41 / 54
その21:冒険者姉弟(前編)
しおりを挟む
「どうして……こうなった………」
今、目の前で最近こちらに転移してきたと言う人間の冒険者姉弟がまさにエッチしようと絡みあっている。
と言うより、弟の方が実の姉を強制的に凌辱しようとしている。
すでにお姉さんはほぼほ下着だけになっており、弟の手が腰のぱんつにかかろうとしている。この弟、たしかにやんちゃそうではあったが……どれだけ欲求不満が溜まっていたのだろうか。まあ、それで街の人たちにも当たり散らしていた様だし……。
いやー、これどうしよう。僕もあんまり強く言える立場じゃないんだよなー。ヨリといっつもヤっちゃってるし……でも……僕の近くにいるノアナさんもリーマ姫も僕になんとかしろと眼で訴えている様だ。まあ、そうだよね。これは止めないと。
「拓君。ごめんね!」
そう言いながら僕は、その弟君に当身を食らわせて失神させたのだった。
◇◇◇
朝、いつもの様にギルドに出勤したら、カミーユさんに呼ばれた。
「ああ、お兄さん。ヨリちゃん。ギルマスが話があるってさ。顔見せたら呼んでくれって言われてたの」
「えっ? 僕達何かしでかしましたかね。もしかしてこの間の皇太后様の件とか?」
「何それ? 何かやらかしたの?」
不審がるカミーユさんを煙に巻きながら、僕とヨリは奥の応接に通された。
「これはこれは、噂の冒険者兄妹さん。こうしてお話するのは初めてですよね」
そう言いながら、結構大柄なドワーフと思われる男性が部屋に入って来た。
「初めまして。私、このギルドの責任者をしております。カーチスと申します」
「こちらこそ、もうここでお世話になって一年以上経つのに、ご挨拶もせず申し訳ございません」僕とヨリが頭を下げる。
「いえいえ。私も余程の事がないと、冒険者さんたちと個別でお話はしませんからね。気になさらないで下さい。それで今日は、お願いがあっておよび立て致しました」
「はあっ……」
「この街から馬車で東に七日ほど行ったところに、マンデルという街があるのですが、そこのギルドマスターからの依頼で、最近転移して来た人間の冒険者姉弟が、素行が悪くて困り果てているとの事で、同じ人間の転移者で高名なお二人に、この姉弟を指導してやってくれないかとの事なのです」
「えー、面倒臭そう。私、人間相手はちょっと……」ヨリが拒絶反応を示す。
「あの、それって、やっぱり商会さん絡みなんですよね。あちらにクレームを入れたりは出来ないんですか?」やっぱりそれが筋だと僕は思う。
「ああ、商会さんも、こっちに来ちゃった人達にどうこう言ってくれたりはしないんですよ。見て見ぬ振りと言ますか、我関せずと言いますか……まあ、まだ死者は出ていないんですが、その絡みで負傷者も出ていて、特に弟は目に余る乱暴狼藉だとの事で、街もほとほと手を焼いている様なのです。それでお二人なら実績も人望もございますし、後輩の転移冒険者の面倒も見ておられる。あなた方より適任はないかと思うのです」
「はー。どうするヨリ?」
「私、そういう話通じなさそうな人達と絡みたくない。どうしてもって言うんならお兄ちゃんだけで行って来て。ああ、ノアナ達連れてってもいいから」
「えーっ。僕だってそれなりにオタクでコミュ障あるし……」
「そこを何とか。人助けだと思って……まずはその姉弟と会話だけでもしてみていただけませんか? それで不調に終わっても謝礼はお支払い致しますから」
ギルドマスターがテーブルに頭をぶつけんばかりに深くお辞儀しながら懇願している。
「そうですね。話だけでもいいっていうなら。でも結果は保証出来ませんよ?」
「はい、それで結構です!」
こうして僕は、そのならず者の転移冒険者姉弟とやらと話し合う為、ノアナさんとリーマ姫を連れ、そのマンデルという街に向かった。
◇◇◇
マンデルに着いた僕らは、真っ先にギルドを尋ねた。ここのギルマスもやっぱりドワーフの男性なんだな。そしてその人から聞いた話だと、問題の姉弟は、茜と拓という人間で、年齢もお姉さんがアラサー位で、弟の方が多分僕と同じ位との事だ。いや、外人だったらどうしようとは思っていたのだが、名前からして日本人だよな。これなら、会話自体は出来るに違いない。
「それで、その姉弟なのですが、特に弟が本当にやりたい放題なのです。道を歩いていて、何か気に入らない事があると見境なく人を殴り、物を壊しますし、店の商品も勝手に食べたり持ち出したり……ギルドでクエストを請け負って収入を得て下さいと言っても聞く耳を持たずでして。かといって商会さん斡旋の転移者ですから始末する事も出来ず。何とか宜しくお願いします!」
「始末って……物騒な話ですが、商会さんってそんなに力あるんですか?」
「はは。彼らに逆らって、この世界で生きてはいけませんよ」
そうなんだ。という事は僕ももっと好き勝手やってもよかったのかな?
今からでも遅くないから、やっぱりお兄ちゃんハーレムを……
「ギルマス! また例の弟が市場で暴れています!!」
いきなり人が部屋に入って来てそう告げた。
「ああ、早速ですがお兄さん。何卒宜しくお願い致します」
僕は、ノアナさん、リーマ姫と眼を合わせて立ち会がり、その現場に案内してもらう事にした。
⇒後編へGo!
今、目の前で最近こちらに転移してきたと言う人間の冒険者姉弟がまさにエッチしようと絡みあっている。
と言うより、弟の方が実の姉を強制的に凌辱しようとしている。
すでにお姉さんはほぼほ下着だけになっており、弟の手が腰のぱんつにかかろうとしている。この弟、たしかにやんちゃそうではあったが……どれだけ欲求不満が溜まっていたのだろうか。まあ、それで街の人たちにも当たり散らしていた様だし……。
いやー、これどうしよう。僕もあんまり強く言える立場じゃないんだよなー。ヨリといっつもヤっちゃってるし……でも……僕の近くにいるノアナさんもリーマ姫も僕になんとかしろと眼で訴えている様だ。まあ、そうだよね。これは止めないと。
「拓君。ごめんね!」
そう言いながら僕は、その弟君に当身を食らわせて失神させたのだった。
◇◇◇
朝、いつもの様にギルドに出勤したら、カミーユさんに呼ばれた。
「ああ、お兄さん。ヨリちゃん。ギルマスが話があるってさ。顔見せたら呼んでくれって言われてたの」
「えっ? 僕達何かしでかしましたかね。もしかしてこの間の皇太后様の件とか?」
「何それ? 何かやらかしたの?」
不審がるカミーユさんを煙に巻きながら、僕とヨリは奥の応接に通された。
「これはこれは、噂の冒険者兄妹さん。こうしてお話するのは初めてですよね」
そう言いながら、結構大柄なドワーフと思われる男性が部屋に入って来た。
「初めまして。私、このギルドの責任者をしております。カーチスと申します」
「こちらこそ、もうここでお世話になって一年以上経つのに、ご挨拶もせず申し訳ございません」僕とヨリが頭を下げる。
「いえいえ。私も余程の事がないと、冒険者さんたちと個別でお話はしませんからね。気になさらないで下さい。それで今日は、お願いがあっておよび立て致しました」
「はあっ……」
「この街から馬車で東に七日ほど行ったところに、マンデルという街があるのですが、そこのギルドマスターからの依頼で、最近転移して来た人間の冒険者姉弟が、素行が悪くて困り果てているとの事で、同じ人間の転移者で高名なお二人に、この姉弟を指導してやってくれないかとの事なのです」
「えー、面倒臭そう。私、人間相手はちょっと……」ヨリが拒絶反応を示す。
「あの、それって、やっぱり商会さん絡みなんですよね。あちらにクレームを入れたりは出来ないんですか?」やっぱりそれが筋だと僕は思う。
「ああ、商会さんも、こっちに来ちゃった人達にどうこう言ってくれたりはしないんですよ。見て見ぬ振りと言ますか、我関せずと言いますか……まあ、まだ死者は出ていないんですが、その絡みで負傷者も出ていて、特に弟は目に余る乱暴狼藉だとの事で、街もほとほと手を焼いている様なのです。それでお二人なら実績も人望もございますし、後輩の転移冒険者の面倒も見ておられる。あなた方より適任はないかと思うのです」
「はー。どうするヨリ?」
「私、そういう話通じなさそうな人達と絡みたくない。どうしてもって言うんならお兄ちゃんだけで行って来て。ああ、ノアナ達連れてってもいいから」
「えーっ。僕だってそれなりにオタクでコミュ障あるし……」
「そこを何とか。人助けだと思って……まずはその姉弟と会話だけでもしてみていただけませんか? それで不調に終わっても謝礼はお支払い致しますから」
ギルドマスターがテーブルに頭をぶつけんばかりに深くお辞儀しながら懇願している。
「そうですね。話だけでもいいっていうなら。でも結果は保証出来ませんよ?」
「はい、それで結構です!」
こうして僕は、そのならず者の転移冒険者姉弟とやらと話し合う為、ノアナさんとリーマ姫を連れ、そのマンデルという街に向かった。
◇◇◇
マンデルに着いた僕らは、真っ先にギルドを尋ねた。ここのギルマスもやっぱりドワーフの男性なんだな。そしてその人から聞いた話だと、問題の姉弟は、茜と拓という人間で、年齢もお姉さんがアラサー位で、弟の方が多分僕と同じ位との事だ。いや、外人だったらどうしようとは思っていたのだが、名前からして日本人だよな。これなら、会話自体は出来るに違いない。
「それで、その姉弟なのですが、特に弟が本当にやりたい放題なのです。道を歩いていて、何か気に入らない事があると見境なく人を殴り、物を壊しますし、店の商品も勝手に食べたり持ち出したり……ギルドでクエストを請け負って収入を得て下さいと言っても聞く耳を持たずでして。かといって商会さん斡旋の転移者ですから始末する事も出来ず。何とか宜しくお願いします!」
「始末って……物騒な話ですが、商会さんってそんなに力あるんですか?」
「はは。彼らに逆らって、この世界で生きてはいけませんよ」
そうなんだ。という事は僕ももっと好き勝手やってもよかったのかな?
今からでも遅くないから、やっぱりお兄ちゃんハーレムを……
「ギルマス! また例の弟が市場で暴れています!!」
いきなり人が部屋に入って来てそう告げた。
「ああ、早速ですがお兄さん。何卒宜しくお願い致します」
僕は、ノアナさん、リーマ姫と眼を合わせて立ち会がり、その現場に案内してもらう事にした。
⇒後編へGo!
10
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる