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後日談:エルルゥのツェルラント通信
第5話 不安な事
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ゴールデンウィークも明け、灯とエルルゥ、夏冬らは、約一か月後の六月二十日に実施される学園祭で、エルルゥのファッションショーを企画しており、その準備に追われていた。
灯のモデル参加も決定し、なぜか水着モデルとして出場することとなった。
当初、灯はさんざん反対したのだが、スタイル的に一番見栄えがするのが灯だとおだてられ、最終的に了承した。
ツェルラント通信も、今はちょっとインターバルを開けてLive回数を減らしているが、フォロワーには学園祭ではじける事を声高に宣言していた。
もちろんファッションショ―の状況はLive配信予定だ。
その日の夜、灯のスマホにメールが入っていた。
仲間内の連絡はほとんどRILEなので、誰だろうと思って開けてみたら、アンダーソン中将からだった。
『Dear 灯
多分、問題ないと思うのだが、念のため伝えておく。モー博士には彼氏がいた。 そいつが、グレゴリーの軍票の出所を探っている。彼はもう軍をやめてしまっていて、私も、あまり大っぴらに圧力をかけられない。万一、身近でこいつを見かけたなら、至急連絡してくれ』
メールにはそう書かれていて、その彼氏と思われる男の写真が添付されていた。
写真にMorison Stanfordと焼き込まれていて、身分証の写真か何かだろう。
モリソンさん……まあ、日本までは来ないでしょ。
そうは思ったが、灯は念のためそのメールの消去防止をONにした。
六月に入ってすぐ、夏冬と日の丸短大服飾科のクラスメートらによって、学園祭のファッションショーに出す衣装の仮縫いがすべて完成した。
ほとんどエルルゥが着るものだが、灯や他にも何人かモデルをやるものがいて、その分も完成している。
今日は夏美の下宿でエルルゥと灯に仮縫いしたものを実際に試着してもらい、細かい調整や修正箇所を確認する事になっている。
「ねえ、ちょっと。これやっぱ、露出多くない?
すんごい恥ずかしいんだけど……」
灯が大声で文句を言っている。
一応見えてはいけないところは隠れていて、可愛い装飾もたくさんついているのだが、カッティングのラインがすごく微妙で、ちょっと激しく運動したら、乳首や尻がはみ出すんではないかと思う。
「そんなことない。すごくエロくてカッコいい。男の子の視線釘付け!」
エルルゥが太鼓判を押す。
「エロいらないからー」灯が叫ぶ。
「あー、灯マネ。そんなに動いたら、仮縫いなんで分解しますよ!」
夏美が警告した。
「分解しても大丈夫よ! ちゃんとカメラ回ってるから……」美冬がからかった。
エルルゥ自身の衣装は、あるものは際どく攻め、あるものはボリューム感たっぷりに優雅に見せ……メリハリが効いていて確かに素敵なものが多い。
それを一着ずつ本人が試着しながら、細かい調整・修正をその場でしつつ、それを美冬がカメラに録り、あとでみんなで検討会をするのだ。
その中でもメインは、エルルゥが自分の結婚式で着る事を想定して作ったウェディングドレスだ。全体に黒のレースを束ねたような造りなのだが、かなりのミニスカートで、歩く度に、前からは、ちらちらと純白のぱんつがチラ見えするうようになっていて、後ろからだと、ぱんつが見えるか見えないかのギリギリの位置にしっぽの先を配置していて、これは男性ならそこに目が釘付けになるだろうというシロモノだ。
そして、パールラメのニーソックスが、太腿がせりあがるような形で強調された絶対領域を形成している。
上半身部分も、サイドから背中にかけて大胆にカットされていて、後ろから見たら裸エプロンのようにも見える。
それを薄いピンクのベールで頭から覆い、全身が透け見えするのがまたエロい。
ちょっとヤバ過ぎないと言ったのだが、ゆうたなら絶対気に入ると、エルルゥは譲らなかった。
◇◇◇
灯とエルルゥが仮縫いの試着を終え、駅から歩いて柏木家の近くまできたとき、後ろから声をかけられた。
「あの……エルルゥさんですよね。
ぼく、ファンなんです。握手してサインもらえませんか?」
二十歳前後のいわゆる典型的なオタク眼鏡男だった。
しまった! 家バレした?
移動には気を使ってエルルゥにはかなり厚着させていたのに……。
「人違いです!」
そういって、慌ててエルルゥの手を引いて家と反対側に駆け出した。
急いで夏冬に連絡して来てもらい、家の周りを探ってもらったが、怪しいやつはもういない様だったので、コソコソと柏木家に戻った。
「そうなのよ。最近変な奴が結構この周りウロウロしてるわよ」
おばさんも心配そうだった。
「同じところにいるとバレちゃうのかも知れんな。
灯ちゃんもエルルゥちゃんもそれなりに稼いでいるんだろ?
私が保証人になってあげるから、どこか別に部屋を借りるとかしたほうがいいかもしれないぞ。二人がいなくなるのは寂しいが、何かあったら雄太にも申し訳が立たんしね」おじさんもそう言ってくれた。
夏冬にもRINEで相談したら、彼女達の周りもなんか怪しくなってきたとかで、ここは、お互い、別の家に移った方がいいかもしれないという話になった。
しかし、学園祭まであと三週間切っていることもあり、直ぐに引っ越しなどは出来ない。
それまでは十分注意して行動しようと話合った。
灯のモデル参加も決定し、なぜか水着モデルとして出場することとなった。
当初、灯はさんざん反対したのだが、スタイル的に一番見栄えがするのが灯だとおだてられ、最終的に了承した。
ツェルラント通信も、今はちょっとインターバルを開けてLive回数を減らしているが、フォロワーには学園祭ではじける事を声高に宣言していた。
もちろんファッションショ―の状況はLive配信予定だ。
その日の夜、灯のスマホにメールが入っていた。
仲間内の連絡はほとんどRILEなので、誰だろうと思って開けてみたら、アンダーソン中将からだった。
『Dear 灯
多分、問題ないと思うのだが、念のため伝えておく。モー博士には彼氏がいた。 そいつが、グレゴリーの軍票の出所を探っている。彼はもう軍をやめてしまっていて、私も、あまり大っぴらに圧力をかけられない。万一、身近でこいつを見かけたなら、至急連絡してくれ』
メールにはそう書かれていて、その彼氏と思われる男の写真が添付されていた。
写真にMorison Stanfordと焼き込まれていて、身分証の写真か何かだろう。
モリソンさん……まあ、日本までは来ないでしょ。
そうは思ったが、灯は念のためそのメールの消去防止をONにした。
六月に入ってすぐ、夏冬と日の丸短大服飾科のクラスメートらによって、学園祭のファッションショーに出す衣装の仮縫いがすべて完成した。
ほとんどエルルゥが着るものだが、灯や他にも何人かモデルをやるものがいて、その分も完成している。
今日は夏美の下宿でエルルゥと灯に仮縫いしたものを実際に試着してもらい、細かい調整や修正箇所を確認する事になっている。
「ねえ、ちょっと。これやっぱ、露出多くない?
すんごい恥ずかしいんだけど……」
灯が大声で文句を言っている。
一応見えてはいけないところは隠れていて、可愛い装飾もたくさんついているのだが、カッティングのラインがすごく微妙で、ちょっと激しく運動したら、乳首や尻がはみ出すんではないかと思う。
「そんなことない。すごくエロくてカッコいい。男の子の視線釘付け!」
エルルゥが太鼓判を押す。
「エロいらないからー」灯が叫ぶ。
「あー、灯マネ。そんなに動いたら、仮縫いなんで分解しますよ!」
夏美が警告した。
「分解しても大丈夫よ! ちゃんとカメラ回ってるから……」美冬がからかった。
エルルゥ自身の衣装は、あるものは際どく攻め、あるものはボリューム感たっぷりに優雅に見せ……メリハリが効いていて確かに素敵なものが多い。
それを一着ずつ本人が試着しながら、細かい調整・修正をその場でしつつ、それを美冬がカメラに録り、あとでみんなで検討会をするのだ。
その中でもメインは、エルルゥが自分の結婚式で着る事を想定して作ったウェディングドレスだ。全体に黒のレースを束ねたような造りなのだが、かなりのミニスカートで、歩く度に、前からは、ちらちらと純白のぱんつがチラ見えするうようになっていて、後ろからだと、ぱんつが見えるか見えないかのギリギリの位置にしっぽの先を配置していて、これは男性ならそこに目が釘付けになるだろうというシロモノだ。
そして、パールラメのニーソックスが、太腿がせりあがるような形で強調された絶対領域を形成している。
上半身部分も、サイドから背中にかけて大胆にカットされていて、後ろから見たら裸エプロンのようにも見える。
それを薄いピンクのベールで頭から覆い、全身が透け見えするのがまたエロい。
ちょっとヤバ過ぎないと言ったのだが、ゆうたなら絶対気に入ると、エルルゥは譲らなかった。
◇◇◇
灯とエルルゥが仮縫いの試着を終え、駅から歩いて柏木家の近くまできたとき、後ろから声をかけられた。
「あの……エルルゥさんですよね。
ぼく、ファンなんです。握手してサインもらえませんか?」
二十歳前後のいわゆる典型的なオタク眼鏡男だった。
しまった! 家バレした?
移動には気を使ってエルルゥにはかなり厚着させていたのに……。
「人違いです!」
そういって、慌ててエルルゥの手を引いて家と反対側に駆け出した。
急いで夏冬に連絡して来てもらい、家の周りを探ってもらったが、怪しいやつはもういない様だったので、コソコソと柏木家に戻った。
「そうなのよ。最近変な奴が結構この周りウロウロしてるわよ」
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