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6.傀儡(くぐつ)
6-2. 雌馬は走り…
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忠三郎の予想通り、柴田勢も佐久間勢も雨のため六角勢に追い打ちをかけることはできず、六角親子はまたどこへともなく逃れていった。しかし当初の目的である甲賀衆を従えることができたのは大きい。これでもう六角親子が甲賀から江南を脅かすこともなくなる。
風花はというと、一益が素破たちを従えて自ら城に乗り込み、救い出したという。
「城に乗り込んだ?」
驚きを隠しえない。戦場においては、一軍の将である一益は軍配を持ち、兵を指揮している。自ら戦ったところを見たことがない。
(義兄上は単騎でも戦うことができるのか)
将にして素破なのだ。
(それに比べ、わしはどうであろうか)
信長をはじめ、織田家の武将たちはみな、忠三郎が前に出て戦おうとすると、葉武者の如き振る舞いだと言って留めようとする。
(されど…)
忠三郎を傀儡と呼んで罵った重丸の言葉が思い起こされる。
(あれは重丸の言葉ではあるまい。お爺様が…お爺様がそう言って重丸を焚きつけ、我らを争わせておる)
あの言葉が挑発であることは分かっている。重丸は忠三郎が挑発に乗り、単身で斬りかかるのを待っていたのだろう。わかってはいても、家臣たちの前で戦さを厭う臆病者よと声高に言われ、黙っていることはできない。
(ここでわしが大人しく引き下がったままでは、兵は誰も従わなくなる)
であれば、自分は傀儡でも臆病者でもないと敵味方に見せつけるしかない。信長や一益のように、敵を恐れさせてこその大将だ。
忠三郎は柴田勝家の軍勢と合流し、一向一揆勢の籠る湖南の金森へと兵を進めた。
金森御坊は信長が上洛する道の途上にあり、一向衆の拠点としては江南最大になる。堀や土塁を巡らせ、一帯はさながら城郭のようで、金森城とも呼ばれている。
昨年九月に大軍勢で取り囲んだ際は金森御坊が人質を出し、両者は和睦した。しかし今回はその和睦を反故にし、六角勢と呼応して兵を挙げた。
「上様は最早、許しがたいと仰せじゃ」
信長からの使者を迎えた勝家は、居並ぶ江南諸将の前で、どうしたものかと意見を求めた。城を構成するのは城郭だけではない。多くの寺が点在し、そこには付近の村落から集まった領民がいる。
(ここで躊躇うから、臆病者と罵られるのだ)
戦さとは関係のない者を巻き込むことには少なからず抵抗があり、町や寺に火をかけることには未だに躊躇いがある。しかし信長にはいつも、なんの躊躇いがないように見える。敵味方を震え上がらせ、戦さを迅速に終わらせるにはその冷徹さこそ必要とされているのではないか。乱れぬ心でこそ、勝機は見えてくるのだ。
「わずか四か月で和議を破棄したのは金森御坊。上様のお怒りはまことに御尤もなこと。付近の稲を薙ぎ払い、火矢を撃ち、寺社をことごとく焼き払って討ち滅ぼす以外にはありますまい」
忠三郎が言うと、勝家は隣に座る佐久間信盛と顔を見合わせた。常より温厚で微笑を絶やさない忠三郎が、突然、人が変わったように焼き討ちを勧めたので、勝家ばかりか、信盛や江南の諸将は皆、驚いている。
「ここの寺をすべて焼き尽くすとは…」
「この地に金森御坊がある限り、江南の戦乱は治まりませぬ。手心加えることなく焼き討ちにすることで、上様に逆らおうなどという不届き輩は現れることもなくなりましょう。六角勢が逃走し、金森御坊が孤立した今こそ好機と存じ上げる」
さながら信長が乗り移ったかのような忠三郎の進言に、勝家と信盛も頷いた。
翌日は晴天だった。金森御坊を取り巻くすべての寺社に一斉に火が放たれた。各所から煙が立ち上り、灼熱の炎の中で寺内町と呼ばれていた一帯の寺社が赤赤と燃え上がった。
江南における大規模な火攻めはこれが初めてになる。
震え上がった近隣の村々からは次々に織田家に臣従を誓う起請文が送られてきた。その数は百を超えた。
(やはりそうか)
思っていた以上の効果だ。信長の言う通りだった。敵を従わせるためには、付け入る隙を与えず、圧倒的な武力をもってねじ伏せ、有無を言わさず屈服させるしかない。これまで何度も懐柔策を取ってきたが、それに何の意味があっただろうか。事あるごとに和睦を破棄してきたのは一向衆であり、そのたびに危機に陥ってきた。しかし時間をかけた懐柔策も戦さを長引かせただけで、結果、逆らうものは排除することになった。
(これを続けることで、天下に泰平がもたらされる)
武力で敵を制圧する利点は他にもある。敵が恐れおののいている間に、渙発入れずに次の敵を倒していけば、もはや誰も織田家に逆らおうなどという気を起こすことさえなくなる。
(次こそは六角親子の首を取らねば…)
甲賀五十三家のほとんどを従えた今、江南を脅かす敵は六角勢とわずかな甲賀衆、そして重丸だけになった。しかし、金森を平定したことで江南に居場所はない。となれば、逃げた先は江北だ。
(では次の戦場は江北)
心中に渦巻く葛藤と迷いを封印しなければ、敵を倒すことなど叶わない。信長のように、冷静に状況を分析し、最も効率的な行動を選び取ることこそ天下を泰平に導くことができる。六角勢が江北に現れたときこそ、引導を渡すときになるだろう。
無事に妻子を取り戻し、桑名を手に入れた一益はその後、順調に北伊勢を制圧しているようだ。日野には時折、義太夫が郎党を従えて顔を見せ、何やら使い方のよくわからない武器を手にしては伊勢に戻っていく。
素破の滝川助太郎は、忠三郎の護衛のために日野に置かれたままで、時々、一益への報告のために伊勢に戻るが、それ以外はほとんど忠三郎の傍に潜んでいる。
「助太郎、おるか?」
忠三郎にとっても助太郎がいることは当たり前のようになり、助太郎が神妙な顔で現れると、
「おぉ、助太郎。ちと使いを頼む」
と気軽に用事を言いつけるようになった。
(なにやら勘違いされておるようじゃ)
助太郎は、忠三郎を守れと言われて日野に残っている。使いにでて、忠三郎の元を離れると、本来の役目を果たすことができない。
「は…」
常のごとく、忠三郎に微笑を浮かべて頼まれると嫌ともいえず、助太郎はしぶしぶ城下へ向かう。すると、
「助太郎殿!」
今度は誰かと振り向くと、忠三郎の傅役・町野左近だ。
「何か?」
「次の祭りの支度について、これから家臣どもが集まり話がある。助太郎殿も来てくだされ」
「これからちと、城下の寺へ…」
「あぁ、また書物でござるか。よろしい、よろしい。では後程、それがしから詳しい話をご説明いたそう」
主同様、この傅役も何かを勘違いしている。蒲生家に素破や間諜がいないのが原因だ。
(また祭りか)
日野では季節毎にそこここの村で祭りがある。そのたびに家臣たちは駆り出され、手伝いをしている。
(ここだけ戦国とは思えぬ)
この日野の山の向こうは戦さが絶えないというのに、日野谷に限っては戦国とは異なる世界のように、時の流れが違っている。
蒲生家にいると、他の家人たち同様に長閑な空気に飲まれ、戦場で役に立たない人間になってしまうのではないかと危惧するほど、この地は独特の雰囲気があった。
助太郎は言われた通り、城下の寺に行き、忠三郎に頼まれた書物を借りて、また、忠三郎のいる三の丸に戻ろうとした。
「助太郎ではないか」
ふいに声をかけられ、振り向くと、自称・滝川家の一番家老、義太夫が立っていた。
「義太夫殿」
「如何した。浮かぬ顔をして」
鉄砲鍛冶屋に来たのだろう。その手には丸めた絵図面がある。
「殿は一体、それがしをいつまでここに置いておかれるおつもりで?」
「ん?何か不服があるか?」
「不服…というか…どうにも馴染めませぬ」
「馴染めぬ?蒲生家に?例えば、どのような?」
一から十まで全てが滝川家とは違う。挙げ連ねればキリがないが、
「例えば褌とか」
「なに、褌とな?」
「忠三郎様は褌まで絹でござります」
と助太郎が大真面目な顔で言ったので、義太夫が腹を抱えて笑い出した。
「何を言い出すかと思えば、アハハハ。助太郎、おぬしもこの地にいて、愉快な益荒男になったのう。されどまさか、その褌にあの御大層な鶴紋を縫い付けておるわけではなかろう?」
確かに、滝川家で絹の褌などを身に着けている者はいない。一益以下、皆が麻製の褌だ。
「まだござりますぞ。忠三郎様の寝所には布団なるものがあり、毎晩、その布団の中でお休みになります」
「布団?はて?」
聞き覚えがある。大陸から渡ってきた綿。その後も大陸からの輸入は続いたが、希少な綿が多くの人の目に留まることはなかった。
綿の生産が成功し、三河で織物が生まれたのは今から五十年ほど前。その織物は木綿と名付けられ、商品として広く流通するようになった。とはいえ、まだまだ高級品であることに変わりはなく、使われているのは鎧・兜といった大事なもののみ。
ここ数年、その木綿を使った寝具、布団なるものが出回り、ごく一部の大名や武将が使っている話を聞いたことがある。
(鶴のやつ。いつの間にそのような良きものを手に入れたのやら)
畳の上で寝ることさえ贅沢だというのに、木綿に挟まれて寝ているとは。滝川家では甲賀にいたときから、寝るときも板間。夏は裸で、冬は小袖を重ねて被り、寒さをしのいでいる。如何に伊勢が温暖な地であるとはいえ、真冬は寒さに目を覚ますことも多い。
「よし、決めた。今日は伊勢には戻らぬ。鶴の顔を見に行こう」
「義太夫殿。またそのような…。目的は忠三郎様ではなく、布団では…」
義太夫は伊勢に戻って、一益に遅参の理由をなんと説明するつもりなのか。助太郎が制しようとするが、義太夫はさっさと荷物持ちの家人たちを伊勢へ帰すと、足取りも軽く、忠三郎のいる三の丸館へ向かって行った。
義太夫が尋ねていくと、忠三郎は喜んで迎えてくれた。
「良いところに来た。漢書を取り寄せたが、ちと難解じゃ。読み解いてくれぬか」
「漢書?」
それは義太夫も苦手だ。古代の漢文は難しすぎるし、今となっては使われていない文字も多い。
(されど読めぬとは言えぬし…)
ここは滝川家の威信に関わる、と義太夫が虚勢を張る。
「よかろう。見せてみよ」
「さすが義太夫。老子じゃ」
忠三郎が嬉しそうに書物を広げた。
「なになに…」
天下有道、却走馬以糞、天下無道、戎馬生於郊……予想以上に難解だった。
(仏教の経典ではないのか…)
何やらさっぱりわからない。
「ムム…天が下に道があるとき、雌馬は走って糞をする」
「フム?」
「道がないときは、雌馬は戦場で仔馬を生む」
「?よう分からぬ…」
このあとも罪莫大於可欲、咎莫大於欲得……と続いている。
「戦さの罪は欲にある。欲得により咎が大きくなる。して…」
「して?」
「それは…」
何度も読み返し、意味を考えていると、だんだん眠くなってきた。とても読み解くことなどできない。
「わしにも分からぬ。殿か、さもなければ寺の坊主にでも聞いてくれ」
義太夫は簡単に音を上げた。忠三郎は苦笑して
「まぁ、よい。…で、何用で来た?何かを期待しているような顔をしておるが」
朴念仁の割には察しがいい。
(ここは正直に言ってみるか)
今日は目的を果たして帰りたい。義太夫はゴホンと咳ばらいをして、
「伝え聞くところによると、鶴の寝所には布団なるものがあるとか」
「?…寝所に布団があるのが珍しいか?」
さも、寝所に布団があるのは当たり前とでも言いたげだ。
「然様…あ、いやいや、そうではない。おぬしは毎晩、その布団で寝ておるのか」
「え?布団で寝ておるか、とは?義兄上は布団で寝る以外、何をしておる?」
滝川家には布団はない。
(やはり朴念仁じゃ。察しが悪い奴め)
みなまで言わせるな、と思いつつ、
「見せてくれ」
「何を?」
「布団じゃ」
「布団?」
忠三郎が首を傾げながら、侍女に命じて布団を用意させる。
(これが布団か)
侍女がそそと運び入れ、部屋の隅に布団を敷いた。
(なんと心地よさげな…。雲の如く、ふわふわしておるではないか。あの中で寝れば、今宵の夢には天女が出ること間違えなし)
「わしも布団で寝てみたい」
こらえきれず、ずばり思っていることをそのまま口に出した。
「わしの布団で?」
「無論…。あ、いや、まぁ、ちと恥ずかしいので家人どもには内密に頼む」
「?よう分からぬが、まずは酒にしよう」
忠三郎が軽く聞き流し、上機嫌で町野左近に酒肴の支度を命じる。
(聞き流すな!)
こんな大事なことを前にして酒が入ってしまうと、本来の目的を達成できなくなる。
「鶴。わしのたっての願いじゃ。今宵はその布団を使わせてくれ」
「??そ、それは構わぬが…。まさか遠回しに、床を共にしようと言うておるわけではあるまいな」
忠三郎が深読みして誤解をしている。しかし、それと気づかない義太夫は、よくよく考えてみた。忠三郎の布団に義太夫が寝ると、忠三郎の寝場所がなくなる。
「これはいささか考えが足りなかったようじゃ。致し方ない。床を共にしよう」
忠三郎がエッ?と驚き、膝をにじって義太夫との距離を開けた。
「落ち着け、義太夫。いかに莫逆の友とはいえ、閨を共にするとは…」
そこまで言われ、ようやく誤解されていることに気付いた。
「閨を共に?いや、待て。妙な距離を取るな。堪忍してくれ」
「それはこちらが言いたい。万が一にも奇怪な噂がたったら何とする。これこそ家の恥。恥ずかしゅうて外に出られなくなる。堪忍してほしい」
益々誤解されている。しかも家の恥とは、言うに事欠いて何を言い出すのか。
(家の恥と言いたいのはわしじゃ)
と思ったが、義太夫は首を振り、
「そうではなく…、いや、そうなのじゃが…。まぁ、帰するところ、鶴の寝場所がのうなると思うて…」
「何、そのようなことか。驚かせるな。わしが寝るときはもう一組、布団を用意させるに決まっておる」
なんと、使われていない布団があるらしい。
(それを先に言うてくれ!)
「何やらよう分からぬが、おぬしはどうしても、わしの布団を使いたいのであろう?男にそう言われても嬉しくはないがそこまで言うなら致し方ない。わしは客用の布団に寝る」
そうではない。そんなはずもない。
(まぁ、よい。客用の布団があるならば、次からは必ず、城に寄ることにしよう)
これで安心して酒を飲める。義太夫は安堵して盃に手を伸ばす。
「義太夫、夜咄を…」
すでに酔いがまわっている忠三郎が、夜咄をせがむ。
「またか。…では、今宵は…。題して『兄と弟』」
「兄と弟?そ、そうか。では話してくれ」
義太夫は頷き、話始める。
「昔、昔、そのまた昔、無法者の兄と、品行方正な弟がいた」
信長の話だろうか。忠三郎はうんうんと頷く。
「母は無法者の兄ではなく、折り目正しい弟に家を継がせようとした」
これはますます信長のことか、と思っていると
「腹を立てた兄は、弟を亡き者にしようと、家中でも飛び抜けて秀でた術を用いる素破を刺客にして、弟の元へ送った」
おや、信長のことではないらしい。では誰の事だろうか。知らない者だろうか。
「素破は見事に役目を果たし、兄の元へ戻った。兄は出奔し、浪人暮らしの末、大うつけと評判の者に仕えることになった」
「大うつけ…フム。それで?」
「兄は困った。一人で十人、いや百人の働きをする素破がおるものの、家臣の頭数が足りない。如何したものであろうか。そこで素破は古里へ帰り、仲間を連れて戻った」
「フムフム」
「されど、その中に、葬った筈の弟がいた。兄は怒り、素破に問いただした」
ここまで聞けば、誰のことか分かる。兄弟で争っていたのは自分だけではなかった。話の結末が気になる。
「なるほど、で?」
「素破は答えた。古今東西、兄弟の争いは絶えぬもの。一時は葬りたいと思うこともある。さりながら怒りはもってまた喜ぶべく、恨みはもってまた悦ぶべきも、亡国はもってまた存すべからず。死者はもってまた生くべからず。葬ることは容易いこと。さりとて心落ち着けたとき、必ず後悔し、己を恥じ、そして弟を手にかけた素破を咎める筈である、と。兄は素破のことばを重く受け止め、それ以来、弟を大切に扱うようになった」
「義太夫、その話はもしや…」
「然様。殿のことじゃ」
「義兄上に弟がいたとは…。して、その御仁は今、どこに?」
「桑名落城の折、逃れて四日市日永の寺に転がり込み、出家して休天と号して住職となった。今も安国寺におるが、まぁ、腕が鈍らぬようにと時折、砲術の稽古をしておるし、半僧半士じゃ」
四日市とはまた随分と近い。一益は何かと戦禍に巻き込まれる桑名よりも四日市に力を入れている。休天和尚は陰ながら一益を支えているのだろう。
(身内のいざこざで心を痛めていたのは上様だけではなかったのか)
そして信長は弟を始末して、一益は弟に支えられている。
(ではわしは、如何様にすべきか…)
何が一番よいことなのか、分からなくなり、目を閉じて考える。
「殿もおぬしを案じておるわい。それゆえ、今宵は…」
と義太夫が言いかけると、忠三郎が早くも寝息を立てていた。
(また早いのう…)
眠れないという割には寝つきがいい。
(ではわしは、念願の布団で…)
やっと床につくことができる。どんな心地なのかとワクワクしながら、立ち上がろうとすると…
(やや、これは!)
忠三郎がしっかりと義太夫の袴の裾を掴んで寝ている。
(これでは布団に届かぬ…)
目と鼻の先に布団があって、義太夫を呼んでいる。天竺をも思わせる暖かそうな布団は、薄暗い部屋の中で灯明の明かりに照らされ、蜃気楼のようにも見えた。
(これを幻にしてなるものか)
義太夫が忠三郎の手をそっと放そうとするが、今日に限っては袴が忠三郎の腕の下になっている。少し動くだけで、忠三郎が顔をしかめてしまう。
(そ、そんな…)
しかしここで起こしてしまえば、朝まで寝てくれないかもしれない。
(滝川義太夫、一世一代の不覚じゃ!)
こんなことなら、夜咄を始める前から布団に入っておけばよかった。義太夫は泣く泣く布団を諦め、灯明の明かりを消すと、堅い板間に身体を横たえた。
風花はというと、一益が素破たちを従えて自ら城に乗り込み、救い出したという。
「城に乗り込んだ?」
驚きを隠しえない。戦場においては、一軍の将である一益は軍配を持ち、兵を指揮している。自ら戦ったところを見たことがない。
(義兄上は単騎でも戦うことができるのか)
将にして素破なのだ。
(それに比べ、わしはどうであろうか)
信長をはじめ、織田家の武将たちはみな、忠三郎が前に出て戦おうとすると、葉武者の如き振る舞いだと言って留めようとする。
(されど…)
忠三郎を傀儡と呼んで罵った重丸の言葉が思い起こされる。
(あれは重丸の言葉ではあるまい。お爺様が…お爺様がそう言って重丸を焚きつけ、我らを争わせておる)
あの言葉が挑発であることは分かっている。重丸は忠三郎が挑発に乗り、単身で斬りかかるのを待っていたのだろう。わかってはいても、家臣たちの前で戦さを厭う臆病者よと声高に言われ、黙っていることはできない。
(ここでわしが大人しく引き下がったままでは、兵は誰も従わなくなる)
であれば、自分は傀儡でも臆病者でもないと敵味方に見せつけるしかない。信長や一益のように、敵を恐れさせてこその大将だ。
忠三郎は柴田勝家の軍勢と合流し、一向一揆勢の籠る湖南の金森へと兵を進めた。
金森御坊は信長が上洛する道の途上にあり、一向衆の拠点としては江南最大になる。堀や土塁を巡らせ、一帯はさながら城郭のようで、金森城とも呼ばれている。
昨年九月に大軍勢で取り囲んだ際は金森御坊が人質を出し、両者は和睦した。しかし今回はその和睦を反故にし、六角勢と呼応して兵を挙げた。
「上様は最早、許しがたいと仰せじゃ」
信長からの使者を迎えた勝家は、居並ぶ江南諸将の前で、どうしたものかと意見を求めた。城を構成するのは城郭だけではない。多くの寺が点在し、そこには付近の村落から集まった領民がいる。
(ここで躊躇うから、臆病者と罵られるのだ)
戦さとは関係のない者を巻き込むことには少なからず抵抗があり、町や寺に火をかけることには未だに躊躇いがある。しかし信長にはいつも、なんの躊躇いがないように見える。敵味方を震え上がらせ、戦さを迅速に終わらせるにはその冷徹さこそ必要とされているのではないか。乱れぬ心でこそ、勝機は見えてくるのだ。
「わずか四か月で和議を破棄したのは金森御坊。上様のお怒りはまことに御尤もなこと。付近の稲を薙ぎ払い、火矢を撃ち、寺社をことごとく焼き払って討ち滅ぼす以外にはありますまい」
忠三郎が言うと、勝家は隣に座る佐久間信盛と顔を見合わせた。常より温厚で微笑を絶やさない忠三郎が、突然、人が変わったように焼き討ちを勧めたので、勝家ばかりか、信盛や江南の諸将は皆、驚いている。
「ここの寺をすべて焼き尽くすとは…」
「この地に金森御坊がある限り、江南の戦乱は治まりませぬ。手心加えることなく焼き討ちにすることで、上様に逆らおうなどという不届き輩は現れることもなくなりましょう。六角勢が逃走し、金森御坊が孤立した今こそ好機と存じ上げる」
さながら信長が乗り移ったかのような忠三郎の進言に、勝家と信盛も頷いた。
翌日は晴天だった。金森御坊を取り巻くすべての寺社に一斉に火が放たれた。各所から煙が立ち上り、灼熱の炎の中で寺内町と呼ばれていた一帯の寺社が赤赤と燃え上がった。
江南における大規模な火攻めはこれが初めてになる。
震え上がった近隣の村々からは次々に織田家に臣従を誓う起請文が送られてきた。その数は百を超えた。
(やはりそうか)
思っていた以上の効果だ。信長の言う通りだった。敵を従わせるためには、付け入る隙を与えず、圧倒的な武力をもってねじ伏せ、有無を言わさず屈服させるしかない。これまで何度も懐柔策を取ってきたが、それに何の意味があっただろうか。事あるごとに和睦を破棄してきたのは一向衆であり、そのたびに危機に陥ってきた。しかし時間をかけた懐柔策も戦さを長引かせただけで、結果、逆らうものは排除することになった。
(これを続けることで、天下に泰平がもたらされる)
武力で敵を制圧する利点は他にもある。敵が恐れおののいている間に、渙発入れずに次の敵を倒していけば、もはや誰も織田家に逆らおうなどという気を起こすことさえなくなる。
(次こそは六角親子の首を取らねば…)
甲賀五十三家のほとんどを従えた今、江南を脅かす敵は六角勢とわずかな甲賀衆、そして重丸だけになった。しかし、金森を平定したことで江南に居場所はない。となれば、逃げた先は江北だ。
(では次の戦場は江北)
心中に渦巻く葛藤と迷いを封印しなければ、敵を倒すことなど叶わない。信長のように、冷静に状況を分析し、最も効率的な行動を選び取ることこそ天下を泰平に導くことができる。六角勢が江北に現れたときこそ、引導を渡すときになるだろう。
無事に妻子を取り戻し、桑名を手に入れた一益はその後、順調に北伊勢を制圧しているようだ。日野には時折、義太夫が郎党を従えて顔を見せ、何やら使い方のよくわからない武器を手にしては伊勢に戻っていく。
素破の滝川助太郎は、忠三郎の護衛のために日野に置かれたままで、時々、一益への報告のために伊勢に戻るが、それ以外はほとんど忠三郎の傍に潜んでいる。
「助太郎、おるか?」
忠三郎にとっても助太郎がいることは当たり前のようになり、助太郎が神妙な顔で現れると、
「おぉ、助太郎。ちと使いを頼む」
と気軽に用事を言いつけるようになった。
(なにやら勘違いされておるようじゃ)
助太郎は、忠三郎を守れと言われて日野に残っている。使いにでて、忠三郎の元を離れると、本来の役目を果たすことができない。
「は…」
常のごとく、忠三郎に微笑を浮かべて頼まれると嫌ともいえず、助太郎はしぶしぶ城下へ向かう。すると、
「助太郎殿!」
今度は誰かと振り向くと、忠三郎の傅役・町野左近だ。
「何か?」
「次の祭りの支度について、これから家臣どもが集まり話がある。助太郎殿も来てくだされ」
「これからちと、城下の寺へ…」
「あぁ、また書物でござるか。よろしい、よろしい。では後程、それがしから詳しい話をご説明いたそう」
主同様、この傅役も何かを勘違いしている。蒲生家に素破や間諜がいないのが原因だ。
(また祭りか)
日野では季節毎にそこここの村で祭りがある。そのたびに家臣たちは駆り出され、手伝いをしている。
(ここだけ戦国とは思えぬ)
この日野の山の向こうは戦さが絶えないというのに、日野谷に限っては戦国とは異なる世界のように、時の流れが違っている。
蒲生家にいると、他の家人たち同様に長閑な空気に飲まれ、戦場で役に立たない人間になってしまうのではないかと危惧するほど、この地は独特の雰囲気があった。
助太郎は言われた通り、城下の寺に行き、忠三郎に頼まれた書物を借りて、また、忠三郎のいる三の丸に戻ろうとした。
「助太郎ではないか」
ふいに声をかけられ、振り向くと、自称・滝川家の一番家老、義太夫が立っていた。
「義太夫殿」
「如何した。浮かぬ顔をして」
鉄砲鍛冶屋に来たのだろう。その手には丸めた絵図面がある。
「殿は一体、それがしをいつまでここに置いておかれるおつもりで?」
「ん?何か不服があるか?」
「不服…というか…どうにも馴染めませぬ」
「馴染めぬ?蒲生家に?例えば、どのような?」
一から十まで全てが滝川家とは違う。挙げ連ねればキリがないが、
「例えば褌とか」
「なに、褌とな?」
「忠三郎様は褌まで絹でござります」
と助太郎が大真面目な顔で言ったので、義太夫が腹を抱えて笑い出した。
「何を言い出すかと思えば、アハハハ。助太郎、おぬしもこの地にいて、愉快な益荒男になったのう。されどまさか、その褌にあの御大層な鶴紋を縫い付けておるわけではなかろう?」
確かに、滝川家で絹の褌などを身に着けている者はいない。一益以下、皆が麻製の褌だ。
「まだござりますぞ。忠三郎様の寝所には布団なるものがあり、毎晩、その布団の中でお休みになります」
「布団?はて?」
聞き覚えがある。大陸から渡ってきた綿。その後も大陸からの輸入は続いたが、希少な綿が多くの人の目に留まることはなかった。
綿の生産が成功し、三河で織物が生まれたのは今から五十年ほど前。その織物は木綿と名付けられ、商品として広く流通するようになった。とはいえ、まだまだ高級品であることに変わりはなく、使われているのは鎧・兜といった大事なもののみ。
ここ数年、その木綿を使った寝具、布団なるものが出回り、ごく一部の大名や武将が使っている話を聞いたことがある。
(鶴のやつ。いつの間にそのような良きものを手に入れたのやら)
畳の上で寝ることさえ贅沢だというのに、木綿に挟まれて寝ているとは。滝川家では甲賀にいたときから、寝るときも板間。夏は裸で、冬は小袖を重ねて被り、寒さをしのいでいる。如何に伊勢が温暖な地であるとはいえ、真冬は寒さに目を覚ますことも多い。
「よし、決めた。今日は伊勢には戻らぬ。鶴の顔を見に行こう」
「義太夫殿。またそのような…。目的は忠三郎様ではなく、布団では…」
義太夫は伊勢に戻って、一益に遅参の理由をなんと説明するつもりなのか。助太郎が制しようとするが、義太夫はさっさと荷物持ちの家人たちを伊勢へ帰すと、足取りも軽く、忠三郎のいる三の丸館へ向かって行った。
義太夫が尋ねていくと、忠三郎は喜んで迎えてくれた。
「良いところに来た。漢書を取り寄せたが、ちと難解じゃ。読み解いてくれぬか」
「漢書?」
それは義太夫も苦手だ。古代の漢文は難しすぎるし、今となっては使われていない文字も多い。
(されど読めぬとは言えぬし…)
ここは滝川家の威信に関わる、と義太夫が虚勢を張る。
「よかろう。見せてみよ」
「さすが義太夫。老子じゃ」
忠三郎が嬉しそうに書物を広げた。
「なになに…」
天下有道、却走馬以糞、天下無道、戎馬生於郊……予想以上に難解だった。
(仏教の経典ではないのか…)
何やらさっぱりわからない。
「ムム…天が下に道があるとき、雌馬は走って糞をする」
「フム?」
「道がないときは、雌馬は戦場で仔馬を生む」
「?よう分からぬ…」
このあとも罪莫大於可欲、咎莫大於欲得……と続いている。
「戦さの罪は欲にある。欲得により咎が大きくなる。して…」
「して?」
「それは…」
何度も読み返し、意味を考えていると、だんだん眠くなってきた。とても読み解くことなどできない。
「わしにも分からぬ。殿か、さもなければ寺の坊主にでも聞いてくれ」
義太夫は簡単に音を上げた。忠三郎は苦笑して
「まぁ、よい。…で、何用で来た?何かを期待しているような顔をしておるが」
朴念仁の割には察しがいい。
(ここは正直に言ってみるか)
今日は目的を果たして帰りたい。義太夫はゴホンと咳ばらいをして、
「伝え聞くところによると、鶴の寝所には布団なるものがあるとか」
「?…寝所に布団があるのが珍しいか?」
さも、寝所に布団があるのは当たり前とでも言いたげだ。
「然様…あ、いやいや、そうではない。おぬしは毎晩、その布団で寝ておるのか」
「え?布団で寝ておるか、とは?義兄上は布団で寝る以外、何をしておる?」
滝川家には布団はない。
(やはり朴念仁じゃ。察しが悪い奴め)
みなまで言わせるな、と思いつつ、
「見せてくれ」
「何を?」
「布団じゃ」
「布団?」
忠三郎が首を傾げながら、侍女に命じて布団を用意させる。
(これが布団か)
侍女がそそと運び入れ、部屋の隅に布団を敷いた。
(なんと心地よさげな…。雲の如く、ふわふわしておるではないか。あの中で寝れば、今宵の夢には天女が出ること間違えなし)
「わしも布団で寝てみたい」
こらえきれず、ずばり思っていることをそのまま口に出した。
「わしの布団で?」
「無論…。あ、いや、まぁ、ちと恥ずかしいので家人どもには内密に頼む」
「?よう分からぬが、まずは酒にしよう」
忠三郎が軽く聞き流し、上機嫌で町野左近に酒肴の支度を命じる。
(聞き流すな!)
こんな大事なことを前にして酒が入ってしまうと、本来の目的を達成できなくなる。
「鶴。わしのたっての願いじゃ。今宵はその布団を使わせてくれ」
「??そ、それは構わぬが…。まさか遠回しに、床を共にしようと言うておるわけではあるまいな」
忠三郎が深読みして誤解をしている。しかし、それと気づかない義太夫は、よくよく考えてみた。忠三郎の布団に義太夫が寝ると、忠三郎の寝場所がなくなる。
「これはいささか考えが足りなかったようじゃ。致し方ない。床を共にしよう」
忠三郎がエッ?と驚き、膝をにじって義太夫との距離を開けた。
「落ち着け、義太夫。いかに莫逆の友とはいえ、閨を共にするとは…」
そこまで言われ、ようやく誤解されていることに気付いた。
「閨を共に?いや、待て。妙な距離を取るな。堪忍してくれ」
「それはこちらが言いたい。万が一にも奇怪な噂がたったら何とする。これこそ家の恥。恥ずかしゅうて外に出られなくなる。堪忍してほしい」
益々誤解されている。しかも家の恥とは、言うに事欠いて何を言い出すのか。
(家の恥と言いたいのはわしじゃ)
と思ったが、義太夫は首を振り、
「そうではなく…、いや、そうなのじゃが…。まぁ、帰するところ、鶴の寝場所がのうなると思うて…」
「何、そのようなことか。驚かせるな。わしが寝るときはもう一組、布団を用意させるに決まっておる」
なんと、使われていない布団があるらしい。
(それを先に言うてくれ!)
「何やらよう分からぬが、おぬしはどうしても、わしの布団を使いたいのであろう?男にそう言われても嬉しくはないがそこまで言うなら致し方ない。わしは客用の布団に寝る」
そうではない。そんなはずもない。
(まぁ、よい。客用の布団があるならば、次からは必ず、城に寄ることにしよう)
これで安心して酒を飲める。義太夫は安堵して盃に手を伸ばす。
「義太夫、夜咄を…」
すでに酔いがまわっている忠三郎が、夜咄をせがむ。
「またか。…では、今宵は…。題して『兄と弟』」
「兄と弟?そ、そうか。では話してくれ」
義太夫は頷き、話始める。
「昔、昔、そのまた昔、無法者の兄と、品行方正な弟がいた」
信長の話だろうか。忠三郎はうんうんと頷く。
「母は無法者の兄ではなく、折り目正しい弟に家を継がせようとした」
これはますます信長のことか、と思っていると
「腹を立てた兄は、弟を亡き者にしようと、家中でも飛び抜けて秀でた術を用いる素破を刺客にして、弟の元へ送った」
おや、信長のことではないらしい。では誰の事だろうか。知らない者だろうか。
「素破は見事に役目を果たし、兄の元へ戻った。兄は出奔し、浪人暮らしの末、大うつけと評判の者に仕えることになった」
「大うつけ…フム。それで?」
「兄は困った。一人で十人、いや百人の働きをする素破がおるものの、家臣の頭数が足りない。如何したものであろうか。そこで素破は古里へ帰り、仲間を連れて戻った」
「フムフム」
「されど、その中に、葬った筈の弟がいた。兄は怒り、素破に問いただした」
ここまで聞けば、誰のことか分かる。兄弟で争っていたのは自分だけではなかった。話の結末が気になる。
「なるほど、で?」
「素破は答えた。古今東西、兄弟の争いは絶えぬもの。一時は葬りたいと思うこともある。さりながら怒りはもってまた喜ぶべく、恨みはもってまた悦ぶべきも、亡国はもってまた存すべからず。死者はもってまた生くべからず。葬ることは容易いこと。さりとて心落ち着けたとき、必ず後悔し、己を恥じ、そして弟を手にかけた素破を咎める筈である、と。兄は素破のことばを重く受け止め、それ以来、弟を大切に扱うようになった」
「義太夫、その話はもしや…」
「然様。殿のことじゃ」
「義兄上に弟がいたとは…。して、その御仁は今、どこに?」
「桑名落城の折、逃れて四日市日永の寺に転がり込み、出家して休天と号して住職となった。今も安国寺におるが、まぁ、腕が鈍らぬようにと時折、砲術の稽古をしておるし、半僧半士じゃ」
四日市とはまた随分と近い。一益は何かと戦禍に巻き込まれる桑名よりも四日市に力を入れている。休天和尚は陰ながら一益を支えているのだろう。
(身内のいざこざで心を痛めていたのは上様だけではなかったのか)
そして信長は弟を始末して、一益は弟に支えられている。
(ではわしは、如何様にすべきか…)
何が一番よいことなのか、分からなくなり、目を閉じて考える。
「殿もおぬしを案じておるわい。それゆえ、今宵は…」
と義太夫が言いかけると、忠三郎が早くも寝息を立てていた。
(また早いのう…)
眠れないという割には寝つきがいい。
(ではわしは、念願の布団で…)
やっと床につくことができる。どんな心地なのかとワクワクしながら、立ち上がろうとすると…
(やや、これは!)
忠三郎がしっかりと義太夫の袴の裾を掴んで寝ている。
(これでは布団に届かぬ…)
目と鼻の先に布団があって、義太夫を呼んでいる。天竺をも思わせる暖かそうな布団は、薄暗い部屋の中で灯明の明かりに照らされ、蜃気楼のようにも見えた。
(これを幻にしてなるものか)
義太夫が忠三郎の手をそっと放そうとするが、今日に限っては袴が忠三郎の腕の下になっている。少し動くだけで、忠三郎が顔をしかめてしまう。
(そ、そんな…)
しかしここで起こしてしまえば、朝まで寝てくれないかもしれない。
(滝川義太夫、一世一代の不覚じゃ!)
こんなことなら、夜咄を始める前から布団に入っておけばよかった。義太夫は泣く泣く布団を諦め、灯明の明かりを消すと、堅い板間に身体を横たえた。
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