海の声

ある

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78.私は…

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『うわぁッ!!』

海美がペンを取った瞬間、美雨の身体が飛ぶようにして机から遠ざかる。

『セイジッ!!コレ…なにぃッ?!』

震えた声で俺にしがみ付く美雨を横目に、俺は一言「まぁ見とけって。」と、美雨の肩をポンと叩いた。

海美はこちらを気にしながらペンを進め、『コレでいいのかな?』とペンを置いた。

"美雨ちゃん  海美だよ♪信じられないかもしれないけど、私は今ここに居ます"

紙には女の子らしい文字でこう書かれていた。

「美雨、見てみろよっ。」

俺がそう言うと、美雨は恐る恐る紙を覗き込んだ。
俺を掴む手の力がフッと抜けたかと思うと、『海美ねぇの字だ…』と、消えてしまいそうな小さな声が聞こえた。

「どーだ?これで信じてくれるだろ?」

俺が得意げにそう言うと、再び俺の身体に美雨の体重が寄りかかった。

『ごめんわかんない。ちゃんと説明して…』

美雨のその表情は、海美の存在を喜んでいるモノでは無く、得体の知れない"何か"に怯えているようだった。

「どうしたんだよ、コレでも海美だってわかんないの?」

俺の服がギュッと握られる。

『だって…』

その言葉の続きを聞くことはできなかったが、美雨がまだ、目の前で起きた非現実的な現実を受け入れられていない事は明白だった。

ふと海美の顔を見ると、何故か頬が赤くなっている事に気付く。

「どうしたの??」

俺がそう尋ねると、海美は首を横に振るだけで、何も話そうとしない。不思議に思っていると、チラチラと海美の視線が美雨に向けられている事に気付く。
そこで視線を落としてみると…
理由が分かった。

「ちょっ…お前、離れろよっ!!」

俺は慌てて美雨の身体を遠ざける。
海美の様子が変だったのはこのせいだ!!俺にがっちりしがみ付いた美雨に俺は腕まわして…何やってんだ!!

美雨もそれに気がついたのか、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

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