【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!

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第一章 本編

第7話 プルーン

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 バルア親子の村にお世話になって、約半年が経過した。
 
 日常の挨拶や、いろいろな名詞はかなり覚えたと思う。
 ただ、意志疎通の会話となると、まだ簡単な単語や構文のものしか理解できず、まだまだの状況だ。
 村についたころから、日に日に寒くなっていき、ピーク時には、村の中でも二mくらい積雪したが、このところ、めっきり春めいていて雪も解け、木々も萌えだしているのが判る。

 まったく、あのタイミングで助けてもらったのは天祐としか思えない。
 あかりさんと二人だけでは、あの冬は越せなかっただろう。まあ、いまだに納屋の藁床でペット扱い? なのだが。

 俺の最近の主な仕事は、畑を耕すことだ。雪解けを待って、トクラ村の人達が一斉に畑の準備を始める。星さんは、主にバルア家の家事を手伝っている。

 どうやらプルーンとメロンには母親がいないようなのだが、事情は会話が出来なくてよくわからない。そう思っていたら、ある天気のよい暖かな日の午後、バルアとプルーン、メロンとともに外出し、行った先は、どうやら墓地らしかった。

 小さな石積みの前に、プルーンとメロンが花束を置いて黙とうしている。どうやらここが、彼女らのお母さんのお墓なのだろう。
「こっちの世界にもお彼岸とかあるのねー」と星さんが言う。確かによく見ると、墓地のあちこちに人が来ていて花を手向けている。そういうお彼岸みたいな時期なのだろうか。

 プルーンもメロンも自分たちのお母さんの替わりというわけではないだろうが、星さんにとてもなついていて、メロンなどは、たまに夜中に俺達の藁床に入り込んできて、星さんと一緒に寝たりしている。
 もちろん俺がメロンに触れたりしたらバルアが黙っていないだろうから、細心の注意を払い、そんな時は寝る位置をずらしたりしているのだが、お墓参りのその日の夜はプルーンとメロンが二人で藁床に入ってきた。
 仕方ない、今日のところは俺の偽奥さんを譲ってやろうと、納屋を出た。

 もう夜でもかなり暖かくなっていて、たいていのところで寝ても凍死したりはしない。でも、まだちょっと寝るには早いかなと思い、先日作った木刀で素振り稽古を始めた。剣道の稽古もこっちにきてからかなりご無沙汰だったため、腕が落ちているのは歴然だ。将来、王都に殴り込むためにも、もっと鍛えないとなと、つい力が入る。
 
 そうしたらバルアが家から出てきて言った。
「ゆうた。狩り。一緒。行く?」
「狩り? おもしろい。何捕る?」
「鳥、うさぎ、狸……」
「でも、俺、これ、木刀」
「追い込む。殴る。大丈夫!」
 なんとか意味は通じたぞ。

 二日後。
 俺は、バルアら数人の村の男たちと狩りに出かけた。

「村、外、魔獣、危険。一人。ダメ」
 なるほど、それでみんな、狩猟用の道具以外に大剣やソードを身に着けているのか。道理で子供たちが付いて来たがっていたのを諫めたわけだ。まあ、俺も危なそうだなと思って、星さんに留守番をお願いしたが……。

 そもそも村の獣人たちは、俺なんかよりよほど鼻が利くようで、森に入るとあっという間に小動物の通ったらしいけもの道を見つけ、そこにワナを仕掛けたりしている。

「ここ。待つ。俺達、追い込む」
 おれはバルアに小さな崖の脇で、待機を命じられた。多分、ここに動物を追い込むのだろう。しばらくすると、はたして、なにかがものすごい勢いでこちらに向かってくる。俺は神経を研ぎ澄まして木刀を構える。

 目の前のブッシュから、大きな黒い塊が飛び出し、崖の前で失速した。その瞬間、俺は木刀をその黒い塊の頭と思われる部分に素早く打ち込んだ。

「ピキ――――――」
 黒い塊は、その場にもんどりうって倒れた。すかさず側にいた村人たちがとびかかり、とどめを刺している。イノシシのようだ。

「ゆうた。よくやった。すごい」バルアがほめてくれた。
「ゆうた。ウォーウルフ。やった。本当」
 何だ、今まで信じてくれてなかったのかな? でも、認めてくれたのは悪い気はしない。

 村人の一人、オキアという、リーダー格らしい若者が、身に付けているソードを貸してくれた。振ってみろということらしい。日本刀と西洋風のソードとでは、扱い方が全く違うので、あまり格好よくは振れなかったが、ぱちぱちと拍手してくれたので、なんとか形にはなっていたのだろう。
 彼は、バルアに向かってこう言った。
「バルア。ゆうた、預けろ」
 こうして、俺に、ソードの師匠ができた。

 その日の狩りは大成功だったようで、村総出で宴会となった。原料はよくわからないが、ワインのような果実酒もふるまわれていて、俺は未成年なので遠慮したが、星さんは、日ごろの鬱憤を晴らすかのように、結構飲んで真っ赤になっている。

「ゆうくーん。すごいねー。イノシシ一撃だったんだってー。おかげで、久しぶりにお肉が食べられたー。もしかしらたあのウォーウルフ食べた時以来かもー」
 いい感じで出来上がっているようではあるが、せっかく羽を伸ばして楽しんでいるようなので、放っておこうと思う。そうしたら、俺のところにプルーンが寄ってきて言った。

「ゆうた。ソード。習う? 私。習いたい」
「えっ? それは、バルアがいいと言わないと」
「イメンジ。ダメ。いい。言わない」
「だったら。だめだよ」
「ゆうた。教える。私。秘密」
「えっ? えー。そんなの無理無理。万一怪我でもさせたら……」
 最後のほうの言葉はプルーンにはわからなかったようだったが、彼女のまなざしは真剣だった。

「どうして。習う。ソード」
「秘密。私。魔獣。倒したい」
 そうは言ってもなー。なんか理由はありそうだが……。
 でも、すぐに引き下がりそうにもないので、思案の末こう言った。

「教える。いい。ただし。指図。守る。絶対」
「ありがと!」そう言ってプルーンは思い切り俺に抱き着いて頬にキスした。
 うわっ、バルア見てないよな! ふー、そういや里長さとおさのところに行ってたっけ。

「あー、おまわりさーん。ここに幼女の敵がいまふよー」なっ、星さんがみてた?
「こらーゆうたー。私という偽奥さんがありながら、こんなかわいい子をたぶらかすとはー。ひゅるへん、あれ?」もう、相当出来上がっているようだ。
 でも、自分で偽って言ちゃってるよ。仕方ないので、星さんを肩に抱えて納屋の藁床まで連れていった。メロンが水を持ってきてくれたが、今夜の星さんはこんな感じなので、ここでは寝られないよとなんとか伝え、自宅に戻ってもらった。

「ゆうたー。さびしいよー。灯に会いたいよー」
 酔って、普段心のうちに秘めている思いがあふれてきてしまっているのだろう。仕方なく、星さんの頭をいい子いい子して撫でてあげる。

「へへ、ゆうた優しいねー。私もたまにはゆうたをいい子いい子してあげないとねー」そう言いながら、星さんが俺ににじり寄ってきて、いきなり俺を押し倒した。うわ、酒クサ!

「ふふ、ゆうたー。いい子いい子」
 そう言いながらなぜか星さんは、俺の股間の息子を、ズボンの上から撫で始めた。
「いや、待って星さん。そこ頭じゃないから! 
 いや頭だけど頭じゃないから!」
「大丈夫―。偽奥さんでもキスまではノーカン!」
 そういいながら星さんが俺の股間に顔をうずめる。

「だめー星さん。そこ顔じゃないから。
 いや、顔でもキスはだめー」
と、そうしてもがいているうちに、星さんが動かなくなった。どうやら寝落ちしてくれたようだ。
 ふー、危なかったー。でも正直、ちょっと残念に思っている自分もいた。

 星さんは、とても魅力的な女性だけど、この人は灯のお母さんで、将来は自分のお義母さんになる人なんだと、何度も自分に言い聞かせた。

 そして、興奮して大きくなったままの自分の息子に息抜きをさせるため、俺は納屋の外に出ていくのだった。

◇◇◇

 翌朝は、日の出とともにオキアの家に向かいソードの稽古をつけてもらった。
 朝練なんて久しぶりで、結構ワクワクしていた。
 星さんは酒臭いまま爆睡していたので、そのままにしてきたが、どこに行くかちゃんと言って来なかったため、案の定、訓練から戻ったときには、納屋の前でおたおたしていた。

「あー、ゆうくん……私、結構酔っぱらってて、あいそつかされたかと思ったー。あんまり覚えてないんだけど、私何かやらかしたかなー……うう、頭痛い」
「いやいや、こんなに早くに目覚めるとは思っていなかったんで……今日からオキアさん家で、ソードの朝練をやることにしたんですよ。星さんは、酔っぱらって寝落ちしちゃっただけですし、たまにはストレス発散したほうがいいですよ」
「ううっ、ゆうくんが優しい……やっぱ、何かやらかしたのねー」

 そのまま朝食をとり、俺はいつもの畑仕事にとりかかった。星さんもメロンと洗濯しているようだが、二日酔いがかなりひどそうで、動きに精彩がなかった。

 そして一日が終り、夜になって、プルーンと約束の時間になった。彼女やメロンが納屋に来るのは日常茶飯事なため、バルアもまさか納屋の裏でプルーンが剣の稽古をはじめているとは思わないだろう。

「プルーン。最初、ソード、持たない。体力、訓練」
「えー! ソード、振りたい」
「ダメ。剣術、体力、必要。基本、重要。
 俺、命令、絶対」
「わかった……」

 そうして、俺は彼女の体幹を鍛える目的で、スクワットの形を一回やってみせた。
「今日、これ、十回。明日、一回、増やす。明後日、また、一回増やす。三か月、百回、成功、ソード、振る」
 ちゃんと伝わったかな。一日に一回ずつスクワットの回数を増やしていき、最終的には、一日百回こなせるようにする。子供のうちは、体が柔らかい分、無理が効いてしまい、好きにやらせるとオーバーワークで体を壊してしまうことがままある。

 俺は、まだプルーンの体力がどの程度かちゃんと把握できていないので、無理のないところから徐々に進める腹だ。

「……八、九……十。終わった。もっと、訓練、したい」
「ダメだ」
「ちぇッ!」
 星さんとメロンも見ていたが、余りにあっけなく終わったので拍子抜けしているようだ。メロンが真似してスクワットしだしたので、慌てて止める。
「メロン。だめ。子供、ダメ」
 俺がそういうのとほぼ同時に、プルーンがメロンを止めた。十回とはいえ、この運動のキツさを彼女は正しく理解したようだ。

 こうして、俺とプルーンのソード修行が始まったのだった。

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