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第一章 本編
第33話 岐路
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翌日、俺はエルルゥを連れ、例の不動産屋に、新たに部屋を借りにいった。
「エルルゥ、お前もしかしてさ。星さんが花梨を連れて王都に行くって知って、こっち来るの早めてくれたのか?」
「えー、まさかー。王都でゆうたとプルーンが毎日エッチしてるかと思ったら、一日も早く邪魔しにいかないとって思ってさ。でも、村出る時には、首も座ったかどうかの赤ん坊だったし、偶然とはいえ人手が増えてよかったんじゃない?」
「……お前、見かけよりいいやつだよな」
「何それ。見かけ通り……でしょ!」
エルルゥのおかげで何の問題もなく、今の俺の部屋から二階上にあるちょっと広い部屋を借りられ、そこにエルルゥとプルーン・メロン姉妹とあっちゃんが移り、星さんと花梨が俺といっしょという事になった。だが、なかなか新婚さんのスィートホームという訳にはいかず、メロンとあっちゃんが、しょっちゅう出入りしては、花梨と遊んでくれたり、家事を手伝ってくれていた。
エルルゥは王都にいくつかあるファッション系の専門学校を見学して回るようだ。
プルーンは、コーラル伯爵領にあっちゃんを移送する計画を詰めるべく、ほぼ連日、外出している。
それでも、夜は星さんとの時間が持てる。だが、それでつがい放題かといえばそうでもなく、花梨の夜泣きやら授乳やらおしめ換えやらで、正直、俺もあまりよく眠れないし、星さんも疲れ切っている事が多く、そんな星さんを求めるのもちょっと気が引ける。育児って本当に大変なものなのだなと、自分の親に感謝した。
「ゆうくん。ゆうくん。ちょっといいかな?」
ある深夜。星さんが俺に話かけてきた。
「ごめんね。寝てた?」
「あ、いや大丈夫です。夜中の育児を星さんばかりに押し付けるつもりはありませんし、何か手伝いましょうか?」
「ありがとね。いや、今さっき、花梨におっぱいあげておしめ換えて、当の本人はスースー寝ているんだけど、私がね……」
俺はちょっと期待して、そういう星さんの顔を見つめる。
「あのね、ゆうくん……おっぱいが張って痛くてしょうがないの。ちょっと吸ってくれないかなー」
「いやいや、おれもう子供じゃないですし……」
「何言ってんのかなー。こういう時おっぱい吸ってくれるのは、旦那様の役目だと思うんだけどなー」
「そうなんですか?」
そう言われては仕方がない。俺は、星さんに向かい合って座り、以前にもまして巨大化している星さんの乳房に吸い付いた。
ちゅー。
「ああ、そうそう。そんな感じ。でも、口だけで吸わないで、もう少し力入れて、こうギューって感じで、おっぱい全体を両手で絞る感じで……お願いだから極力吸いつくしてね。あと、もう片方もね」
これ、母乳でお腹がいっぱいになりそうだ。ああ、やっぱり育児って大変だな。
◇◇◇
そうして、トクラ村のみんなが王都に集合し二週間を過ぎたある日、プルーンがみんなを集めて言った。
「私、あっちゃんといっしょに、コーラル伯爵領に行こうと思うの」
「そりゃ、ちゃんと送り届けるのが筋だろ」俺がそう言うと、
「それだけじゃなくて、正式な従者として、ずっと姫様にお仕えしようと思うの」
「えー、それじゃ、お姉ちゃん。ずっと帰ってこないの?」メロンが驚いて言う。
「そうなるわね。それでねメロン。あんたどうする? 私といっしょに伯爵領に行くもよし。エルルゥみたいに王都で勉強するもよし。幸い、姫様の件で結構な報償貰っているから、お金の心配はしなくていいわよ」
「えー、そんなこと急に言われても……それにゆうたとのつがいはどうするのよ」
「うん。ゆうたは何とか王都での家族の生活基盤も整ったし、星さんと花梨ちゃんとここで暮らしながら、自分の世界に帰る調査を進めるのがいいと思うんだ。
わたしも……ゆうたの事を嫌いになった訳じゃないんだけど……まあ今は、つがいより姫様優先かなって思ってさ。いいよね、ゆうた?」
「ああ、別れて暮らすのは寂しいが、それはお前が決める道だと思うぞ。行き来は大変だが二度と会えない訳でもないし……それに、元の世界への帰還が絶望となったら
俺達も海のそばで暮らすのもいいかも知れないしな」
「ありがと、ゆうた。それじゃ、メロン。今すぐでなくていいから、考えてくれないかな。私としては、あんたに王都の魔法学校とかに入ってもらってもうれしいかも」
「わかった……うん、でも今決めた! 私、王都に残って学校行く!」
「えっ、本当にいいの? お姉ちゃんといっしょじゃなくて……」
「王都に来るまでの間、私、エル姉とずっとお話してたんだ。王都に着いたら何をしようかってさ。それでね、私は、イメンジがせっかくお金貯めてくれていたんで、学校行きたいなって言ったの。さすがに私一人だけだと寂しくてだめだけど、近くにエル姉やゆうたたちがいれば大丈夫だよ。お姉ちゃんはお姉ちゃんにしか出来ない事をするべきよ。お姫様をちゃんと守ってあげてね」
「ああ。わが妹は、いつの間にか子供じゃなくなっていたのねー。いっつもあたしの後ばっかりついて来てたのにー」
なんだよ、言い出しっぺのプルーンの方が寂しそうだぞ。
そうして、メロンは、エルルゥと同居して、二人でそれぞれの学校にかよう方向で話がまとまった。
「エルルゥ、お前もしかしてさ。星さんが花梨を連れて王都に行くって知って、こっち来るの早めてくれたのか?」
「えー、まさかー。王都でゆうたとプルーンが毎日エッチしてるかと思ったら、一日も早く邪魔しにいかないとって思ってさ。でも、村出る時には、首も座ったかどうかの赤ん坊だったし、偶然とはいえ人手が増えてよかったんじゃない?」
「……お前、見かけよりいいやつだよな」
「何それ。見かけ通り……でしょ!」
エルルゥのおかげで何の問題もなく、今の俺の部屋から二階上にあるちょっと広い部屋を借りられ、そこにエルルゥとプルーン・メロン姉妹とあっちゃんが移り、星さんと花梨が俺といっしょという事になった。だが、なかなか新婚さんのスィートホームという訳にはいかず、メロンとあっちゃんが、しょっちゅう出入りしては、花梨と遊んでくれたり、家事を手伝ってくれていた。
エルルゥは王都にいくつかあるファッション系の専門学校を見学して回るようだ。
プルーンは、コーラル伯爵領にあっちゃんを移送する計画を詰めるべく、ほぼ連日、外出している。
それでも、夜は星さんとの時間が持てる。だが、それでつがい放題かといえばそうでもなく、花梨の夜泣きやら授乳やらおしめ換えやらで、正直、俺もあまりよく眠れないし、星さんも疲れ切っている事が多く、そんな星さんを求めるのもちょっと気が引ける。育児って本当に大変なものなのだなと、自分の親に感謝した。
「ゆうくん。ゆうくん。ちょっといいかな?」
ある深夜。星さんが俺に話かけてきた。
「ごめんね。寝てた?」
「あ、いや大丈夫です。夜中の育児を星さんばかりに押し付けるつもりはありませんし、何か手伝いましょうか?」
「ありがとね。いや、今さっき、花梨におっぱいあげておしめ換えて、当の本人はスースー寝ているんだけど、私がね……」
俺はちょっと期待して、そういう星さんの顔を見つめる。
「あのね、ゆうくん……おっぱいが張って痛くてしょうがないの。ちょっと吸ってくれないかなー」
「いやいや、おれもう子供じゃないですし……」
「何言ってんのかなー。こういう時おっぱい吸ってくれるのは、旦那様の役目だと思うんだけどなー」
「そうなんですか?」
そう言われては仕方がない。俺は、星さんに向かい合って座り、以前にもまして巨大化している星さんの乳房に吸い付いた。
ちゅー。
「ああ、そうそう。そんな感じ。でも、口だけで吸わないで、もう少し力入れて、こうギューって感じで、おっぱい全体を両手で絞る感じで……お願いだから極力吸いつくしてね。あと、もう片方もね」
これ、母乳でお腹がいっぱいになりそうだ。ああ、やっぱり育児って大変だな。
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そうして、トクラ村のみんなが王都に集合し二週間を過ぎたある日、プルーンがみんなを集めて言った。
「私、あっちゃんといっしょに、コーラル伯爵領に行こうと思うの」
「そりゃ、ちゃんと送り届けるのが筋だろ」俺がそう言うと、
「それだけじゃなくて、正式な従者として、ずっと姫様にお仕えしようと思うの」
「えー、それじゃ、お姉ちゃん。ずっと帰ってこないの?」メロンが驚いて言う。
「そうなるわね。それでねメロン。あんたどうする? 私といっしょに伯爵領に行くもよし。エルルゥみたいに王都で勉強するもよし。幸い、姫様の件で結構な報償貰っているから、お金の心配はしなくていいわよ」
「えー、そんなこと急に言われても……それにゆうたとのつがいはどうするのよ」
「うん。ゆうたは何とか王都での家族の生活基盤も整ったし、星さんと花梨ちゃんとここで暮らしながら、自分の世界に帰る調査を進めるのがいいと思うんだ。
わたしも……ゆうたの事を嫌いになった訳じゃないんだけど……まあ今は、つがいより姫様優先かなって思ってさ。いいよね、ゆうた?」
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「わかった……うん、でも今決めた! 私、王都に残って学校行く!」
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