海の声

ある

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152.流日

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「え?!なんですかいきなり!!」

マトモな反応をした筈の俺を他所に『はーいッ♪』と、無茶振りに返答する2人の声が響く。

『はいっ、当意即妙な2人に拍手ッ♪』

いや、全く理解できないし俺が正解じゃね??

『はーい!!トーイソクミョウって何ですか??』

『はいっ良い質問だね!!当意即妙とはその場の雰囲気に合った気の利いた返答を…』

…こんな調子で突然始まった"授業"が続いた。と言っても美雨と先生の二人芝居みたいなもんだったけど…
そんな中、俺の目に映る"3人目のクラスメイト"は本当に楽しそうで、先生に話しかけられることがなくたってちゃんと"生徒"になっていた。
時折俺に向かって"楽しいね"とか"美雨ちゃん面白い"なんて笑う海美に微笑み返す事しかできないのがなんだか悲しくなる。
そして俺の胸の中では"海美に早く元に戻って欲しい"という気持ちが風船のように膨らむばかりだった。

『あぁー楽しかったねぇ♪』

そういう海美の横から美雨が『海美ねぇ楽しかったかなぁ??』と質問する。

「楽しかったって行ってるよ。授業んときもずっと楽しそうだったもんね。」

『そっか、なら良かった♪』

『美雨ちゃんに今日は本当にありがとねッて伝えて♪』

俺は足元に浮かびあがる3つの影を見つめて「うん…わかった。」と答えた。


…それから俺はあまり暗い事は考えないように過ごすようにした。

美雨に泣きつかれ、3人で夏休みの宿題をやったり、海辺の小屋で何でもない話をしたり、またある日には砂浜で子供みたいに砂のお城を作ったりもした。

美雨の住んでいた家の片付けをやった時なんか俺が男だからって伸び切った草刈りとか重い物の片付けとかやらされるし…

それでも、みんなで何かするって事が楽しいって思えるようになったのは海美と美雨のおかげだと思っている。

変わらない沖洲での日々が過ぎていき、ふと出た海沿いの道の変化に気付いたのは、祭りまであと3日と迫っていた頃だった。





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