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3.江州騒乱
3-2. 阿呆の三杯汁
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千草峠を伊勢方面に下っていくと千種氏の治める千種城がある。
山賊の多い鈴鹿峠と異なり、道幅が狭く、険しい千草峠を通る商人は多く、関所から得る莫大な通行料により千種氏は北勢四十八家を従え、北伊勢の覇権を握った。
そこへ目を付けたのが忠三郎の祖父・快幹だ。
快幹は六角家の力を借りて、この千種城を奪い取ろうとした。しかし千種氏は地の利を生かした抵抗を重ねた。
思わぬ苦戦を強いられた快幹は和睦を提案。賢秀の義理の弟になる後藤家の末子・三郎左衛門を千種氏の養子とすることで、両家は和解した。
その後、快幹の密命を受けた三郎左衛門が千種氏を城から追い出したことで、実質的にはこの辺り一帯が後藤家と蒲生家の支配下におかれた。
ここまではすべて快幹の思惑通りだった。しかし直後に六角家お家騒動が勃発。家臣団が分裂し、後藤家は没落した。快幹が兵を送る余裕がなくなったことを察した滝川一益が千種城に攻め込み、三郎左衛門は降伏。千種城と千草峠は織田家の支配下に置かれることになった。
そう考えると、快幹と一益は、忠三郎が幼いころから人知れず鈴鹿山脈を挟んで互いに謀略を駆使していたことになる。
(あの二人には到底、太刀打ちできない)
二人は千草峠の利権を得るため、そして北勢の覇権を手にするために、多くの人を巻き込んで争った。そしてその争いが元で叔父の後藤賢豊と母・お桐が死んだ。
お家騒動を仕組んだのは快幹だという噂もあるが、それは違うと思う。
老獪な快幹がお家騒動をうまく利用し、結果的に蒲生家が力を得ただけで、この千種峠や後藤家の後ろ盾など、失ったものも多かった筈だ。
それに比べて一益はどうだろう。
ほとんど何も失うことなく、千種城を得て北伊勢の覇権を手にした。蒲生家家中で、一益を悪く言う者がいるのは、こうした背景があるからだ。
(知らず知らずのうちに敵の懐深く入り込み、混乱に陥れ、その隙を狙って全てを手にする)
それが人々が嫌う、忌まわしき不浄のもの、素破だ。
(されど…)
その素破は度々忠三郎を助けてくれた。なによりも、若松の森での一益の態度。心から忠三郎を案じ、そして初めて見せた笑顔。
(あれが嘘偽りであろうか)
家の中も外も敵ばかり。誰を信じていいのかもわからない。しかし一益を疑ってしまえば、自分は人として大切な何かを失うような気がする。
「あれに千種三郎左が」
義太夫の声がして、ハタと気づいて見上げると、お桐の弟、千種三郎左衛門と従者の姿が見えた。
(ようやく峠を越えた)
木々の隙間から四日市の湊が見える。やっと伊勢に入ることができた。ふぅと息をつくと、三郎左衛門が馬から降りて信長に近づき、片膝つく。
「滝川左近殿から知らせを受けておりまする。これより四日市まで、御供仕ります」
信長が頷き、三郎左衛門の後に続く。
「いやはや、どうなることかと思うたが、なんとか伊勢までたどり着いたのう」
義太夫が馬を寄せて、笑いかけてくる。
「されど…」
このままでは終わらない。信長は何も言わないが、このまま不問に付すはずがない。狙撃者は何処へ行っただろうか。
伊勢・四日市。湊もあるこの地は一益の支配下にあり、滝川家の親類縁者も多く住んでいるという。
予定通り、日が暮れる前に四日市に到着し、この日は四日市の寺に宿泊する。
寺に入ると夕餉の膳が用意されていた。
忠三郎には分からなかったが、義太夫の話ではそこここに一益の命を受けた素破たちが潜んでいるらしい。
「全く姿が見えぬが…」
「千種城からここまでくる間も、仰山おったじゃろ」
わからなかった。一体どこにいたのだろう。
「例えば、途上で見かけた犬とか」
「素破が化けていたと?」
「然様。変わり身の術というて、素破は何にでも化けることができる」
忙しく飯を頬張りながら、そういうが、どうにも胡散臭い。
「常より薄ぼんやりとしておるゆえ、見えぬのであろう。目の前の飯が見えておるか?ほれ、目を覚まして、しっかり食え」
と義太夫が手を伸ばして忠三郎の瞼をこじ開けようとする。
「見えておる!」
忠三郎が義太夫の手を払いのけ、後ろに下がろうとすると、
「見えておらん。ほれ、ほれ」
二人がどたばたと騒いでいると、近くにいた三郎左衛門が咳払いした。
「あまり騒ぐな。上様に聞こえてしまう」
二人は慌てて口を閉じる。
(義太夫のせいで、わしまで阿呆と思われる)
叔父の前でとんだ恥をかかされた。当の義太夫はどこ吹く風で、山盛りの飯を平らげていく。
「阿呆の三杯汁とはこのことか」
「やかましいわい。もう食わぬか?残すのであれば、わしが食うぞ」
「まだ食っておる。取るな!」
こんな状況でどうしてこんなに食欲があるのか。この神経の太さには驚かされる。
今日の夜も眠れないかと思っていたが、義太夫につられて満腹になるまで食べたせいか、よく眠れた。
翌朝未明、目を覚ますと義太夫が隣で大いびきをかいて寝ていた。
(誰に何が起きても、こやつだけは生き延びていそうな…)
なんとも間抜けな義太夫の寝顔をみていると、羨ましくなってくる。忠三郎が起きて支度を始めると、三郎左衛門が姿を見せた。
「鶴。だんだん姉上に似てきたようじゃ」
「皆がそう申します」
忠三郎が微笑んでそう言うと、三郎左衛門は頷き、
「滝川義太夫とは随分と親しいようじゃな」
昨夜のあのやり取りを親しい間柄と感じたようだ。
「あれは口喧嘩していただけで…」
「鶴に飯を食わせようとしていたのであろう。おぬしは姉上に似て、昔から食が細いゆえに」
そうなのだろうか。単に食い意地が張っているだけのようにも思えるが。
「そろそろ起こしてやれ」
「はい。全くあやつは、かような時でも高いびきとは…」
「昨夜は何度も見回りにでておった。されど、もう起こさねば、上様が今日中に美濃につかなくなる」
三郎左衛門はそう言うと、信長のいる館の方へと歩いて行った。
(見回りに出ていた?)
隣にいたのに気づかなかった。
(義太夫も素破らしいことをすることがあるのか)
忠三郎はふと可笑しくなり、笑いながら義太夫の元へと向かった。
一行は四日市を出立し、一路、桑名へと向かった。桑名に近づくと、一益が出迎えに出ていた。
(義兄上…)
普段と変わらぬ様子に安堵しつつも、信長と一益がふたりで何か話をはじめると、だんだんと不安が募ってくる。
(何を話しておられるのであろうか)
一益が難しい顔をしている。千草峠での狙撃の件だろうか。信長は一益に何かを命じているようにも見える。何を命じているのだろう。
近づきにくい空気を察し、供の者も少し距離を置いて離れたところにいる。
やがて滝川家の家人が大勢集まってくると、信長は家人たちに囲まれるように岐阜へと向かっていった。
(早く義兄上と話がしたい)
やっと信長が去ってくれた。しかし何といって声をかけようか。一益の周りに人が多すぎて、なかなか声をかけることができない。
なんとか気づいてもらおうと、遠くから視線を送っていると、一益がちらりとこちらを見た。
(義兄上!)
ところが一益はふいと視線をはずし、城に戻って行ってしまった。
(そんな…)
慌てて追いかけようとすると、義太夫に止められた。
「先刻より見ておったが、ずいぶんと殿を凝視しておったのう。わしが呼んでもちいとも気づかぬ。やはり殿に惚れたか。まぁ、わしと違い、殿に惚れる女子はそうそうおらんじゃろうが、男からは存外に慕われておるからのう」
義太夫がそう言って笑う。こんな時に限って面倒な輩につかまった、と焦りつつ、
「義太夫、わしは急いでおる。戯言は後にしてくれぬか」
「然様か。ではその急ぎの用とやらが終わったら城へ参れ、殿がお呼びじゃ」
「義兄上が?」
「されど野暮用であれば、殿に伝えおくが…」
この状況で急いでいるといえば、一益に用があることくらいは分かりそうなものだ。
「少しはわしの気持ちも察してくれ!すぐに城へ参る」
「おぉ、さほどに急いでおるとは余程のこと。大事ないか?」
「何が?」
「厠であろう?」
ここまで酷いうつけとは。忠三郎が唖然として義太夫を見ると、
「腹下しか。されど、いかにわしでも、鶴は腹を下して厠に籠りましたとは伝えにくいのう」
誰かこやつを黙らせてくれ、と心の中で叫びつつ、義太夫を無視して城へと向かう。
忠三郎の慌てた様子に義太夫は更に勘違いして、
「鶴!厠は大手門の右じゃ!一応、替えのふんどしと袴を用意しておくゆえ、そう焦らずともよい!」
後ろから大声で叫んでいる。周りにいる滝川家の家人たちの視線を浴びながら、忠三郎は桑名城へと急いだ。
助九郎に伴われ、一益の居間へ行くと、一益が一人で待っていた。岐阜の屋敷に比べると書院造らしさがあるが、床の間らしき場所にさえも畳はなく、違い棚も明かり採りの窓もない。
日野の城であれば、どの部屋にも置かれている香炉や花瓶の類もなく、当然のように襖絵がなかった。
「大儀であった。上様も無事、岐阜へと向かわれ、肩の荷が下りたであろう」
「はい。それは無論…」
何から話そうか。やはり千草峠の一件か。もしくは市原の一揆のことか。それよりももっと前の、越前から引き上げた時のことから話したほうがいいだろうか。
あれこれと考えていると、部屋の外から騒がしい足音が聞こえてきて邪魔が入る。
「遅くなり申した。…お、鶴、厠の場所はわかったか?思うたよりも早いではないか。ほれ、替えのふんどしと袴に小袖もある。あぁ、ふんどしだけは洗って返せ」
厠だのふんどしだのと、一益に妙な誤解を与えかねない。いつかこの口を縫い付けてやると心密かに思っていると、義太夫が当たり前のように忠三郎の目の前に小袖・袴・ふんどしの一式を置く。
「…義太夫…おぬしは…」
忠三郎が顔を赤らめ、何と言おうかと苦慮していると、一益が義太夫を見る。
「杉谷か?」
「御明察。弾は二つ弾。上様の懐中の餅に命中しておりました。杉谷家のものでほぼ間違いないかと」
杉谷とは何のことなのか。甲賀衆の一人だろうか。にしても二つ弾とは?二人の話は分からないことが多すぎる。
(されどあれは日野筒の銃声)
義太夫は気づいていないようだ。あの場にいた者は、誰も気づかなかっただろうか。いや、分かっていて、あえてあの時は口に出さなかったのかもしれない。信長が岐阜についたころに誰かが話してしまうかもしれない。
(そうなれば銃の横流しが上様に知られてしまう)
信長は何故、日野に戻れと言ったのだろう。快幹を疑っているのか。まさか、戻って切腹の支度を整えておけと言う意味だろうか。
「鶴、如何いたした」
一益が声をかけた。忠三郎の様子がおかしいことに気づいたようだ。忠三郎は何を話そうかと考え、
「あの銃声は…日野筒の…」
やっとそれだけ言えた。
「音が違うのか」
気づいた義太夫が問うと、忠三郎はコクリと頷く。
「案ずるな。音で聞き分けらるるは蒲生家の者だけじゃ。一発しか撃ってはおらん」
そうだろうか。例えそうだとしても、信長は蒲生家を疑っている。
「危うく上様がお命を奪われるところであった。上様が千草を越えることを知っていたのは我が家の者と千種の叔父御、それに滝川の者だけ。上様は我が家の者をお疑いじゃ」
忠三郎は切羽詰まって、一気にまくしたてて一益を見た。
こんなときの一益は、頷くわけでもなく、表情が大きく変わるわけでもない。その微細な視線の動き、少しだけ上がる眉の角度が、一益の中で着実に思考が巡り、すべてが精密に処理されていることを示していた。
(分かっていた…。義兄上はこうなることが分かっていたのか)
だからこそ、狙撃に備えて餅を送って来た。表立って行動を起こさなかったのは峠越えを一任された蒲生家の顔を立てたからだ。この状況においても冷静さを保っているのは、感情を抑えているのではなく、むしろすべてを見据えたうえで、不要な動揺や反応を自然と排除しているかのようだった。
「鶴、一人では何事も成しえぬ。賢いそなたならば分かろう」
一益が諭すようにそう言う。そうだ。一益は何と言っていたか。自分に全て任せろとまで言ってくれたのだ。
(あの時、義兄上にすべてお任せしていれば…)
こうはならなかったかもしれない。
そして一益は、今も、自分に任せておけと、そう言いたいのだろう。
「そうじゃ、鶴。我らがおるではないか。そうなんでも背負い込むな」
義太夫が笑って言う。
「然様か」
「そうじゃ。早う元の鶴に戻れ」
義太夫に小突かれ、忠三郎は苦笑いする。
「直に甲賀衆を率いて六角左京太夫が挙兵しよう。その時が勝負じゃ」
どんな秘策があるというのか。一益は焦ることもなく、気負った様子もない。その目には、一瞬のためらいもなく、燃え盛る火のように強く、鋭く、まるで前に立ちはだかるすべてを焼き尽くすかのごとき力が感じられた。
「上様は蒲生家を糾弾するようなことはせぬ。案ずるな」
一益は忠三郎が何に怯え、悩んでいるかも分かっているようだ。
「まずは南近江の戦禍を治めねばなるまい。六角を甲賀に押し込めば、再び越前へ兵を向けることも可能となる。されど…」
「されど?」
一益が急に押し黙る。こんなときの一益は本当に何を考えているのか分からない。
ちらりと義太夫を見ると、さすがの義太夫も重苦しい空気を察して口を閉じている。
忠三郎も黙って一益の次の言葉を待っていると、一益がようやく口を開いた。
「上様はそなたのことは咎めだてはせぬであろう。むしろ江南の騒乱を収めるため、蒲生や青地をはじめとする江南の国衆の力を頼みにしておられる。されど、上様は変わられた」
「上様が変わられたとは?」
「これまでの上様は一時の感情に任せて兵を動かすことはせなんだ。戦さといえども、ある程度の節度をもって事に当たられた。されど今は違う。もはや手段を選んだり、敵に手心を加えるなどということはなさらぬであろう」
信頼していた浅井長政に裏切られ、九死に一生を得たことで、信長は変わった。
「それは如何なることで?」
一益の言わんとしていることが分からない。忠三郎の目から見て、信長に大きな変化があったようには思えなかったが。
「寝返った浅井は無論、江南においても苛烈な戦さとなるやもしれぬ」
苛烈な戦さとは如何なる戦さなのか。一益がここまで言いにくそうにする程のことがこれから起きるというのだろうか。
この時はまだ、一益の言わんとしていることが分からなかった。
日野に戻ると城内がなにやら騒然としていた。聞けば父・賢秀が出陣の支度を整えているという。
「父上がご出陣とは…。何が起きた?」
町野左近に問うと、
「お家の一大事!青地城付近に伊賀・甲賀衆を率いた六角お館の軍勢が現れ、辺りに火を放っておるとか」
「青地荘に?」
この時期に火を放たれては、秋の収穫は望めなくなる。青地駿河守から知らせを受け、賢秀が早々に兵を挙げたようだ。
「若もお急ぎくだされ。殿は永原城の佐久間様、長光寺城の柴田様に急使を送り、早、城を出ると仰せで」
賢秀にしては動きが早い。江南に配置された重臣二人に知らせを送り、自ら六角勢と戦おうとしている。
(戦さを避けていた父上が…)
弟の危機を知り、本腰をあげたようだ。
「承知した。わしもすぐに後を追うと父上に知らせよ」
忠三郎も急いで支度を整え、賢秀の後を追った。
山賊の多い鈴鹿峠と異なり、道幅が狭く、険しい千草峠を通る商人は多く、関所から得る莫大な通行料により千種氏は北勢四十八家を従え、北伊勢の覇権を握った。
そこへ目を付けたのが忠三郎の祖父・快幹だ。
快幹は六角家の力を借りて、この千種城を奪い取ろうとした。しかし千種氏は地の利を生かした抵抗を重ねた。
思わぬ苦戦を強いられた快幹は和睦を提案。賢秀の義理の弟になる後藤家の末子・三郎左衛門を千種氏の養子とすることで、両家は和解した。
その後、快幹の密命を受けた三郎左衛門が千種氏を城から追い出したことで、実質的にはこの辺り一帯が後藤家と蒲生家の支配下におかれた。
ここまではすべて快幹の思惑通りだった。しかし直後に六角家お家騒動が勃発。家臣団が分裂し、後藤家は没落した。快幹が兵を送る余裕がなくなったことを察した滝川一益が千種城に攻め込み、三郎左衛門は降伏。千種城と千草峠は織田家の支配下に置かれることになった。
そう考えると、快幹と一益は、忠三郎が幼いころから人知れず鈴鹿山脈を挟んで互いに謀略を駆使していたことになる。
(あの二人には到底、太刀打ちできない)
二人は千草峠の利権を得るため、そして北勢の覇権を手にするために、多くの人を巻き込んで争った。そしてその争いが元で叔父の後藤賢豊と母・お桐が死んだ。
お家騒動を仕組んだのは快幹だという噂もあるが、それは違うと思う。
老獪な快幹がお家騒動をうまく利用し、結果的に蒲生家が力を得ただけで、この千種峠や後藤家の後ろ盾など、失ったものも多かった筈だ。
それに比べて一益はどうだろう。
ほとんど何も失うことなく、千種城を得て北伊勢の覇権を手にした。蒲生家家中で、一益を悪く言う者がいるのは、こうした背景があるからだ。
(知らず知らずのうちに敵の懐深く入り込み、混乱に陥れ、その隙を狙って全てを手にする)
それが人々が嫌う、忌まわしき不浄のもの、素破だ。
(されど…)
その素破は度々忠三郎を助けてくれた。なによりも、若松の森での一益の態度。心から忠三郎を案じ、そして初めて見せた笑顔。
(あれが嘘偽りであろうか)
家の中も外も敵ばかり。誰を信じていいのかもわからない。しかし一益を疑ってしまえば、自分は人として大切な何かを失うような気がする。
「あれに千種三郎左が」
義太夫の声がして、ハタと気づいて見上げると、お桐の弟、千種三郎左衛門と従者の姿が見えた。
(ようやく峠を越えた)
木々の隙間から四日市の湊が見える。やっと伊勢に入ることができた。ふぅと息をつくと、三郎左衛門が馬から降りて信長に近づき、片膝つく。
「滝川左近殿から知らせを受けておりまする。これより四日市まで、御供仕ります」
信長が頷き、三郎左衛門の後に続く。
「いやはや、どうなることかと思うたが、なんとか伊勢までたどり着いたのう」
義太夫が馬を寄せて、笑いかけてくる。
「されど…」
このままでは終わらない。信長は何も言わないが、このまま不問に付すはずがない。狙撃者は何処へ行っただろうか。
伊勢・四日市。湊もあるこの地は一益の支配下にあり、滝川家の親類縁者も多く住んでいるという。
予定通り、日が暮れる前に四日市に到着し、この日は四日市の寺に宿泊する。
寺に入ると夕餉の膳が用意されていた。
忠三郎には分からなかったが、義太夫の話ではそこここに一益の命を受けた素破たちが潜んでいるらしい。
「全く姿が見えぬが…」
「千種城からここまでくる間も、仰山おったじゃろ」
わからなかった。一体どこにいたのだろう。
「例えば、途上で見かけた犬とか」
「素破が化けていたと?」
「然様。変わり身の術というて、素破は何にでも化けることができる」
忙しく飯を頬張りながら、そういうが、どうにも胡散臭い。
「常より薄ぼんやりとしておるゆえ、見えぬのであろう。目の前の飯が見えておるか?ほれ、目を覚まして、しっかり食え」
と義太夫が手を伸ばして忠三郎の瞼をこじ開けようとする。
「見えておる!」
忠三郎が義太夫の手を払いのけ、後ろに下がろうとすると、
「見えておらん。ほれ、ほれ」
二人がどたばたと騒いでいると、近くにいた三郎左衛門が咳払いした。
「あまり騒ぐな。上様に聞こえてしまう」
二人は慌てて口を閉じる。
(義太夫のせいで、わしまで阿呆と思われる)
叔父の前でとんだ恥をかかされた。当の義太夫はどこ吹く風で、山盛りの飯を平らげていく。
「阿呆の三杯汁とはこのことか」
「やかましいわい。もう食わぬか?残すのであれば、わしが食うぞ」
「まだ食っておる。取るな!」
こんな状況でどうしてこんなに食欲があるのか。この神経の太さには驚かされる。
今日の夜も眠れないかと思っていたが、義太夫につられて満腹になるまで食べたせいか、よく眠れた。
翌朝未明、目を覚ますと義太夫が隣で大いびきをかいて寝ていた。
(誰に何が起きても、こやつだけは生き延びていそうな…)
なんとも間抜けな義太夫の寝顔をみていると、羨ましくなってくる。忠三郎が起きて支度を始めると、三郎左衛門が姿を見せた。
「鶴。だんだん姉上に似てきたようじゃ」
「皆がそう申します」
忠三郎が微笑んでそう言うと、三郎左衛門は頷き、
「滝川義太夫とは随分と親しいようじゃな」
昨夜のあのやり取りを親しい間柄と感じたようだ。
「あれは口喧嘩していただけで…」
「鶴に飯を食わせようとしていたのであろう。おぬしは姉上に似て、昔から食が細いゆえに」
そうなのだろうか。単に食い意地が張っているだけのようにも思えるが。
「そろそろ起こしてやれ」
「はい。全くあやつは、かような時でも高いびきとは…」
「昨夜は何度も見回りにでておった。されど、もう起こさねば、上様が今日中に美濃につかなくなる」
三郎左衛門はそう言うと、信長のいる館の方へと歩いて行った。
(見回りに出ていた?)
隣にいたのに気づかなかった。
(義太夫も素破らしいことをすることがあるのか)
忠三郎はふと可笑しくなり、笑いながら義太夫の元へと向かった。
一行は四日市を出立し、一路、桑名へと向かった。桑名に近づくと、一益が出迎えに出ていた。
(義兄上…)
普段と変わらぬ様子に安堵しつつも、信長と一益がふたりで何か話をはじめると、だんだんと不安が募ってくる。
(何を話しておられるのであろうか)
一益が難しい顔をしている。千草峠での狙撃の件だろうか。信長は一益に何かを命じているようにも見える。何を命じているのだろう。
近づきにくい空気を察し、供の者も少し距離を置いて離れたところにいる。
やがて滝川家の家人が大勢集まってくると、信長は家人たちに囲まれるように岐阜へと向かっていった。
(早く義兄上と話がしたい)
やっと信長が去ってくれた。しかし何といって声をかけようか。一益の周りに人が多すぎて、なかなか声をかけることができない。
なんとか気づいてもらおうと、遠くから視線を送っていると、一益がちらりとこちらを見た。
(義兄上!)
ところが一益はふいと視線をはずし、城に戻って行ってしまった。
(そんな…)
慌てて追いかけようとすると、義太夫に止められた。
「先刻より見ておったが、ずいぶんと殿を凝視しておったのう。わしが呼んでもちいとも気づかぬ。やはり殿に惚れたか。まぁ、わしと違い、殿に惚れる女子はそうそうおらんじゃろうが、男からは存外に慕われておるからのう」
義太夫がそう言って笑う。こんな時に限って面倒な輩につかまった、と焦りつつ、
「義太夫、わしは急いでおる。戯言は後にしてくれぬか」
「然様か。ではその急ぎの用とやらが終わったら城へ参れ、殿がお呼びじゃ」
「義兄上が?」
「されど野暮用であれば、殿に伝えおくが…」
この状況で急いでいるといえば、一益に用があることくらいは分かりそうなものだ。
「少しはわしの気持ちも察してくれ!すぐに城へ参る」
「おぉ、さほどに急いでおるとは余程のこと。大事ないか?」
「何が?」
「厠であろう?」
ここまで酷いうつけとは。忠三郎が唖然として義太夫を見ると、
「腹下しか。されど、いかにわしでも、鶴は腹を下して厠に籠りましたとは伝えにくいのう」
誰かこやつを黙らせてくれ、と心の中で叫びつつ、義太夫を無視して城へと向かう。
忠三郎の慌てた様子に義太夫は更に勘違いして、
「鶴!厠は大手門の右じゃ!一応、替えのふんどしと袴を用意しておくゆえ、そう焦らずともよい!」
後ろから大声で叫んでいる。周りにいる滝川家の家人たちの視線を浴びながら、忠三郎は桑名城へと急いだ。
助九郎に伴われ、一益の居間へ行くと、一益が一人で待っていた。岐阜の屋敷に比べると書院造らしさがあるが、床の間らしき場所にさえも畳はなく、違い棚も明かり採りの窓もない。
日野の城であれば、どの部屋にも置かれている香炉や花瓶の類もなく、当然のように襖絵がなかった。
「大儀であった。上様も無事、岐阜へと向かわれ、肩の荷が下りたであろう」
「はい。それは無論…」
何から話そうか。やはり千草峠の一件か。もしくは市原の一揆のことか。それよりももっと前の、越前から引き上げた時のことから話したほうがいいだろうか。
あれこれと考えていると、部屋の外から騒がしい足音が聞こえてきて邪魔が入る。
「遅くなり申した。…お、鶴、厠の場所はわかったか?思うたよりも早いではないか。ほれ、替えのふんどしと袴に小袖もある。あぁ、ふんどしだけは洗って返せ」
厠だのふんどしだのと、一益に妙な誤解を与えかねない。いつかこの口を縫い付けてやると心密かに思っていると、義太夫が当たり前のように忠三郎の目の前に小袖・袴・ふんどしの一式を置く。
「…義太夫…おぬしは…」
忠三郎が顔を赤らめ、何と言おうかと苦慮していると、一益が義太夫を見る。
「杉谷か?」
「御明察。弾は二つ弾。上様の懐中の餅に命中しておりました。杉谷家のものでほぼ間違いないかと」
杉谷とは何のことなのか。甲賀衆の一人だろうか。にしても二つ弾とは?二人の話は分からないことが多すぎる。
(されどあれは日野筒の銃声)
義太夫は気づいていないようだ。あの場にいた者は、誰も気づかなかっただろうか。いや、分かっていて、あえてあの時は口に出さなかったのかもしれない。信長が岐阜についたころに誰かが話してしまうかもしれない。
(そうなれば銃の横流しが上様に知られてしまう)
信長は何故、日野に戻れと言ったのだろう。快幹を疑っているのか。まさか、戻って切腹の支度を整えておけと言う意味だろうか。
「鶴、如何いたした」
一益が声をかけた。忠三郎の様子がおかしいことに気づいたようだ。忠三郎は何を話そうかと考え、
「あの銃声は…日野筒の…」
やっとそれだけ言えた。
「音が違うのか」
気づいた義太夫が問うと、忠三郎はコクリと頷く。
「案ずるな。音で聞き分けらるるは蒲生家の者だけじゃ。一発しか撃ってはおらん」
そうだろうか。例えそうだとしても、信長は蒲生家を疑っている。
「危うく上様がお命を奪われるところであった。上様が千草を越えることを知っていたのは我が家の者と千種の叔父御、それに滝川の者だけ。上様は我が家の者をお疑いじゃ」
忠三郎は切羽詰まって、一気にまくしたてて一益を見た。
こんなときの一益は、頷くわけでもなく、表情が大きく変わるわけでもない。その微細な視線の動き、少しだけ上がる眉の角度が、一益の中で着実に思考が巡り、すべてが精密に処理されていることを示していた。
(分かっていた…。義兄上はこうなることが分かっていたのか)
だからこそ、狙撃に備えて餅を送って来た。表立って行動を起こさなかったのは峠越えを一任された蒲生家の顔を立てたからだ。この状況においても冷静さを保っているのは、感情を抑えているのではなく、むしろすべてを見据えたうえで、不要な動揺や反応を自然と排除しているかのようだった。
「鶴、一人では何事も成しえぬ。賢いそなたならば分かろう」
一益が諭すようにそう言う。そうだ。一益は何と言っていたか。自分に全て任せろとまで言ってくれたのだ。
(あの時、義兄上にすべてお任せしていれば…)
こうはならなかったかもしれない。
そして一益は、今も、自分に任せておけと、そう言いたいのだろう。
「そうじゃ、鶴。我らがおるではないか。そうなんでも背負い込むな」
義太夫が笑って言う。
「然様か」
「そうじゃ。早う元の鶴に戻れ」
義太夫に小突かれ、忠三郎は苦笑いする。
「直に甲賀衆を率いて六角左京太夫が挙兵しよう。その時が勝負じゃ」
どんな秘策があるというのか。一益は焦ることもなく、気負った様子もない。その目には、一瞬のためらいもなく、燃え盛る火のように強く、鋭く、まるで前に立ちはだかるすべてを焼き尽くすかのごとき力が感じられた。
「上様は蒲生家を糾弾するようなことはせぬ。案ずるな」
一益は忠三郎が何に怯え、悩んでいるかも分かっているようだ。
「まずは南近江の戦禍を治めねばなるまい。六角を甲賀に押し込めば、再び越前へ兵を向けることも可能となる。されど…」
「されど?」
一益が急に押し黙る。こんなときの一益は本当に何を考えているのか分からない。
ちらりと義太夫を見ると、さすがの義太夫も重苦しい空気を察して口を閉じている。
忠三郎も黙って一益の次の言葉を待っていると、一益がようやく口を開いた。
「上様はそなたのことは咎めだてはせぬであろう。むしろ江南の騒乱を収めるため、蒲生や青地をはじめとする江南の国衆の力を頼みにしておられる。されど、上様は変わられた」
「上様が変わられたとは?」
「これまでの上様は一時の感情に任せて兵を動かすことはせなんだ。戦さといえども、ある程度の節度をもって事に当たられた。されど今は違う。もはや手段を選んだり、敵に手心を加えるなどということはなさらぬであろう」
信頼していた浅井長政に裏切られ、九死に一生を得たことで、信長は変わった。
「それは如何なることで?」
一益の言わんとしていることが分からない。忠三郎の目から見て、信長に大きな変化があったようには思えなかったが。
「寝返った浅井は無論、江南においても苛烈な戦さとなるやもしれぬ」
苛烈な戦さとは如何なる戦さなのか。一益がここまで言いにくそうにする程のことがこれから起きるというのだろうか。
この時はまだ、一益の言わんとしていることが分からなかった。
日野に戻ると城内がなにやら騒然としていた。聞けば父・賢秀が出陣の支度を整えているという。
「父上がご出陣とは…。何が起きた?」
町野左近に問うと、
「お家の一大事!青地城付近に伊賀・甲賀衆を率いた六角お館の軍勢が現れ、辺りに火を放っておるとか」
「青地荘に?」
この時期に火を放たれては、秋の収穫は望めなくなる。青地駿河守から知らせを受け、賢秀が早々に兵を挙げたようだ。
「若もお急ぎくだされ。殿は永原城の佐久間様、長光寺城の柴田様に急使を送り、早、城を出ると仰せで」
賢秀にしては動きが早い。江南に配置された重臣二人に知らせを送り、自ら六角勢と戦おうとしている。
(戦さを避けていた父上が…)
弟の危機を知り、本腰をあげたようだ。
「承知した。わしもすぐに後を追うと父上に知らせよ」
忠三郎も急いで支度を整え、賢秀の後を追った。
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