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その23:昔の名前(前編)

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「どうして……こうなった……」

 ケモミミな猫型獣人のケミアさんが、窓の月明りを背に全裸で僕の前に立っている。この子、本当に可愛いしスタイルいいよな。それに……男性とのエッチも初めてだっておっしゃっている。
 僕も全裸で彼女に相対して立っている。彼女は僕の右手を掴み、そっと自分の左胸に当てた。はは、すっごく柔らかくて暖かい。ゆっくりと揉みしだくと、だんだん彼女の顔が上気立って赤くなり、息遣いも荒くなってきた。僕もますます大きくなって来た。彼女の右手がその僕を優しく握り、ゆっくりと手を動かす。

「ふはぁ……ケミアさん。本当に僕でいいんですか?」何を今さらなのだが、性格上どうしても聞いてしまう。
「はい。それでお兄さん。一つお願いがあります……これから私が毎日お相手をさせていただきますから……今後、ヨリ……ヨリさんとはエッチしないでいただけませんか?」
「えっ!? そりゃまたどうして? ケミアさんって結構嫉妬深いタチですか?」
「いいえ……その。なんと言うか……実の兄妹で交わるのはあまりに不道徳と言いますか……性欲の問題なら私がお引き受けいたしますので、どうか……」
「あー。でもそれはやはりお約束出来ません。僕はヨリが大好きで愛していて……言葉ではうまく言い表せないんですが身も心も一心同体といいますか……実の兄妹ってところも、異世界なんだからいいじゃないか! って開き直ってますし。それに僕が満たされても、ヨリが満たされない……」
「あ、ああ。そうですよね。せっかく異世界に来たのですから、遂げられなかった思いを成就する……分かりました。私ももう迷いません。さあお兄さん。ヨリさんとの事はとりあえず置いておいて……今夜は私と思い切り交わりましょう!!」

 ◇◇◇

 今日は、久々にメイファーちゃんを伴ってのD級クエストという事で、ノアナさん、リーマ姫とともに、指定された薬草採取の為、ちょっと人里離れた森に来ていた。もちろんメイファーちゃんの実地訓練も兼ねており、特に想定外の危険も無さそうで、僕はちょっとのんびりしながらリーマ姫が一生懸命メイファーちゃんに指導しているのを、ちょっとほほえましく思いながら眺めていた。
 ヨリは……今日は女の子の日だそうで家で留守番している。あの妊娠騒ぎ以来、あまり自分にヒールを使いすぎるのはやめたのだそうで、今日は訓練クエストでもあり、家でじっとしているとの事だった。

「きゃーー!!」突然、森の奥から女の子の悲鳴が聞こえたので、僕はみんなとともに、急いで駆けつける。

 茂みを掻き分けて声の方に近づくと……えっ!? 見ると、十代半ばの半裸のケモミミ獣人の女の子が、獣人のおっさん二人に手足を押さえられ、もう一人にまさに凌辱されようとしていた。彼女の服装からして神官とか僧侶っぽく冒険者と思われるが、これは一体……とにかく、助けないと……。

「この痴れ者!!」リーマ姫が突進して剣を打ち込み、男達は虚を突かれ、したたか打ち据えられた。
「くそっ!! なんでこんな山奥に人が!? おい、逃げるぞ!!
 そう言いながら、男達はその場から逃げていった。
 
「君、大丈夫?」腰を抜かしたのか、地べたにへたりこんでいた彼女に、僕がそう言って手を差し伸べたのだが、彼女は一言も発せず、何かとても恐ろしいものでも見る様な目で僕の顔をじっとにらんでいた。
「ああごめん。大丈夫。僕は何もしないよ。まずはこれでも羽織って」
 そういいながらマジックバッグから毛布を取り出し彼女にかけてあげたのだが、それにも気が付かないのかと思うくらい、まだ僕を睨んでいる。
「ねえあなた。大丈夫? 私の声、聞こえてる?」リーマ姫が改めて尋ねたら、はっと我に返ったかの様に周りをキョロキョロ眺め出した。
「あ……すいません。私は、ケミアと申します。助けていただいてありがとうございます」
「あなた冒険者でしょ? 仲間割れ?」リーマ姫が問う。
「はい……先日、隣の獣人の国で加えてもらったパーティーなんですが、どうやら最初から私の身体目当てだった様で、クエストだと言われてこんな山奥まで連れて来られて……あなた方に助けていただかなければ、今頃は……」
 ケミアさんは猫型獣人で、確かに大層目鼻立ちの整った可愛い顔をしている。それに身体もさっき見た限りでは、小柄ながらかなりのナイスバディだ。
「なんと! 我が国の冒険者がそんなハレンチな事を!! 心配しないで。この第七王女が助けてあげるから」リーマ姫は大層ご立腹で、国元に手配をかけると息巻いていた。

「でも、なんだってあんな連中と組んだの。見るからに怪しそうじゃない?」
 ノアナさんが尋ねた。
「私……身寄りも無くて、日々の食事にも困ってて……でも神官スキルだけだと一人では何も出来なくて。あちこち転々としていたんですが、あの人達、お金もはずむからって……それで……」
「あー、ごめんね。その気持ちよくわかるよ。私も今は、お兄さんに囲ってもらっている様なものだし……」いやいやノアナさん。その言い方は誤解を招きますよ。
「えっ、そうなんですか!? それじゃお兄さん。私も囲っていただけませんか?」
「はいぃ!? なんで突然そうなりますかぁーー? あのケミアさん。ちょっと冷静になりましょうよ。いくらなんでもまだ知り合ったばかりで……僕がどんな奴かもわからないでしょう?」
「あっ、はい。ですが私、もうあちこち転々とするのに疲れちゃってて……それにお兄さん。私が良く知ってる人によく似ていて……優しい人だろうなーって分かります」ああ、それでさっき、僕の顔しげしげと眺めていたのか。
「うん。お兄さんは優しいよ! お兄さん。せっかくだからこの人もお兄ちゃんハーレムに入れてあげようよ」いやメイファーちゃん。お兄ちゃんハーレムは今、休業中だから。

 仕方がないので、今日のクエストをそこで切り上げ、ケミアさんを連れ、街に戻りギルドを訪れた。

「いやー。そんなけしからん冒険者がいるとは……あっちのギルドにも通報しておくね。でもケミアさんだっけ? あなたも気を付けないと。男はこのお兄さんみたいに優しい人ばかりじゃないからね。でもまあ、このお兄さんもあそこは狂暴なんだけどね」カミーユさんがからかう様ににそう言った。
「そんなろくでもない事言わないでよ。ほら、ケミアさんが泣きそうだよ」僕がそう言ってケミアさんの頭をなでなでしたら、ケミアさんが思い切り僕にしがみついて来た。
「ケミアさん。大丈夫だから。僕は紳士だから」そう言う僕にケミアさんが本当に猫みたいにすりすりしてくる。ははは。なんかあったかくてほわほわしているな。女の子ってみんないい匂いがするよな。

 そし僕らはギルドを出て、ケミアさんを連れて家に戻った。

 ⇒後編へGo!
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