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5.借り人競走
5.借り人競走
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「――というわけで盛り上がってまいりました!」
またもさくらのアナウンスが、会場に響き渡った。
「う゛……う゛ぅ゛ぅ゛……」
しかし、進一郎はあまり盛り上がっているようには見えなかった。
彼はまたも腹を抱え、尿意を堪えていたのだ。
前回は何とか水分補給をガマンした進一郎だったが、第四レースを終えた後、ついつい少量の水を飲んでしまい――その結果は覿面に尿意となって現れたのである。
「さて、次の第五回戦はいよいよ最終レース! 本レースでの勝利者が、優勝となります!!」
しかし構わず、さくらは次のレースの説明を続ける。
「そんな第五回戦は借り人競争!」
「かりひと競争……?」
進一郎の頭にはてなマークが浮かび上がる間にも、アナウンスは続く。
「……このレースは途中でクイズが出題され、正解に当てはまる人物を探し出し、その人物に特技を発揮してもらうことこそがゴールイン、というのがルール。足の速さよりもいかに早くクイズで正解を出せるかがポイントになるレースです!」
――いや、そもそも今までも足の速さを競っていたと言えるのか……。
そんな疑問を感じつつ、進一郎はスタートラインへと立った。
カウントダウンが開始され、そして。
――ぱぁん!
ピストルの音と共に、進一郎は他の選手たちに交じって駆け出した――。
……。
…………。
………………。
「あ、目下のところ、トップを独走するのは蒼生選手、そしてそれに黒星選手が続いております!」
さくらがレースを実況する。
「蒼生選手……?」
ふと進一郎はもらす。
自分の前を走っているのは少女のようなロングヘア、長身痩躯の少年。
風が吹けば飛びそうな肢体を、淡い藤色のウェアに包んでいた。
「あれが、蒼生クン……?」
そして蒼生と言えば、やはり「W.C.」の所属で、取材の時に出会った子だ。
「蒼生選手のプロフィールについてご紹介いたしましょう。本名非公開、11歳の小学五年生。仔犬カフェ『W.C.』所属で、超小学級のDIDの称号を持っています」
ちなみにDIDとは【Dissociative Identity Disorder】の略。日本語で言えば、解離性同一性障害のことだ。
「ご興味のある方は、どうぞ例のスマホアプリをご覧ください!」
さくらの言葉に、進一郎もスマホを操作した。
そう、進一郎はこの子とも、「W.C.」で会っていた。
「さて、蒼生選手、レースに対する意気込みを、お聞かせ願えますか?」
さくらの声に、蒼生は涼しい顔で走りながら、ただ一言返す。
「別に……ありません」
そう、普段の彼は非常にクールで不愛想。
でも、そんな蒼生クンが走ると速いとは、意外だな……。
進一郎が思う間もなく、蒼生はその羚羊のような足でトラックを駆け、そしてトラックに置かれた机にまでたどり着いた。
そう、会議室に置かれているような、折り畳みのテーブルが、いくつものトラックを横断し、選手たちの行く手を遮るような形で置かれていた。
「さあ、一番乗りは蒼生選手! テーブルの封筒を任意に選び、書かれたクイズに答えていただきます!」
そう、テーブルの上に並んでいるいくつかの封筒から、到着した選手順に好きなものを選んでいくという趣向だ。
蒼生は無造作に一枚を取り、封を開ける。
と、そこには――「実験クイズ」の文字。
「はぁ~~い!!」
――と、レポーターを務める若手芸人のような軽薄なノリで、その場にさくらが現れた。その手にはマイクを握りしめ、絶好調で解説を続ける。
「蒼生選手、実験クイズを選択しました! これは自分の身体で直接答えを導き出してもらうクイズです!!」
って、具体的にはどういうことなんだ……?
そう進一郎が思う間にも、さくらはアイマスクを取り出した。
「さて、まずはこれを着けていただきましょう!」
「……???」
僅かばかり怪訝そうな顔をして、しかしすぐにあきらめ、蒼生はマスクを被った。
「それではこの状態で確かめていただきましょう!」
さくらはアシスタントに持たせていたビーカーを、目隠しした蒼生に手渡す。
「さて、これはとある特定の人物にまつわるものです。その舌で、その人物を回答していただきましょう!」
うわ……!?
進一郎は内心、悲鳴を上げた。
「……? あったかい……?」
蒼生もふと、感想をもらす。
そう、彼が手に持たされたのは、なみなみと尿の注がれたビーカー。
いや……進一郎はそれが尿だと分かったが、分からない者もいたかもしれない。
それは、何しろ薔薇のような奇麗なピンク色をしていたのだから。
「……んくッ」
そうと知らない蒼生は、ことなげにビーカーに唇を寄せ、中の液体を口の中へと含んだ。
「ん……? これ……おシッコ……っ!?」
蒼生は即断すると、その端正な顔からぼっと火を噴き、彼は声を上擦らせた。
「はい、おしっこです! 蒼生選手、即答です!」
「え? あ……お……おシッコ……ボク……おシッコ……飲んじゃった……っ?」
そう、彼は解離性同一性障害――古い言葉を使うならば、二重人格。
恥ずかしさの限界値を超えると、脳内のOSが入れ替わり、いわゆるキツネ憑きの状態になって――。
「ふふ……ふふふふ……っ」
妖しげな笑みをこぼす蒼生へと、さくらはなおも尋ねた。
「はい、では、誰のおしっこでしょうか!?」
「って、言われてもそんなこと……んんっ」
ビーカーをもう一度唇へと持っていき、なみなみ注がれたそれをもう一度、口に含む。
「やっぱり、分かんないよ……」
そして迷うことなくそれを飲み下すと――。
「でも、想像はできるよ……だって誰のおシッコか当てさせるために目隠しさせるんだから……」
「はい、では答えをどうぞ!」
「萌依クン」
一言、蒼生は答える。
それはそうだ。
何しろ萌依は尿が紅いという特異体質。資格を奪うということは当然、見ればバレてしまうからだろう。
――ちゃらちゃちゃらちゃちゃらら~~~ん!
その答えに、派手なファンファーレが鳴り響く。
「正解です! では蒼生選手、正解を連れてきていただきましょう!」
そう、レースはここで終わりではない。本人を連れてきて――ん?
ふと、進一郎は思う。
あれ? 連れて来てどうするんだ?
さっき、さくらは「その人物に特技を発揮してもらう」とか何とか言ってたけど、具体的にはどうすれば……?
考える間にも、進一郎もまた、テーブルの前にたどり着く。
「えっとぉ……」
封筒を選び、封を開ける。
と、そこには――「ヴィジュアルクイズ」の文字。
「はぁい、黒星選手にはヴィジュアルクイズに挑んでいただきましょう!」
さくらが解説を開始する。
「ルールはいたって簡単。今から映し出される人物が誰かを答えるだけです。さて、私は誰でしょう!?」
そんな声と共に、巨大スクリーンに何やら映し出された。
それは……バスルームに見えた。
シャワーの水流が、まだ見たところまだ、小学校の中学年か高学年くらいであろう、小柄な人物に注がれていた。
「~~~~♪」
機嫌よく鼻歌を歌いながら、肩にまで伸びた長い髪を洗っている。
「オンナの子?」
進一郎はつぶやく。
胸元を見ると、膨らみは全くないけれど、年齢的に不思議はない。
下半身は映し出されておらず、また顔も髪に隠れているが――ふと、彼女(?)が髪を掻き上げ、顔が露わになる。
「ひ……ッッ!?」
進一郎の後方で悲鳴が上がった。
「………………ッ?」
振り向くと、控え席にまた、見覚えのある人物がいた。
大きな眼鏡をかけた、進一郎と似たタイプの少年。
今は鮮やかな蛍光イエロー色のウェアに身を包んでいるが、普段はネクタイにブレザー、半ズボンという正装をした、生真面目で温厚な少年。
彼の名は香山光児、小学五年生の11歳。アイドル喫茶『SX』に所属し、She-Xxxy'sのマネージャーを務める、超小学級のマネージャーだ。
その光児がどういうわけかスクリーンを見て、顔面蒼白になっていた。
「光児クン……どうしたのかな?」
進一郎はスマホを操作して、彼の情報を確認してみるが、それでもその理由は分からない。
その間にも、動画は進行していく。
画面は切り替わり、やはりそのロングヘアの少女(?)が白いワンピースの水着に身を包んでいる様が映し出された。
イメージDVD風に海岸でビーチチェアに寝そべり、盛んに品を作り、足を組み替える。
――が、その顔は真っ赤に染まりきり、目は伏し目がち。
本人としては嫌々やっているということがありありと伺えた。
それと、もう一つ。
画面の中の少女(?)がポーズを変える度、控え席の光児が小さく叫び、目を泳がせ、そして顔を真っ赤に染め上げていた。
そして――見ていくと、その水着の股間を覆っていたフリルが風で大きくまくれ上がり、その一瞬、画面には大きく映し出された。
――股間にテントができ上り、水着を突き破らんばかりにしている勃起したペニスが、白い布地を透かしてはっきりと見えているのが……。
オトコの娘だったのか――と、進一郎が思っていると。
「ひ……ひぃぃ……ッッ!!」
また光児が悲鳴を上げる。
「う~~~ん、どうして光児クン、悲鳴を……?」
考えあぐねる進一郎の目の前で、またスクリーンの映像が変わる。
――と、そこに映し出されたのはやはり海岸らしき場で、その少女――否、オトコの娘――が三人の人物に囲まれている場面となる。
砂浜に腰を下ろしているそのオトコの娘の目線にカメラが固定されており、三人は立っているため、三人の顔は分からないが、その身体にはやはり白いスクール水着を着用しており――。
「は……早く……あぁん、みんなの……ちょうだい……」
ふと、スクリーンの中のオトコの娘がねだるような声を上げた。
と、三人は水着の股ぐりの部分からペニスを露出させた。
「はぁ……はぁ……はぁ……あぁ……早くぅぅ……っ」
目を潤ませ、顔を上気させ、おねだりを続けるそのオトコの娘へと、三本のペニスの先端が向けられ――。
――ぷしゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っっっ。
一斉にオトコの娘へと、三条の水流が放たれた。
オトコの娘の額に、髪に、そして口許に小水が注がれる。
「あ……あん……○○君のオシッコ……美味しいよぉ……っ♥」
愛らしい唇の中に注がれる尿を一心に飲み下し、オトコの娘は甘い声をもらす。
「ひ……ひぃぃぃぃ……ッッ!? い……いつの間に、こんな……?」
相変わらず光児は悲鳴を上げ続けている。
が、ただ画面を食い入るように眺めているだけの進一郎に、さくらは焦れたような声を上げた。
「はい、どうしました黒星選手? 回答をどうぞ?」
「え? えと……っ」
我に返り、慌てる進一郎。
「だ……誰だろ……?」
もう一度画面を見ると、そのオトコの娘は陶酔した表情で、自らの髪から滴る、自らの水着が吸い込んだ、そして自らの周囲に水溜まりを作っている尿を、その手のひらですくい取り、口へと運んでいく。
「あぁ……美味しい……オシッコ、美味しいよぉ……♥」
そんな画面の中のオトコの娘の甘い声を遮るように――。
「あぁ……や……やああああぁぁぁ……ッッ!!」
また光児が奇声を発した。
「あの……光児クン?」
進一郎はあまりのことに、心配してその名を呼んだ。
――ちゃらちゃちゃらちゃちゃらら~~~ん!
派手なファンファーレが鳴り響く。
「正解です! では黒星選手、香山選手を連れてきてください!」
さくらの声に、進一郎はきょとんとなる。
「え? え? え……?」
しかし、このまま光児をひとりにしておくのもためらわれる。
そんな風に考えて、進一郎は光児を迎えに行った。
……。
…………。
………………。
丁度、進一郎が光児を連れてきた頃、蒼生もまた萌依を連れて戻っていた。
密かに、スマホをいじる進一郎。
アプリによると、萌依は日本人とスウェーデン人のハーフ。
セミロングのブロンドヘアと抜けるように白い肌が印象的だ。
すらりとした長身を、パステルオレンジのウェアで包んでいた。
そんな萌依と蒼生に負けまいと、進一郎も光児と並んでコースを走り、ゴールインしようとするが――。
「おーっと黒星選手、“借り人”のスキルを発揮しないままにゴールインする気でしょうか!?」
「え……?」
呆然とする進一郎のヘッドフォンに、またさくらからの私信が入ってくる。
「アンタ何聞いてたの!? “借り人”に特技を発揮してもらうことこそがゴールインだって言ったでしょ!?」
「そ……そう言えば……」
しかし、そう言われたって、具体的にはどうすれば……?
ちらと、横を見ると。
「あはぁ……蒼生、早くぅ……♥」
甘い声を上げながら、萌依は何やら、蒼生の前に正座している。
「うん、行くよ、萌依クン……?」
蒼生は妖しく微笑むと、そのボトムスを腿の途中辺りにまでずり下げる。
ぽろんッ。
と、その下からは愛らしい茎が飛び出して、その先端は彼の前に膝を突いている萌依の顔を指し示した。
「あぁ……ッ♥ 蒼生のおしっこ……もらえるんだネ……♥」
萌依が忘我の表情を浮かべた、その顔面へと。
「うん、萌依クンに、いっぱいあげるよ……♥」
と、蒼生の生白いペニスから、水流が放たれた。
――ぷしゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッ!
至近距離で迸った尿がハーフのオトコの娘の、いささか高い鼻梁へと叩きつけられ、それはぱあっと弾けて無数の飛沫となった。
「あはぁ……ッ、蒼生のおしっこ……♥」
嬉しさに感極まったかのように、萌依は声を昂らせる。
そんな様子を、さくらは実況中継した。
「蒼生選手、放尿開始です! 精通前のオトコの娘の汚れないペニスから、やはりオトコの娘の清らかな顔面へと聖水が注がれていきます!!」
あまりのことに、進一郎はスマホで萌依の情報を確認する。
――た……確かに、あの娘の特技は浴尿だけど……え? でも、ということは……?
自分の隣にいる少年を、進一郎はまじまじと見据えた。
「あ……あの、進一郎君……ぼく、進一郎君の優勝のためなら……いいよ?」
頬をほんのりと染めながら、光児はそんな告白をしてくる。
「い……いいって、何が……?」
光児に迫られ、思わず一歩下がる進一郎の耳下へと、またさくらの声が響いてきた。
「あぁ、もう! とっととやんなさいよ! てか、もう蒼生は放尿しちゃってるし、早くしないと間にあわないわよ!!」
「え? えぇ……ッッ!?」
確かに、彼らの隣のコースでは、萌依が蒼生の放尿を浴び続けている。
つ……つまり……。
ごくりと息を呑む進一郎の前に、光児は跪いた。
「進一郎君? ほら……もう、もれそうなんでしょ?」
そんなことを言いながら、光児はその指を進一郎のボトムスに伸ばす。
そしてそれを引き下ろすと……。
ぷるんッ。
進一郎のペニスがまた、陽の下にさらけ出された。
「こ……光児クン……ッッ!?」
慌てる進一郎とは裏腹に、光児は落ち着いた笑みを浮かべたまま、彼の下腹部へと顔を寄せて――。
「ね? ぼくに……進一郎君のオシッコ……ちょうだい?」
ぱくんッ。
その小さな唇を開いて、進一郎の未成熟な包茎ペニスを吞み込んでしまった。
「はぁう……ッ!?」
ショックを受け、進一郎が腰を跳ねさせる様子はドローンに撮影され、スクリーンに大きく映し出されていた。
「さあ黒星選手、ここから巻き返せるでしょうか!?」
「ま……巻き返すって言ったってぇぇ……っっ!?」
戸惑い、実況に思わず突っ込む進一郎だが、その間にもペニスは光児の口腔の、やわらかで温かな感触に包まれて――。
「あ……あぁ……で……出ちゃう……あぁん、こ……光児クン、で、出ちゃうからぁぁ……ッッ!!」
そんな進一郎の泣き声に、口いっぱいに彼の幼茎を頬張ったまま、光児はにっこりと無言の笑みで返した。
その瞬間。
――しゅわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわあぁぁぁぁぁぁ……っっ!
小さな音が響き渡った。
さっそくさくらが食いつき、解説する。
「おぉ……っ♥ 聞こえますでしょうか!? ふたりのオトコの子の間で奏でられる、秘めやかなメロディ! 黒星選手が今、香山選手の汚れない唇を便器にしています!!」
「あ……あぁ……ッ! ご……ごめん、光児クン……あぁ……ッ! と、止まらない……あぁん、止まらない……よぉぉ……ッッ!!」
悲鳴を上げる進一郎の、その腰をしっかりと抱きしめ、光児は彼の包茎を吸い続ける。
水音は響くが、その唇からは何ももれ出す様子がない。
その代わり、光児は喉を鳴らしながら、自らへと注がれれてくるものをただ、懸命に嚥下している。
「皆様、お聞きになれるでしょうか? 香山選手が黒星選手の聖水を飲み干していく音! 今、香山選手はただ、一心に黒星選手の便器になろうとしています!!」
「あ……あぁ……あん、あはぁ……ッ」
進一郎も次第に抵抗を止め、ただ光児に飲尿されるに任せるようになり、その声も悲鳴から、快げなものになっていく。
そして――。
ちょろろッ。
長い長い進一郎の放尿が終わり、光児は名残惜し気に――。
「んん……んぷぅ……ッ」
ようやく進一郎の肉茎から唇を離した。
「んんッ、あ……あぁ……進一郎君……♥」
その眼鏡の下の双眸は潤み、声も普段の冷静さからは想像もつかないような熱を帯びていた。
「ありがとう……進一郎君のオシッコ……美味しかったよ……♥」
そして、そんなふたりの隣では。
「あ……はぁん……♥」
萌依がやはり、悩ましげな声を上げていた。
蒼生もちょうど放尿を終え、萌依の身体は同じオトコの娘の小水でぐっしょりと濡れていた。そのため、ウェアのトップスからは乳首が浮き出でて、またボトムスを見れば、勃起した肉茎の形が浮き上がり、その生白い色までもが透けて確認できるようになっていた。
「Oj……蒼生のおしっこ、いっぱいいっぱいもらっちゃったネ……Tack、アリガトウ……♥」
目を細め、幸福そうにつぶやく萌依。
そこへ、さくらの声が響いた。
「え~~とぉ……さて、その、放尿を終えた時点でゴールインと見なされますが……困ったことに、そのタイミングはほぼ同時です!」
しかし、そんな言葉は、進一郎の耳に入ってはいなかった。
「ゴメン……光児クン、ゴメン……!!」
ただひたすら、彼は便器にしてしまったことを、相手に詫びていた。
「――というわけで、こうした場合、芸術点の高い方を優勝とする取り決めとなっています。蒼生選手、黒星選手のいずれを優勝とするかを、みなさんの投票で決めたいところですが、えぇと……」
ためらいつつも、ぼそりともらす。
「――絵面的に、まあ、何というか、勝敗は歴然のような気も……」
見た目には、いつもと変わりのない進一郎と光児に比べ、萌依は蒼生の尿で全身をぐっしょりと濡らしている。どちらのインパクトが強いかは――。
しかしそんな声を聞くまでもなく、客席の連中はスマホを操作し、それは電光掲示板に反映されていく。
そこには蒼生選手、黒星選手、両者の棒グラフが描かれているが――。
ぱらら、ぱららららっ。
そんな効果音と共に、しかし伸びていくのは専ら蒼生選手の方。
しかし――。
進一郎は相変わらず、勝負の行方など放り出して、光児の心配をしていた。
「ゴメン、光児クン」
ぷるるっと身体を震わせた光児を、進一郎が抱きしめる。
「ぼくのおしっこのせいで……身体が冷えた?」
「うぅん、ただ……」
光児も何やら、もじもじとしている。
「ひょっとして、光児クンも水を飲んだせいで……?」
「う……うん……」
そう、光児も尿意を堪えていたと気づき、進一郎は進言した。
「そっか……じゃあ、ぼくも……」
「え……?」
「だって、この会場にいる限り、ロクにトイレにも行けないし――今度はぼくが、光児クンの便器になってあげる……」
進一郎は光児のボトムスの前を引っ張ると、彼のペニスを露出させた。
「あ……あん……ッ」
切なげな声を上げる光児のペニスを口に含み、そして――。
「あ……ぼくも……ぼくもオシッコ……で……出ちゃうぅぅ……ッッ!!」
――しゃああああああああああああああああああああああああああああ……っ!
再び秘めやかな音が響いた。
そしてその瞬間。
ぱら、ぱらら、ぱらららららららららららッ。
急激に黒星選手の棒グラフが伸び、蒼生のものを追い越していった。
「おぉっ! 奇跡です! 黒星選手、逆転優勝です!!」
興奮して解説するさくら。
「黒星選手の、自ら進んで香山選手の便器になる奉仕精神が、芸術点に加算されました! 欽ちゃんの仮装大賞で言うところの『頑張ったんだよ、この子』現象です!!」
そんなさくらのボルテージに、進一郎もやっと事態に気づいた。
「優勝が確定しました! 優勝は黒星選手です!!」
「え……ぼく……?」
呆然とした顔のまま、進一郎は自らの優勝を知ったのだった――。
またもさくらのアナウンスが、会場に響き渡った。
「う゛……う゛ぅ゛ぅ゛……」
しかし、進一郎はあまり盛り上がっているようには見えなかった。
彼はまたも腹を抱え、尿意を堪えていたのだ。
前回は何とか水分補給をガマンした進一郎だったが、第四レースを終えた後、ついつい少量の水を飲んでしまい――その結果は覿面に尿意となって現れたのである。
「さて、次の第五回戦はいよいよ最終レース! 本レースでの勝利者が、優勝となります!!」
しかし構わず、さくらは次のレースの説明を続ける。
「そんな第五回戦は借り人競争!」
「かりひと競争……?」
進一郎の頭にはてなマークが浮かび上がる間にも、アナウンスは続く。
「……このレースは途中でクイズが出題され、正解に当てはまる人物を探し出し、その人物に特技を発揮してもらうことこそがゴールイン、というのがルール。足の速さよりもいかに早くクイズで正解を出せるかがポイントになるレースです!」
――いや、そもそも今までも足の速さを競っていたと言えるのか……。
そんな疑問を感じつつ、進一郎はスタートラインへと立った。
カウントダウンが開始され、そして。
――ぱぁん!
ピストルの音と共に、進一郎は他の選手たちに交じって駆け出した――。
……。
…………。
………………。
「あ、目下のところ、トップを独走するのは蒼生選手、そしてそれに黒星選手が続いております!」
さくらがレースを実況する。
「蒼生選手……?」
ふと進一郎はもらす。
自分の前を走っているのは少女のようなロングヘア、長身痩躯の少年。
風が吹けば飛びそうな肢体を、淡い藤色のウェアに包んでいた。
「あれが、蒼生クン……?」
そして蒼生と言えば、やはり「W.C.」の所属で、取材の時に出会った子だ。
「蒼生選手のプロフィールについてご紹介いたしましょう。本名非公開、11歳の小学五年生。仔犬カフェ『W.C.』所属で、超小学級のDIDの称号を持っています」
ちなみにDIDとは【Dissociative Identity Disorder】の略。日本語で言えば、解離性同一性障害のことだ。
「ご興味のある方は、どうぞ例のスマホアプリをご覧ください!」
さくらの言葉に、進一郎もスマホを操作した。
そう、進一郎はこの子とも、「W.C.」で会っていた。
「さて、蒼生選手、レースに対する意気込みを、お聞かせ願えますか?」
さくらの声に、蒼生は涼しい顔で走りながら、ただ一言返す。
「別に……ありません」
そう、普段の彼は非常にクールで不愛想。
でも、そんな蒼生クンが走ると速いとは、意外だな……。
進一郎が思う間もなく、蒼生はその羚羊のような足でトラックを駆け、そしてトラックに置かれた机にまでたどり着いた。
そう、会議室に置かれているような、折り畳みのテーブルが、いくつものトラックを横断し、選手たちの行く手を遮るような形で置かれていた。
「さあ、一番乗りは蒼生選手! テーブルの封筒を任意に選び、書かれたクイズに答えていただきます!」
そう、テーブルの上に並んでいるいくつかの封筒から、到着した選手順に好きなものを選んでいくという趣向だ。
蒼生は無造作に一枚を取り、封を開ける。
と、そこには――「実験クイズ」の文字。
「はぁ~~い!!」
――と、レポーターを務める若手芸人のような軽薄なノリで、その場にさくらが現れた。その手にはマイクを握りしめ、絶好調で解説を続ける。
「蒼生選手、実験クイズを選択しました! これは自分の身体で直接答えを導き出してもらうクイズです!!」
って、具体的にはどういうことなんだ……?
そう進一郎が思う間にも、さくらはアイマスクを取り出した。
「さて、まずはこれを着けていただきましょう!」
「……???」
僅かばかり怪訝そうな顔をして、しかしすぐにあきらめ、蒼生はマスクを被った。
「それではこの状態で確かめていただきましょう!」
さくらはアシスタントに持たせていたビーカーを、目隠しした蒼生に手渡す。
「さて、これはとある特定の人物にまつわるものです。その舌で、その人物を回答していただきましょう!」
うわ……!?
進一郎は内心、悲鳴を上げた。
「……? あったかい……?」
蒼生もふと、感想をもらす。
そう、彼が手に持たされたのは、なみなみと尿の注がれたビーカー。
いや……進一郎はそれが尿だと分かったが、分からない者もいたかもしれない。
それは、何しろ薔薇のような奇麗なピンク色をしていたのだから。
「……んくッ」
そうと知らない蒼生は、ことなげにビーカーに唇を寄せ、中の液体を口の中へと含んだ。
「ん……? これ……おシッコ……っ!?」
蒼生は即断すると、その端正な顔からぼっと火を噴き、彼は声を上擦らせた。
「はい、おしっこです! 蒼生選手、即答です!」
「え? あ……お……おシッコ……ボク……おシッコ……飲んじゃった……っ?」
そう、彼は解離性同一性障害――古い言葉を使うならば、二重人格。
恥ずかしさの限界値を超えると、脳内のOSが入れ替わり、いわゆるキツネ憑きの状態になって――。
「ふふ……ふふふふ……っ」
妖しげな笑みをこぼす蒼生へと、さくらはなおも尋ねた。
「はい、では、誰のおしっこでしょうか!?」
「って、言われてもそんなこと……んんっ」
ビーカーをもう一度唇へと持っていき、なみなみ注がれたそれをもう一度、口に含む。
「やっぱり、分かんないよ……」
そして迷うことなくそれを飲み下すと――。
「でも、想像はできるよ……だって誰のおシッコか当てさせるために目隠しさせるんだから……」
「はい、では答えをどうぞ!」
「萌依クン」
一言、蒼生は答える。
それはそうだ。
何しろ萌依は尿が紅いという特異体質。資格を奪うということは当然、見ればバレてしまうからだろう。
――ちゃらちゃちゃらちゃちゃらら~~~ん!
その答えに、派手なファンファーレが鳴り響く。
「正解です! では蒼生選手、正解を連れてきていただきましょう!」
そう、レースはここで終わりではない。本人を連れてきて――ん?
ふと、進一郎は思う。
あれ? 連れて来てどうするんだ?
さっき、さくらは「その人物に特技を発揮してもらう」とか何とか言ってたけど、具体的にはどうすれば……?
考える間にも、進一郎もまた、テーブルの前にたどり着く。
「えっとぉ……」
封筒を選び、封を開ける。
と、そこには――「ヴィジュアルクイズ」の文字。
「はぁい、黒星選手にはヴィジュアルクイズに挑んでいただきましょう!」
さくらが解説を開始する。
「ルールはいたって簡単。今から映し出される人物が誰かを答えるだけです。さて、私は誰でしょう!?」
そんな声と共に、巨大スクリーンに何やら映し出された。
それは……バスルームに見えた。
シャワーの水流が、まだ見たところまだ、小学校の中学年か高学年くらいであろう、小柄な人物に注がれていた。
「~~~~♪」
機嫌よく鼻歌を歌いながら、肩にまで伸びた長い髪を洗っている。
「オンナの子?」
進一郎はつぶやく。
胸元を見ると、膨らみは全くないけれど、年齢的に不思議はない。
下半身は映し出されておらず、また顔も髪に隠れているが――ふと、彼女(?)が髪を掻き上げ、顔が露わになる。
「ひ……ッッ!?」
進一郎の後方で悲鳴が上がった。
「………………ッ?」
振り向くと、控え席にまた、見覚えのある人物がいた。
大きな眼鏡をかけた、進一郎と似たタイプの少年。
今は鮮やかな蛍光イエロー色のウェアに身を包んでいるが、普段はネクタイにブレザー、半ズボンという正装をした、生真面目で温厚な少年。
彼の名は香山光児、小学五年生の11歳。アイドル喫茶『SX』に所属し、She-Xxxy'sのマネージャーを務める、超小学級のマネージャーだ。
その光児がどういうわけかスクリーンを見て、顔面蒼白になっていた。
「光児クン……どうしたのかな?」
進一郎はスマホを操作して、彼の情報を確認してみるが、それでもその理由は分からない。
その間にも、動画は進行していく。
画面は切り替わり、やはりそのロングヘアの少女(?)が白いワンピースの水着に身を包んでいる様が映し出された。
イメージDVD風に海岸でビーチチェアに寝そべり、盛んに品を作り、足を組み替える。
――が、その顔は真っ赤に染まりきり、目は伏し目がち。
本人としては嫌々やっているということがありありと伺えた。
それと、もう一つ。
画面の中の少女(?)がポーズを変える度、控え席の光児が小さく叫び、目を泳がせ、そして顔を真っ赤に染め上げていた。
そして――見ていくと、その水着の股間を覆っていたフリルが風で大きくまくれ上がり、その一瞬、画面には大きく映し出された。
――股間にテントができ上り、水着を突き破らんばかりにしている勃起したペニスが、白い布地を透かしてはっきりと見えているのが……。
オトコの娘だったのか――と、進一郎が思っていると。
「ひ……ひぃぃ……ッッ!!」
また光児が悲鳴を上げる。
「う~~~ん、どうして光児クン、悲鳴を……?」
考えあぐねる進一郎の目の前で、またスクリーンの映像が変わる。
――と、そこに映し出されたのはやはり海岸らしき場で、その少女――否、オトコの娘――が三人の人物に囲まれている場面となる。
砂浜に腰を下ろしているそのオトコの娘の目線にカメラが固定されており、三人は立っているため、三人の顔は分からないが、その身体にはやはり白いスクール水着を着用しており――。
「は……早く……あぁん、みんなの……ちょうだい……」
ふと、スクリーンの中のオトコの娘がねだるような声を上げた。
と、三人は水着の股ぐりの部分からペニスを露出させた。
「はぁ……はぁ……はぁ……あぁ……早くぅぅ……っ」
目を潤ませ、顔を上気させ、おねだりを続けるそのオトコの娘へと、三本のペニスの先端が向けられ――。
――ぷしゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っっっ。
一斉にオトコの娘へと、三条の水流が放たれた。
オトコの娘の額に、髪に、そして口許に小水が注がれる。
「あ……あん……○○君のオシッコ……美味しいよぉ……っ♥」
愛らしい唇の中に注がれる尿を一心に飲み下し、オトコの娘は甘い声をもらす。
「ひ……ひぃぃぃぃ……ッッ!? い……いつの間に、こんな……?」
相変わらず光児は悲鳴を上げ続けている。
が、ただ画面を食い入るように眺めているだけの進一郎に、さくらは焦れたような声を上げた。
「はい、どうしました黒星選手? 回答をどうぞ?」
「え? えと……っ」
我に返り、慌てる進一郎。
「だ……誰だろ……?」
もう一度画面を見ると、そのオトコの娘は陶酔した表情で、自らの髪から滴る、自らの水着が吸い込んだ、そして自らの周囲に水溜まりを作っている尿を、その手のひらですくい取り、口へと運んでいく。
「あぁ……美味しい……オシッコ、美味しいよぉ……♥」
そんな画面の中のオトコの娘の甘い声を遮るように――。
「あぁ……や……やああああぁぁぁ……ッッ!!」
また光児が奇声を発した。
「あの……光児クン?」
進一郎はあまりのことに、心配してその名を呼んだ。
――ちゃらちゃちゃらちゃちゃらら~~~ん!
派手なファンファーレが鳴り響く。
「正解です! では黒星選手、香山選手を連れてきてください!」
さくらの声に、進一郎はきょとんとなる。
「え? え? え……?」
しかし、このまま光児をひとりにしておくのもためらわれる。
そんな風に考えて、進一郎は光児を迎えに行った。
……。
…………。
………………。
丁度、進一郎が光児を連れてきた頃、蒼生もまた萌依を連れて戻っていた。
密かに、スマホをいじる進一郎。
アプリによると、萌依は日本人とスウェーデン人のハーフ。
セミロングのブロンドヘアと抜けるように白い肌が印象的だ。
すらりとした長身を、パステルオレンジのウェアで包んでいた。
そんな萌依と蒼生に負けまいと、進一郎も光児と並んでコースを走り、ゴールインしようとするが――。
「おーっと黒星選手、“借り人”のスキルを発揮しないままにゴールインする気でしょうか!?」
「え……?」
呆然とする進一郎のヘッドフォンに、またさくらからの私信が入ってくる。
「アンタ何聞いてたの!? “借り人”に特技を発揮してもらうことこそがゴールインだって言ったでしょ!?」
「そ……そう言えば……」
しかし、そう言われたって、具体的にはどうすれば……?
ちらと、横を見ると。
「あはぁ……蒼生、早くぅ……♥」
甘い声を上げながら、萌依は何やら、蒼生の前に正座している。
「うん、行くよ、萌依クン……?」
蒼生は妖しく微笑むと、そのボトムスを腿の途中辺りにまでずり下げる。
ぽろんッ。
と、その下からは愛らしい茎が飛び出して、その先端は彼の前に膝を突いている萌依の顔を指し示した。
「あぁ……ッ♥ 蒼生のおしっこ……もらえるんだネ……♥」
萌依が忘我の表情を浮かべた、その顔面へと。
「うん、萌依クンに、いっぱいあげるよ……♥」
と、蒼生の生白いペニスから、水流が放たれた。
――ぷしゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッ!
至近距離で迸った尿がハーフのオトコの娘の、いささか高い鼻梁へと叩きつけられ、それはぱあっと弾けて無数の飛沫となった。
「あはぁ……ッ、蒼生のおしっこ……♥」
嬉しさに感極まったかのように、萌依は声を昂らせる。
そんな様子を、さくらは実況中継した。
「蒼生選手、放尿開始です! 精通前のオトコの娘の汚れないペニスから、やはりオトコの娘の清らかな顔面へと聖水が注がれていきます!!」
あまりのことに、進一郎はスマホで萌依の情報を確認する。
――た……確かに、あの娘の特技は浴尿だけど……え? でも、ということは……?
自分の隣にいる少年を、進一郎はまじまじと見据えた。
「あ……あの、進一郎君……ぼく、進一郎君の優勝のためなら……いいよ?」
頬をほんのりと染めながら、光児はそんな告白をしてくる。
「い……いいって、何が……?」
光児に迫られ、思わず一歩下がる進一郎の耳下へと、またさくらの声が響いてきた。
「あぁ、もう! とっととやんなさいよ! てか、もう蒼生は放尿しちゃってるし、早くしないと間にあわないわよ!!」
「え? えぇ……ッッ!?」
確かに、彼らの隣のコースでは、萌依が蒼生の放尿を浴び続けている。
つ……つまり……。
ごくりと息を呑む進一郎の前に、光児は跪いた。
「進一郎君? ほら……もう、もれそうなんでしょ?」
そんなことを言いながら、光児はその指を進一郎のボトムスに伸ばす。
そしてそれを引き下ろすと……。
ぷるんッ。
進一郎のペニスがまた、陽の下にさらけ出された。
「こ……光児クン……ッッ!?」
慌てる進一郎とは裏腹に、光児は落ち着いた笑みを浮かべたまま、彼の下腹部へと顔を寄せて――。
「ね? ぼくに……進一郎君のオシッコ……ちょうだい?」
ぱくんッ。
その小さな唇を開いて、進一郎の未成熟な包茎ペニスを吞み込んでしまった。
「はぁう……ッ!?」
ショックを受け、進一郎が腰を跳ねさせる様子はドローンに撮影され、スクリーンに大きく映し出されていた。
「さあ黒星選手、ここから巻き返せるでしょうか!?」
「ま……巻き返すって言ったってぇぇ……っっ!?」
戸惑い、実況に思わず突っ込む進一郎だが、その間にもペニスは光児の口腔の、やわらかで温かな感触に包まれて――。
「あ……あぁ……で……出ちゃう……あぁん、こ……光児クン、で、出ちゃうからぁぁ……ッッ!!」
そんな進一郎の泣き声に、口いっぱいに彼の幼茎を頬張ったまま、光児はにっこりと無言の笑みで返した。
その瞬間。
――しゅわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわあぁぁぁぁぁぁ……っっ!
小さな音が響き渡った。
さっそくさくらが食いつき、解説する。
「おぉ……っ♥ 聞こえますでしょうか!? ふたりのオトコの子の間で奏でられる、秘めやかなメロディ! 黒星選手が今、香山選手の汚れない唇を便器にしています!!」
「あ……あぁ……ッ! ご……ごめん、光児クン……あぁ……ッ! と、止まらない……あぁん、止まらない……よぉぉ……ッッ!!」
悲鳴を上げる進一郎の、その腰をしっかりと抱きしめ、光児は彼の包茎を吸い続ける。
水音は響くが、その唇からは何ももれ出す様子がない。
その代わり、光児は喉を鳴らしながら、自らへと注がれれてくるものをただ、懸命に嚥下している。
「皆様、お聞きになれるでしょうか? 香山選手が黒星選手の聖水を飲み干していく音! 今、香山選手はただ、一心に黒星選手の便器になろうとしています!!」
「あ……あぁ……あん、あはぁ……ッ」
進一郎も次第に抵抗を止め、ただ光児に飲尿されるに任せるようになり、その声も悲鳴から、快げなものになっていく。
そして――。
ちょろろッ。
長い長い進一郎の放尿が終わり、光児は名残惜し気に――。
「んん……んぷぅ……ッ」
ようやく進一郎の肉茎から唇を離した。
「んんッ、あ……あぁ……進一郎君……♥」
その眼鏡の下の双眸は潤み、声も普段の冷静さからは想像もつかないような熱を帯びていた。
「ありがとう……進一郎君のオシッコ……美味しかったよ……♥」
そして、そんなふたりの隣では。
「あ……はぁん……♥」
萌依がやはり、悩ましげな声を上げていた。
蒼生もちょうど放尿を終え、萌依の身体は同じオトコの娘の小水でぐっしょりと濡れていた。そのため、ウェアのトップスからは乳首が浮き出でて、またボトムスを見れば、勃起した肉茎の形が浮き上がり、その生白い色までもが透けて確認できるようになっていた。
「Oj……蒼生のおしっこ、いっぱいいっぱいもらっちゃったネ……Tack、アリガトウ……♥」
目を細め、幸福そうにつぶやく萌依。
そこへ、さくらの声が響いた。
「え~~とぉ……さて、その、放尿を終えた時点でゴールインと見なされますが……困ったことに、そのタイミングはほぼ同時です!」
しかし、そんな言葉は、進一郎の耳に入ってはいなかった。
「ゴメン……光児クン、ゴメン……!!」
ただひたすら、彼は便器にしてしまったことを、相手に詫びていた。
「――というわけで、こうした場合、芸術点の高い方を優勝とする取り決めとなっています。蒼生選手、黒星選手のいずれを優勝とするかを、みなさんの投票で決めたいところですが、えぇと……」
ためらいつつも、ぼそりともらす。
「――絵面的に、まあ、何というか、勝敗は歴然のような気も……」
見た目には、いつもと変わりのない進一郎と光児に比べ、萌依は蒼生の尿で全身をぐっしょりと濡らしている。どちらのインパクトが強いかは――。
しかしそんな声を聞くまでもなく、客席の連中はスマホを操作し、それは電光掲示板に反映されていく。
そこには蒼生選手、黒星選手、両者の棒グラフが描かれているが――。
ぱらら、ぱららららっ。
そんな効果音と共に、しかし伸びていくのは専ら蒼生選手の方。
しかし――。
進一郎は相変わらず、勝負の行方など放り出して、光児の心配をしていた。
「ゴメン、光児クン」
ぷるるっと身体を震わせた光児を、進一郎が抱きしめる。
「ぼくのおしっこのせいで……身体が冷えた?」
「うぅん、ただ……」
光児も何やら、もじもじとしている。
「ひょっとして、光児クンも水を飲んだせいで……?」
「う……うん……」
そう、光児も尿意を堪えていたと気づき、進一郎は進言した。
「そっか……じゃあ、ぼくも……」
「え……?」
「だって、この会場にいる限り、ロクにトイレにも行けないし――今度はぼくが、光児クンの便器になってあげる……」
進一郎は光児のボトムスの前を引っ張ると、彼のペニスを露出させた。
「あ……あん……ッ」
切なげな声を上げる光児のペニスを口に含み、そして――。
「あ……ぼくも……ぼくもオシッコ……で……出ちゃうぅぅ……ッッ!!」
――しゃああああああああああああああああああああああああああああ……っ!
再び秘めやかな音が響いた。
そしてその瞬間。
ぱら、ぱらら、ぱらららららららららららッ。
急激に黒星選手の棒グラフが伸び、蒼生のものを追い越していった。
「おぉっ! 奇跡です! 黒星選手、逆転優勝です!!」
興奮して解説するさくら。
「黒星選手の、自ら進んで香山選手の便器になる奉仕精神が、芸術点に加算されました! 欽ちゃんの仮装大賞で言うところの『頑張ったんだよ、この子』現象です!!」
そんなさくらのボルテージに、進一郎もやっと事態に気づいた。
「優勝が確定しました! 優勝は黒星選手です!!」
「え……ぼく……?」
呆然とした顔のまま、進一郎は自らの優勝を知ったのだった――。
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