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第一章 本編
第34話 成就
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あっちゃんとプルーンが秘密裏に王都を立つ日まであと三日というところで、それまでかなり忙しそうにしていたプルーンが、忙中閑有りといった様子で、俺の部屋を訪ねてきた。ちょっとみんなの顔を見に来たという事らしい。
花梨を抱っこしながら星さんと取り止めもない会話をしているが、やはりプルーンも寂しいのだろう。なにげに元気がない。
すると星さんがプルーンにこう言った。
「プルーンちゃん。今日は時間あるんだよね。それなら、ゆうたとどっかデートでもしてきたら? 二人が王都に旅立つ前、プルーンちゃん、私にそう言ってくれて……まあ、それでこの子が誕生したわけなんだけどさー」
ああ、星さん、なんか気を使ってる?
でも、俺とプルーンはつがう事が……。
しかし、俺の予想に反してプルーンはこう言った。
「それじゃ、夜までお借りしますね!」
そうして、俺とプルーンは外に出た。
「どうする? とりあえず喫茶店にでもいくか?」
「デート喫茶?」
「馬鹿、お前まだ懲りてないのか?」
「ははは、冗談冗談。でもね、ゆうた。あのさー、あなたさえよかったら、私、あなたとエッチしたいな……」
「えっ、でも俺達……」
「もう……あんたは奥まで挿れないと満足出来ないのか知らないけど……。
私は、好きな人に触れているだけでうれしいのよ!」
「ああ……そうか。そうだな」
そして二人でまたホテルに入った。
もうしばらく会う事は出来ないだろう。
その思いが二人を激しく興奮させる。
激しくキスをして、そのままお互いの体中を舐めまわす。
目、耳、ほほ、首筋、うなじ、肩……そしてシックスナインの体位をとって、お互いの性器をむさぼるように舐め合った。
プルーンは何度も絶頂に達した様だった。
それから彼女は四つん這いになり、お尻を俺に向けてこう言った。
「ゆうた。あなたのモノをここにあてがって……ううん、挿れなくていい。
でも、ここであなたを感じたいの……」
そう言いながら片手で外陰部を広げて俺に見せる。
俺は、息子の先端をそっとプルーンの膣口にあてがってみるが、やはり到底入りそうには思えない。
「いいんだよ、ゆうた。お願い。そこからそのまま……中に出して……」
そうか。そういう事なら……。
俺は、息子の先端をプルーンの筋にそってゆっくりと擦りながら上下に動かした。
「ああーん」
プルーンが身悶えする。暖かな粘液がこすれる刺激で、俺の快感も増幅される。
「出る……出るぞ。プルーン!」
どぴゅっ!
俺の精液が勢いよく飛び出した。だが、中に入らず外に飛び出してしまったものも多く、プルーンの肉ひだや尻、太腿に俺の精液がべとっとまとわりついてしまい、なんとも淫靡な状態になっている。
「あー、ゆうたの熱いのが中に入っきたー」
プルーンが嬉しそうに言った。
プルーンが四つん這いから仰向けに寝返り、俺にねだる。
「もう一回。今度は向かいあいながら……人間とかエルフはこうするんでしょ?」
あー、もうプルーンがいとおしくてたまらない。
俺の息子は早々に復活し、プルーンのあそこにくらいつく。
そしてさっきと同じ様に、息子の先端で筋の中をかき回し、お互いの快感が絶頂に達したところで、息子の先端を膣口にあてがった。
その時だった。
故意なのか、偶然動いてしまったのかはよく分からないが、プルーンがグイっと腰を前に突き出したその瞬間、俺の息子が、じゅりゅんとプルーンの中に挿ってしまった。
「あれっ!?」プルーンもびっくりしているようだ。
「ああ、プルーン大丈夫か? 痛くないか?」
俺はすぐに息子をはずそうとするが、プルーンに制止された。
「あ、待ってゆうた……ちょっと痛いけど、大丈夫。我慢できる。
だからもう少しこのままでいて」
そう言って深呼吸しながら、プルーンは俺に両腕でしがみついて来る。
なんてこった。二回戦目でおれの息子が若干半勃ちだったのか、それともお互い本当にリラックス出来て挿れる事が出来たのか……。
どちらにせよ、こうして無事合体出来たのだ。
俺は、うれしくてたまらなかった。
「うん、だいぶ慣れてきた。ゆうた。少し動かしてもいいよ」
ものすごい締め付け感があり、最初は動かすのも大変だったが、俺はゆっくりピストン運動を開始した。
「んっ、んっ、あっ、あっ」
それに合わせてプルーンが可愛い喘ぎ声を上げる。
そして心なしか、だんだんスムーズに前後運動が出来る様になってきた。
「ああ、俺いく! いくぞ、プルーン!」
「うん、来て、ゆうた。思い切り奥に!」
どぴゅぴゅー!
大量の精液がプルーンの奥に入っていった。
「はあ、はあ……あはー、出来た! ゆうたと合体出来た!」
プルーンは肩で息をしながら、しみじみとそう言った。
そして、二人で口づけをかわし、その後、しばし余韻を楽しんだ。
◇◇◇
三日後。いよいよ、姫様の王都脱出作戦が開始された。
作戦の第一目標は、姫様を俺の家からミハイル様の上屋敷にお連れすることだ。
これは、みんなが作戦に協力する事になっていて、俺の家に集合して、最後の作戦会議だ。
プルーンとメロンは、昨晩いっしょに寝たというか、遅くまでずっと二人で話をしていたらしい。二人は、ちゃんとお別れの準備が出来たんだろうな。
そして、プルーンがたまに俺の顔を見て、なんかニヤけているのを、エルルゥが目ざとく見とがめ俺に言う。
「あんたも、やる事ちゃんとやれたんだね」
「よけいなお世話だ」俺も顔を赤くしながらそう言った。
俺は先に上屋敷に入って、いつものように家族が迎えにくるのを待つふりをする。
あっちゃんにはメロンの服を着せ、偽のしっぽを付けた。
次に、あっちゃんが獣人っぽく見える様、エルルゥが化粧を施す。
そして耳の部分がどうなっているかわからないように、大きな帽子をかぶせる。
あとは、花梨を抱っこしてもらい、偽メロンの完成だ。
周りに怪しまれないよう、一週間位前から、メロンには、この格好で家から上屋敷まで、俺を迎えに来るような感じでうろうろしてもらっていた。
いよいよ決行の時間となり、星さんと偽メロンが家を出た。
プルーンが少し離れたところから、周囲を警戒しながら尾行していく。
星さんが近所の人とあいさつを交わしながら、みんな、卒なく上屋敷の方へ進んでいった。
そして、途中何事もなく、姫様を上屋敷までお連れすることに成功した。
本物のメロンには、朝の早いうちから人混みに紛れて上屋敷に入ってもらっていたので、そこで姫様と着衣を替え、星さんと共に花梨を抱いて、家に帰って貰った。
やがてプルーンも裏から上屋敷に入ってきて、第一段階終了だ。
ここからミハイル様のところまで、今夜中に早便を出す。
それには俺も乗り込む手はずだ。
またひと月ぐらい家を空けてしまうのは忍びないが、姫様とプルーンの二人は、要所要所で箱の中に入らないとならず、事情を知っているものがフォローするのが良いということだ。
まあ、ミハイル様にもお会いして、いろいろお話したいしな。
夜半すぎ、上屋敷から早便の馬車が、イルマンに向けて出発した。
王都の門は、その時の門番が、王女を支援する貴族の息がかかっている人だそうで、いいかげんな荷改めだけで問題なく抜けることが出来た。
明け方近く、馬車が街道からちょっと奥まったところにある農家に立ち寄り、休憩をとった。ここで、姫様もプルーンもようやく身体を伸ばす事が出来た。
そこへ、数人のエルフが近づいてきて、俺は一瞬身構えたが、姫様とプルーンは、よく知っている人のようだった。
「姫様、長い間ご不自由をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。ここからは私もご一緒致しますので、どうかお心安らかに」長身のエルフ女性が姫様に挨拶した。
「クローデルさん。お迎えご苦労様です。ここまで来られたのは、一重にあなた方のお力添えのおかげです。改めて礼を申します」
プルーンによると、この人が、今回の王女亡命を主導していた貴族につながる、近衛の上官らしい。
「プルーンさん。あなたもご苦労様です。それから、この先も姫様をお守りくださいますよう、宜しくお願い致しますね。それと……あなたがゆうたさんでしたか? お名前はプルーンさんから……今回もいろいろご協力いただいたとか」
「あ、いえ、大したことはしていません。すべてプルーンの言う通りにしたまでで」
「そうですわよね。ここからミハイル卿のところまで、私も馬車に同乗させていただきますが……申し訳ないのですが、少し私とは距離を置いていただけると……」
「クローデル! 控えなさい!」
突然、姫様がクローデルさんを叱責した。
「ゆうたさんは、素晴らしいお方です。人間だからというだけで偏見を持って接してはいけません! たしかに人間は少数でこちらに流されてきてしまい、うまく適応できずに他人に迷惑をかけることがあったかも知れません。ですが、彼らは本来、大変賢く、私たちよりはるかに優れた技術を持った種族なのです。先入観で軽んじてはいけないのです」
「あ、ひ、姫様……申し訳ございません!」
口ではそう言ったが、クローデルさんは、ものすごい形相でこちらを睨んでいる。
いやー、変に逆恨みされるくらいなら、差別されてる方が楽かもなーと、ちょっと思ってしまったが、姫様があそこまでおっしゃってくれたのはうれしかった。
やがて休憩が終わり、クローデルさんとお付きの侍女二名も馬車に同乗した。
俺は御者さんの隣に移ろうとしたのだが、姫様が、俺とクローデルさんが仲良くできるようにと、二人並べて馬車の中に座らせた。だが、これはこれで、針のむしろのような気がする。
通常、王都とミハイル様領とは、馬車で片道二週間くらいで、途中、商会が契約している農家などに宿泊したり、休憩したりしながら移動する。しかし、今回は早便なので、休憩は取るが宿泊はせず、御者だけ途中で交代し移動を続けるので、乗っている者は馬車内で睡眠をとらないといけない。
最初は露骨に俺を嫌がっていたクローデルさんも、三日位したら慣れた様で、馬車移動が退屈なこともあるのか、ちょこちょこ俺に話掛けてくる様になった。
姫様が俺の家に滞在中にどんな事があったとか、粗相はなかったかとか……いやーそんな事ある訳ないじゃないですか……口ではそう答えたが、いつ天然のお姫様が不穏な事を口にしないかと、俺の内心はずっとヒヤヒヤし通しで、プルーンはそんな俺を冷ややかな眼で見ていた。
さらに三日後、ミハイル様領に入る直前に、王都側の検問があったが、クローデルさんが地位をかさに着て一蹴して荷改めを受けることもなく通過し、無事イルマンに到着した。
ここまで来れば、もう王都の権力は及ばない。第二関門クリアといえよう。
俺はミハイル様の上屋敷の下働きなので、別にここにいても何も問題ないが、他の人は隠密行動であり、ホイホイとミハイル様にお会いするのはお互いに危険だ。
姫様は、例の貴族用の部屋がある宿に宿泊される予定で、クローデルさんもプルーンも同じ宿だ。
まったく、プルーンにとっても俺にとっても因縁深い宿だな。
俺は連絡係も兼ねて、ミハイル様邸を訪ねた。ミハイル様とビヨンド様が喜んで俺を迎えてくれ、俺は姫様一向の到着をお伝えした。
花梨を抱っこしながら星さんと取り止めもない会話をしているが、やはりプルーンも寂しいのだろう。なにげに元気がない。
すると星さんがプルーンにこう言った。
「プルーンちゃん。今日は時間あるんだよね。それなら、ゆうたとどっかデートでもしてきたら? 二人が王都に旅立つ前、プルーンちゃん、私にそう言ってくれて……まあ、それでこの子が誕生したわけなんだけどさー」
ああ、星さん、なんか気を使ってる?
でも、俺とプルーンはつがう事が……。
しかし、俺の予想に反してプルーンはこう言った。
「それじゃ、夜までお借りしますね!」
そうして、俺とプルーンは外に出た。
「どうする? とりあえず喫茶店にでもいくか?」
「デート喫茶?」
「馬鹿、お前まだ懲りてないのか?」
「ははは、冗談冗談。でもね、ゆうた。あのさー、あなたさえよかったら、私、あなたとエッチしたいな……」
「えっ、でも俺達……」
「もう……あんたは奥まで挿れないと満足出来ないのか知らないけど……。
私は、好きな人に触れているだけでうれしいのよ!」
「ああ……そうか。そうだな」
そして二人でまたホテルに入った。
もうしばらく会う事は出来ないだろう。
その思いが二人を激しく興奮させる。
激しくキスをして、そのままお互いの体中を舐めまわす。
目、耳、ほほ、首筋、うなじ、肩……そしてシックスナインの体位をとって、お互いの性器をむさぼるように舐め合った。
プルーンは何度も絶頂に達した様だった。
それから彼女は四つん這いになり、お尻を俺に向けてこう言った。
「ゆうた。あなたのモノをここにあてがって……ううん、挿れなくていい。
でも、ここであなたを感じたいの……」
そう言いながら片手で外陰部を広げて俺に見せる。
俺は、息子の先端をそっとプルーンの膣口にあてがってみるが、やはり到底入りそうには思えない。
「いいんだよ、ゆうた。お願い。そこからそのまま……中に出して……」
そうか。そういう事なら……。
俺は、息子の先端をプルーンの筋にそってゆっくりと擦りながら上下に動かした。
「ああーん」
プルーンが身悶えする。暖かな粘液がこすれる刺激で、俺の快感も増幅される。
「出る……出るぞ。プルーン!」
どぴゅっ!
俺の精液が勢いよく飛び出した。だが、中に入らず外に飛び出してしまったものも多く、プルーンの肉ひだや尻、太腿に俺の精液がべとっとまとわりついてしまい、なんとも淫靡な状態になっている。
「あー、ゆうたの熱いのが中に入っきたー」
プルーンが嬉しそうに言った。
プルーンが四つん這いから仰向けに寝返り、俺にねだる。
「もう一回。今度は向かいあいながら……人間とかエルフはこうするんでしょ?」
あー、もうプルーンがいとおしくてたまらない。
俺の息子は早々に復活し、プルーンのあそこにくらいつく。
そしてさっきと同じ様に、息子の先端で筋の中をかき回し、お互いの快感が絶頂に達したところで、息子の先端を膣口にあてがった。
その時だった。
故意なのか、偶然動いてしまったのかはよく分からないが、プルーンがグイっと腰を前に突き出したその瞬間、俺の息子が、じゅりゅんとプルーンの中に挿ってしまった。
「あれっ!?」プルーンもびっくりしているようだ。
「ああ、プルーン大丈夫か? 痛くないか?」
俺はすぐに息子をはずそうとするが、プルーンに制止された。
「あ、待ってゆうた……ちょっと痛いけど、大丈夫。我慢できる。
だからもう少しこのままでいて」
そう言って深呼吸しながら、プルーンは俺に両腕でしがみついて来る。
なんてこった。二回戦目でおれの息子が若干半勃ちだったのか、それともお互い本当にリラックス出来て挿れる事が出来たのか……。
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俺は、うれしくてたまらなかった。
「うん、だいぶ慣れてきた。ゆうた。少し動かしてもいいよ」
ものすごい締め付け感があり、最初は動かすのも大変だったが、俺はゆっくりピストン運動を開始した。
「んっ、んっ、あっ、あっ」
それに合わせてプルーンが可愛い喘ぎ声を上げる。
そして心なしか、だんだんスムーズに前後運動が出来る様になってきた。
「ああ、俺いく! いくぞ、プルーン!」
「うん、来て、ゆうた。思い切り奥に!」
どぴゅぴゅー!
大量の精液がプルーンの奥に入っていった。
「はあ、はあ……あはー、出来た! ゆうたと合体出来た!」
プルーンは肩で息をしながら、しみじみとそう言った。
そして、二人で口づけをかわし、その後、しばし余韻を楽しんだ。
◇◇◇
三日後。いよいよ、姫様の王都脱出作戦が開始された。
作戦の第一目標は、姫様を俺の家からミハイル様の上屋敷にお連れすることだ。
これは、みんなが作戦に協力する事になっていて、俺の家に集合して、最後の作戦会議だ。
プルーンとメロンは、昨晩いっしょに寝たというか、遅くまでずっと二人で話をしていたらしい。二人は、ちゃんとお別れの準備が出来たんだろうな。
そして、プルーンがたまに俺の顔を見て、なんかニヤけているのを、エルルゥが目ざとく見とがめ俺に言う。
「あんたも、やる事ちゃんとやれたんだね」
「よけいなお世話だ」俺も顔を赤くしながらそう言った。
俺は先に上屋敷に入って、いつものように家族が迎えにくるのを待つふりをする。
あっちゃんにはメロンの服を着せ、偽のしっぽを付けた。
次に、あっちゃんが獣人っぽく見える様、エルルゥが化粧を施す。
そして耳の部分がどうなっているかわからないように、大きな帽子をかぶせる。
あとは、花梨を抱っこしてもらい、偽メロンの完成だ。
周りに怪しまれないよう、一週間位前から、メロンには、この格好で家から上屋敷まで、俺を迎えに来るような感じでうろうろしてもらっていた。
いよいよ決行の時間となり、星さんと偽メロンが家を出た。
プルーンが少し離れたところから、周囲を警戒しながら尾行していく。
星さんが近所の人とあいさつを交わしながら、みんな、卒なく上屋敷の方へ進んでいった。
そして、途中何事もなく、姫様を上屋敷までお連れすることに成功した。
本物のメロンには、朝の早いうちから人混みに紛れて上屋敷に入ってもらっていたので、そこで姫様と着衣を替え、星さんと共に花梨を抱いて、家に帰って貰った。
やがてプルーンも裏から上屋敷に入ってきて、第一段階終了だ。
ここからミハイル様のところまで、今夜中に早便を出す。
それには俺も乗り込む手はずだ。
またひと月ぐらい家を空けてしまうのは忍びないが、姫様とプルーンの二人は、要所要所で箱の中に入らないとならず、事情を知っているものがフォローするのが良いということだ。
まあ、ミハイル様にもお会いして、いろいろお話したいしな。
夜半すぎ、上屋敷から早便の馬車が、イルマンに向けて出発した。
王都の門は、その時の門番が、王女を支援する貴族の息がかかっている人だそうで、いいかげんな荷改めだけで問題なく抜けることが出来た。
明け方近く、馬車が街道からちょっと奥まったところにある農家に立ち寄り、休憩をとった。ここで、姫様もプルーンもようやく身体を伸ばす事が出来た。
そこへ、数人のエルフが近づいてきて、俺は一瞬身構えたが、姫様とプルーンは、よく知っている人のようだった。
「姫様、長い間ご不自由をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。ここからは私もご一緒致しますので、どうかお心安らかに」長身のエルフ女性が姫様に挨拶した。
「クローデルさん。お迎えご苦労様です。ここまで来られたのは、一重にあなた方のお力添えのおかげです。改めて礼を申します」
プルーンによると、この人が、今回の王女亡命を主導していた貴族につながる、近衛の上官らしい。
「プルーンさん。あなたもご苦労様です。それから、この先も姫様をお守りくださいますよう、宜しくお願い致しますね。それと……あなたがゆうたさんでしたか? お名前はプルーンさんから……今回もいろいろご協力いただいたとか」
「あ、いえ、大したことはしていません。すべてプルーンの言う通りにしたまでで」
「そうですわよね。ここからミハイル卿のところまで、私も馬車に同乗させていただきますが……申し訳ないのですが、少し私とは距離を置いていただけると……」
「クローデル! 控えなさい!」
突然、姫様がクローデルさんを叱責した。
「ゆうたさんは、素晴らしいお方です。人間だからというだけで偏見を持って接してはいけません! たしかに人間は少数でこちらに流されてきてしまい、うまく適応できずに他人に迷惑をかけることがあったかも知れません。ですが、彼らは本来、大変賢く、私たちよりはるかに優れた技術を持った種族なのです。先入観で軽んじてはいけないのです」
「あ、ひ、姫様……申し訳ございません!」
口ではそう言ったが、クローデルさんは、ものすごい形相でこちらを睨んでいる。
いやー、変に逆恨みされるくらいなら、差別されてる方が楽かもなーと、ちょっと思ってしまったが、姫様があそこまでおっしゃってくれたのはうれしかった。
やがて休憩が終わり、クローデルさんとお付きの侍女二名も馬車に同乗した。
俺は御者さんの隣に移ろうとしたのだが、姫様が、俺とクローデルさんが仲良くできるようにと、二人並べて馬車の中に座らせた。だが、これはこれで、針のむしろのような気がする。
通常、王都とミハイル様領とは、馬車で片道二週間くらいで、途中、商会が契約している農家などに宿泊したり、休憩したりしながら移動する。しかし、今回は早便なので、休憩は取るが宿泊はせず、御者だけ途中で交代し移動を続けるので、乗っている者は馬車内で睡眠をとらないといけない。
最初は露骨に俺を嫌がっていたクローデルさんも、三日位したら慣れた様で、馬車移動が退屈なこともあるのか、ちょこちょこ俺に話掛けてくる様になった。
姫様が俺の家に滞在中にどんな事があったとか、粗相はなかったかとか……いやーそんな事ある訳ないじゃないですか……口ではそう答えたが、いつ天然のお姫様が不穏な事を口にしないかと、俺の内心はずっとヒヤヒヤし通しで、プルーンはそんな俺を冷ややかな眼で見ていた。
さらに三日後、ミハイル様領に入る直前に、王都側の検問があったが、クローデルさんが地位をかさに着て一蹴して荷改めを受けることもなく通過し、無事イルマンに到着した。
ここまで来れば、もう王都の権力は及ばない。第二関門クリアといえよう。
俺はミハイル様の上屋敷の下働きなので、別にここにいても何も問題ないが、他の人は隠密行動であり、ホイホイとミハイル様にお会いするのはお互いに危険だ。
姫様は、例の貴族用の部屋がある宿に宿泊される予定で、クローデルさんもプルーンも同じ宿だ。
まったく、プルーンにとっても俺にとっても因縁深い宿だな。
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