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After Story…My Dearest.4
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私は秋という季節が好きだ。四季にはそれぞれの良さがあるけれど、やっぱり私は秋が好き。そんな事を莉結にも話したことがあったけど、同じく秋が好きだと言った莉結とは理由が少し違うみたい。
私は秋の何処か寂しげな雰囲気が、私の事を静かに見守ってくれているような、そんな気がして心地良く思うんだ。
こうやって道端に積もった落ち葉を踏みしめて歩いていると、なんだか楽しい気持ちにもなる。
『手紙のコトどうしよーねぇ』
莉結が落ち葉をゆっくりと踏みながら私の隣で言った。
「私は、彩ちゃんもああ言ってたし、とりあえず連絡だけしてみてもいいかなぁって思ってるけど、莉結はやっぱり怪しいと思う?」
今朝、学校へ到着するなり、彩ちゃんが下駄箱で私たちを待っていた。そして、私のおはようという言葉を聞き終わらないままに"衣瑠は莉結と行くんでしょ?"と真剣な眼差しが私に向けられた。勿論、私は行くとしたら莉結とでしか考えられないけど、問題はそこじゃない。
"まだ相手が誰なのかよく分からないから"
そう伝えると彩ちゃんは私たちに背を向け、少し歩んで"この手紙、他の人には見せたの?"とその足を止めた。
そして、"見せてないよ?"と言った私に小さく微笑んだ彩ちゃんは"なら良いわ、内容が分かったのだから、もう他の人には見せなくてもいいと思うから"と不思議な事を言った。
"それと…"彩ちゃんは私たちの足元に視線を移すと、遠くを見つめるように"行き着く先が決まっている道よりも、先の分からない道の方が景色は綺麗に見えるものよ"と言い、その綺麗な髪を靡かせた。
その真意は分からなかったけど、私には、なんとなく言っている意味が分かるような気がした。
『そりゃ、怪しいよぉー。だけど…何となくだけど、その手紙を書いてくれた人は悪い人じゃない気がする』
後ろに手を組んだまま、莉結が私を見て笑う。私だってこの人は悪い人には思えない。それに、少なくとも父さんと浅い関係ではないように思えるその言葉に、私は会わなければいけない、そんな気がしてならなかった。
すると、"パチン"という音と共に莉結が肩を寄せ、私の腕を握った。
『そーだ、今日ウチでご飯食べてきなよっ♪それでどうするかゆっくり話せばいいじゃん♪』
「そうだねッ、久しぶりにお婆ちゃんの手料理食べたいしっ」
『私だっていつも手伝ってるんだからねッ!まぁ味付けはまだ勉強中なんだけどさ…』
着替えを済ませて莉結の家へと到着すると、着物姿のお婆ちゃんが、背筋をピンとさせ庭の掃除をしていた。
『あら、瑠衣くん。や、瑠衣ちゃんだね。莉結もおかえり』
お婆ちゃんは手に持った竹箒を立て掛けると、そんな優しい口調で微笑んだ。
莉結のお婆ちゃんは初めて"ワタシ"になった時からその正体に気付いている。それは"目ぇみりゃわかる"そうで、お婆ちゃんは、実は長い人生を歩む過程で何か特別な力を手に入れたんじゃないか、なんて思ったりしている。
『お婆ちゃんっ、今日衣瑠もご飯食べてっていい?』
莉結がそう言うと、お婆ちゃんはニッコリと可愛らしく微笑んで『もちろんだぁ、婆の腕がなるねぇ』と、私の肩をポンと叩いた。
「お婆ちゃん、私も手伝うからお婆ちゃんの味教えてよっ♪」
それを聞いたお婆ちゃんは、少し照れくさそうに頷いた。
古い造りの台所にガスコンロの着火音が響く。
そして、それを合図にトントンと木製のまな板がリズムを刻みだす。
私も料理は一通り出来るけど、やっぱお婆ちゃんには敵わないや。
お婆ちゃんの背中を見ながらそんな事を考えていた。
お婆ちゃんの的確な指示によって調理はスムーズに進んでいく。
『莉結、そこの野菜みなきし切ったら砂糖小さじ一杯と醤油大さじ二、そんで味醂もおんなじだけ混ぜといてな』
私は昔からこういった経験が少なかった。みんなで何かをする。家族で何かをするということ。そんな私が今まで寂しい思いで一杯になってしまわなかったのも、莉結、そしてお婆ちゃんのお陰だ。
『あとは婆ちゃんやっとくで部屋でゆっくりしとき。ありがとな、瑠衣ちゃん』
私たちは後はお婆ちゃんに任せることとして莉結の部屋、ベッドの上へと横になった。
私は秋の何処か寂しげな雰囲気が、私の事を静かに見守ってくれているような、そんな気がして心地良く思うんだ。
こうやって道端に積もった落ち葉を踏みしめて歩いていると、なんだか楽しい気持ちにもなる。
『手紙のコトどうしよーねぇ』
莉結が落ち葉をゆっくりと踏みながら私の隣で言った。
「私は、彩ちゃんもああ言ってたし、とりあえず連絡だけしてみてもいいかなぁって思ってるけど、莉結はやっぱり怪しいと思う?」
今朝、学校へ到着するなり、彩ちゃんが下駄箱で私たちを待っていた。そして、私のおはようという言葉を聞き終わらないままに"衣瑠は莉結と行くんでしょ?"と真剣な眼差しが私に向けられた。勿論、私は行くとしたら莉結とでしか考えられないけど、問題はそこじゃない。
"まだ相手が誰なのかよく分からないから"
そう伝えると彩ちゃんは私たちに背を向け、少し歩んで"この手紙、他の人には見せたの?"とその足を止めた。
そして、"見せてないよ?"と言った私に小さく微笑んだ彩ちゃんは"なら良いわ、内容が分かったのだから、もう他の人には見せなくてもいいと思うから"と不思議な事を言った。
"それと…"彩ちゃんは私たちの足元に視線を移すと、遠くを見つめるように"行き着く先が決まっている道よりも、先の分からない道の方が景色は綺麗に見えるものよ"と言い、その綺麗な髪を靡かせた。
その真意は分からなかったけど、私には、なんとなく言っている意味が分かるような気がした。
『そりゃ、怪しいよぉー。だけど…何となくだけど、その手紙を書いてくれた人は悪い人じゃない気がする』
後ろに手を組んだまま、莉結が私を見て笑う。私だってこの人は悪い人には思えない。それに、少なくとも父さんと浅い関係ではないように思えるその言葉に、私は会わなければいけない、そんな気がしてならなかった。
すると、"パチン"という音と共に莉結が肩を寄せ、私の腕を握った。
『そーだ、今日ウチでご飯食べてきなよっ♪それでどうするかゆっくり話せばいいじゃん♪』
「そうだねッ、久しぶりにお婆ちゃんの手料理食べたいしっ」
『私だっていつも手伝ってるんだからねッ!まぁ味付けはまだ勉強中なんだけどさ…』
着替えを済ませて莉結の家へと到着すると、着物姿のお婆ちゃんが、背筋をピンとさせ庭の掃除をしていた。
『あら、瑠衣くん。や、瑠衣ちゃんだね。莉結もおかえり』
お婆ちゃんは手に持った竹箒を立て掛けると、そんな優しい口調で微笑んだ。
莉結のお婆ちゃんは初めて"ワタシ"になった時からその正体に気付いている。それは"目ぇみりゃわかる"そうで、お婆ちゃんは、実は長い人生を歩む過程で何か特別な力を手に入れたんじゃないか、なんて思ったりしている。
『お婆ちゃんっ、今日衣瑠もご飯食べてっていい?』
莉結がそう言うと、お婆ちゃんはニッコリと可愛らしく微笑んで『もちろんだぁ、婆の腕がなるねぇ』と、私の肩をポンと叩いた。
「お婆ちゃん、私も手伝うからお婆ちゃんの味教えてよっ♪」
それを聞いたお婆ちゃんは、少し照れくさそうに頷いた。
古い造りの台所にガスコンロの着火音が響く。
そして、それを合図にトントンと木製のまな板がリズムを刻みだす。
私も料理は一通り出来るけど、やっぱお婆ちゃんには敵わないや。
お婆ちゃんの背中を見ながらそんな事を考えていた。
お婆ちゃんの的確な指示によって調理はスムーズに進んでいく。
『莉結、そこの野菜みなきし切ったら砂糖小さじ一杯と醤油大さじ二、そんで味醂もおんなじだけ混ぜといてな』
私は昔からこういった経験が少なかった。みんなで何かをする。家族で何かをするということ。そんな私が今まで寂しい思いで一杯になってしまわなかったのも、莉結、そしてお婆ちゃんのお陰だ。
『あとは婆ちゃんやっとくで部屋でゆっくりしとき。ありがとな、瑠衣ちゃん』
私たちは後はお婆ちゃんに任せることとして莉結の部屋、ベッドの上へと横になった。
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