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エンデラ王国と不死族
千景と天音
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「千景や、浮かない顔をしておるのう」そう言いながらエルタの中からルルカが出てきた。
「色々とな、ルルカはこうなることはわかっていたのか?」ルルカは首を横に振って否定をする。
「そうか……『レプリカーズド』とか顕現者とか、パイルエスカルネが言っていたが、それも知らないのか?」
「すまない千景、わらわにはわからぬ、許せ」
「この世界に呼ばれたのは、俺だけじゃないようなんだ」
「ほう……『邪渇宮』の杖のレプリカのせいで生まれた波が、世界に刺激を与えたのかもしれんな」
「それにしては早すぎるだろ、俺がこの世界に来たのは昨日だ、とりあえず顕現者とやらは一人確実にいるヴィネリアというやつだ」
「ヴィネリア……ヴィネリア……」ルルカは念仏でも唱えるかのようにその名前を連呼した。
「ああああ、もうおおおお知らぬ! わからぬ! 存ぜぬ!」
「そんな力強く否定しなくてもわかったよ、とりあえずみんなには言っておく」千景は少し下がり、そこにいる全員に向かって
「今後、行動する時は、一人は避けろ、強化術は切らさないように常時戦えるようにしておいてくれ、エルタとミレアの護衛当番は、二人にもかけること、グループヴォイスチャットは全員で組んでおく、何か異変があれば、さっきの水音みたいにすぐに俺に教えてくれ、白狐と赤狐は双狐術で城の敷地内とゴルビスの屋敷に転移不可結界を構築しろ、とりあえずそれくらいか」
「かしこまりました、主様、そこにあるものはどうしますか?」ワーウルフ達の死体を指さした。
「死体の処理は、兵士達に任せればいいさ」
「なにか私が『邪渇宮』にいったばかりに色々なことが起こってますね……千景様達にはお世話になりっぱなしで……」エルタの半身がすまなそうに千景に言った。
「あれはゴルビスがやったことが原因だし、しょうがない俺がこの世界に呼ばれたのはルルカのせいだしな」
「様をつけろといっておろうが……しかし、わらわも役になってないからのう」今度はエルタのルルカである部分もすまなそうにした。
「まあいいさ、知らないならしょうがない、こちらから情報を探りにいってやろうか、パイルエスカルネは、エンデラを滅ぼしてくればよかったと言っていた、エンデラに行けばなにか掴めるかもしれない」
「今から向かうのですか、御館様」
「いや、城と屋敷の強化が先だ、まだ転移の間も作成してないから、こちらにすぐ戻ってこれないんじゃ不安でここから出ていけない」
「そういうことでしたら早急に作業に取り掛かりますね、主様、行きますよ赤狐」
「はいなー白狐姉」
二人が出て行ったあと、ワーウルフ達の死体を処理して、千景達は屋敷に戻った。その後、元ゴルビスの屋敷での作業は深夜まで続き、時計が夜中の三時を指し示す頃に、ようやく終わることが出来た。そして千景と天音は、最後の点検のために屋敷の外周を歩いていた。
「これで、終わりか」
「そうですね、御館様」
「エンデラ王国に、もし不死系統の化物を大量がいたら、やっぱり宙音と水音が相性いいようなあやっぱり、あの二人を連れてくことになるか」
「そうですね、天音も御館様と一緒に行きたいですが、不死系統の多人数相手となると、範囲の術が充実している、水音と宙音が適任ですね」
「俺も天音と一緒にいたいが、あの二人を連れて行くのがやっぱりいいか」
「――えっ……あっ……」天音が顔を赤くしてもじもじしている。それを見た千景は、何気なく口にした『天音と一緒にいたい』という自分が発した言葉が、天音をそうさせていることに気付く。
「あっ……あの御館様……」
――天音は犬犬さんの設定で俺のことを愛しているということになっているが……それは有効になっているのか……
「ど、どうした天音」
「あの……」天音が距離を一歩詰めてくる。千景は息が詰まり動けない。しかし次の瞬間、赤狐の「なにやってんすか」で圧縮された濃密な時間が終わりを告げた。
「色々とな、ルルカはこうなることはわかっていたのか?」ルルカは首を横に振って否定をする。
「そうか……『レプリカーズド』とか顕現者とか、パイルエスカルネが言っていたが、それも知らないのか?」
「すまない千景、わらわにはわからぬ、許せ」
「この世界に呼ばれたのは、俺だけじゃないようなんだ」
「ほう……『邪渇宮』の杖のレプリカのせいで生まれた波が、世界に刺激を与えたのかもしれんな」
「それにしては早すぎるだろ、俺がこの世界に来たのは昨日だ、とりあえず顕現者とやらは一人確実にいるヴィネリアというやつだ」
「ヴィネリア……ヴィネリア……」ルルカは念仏でも唱えるかのようにその名前を連呼した。
「ああああ、もうおおおお知らぬ! わからぬ! 存ぜぬ!」
「そんな力強く否定しなくてもわかったよ、とりあえずみんなには言っておく」千景は少し下がり、そこにいる全員に向かって
「今後、行動する時は、一人は避けろ、強化術は切らさないように常時戦えるようにしておいてくれ、エルタとミレアの護衛当番は、二人にもかけること、グループヴォイスチャットは全員で組んでおく、何か異変があれば、さっきの水音みたいにすぐに俺に教えてくれ、白狐と赤狐は双狐術で城の敷地内とゴルビスの屋敷に転移不可結界を構築しろ、とりあえずそれくらいか」
「かしこまりました、主様、そこにあるものはどうしますか?」ワーウルフ達の死体を指さした。
「死体の処理は、兵士達に任せればいいさ」
「なにか私が『邪渇宮』にいったばかりに色々なことが起こってますね……千景様達にはお世話になりっぱなしで……」エルタの半身がすまなそうに千景に言った。
「あれはゴルビスがやったことが原因だし、しょうがない俺がこの世界に呼ばれたのはルルカのせいだしな」
「様をつけろといっておろうが……しかし、わらわも役になってないからのう」今度はエルタのルルカである部分もすまなそうにした。
「まあいいさ、知らないならしょうがない、こちらから情報を探りにいってやろうか、パイルエスカルネは、エンデラを滅ぼしてくればよかったと言っていた、エンデラに行けばなにか掴めるかもしれない」
「今から向かうのですか、御館様」
「いや、城と屋敷の強化が先だ、まだ転移の間も作成してないから、こちらにすぐ戻ってこれないんじゃ不安でここから出ていけない」
「そういうことでしたら早急に作業に取り掛かりますね、主様、行きますよ赤狐」
「はいなー白狐姉」
二人が出て行ったあと、ワーウルフ達の死体を処理して、千景達は屋敷に戻った。その後、元ゴルビスの屋敷での作業は深夜まで続き、時計が夜中の三時を指し示す頃に、ようやく終わることが出来た。そして千景と天音は、最後の点検のために屋敷の外周を歩いていた。
「これで、終わりか」
「そうですね、御館様」
「エンデラ王国に、もし不死系統の化物を大量がいたら、やっぱり宙音と水音が相性いいようなあやっぱり、あの二人を連れてくことになるか」
「そうですね、天音も御館様と一緒に行きたいですが、不死系統の多人数相手となると、範囲の術が充実している、水音と宙音が適任ですね」
「俺も天音と一緒にいたいが、あの二人を連れて行くのがやっぱりいいか」
「――えっ……あっ……」天音が顔を赤くしてもじもじしている。それを見た千景は、何気なく口にした『天音と一緒にいたい』という自分が発した言葉が、天音をそうさせていることに気付く。
「あっ……あの御館様……」
――天音は犬犬さんの設定で俺のことを愛しているということになっているが……それは有効になっているのか……
「ど、どうした天音」
「あの……」天音が距離を一歩詰めてくる。千景は息が詰まり動けない。しかし次の瞬間、赤狐の「なにやってんすか」で圧縮された濃密な時間が終わりを告げた。
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