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4.聖水リレー

4.聖水リレー

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「――はぁい、第四回戦は聖水リレーです! 出場者は集合してください!!」

 ようやく、進一郎が公開放尿のダメージから回復した頃。

 またさくらのアナウンスが響いた。

「聖水リレー……? オリンピックだと聖火リレーとかあるけど……?」

 疑問を抱きつつ、控室代わりのテントへと向かった進一郎は、グラウンド上でスタンバイするよう、指示を受けた。

 今回の彼は、尿意を催していない。

 洩斗からのアドバイス通り、利尿剤入りの水を飲むのをガマンし、待機していたのだから。

 周囲を見れば、やはり水を飲んだせいか、そわそわしたり股間を抑えたりしている少年たちの姿があちこちに見られた。

 みんな平気で水を飲んでたし……でも、止めた方がいいよと忠告して回るのもなあ……。

 悪いけど、これじゃぼくだけ有利だし、次は楽勝だな――。

 そんなことを考えながら、スタンバイ位置にたどり着くと。

「えぇと、君は……?」

 見覚えのある少年が、そこには立っていた。

 さっき、自分に利尿剤の件を教えてくれた洩斗と瓜ふたつの顔をしているが――。

「そそおだよ、進一郎クン♥」

 少年はそう言って、にっこりと笑う。

 進一郎は密かにスマホを盗み見た。




 確かに彼は洩斗ではない。

 そう、彼は洩斗の一卵性双生児の弟、尾根河おねかわそそお。

 兄と同様、コスプレカフェ『C.C.C.』に所属する小学四年生の10歳で、超小学級のエグゼクティブという肩書を持っている。

「でも、どうしてそそおクンがこんなところに……?」

「僕は補助員だよ」

 相変わらずにこにこと笑いながらの、そそおの答え。

「いや、だから何の……?」

「うん、バトンの受け渡しの際の」

「え? バトンって、ただこう受け取ればいいんじゃ――?」

 進一郎が問いただすが、そそおは一蹴し、涼しい笑顔のまま返してきた。

「さ、おちんちんを見せて♥」

「え゛……ッ!?」

「ほらぁ、早くぅ♥」

 可愛らしくおねだりするそそおだが、進一郎は顔を真っ赤にして返す。

「ど……どうして……ッ!?」

「どうしてって……そうしなきゃ、バトンを受け取れないよ?」

 わけが分からない。

 口をあんぐりと開けっ放しにしてしまう進一郎へと、またヘッドフォンからさくらの声が響いてきた。

「ほら、とっととしなさいよ!」

「え? で……でもぉ……」

「いいこと? 今回のレースは合同競技よ? アンタひとりが棄権するのならいいけど、ぼやぼやしてたらアンタにタスキをつなごうとした走者全員の努力がムダになんのよ!?」

「え……?」

 そう言われると集団の圧に弱い日本人である進一郎、一も二もない。

「わ……分かったよ、じゃあ……っ」

 ボトムスの前をぺろん、とめくり降ろすと、中に収まっていたちっちゃなペニスがぽろんと転がり出る。

「ふふふ……じゃ、失礼――♥」

 舌なめずりしながら、そそおは目の前に飛び出したペニスを、親指と人差し指でちょいと摘み取った。

 さらによく見れば、そそおのもう一方の手には、何やら透明で細いチューブのようなものが握られていた。

「な……何を……ッッ!?」

 進一郎の問いを一蹴し、そそおの指はたっぷりとした包茎をめくり上げ、鮮紅色をした亀頭を飛び出させてしまった。

「あぅ……ッ!?」

「ほら、もうちょっとのガマンだよ……」

 切なげな声を上げる進一郎をなだめつつ、その先端の秘めやかな切れ込みへと、チューブの先端を――。

 ちゅるんッ。

 器用な手つきで挿入させた。

「はぁうぅ……ッッ!?」

 進一郎の声が、さらに切なげに上擦る。

 ぢゅぷ、ぢゅぷ、ぢゅぷぷ……ッ。

「あ……ッ、あぁ……ッ。お……おちんちんが……ッ、そ、そんなことしたら……あぁ……お、おちんちん……おっきく……ッ」

 チューブを奥深くまで挿し入れる度、進一郎は艶めかしい声をあふれさせ、腰を震わせた。

「あふぅ……お……おしっこの穴……おしっこの穴が……広がって……行くぅぅ……ッ!」

 その肉茎もまた、見る間に大きくなり、頑なに強張っていく。

「大丈夫、平気だからね……」

 不安がる進一郎の背を、まるで母親のように撫でながらなだめるそそお。

 しかし尿道をチューブに貫かれた未成熟なペニスは、その先端はつんと上を向いてしまっていた。

「ど……どうしてこんなこと……?」

 進一郎が尋ねた、その瞬間。

「はぁ……ッ、はぁ……ッ、はぁ……ッ、はぁ……ッ、はぁ……ッ、はぁ……ッ」

 荒い息が聞こえてきた。

 見れば、各トラックを、少年たちが走ってくる。

「え? えぇ……ッッ!?」

 みな、ボトムスを着けず、勃起したペニスを丸出しにしていた。

「な……?」

 さらに見れば、走り方も何だか普通じゃない。

 みなおなかを抱え、苦しそうに走っている。

 可哀想に……みんな、おなかがおしっこでいっぱいなんだな……。

 そんなことを思う進一郎。

 しかし、ふともうひとつおかしなことに気づき、彼はまたいぶかしげな声を上げた。

「あれ?」

 誰もが手に何も持っていなかったのだ。

 リレーなんだから、バトンを持つものだと思っていたけど……。

 いや……気づいたことはまだある。

 彼と同じトラックを走る、見覚えのある少年だけは大して苦しみもせず、ペニスを隆起させることもなく、淡々と走っていた。

ゆうクン……?」

 進一郎はスマホを確認しつつ、尋ねた。





 そう、彼は五十嵐いがらし柚一、小学五年生の11歳。アイドル喫茶『SX』所属。

 オトコの娘アイドルユニット、She-Xxxy'sのリーダーであると共に、「汲めども尽きぬ潮の如き海の尿」を持つ、超小学級の超小学級のTGトランスジェンダーとも呼ばれていた。

 彼が前の走者であり、最終走者である進一郎へとバトンを渡すのだが――。

「あ……あの、柚クン、バトンは……?」

 尋ねようとする進一郎に、そそおが横から囁いた。

「バトンなら、ほら、そこに」

「え……?」

 そそおの指さすのは、柚の下腹部。

 そこには――何もなかった。

 いや、ボトムスを着けていなかったが、その代わりに、ぶらんと下を向いた小さな性器には、やはりチューブが――。

「あ……あまりじろじろ見ないで……」

 クールに見える柚だが、やはり恥ずかしいのか、視線をあちこちにさまよわせながら言う。

「そそおクン、早くしてあげないと……」

 そんな柚の肩を優しく抱き、そそおは彼を、進一郎の前に立たせた。

「え……? な……何を……?」

 怯えた声を上げる進一郎のペニスに挿入されたチューブを右手に、恥じらいに頬を染める柚のチューブを左手に取るそそお。

 そして彼は、そのチューブとチューブのもう一端を、コネクタでつなげってしまった。

「さ、行くよ、進一郎クン?」

「え? 何を……?」

 進一郎が問うのよりも早く、そそおはふたりのチューブについているバルブをひねる。

「「………………ッッ!!??」」

 一本のチューブでつながったふたりの少年が、嗚咽をハモらせた。

「あ……で……出る……ッ、おシッコ、出るぅぅぅぅ……ッッ!!」

 快さげな、絶頂感めいた悲鳴をもらす柚。

 次の瞬間、無色透明のチューブの中に黄金きんの光が走った。

「おぉぉッッ♥ ご覧ください、みなさん! 五十嵐選手の膀胱に貯められていた尿が、今、カメラの前に晒されます!」

 さくらの言葉通り、この光景もまた、スクリーンに大きく映し出されていた。

 陽光にきらめく尿は、一瞬で進一郎へと到達する。

「あ……あぁ……ッ!?」

 進一郎が苦悶めいた悲鳴を上げた。

「あふぅ……ッ、は……入って……来る……ッ、ぼくの中に……柚クンのおしっこが……入って……来るぅぅぅぅ……ッッ!!」

 柚の膀胱に収められていた尿がチューブ――尿道カテーテルの中を駆け抜け、進一郎の膀胱へと注がれていた。

 しかし進一郎の言葉に、そそおはゆっくりと首を横に振る。

「違うよ、柚クンと……萌依メイクンと……蒼生あおいクンのお小水、だよ♥」

「え……?」

 そこで分かった。

 蒼生はこのレースの第一走者。

 萌依は第二走者。

 ということはつまり……。

「こ……このおしっこは……っ!?」

「みんなのお小水の、ミックスだよ♥」

 にっこりと、そそおが微笑む。

「あぁ……ッ! やっぱり……ッ!!」

 膀胱を尿で満たされながら、進一郎が叫んだ。

「で……でも、柚クンは平気そうにしてるけど、三人分のおしっこなんて……ッッ!?」

 その疑問の声に、柚が答えた。

「ぼ……僕の膀胱は……貴婦人の膀胱って言われてるから……」

 そうだった!

 進一郎は思い出す。

 柚のおなかには、人並外れた量の尿をプールしておけるのだ。

 それは公式サイトにも、記述のあることだ。


 ということは、今ぼくのおなかに入ってきている尿の量は――!?

 思う間にも、カテーテルは進一郎の尿道へと、尿を送り込んでくるが、その勢いも次第に弱まってきて――。

 ちょろろッ。

「ふぁ……あぁぁ……ッ」

 満足そうなため息をもらし、ようやく柚の放尿が終わった。

 そそおはふたりをつないでいたコネクタを取り去り、疾走と放尿で息切れしている柚の肩を、優しく抱きしめる。

「ふふ……いっぱいしたね、柚クン?」

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

「あ、進一郎クンは早く行かないと」

「う……うん!」

 そそおに促され、我に返った進一郎は、慌てて駆け出した――。


 ……。

 …………

 ………………。

「はぁ……ッ、はぁ……ッ、はぁ……ッ、はぁ……ッ、はぁ……ッ、はぁ……ッ」

 そして、ようやくゴールインした進一郎。

「う゛……う゛ぅ゛……ッ!」

 努力の甲斐あって、膀胱の中のものを一滴たりともらすことなく、一位でゴールにたどり着いた進一郎だが……。

 ゴールには、やはり小学校の教室にあるような椅子が置かれ、その背には何やら、吊り具で引っかけられている。

「……???」

 見れば、それは無色透明のバッグ。

 ちょうど、ベッドの上の患者に点滴を打つ時のようなバッグだが……普通なら高いところに吊るされるそれは、彼の膝辺りの位置に吊るされて、また、中にも何も入っていなかった。

 首をひねる進一郎へと、さくらの声が響いた。

「さあ、黒星選手、どうしたのでしょう、いつまで経ってもゴールインしようとしません!」

「え? ど……どうすれば……!?」

 いや……よく見れば、そのバッグからはチューブが伸び、その先端にはコネクターがつけられていた。

 そう、さっき見た、自分のペニスに穿たれたチューブと柚のチューブをつないだものだ。

 となると――これをどう使うのかは、さすがに「バカポン」な彼にも想像はついた。

 で……でも、そんな……。

 ためらううちにも、背後からは他の選手たちの足音が聞こえてくる。

「どうしたのでしょう、黒星選手!? このままでは後続選手に負けてしまいますが……?」

 さくらの声に、進一郎は決意を固めた。

「えぇ~~い!!」

 自分のペニスから伸びたチューブの先端を、バッグから伸びたチューブのコネクターにつなげる。

 と、かちりと音がして――。

 ちゅるるッ。

 進一郎の下腹部から、水音が響いた。

「え? えぇ……っっ!?」

 見れば、彼の膀胱に貯まっていた尿が勝手にチューブを逆流し、それはバッグの中へと注ぎ込まれていった。

「あ……あぁ……ッ!?」

 戸惑いの声を上げる進一郎。

「あん……お……おしっこ……ぼくのおしっこ……っ、あぁ、勝手に……出て行っちゃうぅぅ……っ!!」

 その様子は当然、ドローンが捉え、大型スクリーンへと生配信していた。

「おぉッッ♥ 黒星選手の放尿シーンです! 透明のバッグが、今、新鮮なおしっこで満たされていきます!!」

「あぁ……あぁん、おしっこ取られる……おしっこが吸い取られてるよぉぉッッ!!」

 進一郎の悲鳴にも、さくらは解説を加えた。

「そう、黒星選手は知らなかった模様ですが、尿道カテーテルを挿入されると、人は自分の意志とは関係なく尿を排出することになります!!」

 そして、貯まっていく尿は少々、普通のものと色が違った。

 というのも、微かにオレンジ色を帯びているような……。

「お気づきでしょうか。このおしっこの色――」

「え? えぇっっ!?」

 怯えたような進一郎の声に、さらにさくらが解説する。

「そう、これは彼ひとりの尿ではなく、蒼生選手、デンハーハ選手、五十嵐選手の合計四人のもの。デンハーハ選手は「ローズピンクに煌めく薔薇の尿」の持ち主――四人のものがブレンドされ、こんな美しい色の尿が生まれたのです!!」

「な……何だよ、それ……っっ!?」

 ――考えれば、自分の膀胱に注がれた時点で、このオレンジ色はもっと濃かったはずだが、さすがに細いチューブを通るところしか見ていなかったため、気づくことができなかったらしい。

 ともあれ、大勢の観客たちにペニスのダイアップを凝視されるままに、進一郎は放尿を終えた。

「やりました、黒星選手、一位です!!」

「はぁぁ……」

 安心したせいか、進一郎はそこでがっくりと頽れた。

「――さて、この四人の少年のブレンドおしっこ! さあ、値段はいくら!?」

 電光掲示板に、また数字が躍った。

「……五千円、五千五百円……六千円……一万円――はい、一万五千円で落札です!!」

 興奮する観客たち、そしてさくらの声を遠くに聞き、ただ進一郎はその場で荒い息を吐き続けていた――。
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