつかない様子でソファに座り、もう何分経ったろうか。
彼をここへよこしたのは言うまでもなく、さくら。
――しょーがない。動画作りの勉強をしてもらうしかないわね。あたしの知りあいの会社に紹介状を書いてあげるわ。
そう言う彼女に逆らえず、こうして進一郎は動画制作の会社へと、見学に来たというわけだ。
とんとん。
ノックの音と共に、扉が開く。
「失礼します」
現れたのは腰にまでストレートの黒髪を伸ばし、つぶらな瞳をした美少女。
年齢的にはまだ小学生くらいに見えるが、どこかの女子校の制服を思わせるブレザーとミニスカートに身を包んでいた。
この部屋を訪れた進一郎をこの部屋へ通してくれたのが彼女だ。
「すみません、お待たせしちゃって……あの、どうぞ」
少女は手にしたペットボトルから紙コップへと、コーラを注いでくれた。
「う……うん、ありがとう……」
実はコーラのおかわり、さっきからもう三度目くらいなのだが、進一郎はせっかくだからと飲み干した。
「あの、もう飲み物はいいですから……」
「え? もう充分ですか、進一郎君?」
「えぇ……!?」
美少女に名を呼ばれ、進一郎はびっくりした。
「ぼ……ぼくたち、どこかで会ったこと、あったっけ……?」
まじまじとその少女の顔を見つめると、何だか会ったことがある気もしてくる。
「え……えっとぉ……」
見つめられ、少女は頬を赤らめて口籠った。
――ん?
と、進一郎は思い当たる。
あ、そうか……編集長から連絡が行ってるんだから、名前くらいは知ってても不思議じゃないか……。
見ればまた少女がコーラを注いでいるのに気づき、もったいないからと飲み干す。
「あはぁ……♥」
と、そんな進一郎を見て、少女は嬉しげなため息を漏らしてひとりごちた。
「進一郎君でよかった……好きな子のを飲めるのなら……」
「え? どういう意味……?」
少女はそれ以上何も言わないが、その目は熱を帯びてこちらを見つめている。
「………………」
進一郎もその表情に見とれてしまうが、その時。
がちゃんッ。
と、ドアが再び開いた。
「お待たせしちゃったね、進一郎クン♥」
「ふふ、どっちかと言えばもうちょっと遅れた方がよかったみたいだよ♥」
見つめあう進一郎と少女へと面白そうな視線を投げかけるのは、まるで鏡に映したようにそっくりな姿をしたふたりの少年であった。
まだ11歳の小学五年生にもかかわらず、ふたりとも折り目正しいベストとネクタイ姿に、半ズボンという正装。
一卵性双生児の江木月洩斗と尾根河|《おねかわ》そそおのふたりだ。
深いブルーの瞳でこちらを見つめているのが洩斗。
碧の双眸を細め、笑っているのがそそおだ。
「なぁんだ、洩斗クンたちか……」
見知った仲のふたりが登場したのに、緊張を続けていた進一郎は安堵のため息を吐く。
「あ……あの……っ、そ……それじゃ……っ」
一方、少女は緊張の面持ちでふたりの少年に向き直った。
「それじゃあホントに、相手は……その、進一郎君……?」
しかし洩斗は首を横に振った。
「進一郎クンはただの見学だよ」
「えぇ……ッッ!?」
悲しみに顔を歪める少女に、そそおは困ったような声を上げる。
「いや……本人がいいならいいんだけどさ……進一郎クン、出る?」
自分に振られ、進一郎は面食らった。
「え……何が、です……?」
と、少女がこちらへと向き直る。
「オシッコ……です……♥」
「ええぇぇ……ッッ!?」
素っ頓狂な声を上げる進一郎をなだめるように、洩斗は言った。
「そりゃ無理だよ、だってコーラ飲んだばっかりでしょ?」
いっぽうそそおは、少女をなだめるように言う。
「真心ちゃん、僕たちはすぐにでも出そうなんだけど……僕たちじゃ、ダメかな……?」
「え……?」
真心と呼ばれた少女の顔が、また赤く染まった。
「僕の、真心に飲んで欲しいな……♥」
洩斗が真心の前に進み出ると、まるで彼女は催眠術にでもかかったかのように、床へと膝を突いた。
「あはぁ……♥ ず、ずるい……ですぅ……そんなこと言われたら、ぼく……」
真心が甘えたような声を上げながら、無意識の動作か、両手のひらで自らのスカートの裾を握りしめる。
――ぼく……?
その一人称の不自然さに、思わず彼女へと目を向けて――進一郎は気づいた。
持ち上がったスカートの下から、白い布が見えている。
しかし、その女児向けの下着は――小さくテントを形作っていた。
――え……あの娘……?
進一郎が戸惑う。
あの娘は今、興奮しておちんちんを大きくさせている。
ということはつまり、あの娘はオンナの子じゃなくて――?
彼が思う間にも、洩斗もまた半ズボンの前開きを開き、そして。
ぽろんッ。
真っ白な、愛らしい茎を露出して、真心の鼻先へと突きつけた。
「あはぁぁ……ッ♥」
眼前にぶら下げられた、そのたっぷりとした包皮に包まれた肉茎に、真心は熱い吐息を漏らす。
――え……な……何? ちょっと、これから何が起きるわけ……ッッ!?
戸惑う進一郎の肩を、そそおが叩く。
「ほら、撮影お願い」
振り向くと、彼は進一郎へと、デジカメを手渡してきた。
「え……?」
「撮影、してくれるんでしょ?」
当たり前のことのように、そそおは言った。
――しょーがない。動画作りの勉強をしてもらうしかないわね。あたしの知りあいの会社に紹介状を書いてあげるわ。
進一郎の脳内で、再度さくらの言葉が再生される。
つまり、この「会社」はそういう「動画作り」をしていて、ぼくは「社会科見学」という口実でテイよくカメラマンとして駆り出されて――。
そこまで思い至ると、この動画の「ジャンル」も大体見当がつく。
洩斗やそそおたちは『WWW』の採り上げる少年たちの中でも、「Pre Semination Age」と呼ばれていた。【semination】というのは、まあ、語義は多義に渡るが、ひとつには「射精」の意味。つまりプレセミネーションエイジというのは、まだ射精できない少年たちのことで、そんなオトコの子/娘たちの出演する動画となると、つまり――。
進一郎が思う間にも真心は洩斗のペニスを間近に、双眸を潤ませていた。
「わ……分かりましたぁ……進一郎君、ちゃんと撮ってくださいね……」
真心に懇願され、進一郎は慌ててカメラのファインダーを覗く。
と、カメラの捉えた真心は、その愛らしい唇を大きく開き、眼前で頼りなげに垂れ下がっている肉茎に――。
「ちょっと待ってよ」
真心が洩斗のペニスに口づけようとしたその時、そそおが止めに入る。
「真心ちゃん、そんなことしたらおちんちんが見えないよ」
「えぇッッ!?」
と、真心はものすごく理不尽なことを言われたかのような声を上げた。
「で……でも、おちんちんにお口をつけないと、オシッコ飲めないじゃないですかぁ……」
その言葉に、そそおが頭を抱える。
「だから、お口を大きく開けて、受け止めればいいから……」
洩斗が言うが、真心は首を横に振った。
「でもぉ……それじゃあ、オシッコ零しちゃいそうです……それに――」
「それに?」
そそおに問われ、真心は蚊の泣くような声を上げる。
「それに……おちんちんをお口に入れて……感じたいんです、オシッコの熱い奔流を……」
「え……?」
さすがの洩斗も、さすがにちょっと退いている。
「だって……おちんちんをお口の深くにまで含んでからオシッコしてもらうと、喉を灼くように熱い流れを感じられるんです……」
真心は陶酔した目で、洩斗のペニスを見上げた。
「お口の中いっぱいに広がるオシッコを、零しちゃいけないって思いながら一生懸命飲む時に、感じるんです……今、ぼくはオシッコを通して溢れるほどの愛をもらってるんだって……♥」
「あ……あはは、でもね、真心ちゃん……」
そそおの方も退きつつ、何とか説得を試みる。
「だから、動画を撮るんだから。お口でおちんちんを隠しちゃ、観る人がつまらないでしょ? それに、お小水だって見えなくなるし」
洩斗も続いて説得した。
「そうだよ真心ちゃん。動画を作る者は常に、鑑賞する人の立場に立っていなきゃいけないんだよ」
――そ……そうか。
妙なところで進一郎は感心し、用意してきたメモにペンを走らせた。
【動画制作の極意その1.「動画を作る者は常に、鑑賞する人の立場に立っていなきゃいけない」】
進一郎がそんなふうに見学に勤しむ間にも、真心は拗ねたような声を上げた。
「でもぉ……おちんちんから出るオシッコを一生懸命お口で受け止めるの、楽しみにしてたんですぅ……」
「困った娘だね……じゃあ、これでどう?」
ふと見れば、そそおは真心が持って来ていた、コーラのペットボトルを手にしていた。
中身は全部、進一郎の腹に収まり空っぽのペットのラベルを剥がし、そしてカッターでそこを切り取ってしまう。
「あ……あの、そそおクン、それは……?」
呆れたような声を上げる進一郎に、そそおはドヤ顔で頷いた。
「そう、ペットボトル飲尿器」
感心したように、洩斗もまたうんうん頷く。
「なるほど……昔のブルセラビデオでよくあった……」
そんなマニアックな会話は理解できず、真心も進一郎も頭の上にはてなマークを浮かべていたが――。
「ほら、ここにしてあげるよ」
そそおはペットボトルの飲み口を、真心の口許に突きつけた。
「あはぁぁ……ッ♥」
と、餌を与えられたように嬉しげなため息を漏らし、真心は反射的に、まるで特大のペニスをフェラチオするように飲み口をくわえ込む。
ペットの切られた底の部分から覗くと、真心のピンクの口腔内が覗けたことだろう。
そんなペットボトルへと、洩斗はずっと露出しっぱなしのペニスを挿し入れる。
「あ……ッ」
いったん、ペットから口を離し、真心が懇願した。
「あ……あの……っ、そそお君のも、ください……」
「え? 僕?」
面食らうそそおに、真心は続けた。
「はい……そそお君と洩斗君のオシッコ……ぼく、いっぺんに受け止めたいんです……♥」
そそおはしょうがないなあという顔になって、やはり半ズボンのジッパーを降ろし、生白いペニスを外気へと晒した。
そして彼もまた、それをペットへと挿し入れて――。
「じゃ、いいかな洩斗?」
「うん、行くよそそお?」
真心は再び飲み口を口に含み、そして何かを待ちわびるような目を、ふたりの少年へと向けた。
――ま……まずい……!
慌ててファインダーを覗き、進一郎は撮影を開始する。
と、その次の瞬間。
――ぷしゃあああああああああああああ……っっ。
と、ふた振りのペニスから、それぞれ黄金色の水流が迸った。
二条の奔流が交差しながら飛び、ポリエステルを叩き、涼やかな音を立てながら、コーラのペットボトルをレモンイエローの液体で満たしていく。
「んふぅぅぅ……っ♥」
悩ましげな鼻息を漏らしつつ、真心は憑かれたような目で喉を鳴らした。
と、ふたりの少年の尿によってあふれそうになっていたペットの水量が、少しずつ減っていく。
「んぅ……んふぅ、んん……ッ、んくぅ……ふぅぅんん……っ」
苦悶にも、歓喜の声にも聞こえる喘ぎを漏らしつつ、真心はその細い喉をこくこくと鳴らしていた。
――あの娘……おしっこ飲んでるんだ……。
その光景に憑りつかれたように、進一郎はファインダーを覗き続けた。
その足下へと目を向けると、まくれ上がったミニスカートの下からは、やはりテントを作った白布が見える。
――オンナの子のカッコしてるけど、あの子はオトコの子で……それで、洩斗君やそそお君のおしっこを飲みながら、興奮してるんだ……!
その倒錯的な光景を録画しつつ、確かに真心がふたりの少年の尿を自分から進んで嚥下していることを理解して、進一郎の胸の中にも形容しがたい興奮が湧き上がってくる。
双子の少年の包茎からはなおも尿が放たれ、それはペットボトルを満たし――しかし真心の熱心な飲尿の勢いがそれに拮抗して、水量は見た目は変わらないように見えた。
「ん……んぅ……んはぁ……はぁぁぁ……っ♥ んくぅ……んん……っ、んくく……っ」
額に汗を浮かべ、頬を赤らめつつ、懸命に小水を飲むその吐息には、いつからか明らかに甘やかな響きが混じっていた。
「あん……っ、あはぁぁ……っ♥ んく……んくぅぅ……っ、んちゅ……っ♥」
ペットに注がれる尿に追い立てられるように、真心はそれを飲み下していく。
が、いつまでも続くかと思われた放尿も、やがて次第にその勢いを衰えさせていき――。
ちょろろッ。
ふた振りのペニスは、申しあわせたように同時に、放尿を終えた。
「んん……ッ、んふぅ……んくく……んぅ……んくくく……ッ」
まだペットに残った黄金の液体が、真心の喉が動くと共にその量を減らしていく。
「ん……んふぅぅ……ッ」
中身を飲み干し、空にすると、真心はようやくペットをその唇から解放した。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁぁぁ……ッ」
大きく息を吐きながら、真心はその双眸を潤ませていた。
洩斗は腰を屈めて、そんな真心の頭を撫でてやる。
「全部飲んでくれたね……嬉しいよ」
「あ……ふぅぅ……♥」
目を細め、ため息を漏らす真心。
その頬に淡いレモン色の滴がこびりついているのを見つけ、そそおもまた腰を屈め、舌を這わせた。
んちゅッ。
尿を舐め取り、妖しげな笑みを浮かべると、真心へと尋ねる。
「美味しかった? 僕たちのお小水……?」
「はいぃぃ……美味しかったです……あぁ……ぼくのおなかの中……洩斗君とそそお君のオシッコで……いっぱいですぅぅ……♥」
真心は満足げな声を上げるうち、感極まったように、その場へと頽れた――。
「あ……あの、大丈夫!?」
慌てて抱き起す進一郎だが、真心は双眸を閉じたまま、荒い息を吐くのみ。
「あ~あ、興奮しすぎて失神しちゃったみたいだね……♥」
そそおが面白そうにつぶやく。
「そ……そんな呑気な……っ!」
泡を食う進一郎だが、洩斗も平静さを崩さない。
「大丈夫だって。この娘のいつものクセなんだよ」
「ほ……ホントに大丈夫なの……?」
少し安心して、それでも進一郎は彼女をベッドに運ぼうと、抱きかかえてやろうとする。
と、その時。
――ふぁさっ。
真心の美しく長い髪が進一郎の手の中に、転がり落ちてきた。
「え? えぇぇ…っっ!?」
素っ頓狂な声を上げる進一郎。
一瞬、自分が髪の毛をもぎ取ってしまったのかと思ったが――。
ストレートのロングヘアの下から出てきたクセっ毛に、進一郎は見覚えがあった。
「あれ……こ……光児……クン……?」
そう、ウィッグを取った上でその子の顔を見て、ようやく思い至った。
この顔に眼鏡をかければ、自分のよく知る少年とそっくりになることを――。
「あ……あの……?」
事情を尋ねようと、進一郎は洩斗とそそおに向き直る。
「うん、その子は光児クンだよ」
こともなげに、洩斗が返す。
「その子は女装すると、リミッター振り切っちゃうんだよ」
そそおの声に、普段の真面目な光児とのギャップに、進一郎はようやく納得した。
洩斗はすぽり、と再び光児にウィッグを被せると、進一郎へと向き直る。
「でも、ウィッグが取れると素に戻るから、気をつけてね」
続いて、そそおは進一郎へと告げた。
「じゃ、後はよろしく。102号室で次の男優さんがお待ちかねだよ」
「え? で……でも、ぼくだけじゃ……」
戸惑う進一郎に、洩斗はことなげに返した。
「大丈夫だって。男優さんたちに聞けば分かるから」
そして進一郎は意識のない光児を抱えたまま、外へと放り出されたのだった――。
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