【R18】特攻E小隊

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第二章 E小隊・南方作戦

第二十七話 花嫁

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 沙羅が推薦状をもらい直しに旅立ってからひと月くらいして、俺に外泊許可がでた。
 マイケルに迎えにきてもらい、久々に十二師団本部に帰ってきた。
 食堂のところで、みんなが待っていた。

「おかえりなさい、ローアイ中尉」
 アイリス中尉が花束を持って迎えてくれた。
続いて、A小隊の、メグ・リサ・ハミルが、そしてE小隊のエル・カレン・コトブキが一輪づつ花を手渡してくれた。推し小隊の連中も口々に声援を送ってくれている。
 生きて帰ってこられて本当によかったと、しみじみ実感する。
 ポコは、新しいシェルがもらえたようだが、前のより流線形でかなりカッコいい、と思ったら、目の前に着陸し、中からご本人が出てきて、俺に花を一輪渡してくれた。

「ほんに、無事てようありんした。カレンはんがほんまに必死で治療したんでっせ。たーんとほめてあげて下さいな。ほれ、カレンはん、もっと近うに」
 コトブキに手を引かれ、カレンが俺の前に出てきた。
 カレンは、無言で、俺と視線を合わせないようにうつむいている。
 やはり、俺に触れなければならなかったことを怒っているに違いない。

「カレン、すまなかったな。無理やり俺に触れるはめになって、本当にすまん。おれは、いつもお前の気持ちを逆なでしているよな。シールドではじかれなかっただけでも感謝しないとな……」
そのとき、いきなりカレンが両手を広げて俺に抱きついてきた。
「あ、カレン。無理するな! 今シールドではじかれると俺……って大丈夫なのか?」
「もう、ばか小隊長。大丈夫に決まっているじゃないですか。みんなの前で、あんなエッチなことまでしたんですから……」
「え、え、何がどうなって……」
「なんでもあらしまへん。カレンはんも、小隊長はんが大好きになってしまったでありんす。
 だから、元気になったら絶対エッチしてほしいて言ってたんでありんすよ」
 コトブキのよくわからない話で混乱している俺の側に、エルが近寄ってきた。いや、この状況はまずいだろ……

「小隊長。わたしは、小隊長が生きて戻ってくれただけで満足です。それで、私をお嫁さんにする話は、忘れてくれませんか?」
な! 絶対怒ってるだろこれ。カレン、もう離れてくれって、あ、おれの息子に触るな!
「ちょっとまて、エル! これは、この状況は……その、カレンがどうにかなっちまったようだ。なんでそんなことを言う? 俺が好きなのはお前なんだぞ!」

 うわ― ぱちぱちぱち……
 周りですごい拍手が起こった。

「小隊長……わ、わたし。あのくそ虫に…………もう全然綺麗な身体じゃないんです。
だから、もう私……」
「ばかやろ―。それがどうした! よくわからんが、多分、俺もなんかやらかしているようだ。それにコトブキとも……あっ、いや、そうじゃなくて……チクショ―、俺はエルがいいの―!」

 うわ― ぱちぱちぱち……
 さっきよりすごい拍手が巻き起こった。

「小隊長……本当に私でいいんですか? カレンさんも沙羅ちゃんも、それにコトブキさんも? 小隊長のことが好きな人がたくさんいると思うんですが、それでも
私でいいんですか?」
「お前じゃなきゃダメ!」
「ああ―、小隊長?」
 エルが満面の笑みで俺に飛びついてくる。
 それを精一杯受け止めてそのまま、口づけをかわした。

「……あの―、あちきは候補からはずしてもらって大丈夫でありんすよ。でも、カレンはん、振られちゃったかな―」
「いいえ、コトブキさん。まだあきらめてはいなくてよ。多分、馬鹿沙羅もまだあきらめていないでしょうね。どうせエルフの貞操観念なんて、愛人でも内縁でもお妾でもセフレもで、なんでもありなんですもの。長い人生、楽しんでいくだけですよ」
「ありゃ―。ほんに一皮も二皮もむけてしまはりましたな。その心意気なら、あんたはん、風俗嬢でも食べていけるでありんすよ」
「え―、それはまだ、ちょっと……嫌でありんす!」

 俺とエルは、周りの人たちから祝福を受けていた。
「で、いつ頃入籍されるんで?」メグが俺に質問してくる。
「いや、まあエルが退役したらかな……」
「あら―。だとしたら、その日はそう遠くないかもしれませんな―」
 メグのおどけたしゃべり方で、はははっと周りが笑う。

「でも、あんまり愛し合いすぎて…………
 くれぐれも、師団本部を吹っ飛ばしたりしないで下さいね!」

 実際にあり得ない話でもなさそうで…………
 俺もエルも、周りのみんなも、お互いの顔を見合わせながら、大声で笑いあった。

(終)
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