【R18】特攻E小隊

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第二十三話 マナ酔い

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「はあ、はあ……ねえポンコツ、もう何匹くらいやっつけた―? まだ居る―?」
「無力化二十七体。スキャン領域内に、アト十数体、行動可能個体ガイル模様」

 暗闇ではあるもののポコのスキャンとエルフの夜目で、タ―ゲットは十数m手前で補足できるが、今までに経験したことがない魔法弾の連射で、沙羅も肩で息をしているのがわかる。俺も、もう足が棒になりそうだ。
 敵人間兵が要塞から繰り出してくる気配は無かったため、ある程度進んだところで盾になると言ってくれた兵士たちを、かえって足手まといになるからと、先に行かせていた。

「おらっ、もう一匹!」
 少なくとも、ぱんつを脱いだ沙羅の目論見は当たっていたようだ。
 俺の首筋と沙羅の秘部が接する部分で、ピリピリとした刺激がはっきりあり、マナがものすごい勢いで彼女に渡されているのが体感できる。
 そして、例のむせ返るような少女のにおいと共に、沙羅がロッドを振り上げるたび、彼女の秘部が、くちゅっ、くちゅっと俺の首すじにディープキスをするかのごとくまとわりついてくる……このピリピリした感じで、沙羅も感じてしまっているのだろうか? 首筋がどんどんしっとり濡れてくるのがわかる。(いかん、いかん、気をしっかり持て! 俺!)
 しかし、沙羅の魔法弾は、飛距離も威力もますます増大しているように思える。エルやカレンもそうだが、エルフの魔力発動は、性的興奮と何等かの関係あるのかも知れんと、やはり考えてしまう。

「おっしゃ、これで三十八匹!」
 もう、沙羅も俺もへとへとでびしゃびしゃだ。
 チームブラボーのメンバは、足の速いものなら、もう友軍陣地にたどり着いたものがいるかも知れない頃合いだ。相変わらず、敵味方の砲弾が頭の上を飛び交っているが、暗闇の中を個々に走っている者たちには、散発的な、あてずっぽう狙撃しかなく、これも思惑通りだ。

「三十九だ! くそったれ!」
 沙羅が吼える。
「掃討完了。スキャン範囲ニ敵影ナシ」
「はは―、あと一匹出てこないかな―。せっかくの大台目前なのに―」
「強がりを言うな。ヘロヘロじゃないか。とにかく、ここで休んでいる暇はない。俺たちも友軍陣地に急ぐぞ! このまま担いでいくから、お前はそのまま休んでろ」

 その矢先、ポコがアラートを発した。
「どらごん! 直上!」
 くそっ、もう来やがったか。

 しばらくすると、ドラゴンは友軍陣地の手前に着陸し、複数のサーチライトに照らされていた。行く先を塞がれたか……そう思っていると、先行して走っていた一部の兵士たちがこちらに戻ってきたが、その中にはエルフたちやマイケルを背負っていて足の遅かったもの達も含まれていた。

「少尉! あれでは友軍陣地にたどり着けません。至急、編成を組みなおして、別ルートの検討を!」
 どうすべきか検討しようとしたその時、
「敵要塞カラ人間兵ガ出撃シテ、コチラニ向カッテいまス! 数不明。タダシ続々出デクル模様」
 ポコがまたアラートを告げる。
「くそ、悠長に待ってはくれんか……」
 ドラゴンが前衛に立ったことで、ここぞとばかりに攻勢をかけてきたに違いない。

 だが、かえって腹が座った。
「いや、ドラゴンはずっと友軍陣地の方を向いている。これは、チームアルファが俺たちのために奴の注意を引き付けていると見るべきだ。もうみんな体力も限界に近いし、マイケルやエルフたちも、一刻も早くちゃんと治療してやりたい。なので、ここはドラゴンの足元を強行突破する!」
 皆ちょっと驚いたようだが、すぐに納得してふたたび走り出した。俺と沙羅も、もうスキャンには引っかかってはいないのだが、さらなる竜族の出現に備え、そのまましんがりで進んだ。

 先方を走る連中が、ドラゴンのすぐ脇の足元をすり抜けていく。
 奴っこさん、まさかこんなところから人間が沸いてくるとは思ってもいなかったのか、驚いてきょとんとしているように見えた。
(地上だとそんなに俊敏には動けないようだな。いけるぞ!)
 そう思った次の瞬間、エルフを背負った兵士がドラゴンの脇をすり抜けたが、奴はそれを追い始めた!

「いかん! 沙羅、援護できるか? やつの弱点はしっぽの付け根だ! そこを狙え!」
 沙羅は、半分眠っていたようだ。
「んへっ? ぐぅえっぷ……ああ、行けるよ」
 そう言いながら、沙羅はロッドを頭の上に高く掲げて集中し始めた。
「うっぷ……ぐへ―、最大魔法弾んんん――――」
 ロッドを大きく振り出すと、大きな光球がドラゴンのしっぽの付け根めがけて飛んでいった。そしてそれと同時に、「ウヘ―、ぐぅえろろろろろ――――――――」と、沙羅が俺の頭の上に、思い切り嘔吐した。
「うわっ、沙羅、一体どうした――――」
 そうしているうちに、沙羅の魔法弾はドラゴンのしっぽの付け根に命中した。

「グヒャ――――――」
 ドラゴンが悲鳴を上げながらこちらを振り返ったが、クリティカルヒットではなかったようで、あまりダメ―ジは与えられていない様だ。
 しかしその隙に、エルフを担いだ兵士とその後続は、前方に離脱できたようだった。

「沙羅! どうした? しっかりしろ」
 頭から全身、吐瀉物まみれになりながら、俺は肩の上の沙羅に声をかけるが、俺の頭に寄り掛かったまま、ぐったりしている。どうやら気を失っているようだ。

「沙羅サンノまな代謝ガ停止シテいまス」
 ポコがマナアレイスキャンで解析してくれている。
「なんだって――、死んじまったのか?」
「イイエ。当面ノ生命維持ニ問題ハアリまセン。シバラク休息スレバ元ニ戻ルカト。推測デスガ、通常ヨリ過大ナまな接取ト放出を繰リ返シタコトデ、えるふノ幼少期ニ稀ニ見ラレル、まな酔イノ様ナモノガ発生シタト思われマス」
「マナ酔い?」
 そうか。エルフでも幼少期に、大気中からのマナの接取機能が発達していないことで、起きることがあるが、今の沙羅の場合は、むしろマナの過呼吸みたいなものか?
 とりあえず沙羅の生命に当面の心配はいらなそうで、ほっとはしたものの、それもつかの間、前方からドラゴン、そして後方から人間の部隊が迫ってくる。
 ドラゴンは急所を攻撃されたせいか、怒りで眼が血走っていて、すぐ目の前に近づいてきたかと思うと、そのままこちらにとびかかって来た。

(くそっ、沙羅、俺と道連れですまんな……)

 その時、ドラゴンの後方から、半円上の光の固まりが飛来し、奴の弱点であるしっぽの付け根に見事にヒットした。
(あれは、メグの偃月斬か?)

 その衝撃のせいか、ドラゴンは俺達の頭上を飛び越え、もんどりうって敵要塞のほうに転がって行った。

 ドラゴンが現れてからは、敵兵も外に出撃して来たためか、敵方の砲撃は散発的だ。
 今しかチャンスはないと、俺は最後の力を振り絞って、沙羅を肩に載せ、ゲロまみれのまま、友軍に向かって全力疾走を開始した。


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