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その1:蟲(後編)
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二人とも何もしゃべらず十分位が経過したところで、ヨリがぽつりと言った。
「お兄ちゃん。私達ここで終わりかな?」
「いや、決してそんな事は……でも僕が外に出て行けない時点で、詰みかもな」
「あーあ。せっかく先週で十八歳になって、これから色んなオトナの事を体験しようと思ってたのに……でも、異世界生活。短かったけれど楽しかったね」
「いやヨリ。そんなここで終わりみたいな言い方……」
「それじゃどうしろっていうのよ! このまま籠城したってMP回復しないまま、三日もすれば餓死するしかないじゃない!?」
「あっ……ごめん……」僕は何も言い返せず、そのままうつむいてしまった。
しばらく二人とも無言のままだったが、ヨリが口を開いた。
「……お兄ちゃん。さっき、私のパンチラ見てたでしょ?」
「えっ? いや、決してそんな事は……」
「隠さなくていいから。お兄ちゃん、元の世界にいた時も、私が洗濯籠に入れた下着の匂いこっそり嗅いでたし……こっちに来てからも、シャワー室の壁が木製なのをいいことに、小さな穴開けて覗いてたし……全部知ってるんだからね!」
「ううっ……はい……すいません……」
「ほんとに最低よね。まじ引くわー…………でも、お兄ちゃんがそんな事するのは、私だけだよね?」
「あ、はい。それは神に誓って。ヨリは僕の神で天使で太陽なんです」
「はは……それなら仕方がない。許してあげる。ケンカしたままジ・エンドって言うのもなんだしね」
「ああ、ありがとうヨリ」
するとヨリが、下向き加減でモジモジしながらこう言った。
「そしたらお兄ちゃん……エッチしようか?」
「ん? はいぃっ!? エッチって、一体どこで誰と?」
「もう、何言ってんのよ。今ここで私とエッチしないかって聞いたの!」
「ええっ!? ヨリさん……でも僕達血の繋がった兄妹だし……いいのか?」
「そうだねー。でも、もうここで終わりだと思ったら、なんかエッチな気分になっちゃった。それに……お兄ちゃんは気づいてなかったかも知れないけど、私もずっと昔からお兄ちゃんの事が好きだったんだよ? でも血の繋がった兄妹だしさ……元の世界ではどうにもならなかったけど、ここ異世界だし……死ぬ前にお兄ちゃんとエッチしてもいいかなってさ……」
そう語るヨリの頬に一筋の涙が光っているのが分かった。
「ああ、そうだな。僕もここで死んじゃう事に関して、唯一の心残りは童貞のままだって事だったんだけど……そうだよな、ヨリ。お前もバージンのままじゃ、心残りだよな。せっかくそんな美少女に生まれたのに……でも、初めての相手が僕でごめんな」
涙ながらにそう語った僕に、一瞬間をおいて、ヨリがボソッと言った。
「私、バージンじゃないけど」
「はいぃ!? えっ、えっ、ヨリさん。それって一体どこで?」
「そんな個人情報しゃべるかぁ! でもね……元の世界ですでに……」
ははっ……なんてこったい。我が可愛い妹は、とうの昔に、何処の誰かも判らない他の男の毒牙にかかっていた訳だ。
しかし、ものは考え様かな。実の妹のバージンとかちょっとヘビーすぎるし……
「でも、お兄ちゃん。童貞だったんだ。やっぱりというかヘタレというか……こっちの世界であれだけ有名になってんだから、ちゃんと口説けば彼女なんて何人でも出来ただろうに」
「いや、それは……お前の手前……」
「あはーん。それじゃ、私の為に童貞取っておいてくれた様なものだね!」
そういいながらヨリが、僕に上からのしかかってきた。
「お兄ちゃん、大丈夫だよ。私がちゃんとリードしてあげるから!」
そういいながら、ヨリは僕のズボンに手をかけた。
◇◇◇
これで人生最後だと思った僕とヨリは、何度も何度も身体を重ねた。
やがて外が明るくなってきた様だ。天井板の隙間から陽の光が差し込んでいる。
「ああ、朝になったみたいだな」
「うん……徹夜でエッチしちゃったね。でもお兄ちゃん、初めてにしてはすごかったよ。私も何度も感じちゃった……」
僕も今は、実の妹と関係した罪悪感よりも達成感の方が大きく、とても幸せな気分だった。
「でも、いっぱい動いてお腹もペコペコだし喉もカラカラ。このまま二人で合体したまま餓死しようよ。そんで発見された時、話題になっちゃうの! S級冒険者兄妹の悲劇の結末とかでこの世界の歴史に名を残すの」
「いや、さすがにそれはどうかと……でも、外の軋み音がしないな。蟲のやつらとうとう身動き出来ないくらい周りに重なったのかな」
僕は、外の様子を確認しようと、扉をほんの1cmほど開ける。
「あれっ?」間抜けな僕の声に、ヨリが尋ねる。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「いや……蟲がいない。夕べ、あんだけうぞうぞ集まっていたのに……」
「えっ?」ヨリも扉に近づいてきたので、二人でそおっと開けてみる。
確かに一匹もいない。
「……もしかして……あいつら夜行性?」ヨリがボソッと言った。
「いや、そんなまさか……って、ええーーーーーーーっ!!!!」
その後、僕達二人は落としたマジックバッグを回収し、なんとか無事にギルドに戻る事が出来た。討伐そのものは失敗だったが、蟲がそんなに増えていたのでは仕方ない。むしろ良く生きて戻ったとみんなに賞賛された。
だが……ヤッちまったよ。やらかしちまったよ。確かにこれで人生終わったとは思ったけど、僕は、こともあろうか血の繋がった実の妹とさんざんエッチしてしまった。
「ヨリ……今度の事は、お互い胸の内にしまおうな」
「えっ、何で? 別にいいじゃん、エッチ位。私はお兄ちゃんを一杯感じられてうれしかったよ。どうせ異世界だし、誰も文句言わないよ。これからもたくさんしようよ!」
そう言って屈託なく微笑む妹が、僕にはなんだかとっても眩しく見えた。
(終)
「お兄ちゃん。私達ここで終わりかな?」
「いや、決してそんな事は……でも僕が外に出て行けない時点で、詰みかもな」
「あーあ。せっかく先週で十八歳になって、これから色んなオトナの事を体験しようと思ってたのに……でも、異世界生活。短かったけれど楽しかったね」
「いやヨリ。そんなここで終わりみたいな言い方……」
「それじゃどうしろっていうのよ! このまま籠城したってMP回復しないまま、三日もすれば餓死するしかないじゃない!?」
「あっ……ごめん……」僕は何も言い返せず、そのままうつむいてしまった。
しばらく二人とも無言のままだったが、ヨリが口を開いた。
「……お兄ちゃん。さっき、私のパンチラ見てたでしょ?」
「えっ? いや、決してそんな事は……」
「隠さなくていいから。お兄ちゃん、元の世界にいた時も、私が洗濯籠に入れた下着の匂いこっそり嗅いでたし……こっちに来てからも、シャワー室の壁が木製なのをいいことに、小さな穴開けて覗いてたし……全部知ってるんだからね!」
「ううっ……はい……すいません……」
「ほんとに最低よね。まじ引くわー…………でも、お兄ちゃんがそんな事するのは、私だけだよね?」
「あ、はい。それは神に誓って。ヨリは僕の神で天使で太陽なんです」
「はは……それなら仕方がない。許してあげる。ケンカしたままジ・エンドって言うのもなんだしね」
「ああ、ありがとうヨリ」
するとヨリが、下向き加減でモジモジしながらこう言った。
「そしたらお兄ちゃん……エッチしようか?」
「ん? はいぃっ!? エッチって、一体どこで誰と?」
「もう、何言ってんのよ。今ここで私とエッチしないかって聞いたの!」
「ええっ!? ヨリさん……でも僕達血の繋がった兄妹だし……いいのか?」
「そうだねー。でも、もうここで終わりだと思ったら、なんかエッチな気分になっちゃった。それに……お兄ちゃんは気づいてなかったかも知れないけど、私もずっと昔からお兄ちゃんの事が好きだったんだよ? でも血の繋がった兄妹だしさ……元の世界ではどうにもならなかったけど、ここ異世界だし……死ぬ前にお兄ちゃんとエッチしてもいいかなってさ……」
そう語るヨリの頬に一筋の涙が光っているのが分かった。
「ああ、そうだな。僕もここで死んじゃう事に関して、唯一の心残りは童貞のままだって事だったんだけど……そうだよな、ヨリ。お前もバージンのままじゃ、心残りだよな。せっかくそんな美少女に生まれたのに……でも、初めての相手が僕でごめんな」
涙ながらにそう語った僕に、一瞬間をおいて、ヨリがボソッと言った。
「私、バージンじゃないけど」
「はいぃ!? えっ、えっ、ヨリさん。それって一体どこで?」
「そんな個人情報しゃべるかぁ! でもね……元の世界ですでに……」
ははっ……なんてこったい。我が可愛い妹は、とうの昔に、何処の誰かも判らない他の男の毒牙にかかっていた訳だ。
しかし、ものは考え様かな。実の妹のバージンとかちょっとヘビーすぎるし……
「でも、お兄ちゃん。童貞だったんだ。やっぱりというかヘタレというか……こっちの世界であれだけ有名になってんだから、ちゃんと口説けば彼女なんて何人でも出来ただろうに」
「いや、それは……お前の手前……」
「あはーん。それじゃ、私の為に童貞取っておいてくれた様なものだね!」
そういいながらヨリが、僕に上からのしかかってきた。
「お兄ちゃん、大丈夫だよ。私がちゃんとリードしてあげるから!」
そういいながら、ヨリは僕のズボンに手をかけた。
◇◇◇
これで人生最後だと思った僕とヨリは、何度も何度も身体を重ねた。
やがて外が明るくなってきた様だ。天井板の隙間から陽の光が差し込んでいる。
「ああ、朝になったみたいだな」
「うん……徹夜でエッチしちゃったね。でもお兄ちゃん、初めてにしてはすごかったよ。私も何度も感じちゃった……」
僕も今は、実の妹と関係した罪悪感よりも達成感の方が大きく、とても幸せな気分だった。
「でも、いっぱい動いてお腹もペコペコだし喉もカラカラ。このまま二人で合体したまま餓死しようよ。そんで発見された時、話題になっちゃうの! S級冒険者兄妹の悲劇の結末とかでこの世界の歴史に名を残すの」
「いや、さすがにそれはどうかと……でも、外の軋み音がしないな。蟲のやつらとうとう身動き出来ないくらい周りに重なったのかな」
僕は、外の様子を確認しようと、扉をほんの1cmほど開ける。
「あれっ?」間抜けな僕の声に、ヨリが尋ねる。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「いや……蟲がいない。夕べ、あんだけうぞうぞ集まっていたのに……」
「えっ?」ヨリも扉に近づいてきたので、二人でそおっと開けてみる。
確かに一匹もいない。
「……もしかして……あいつら夜行性?」ヨリがボソッと言った。
「いや、そんなまさか……って、ええーーーーーーーっ!!!!」
その後、僕達二人は落としたマジックバッグを回収し、なんとか無事にギルドに戻る事が出来た。討伐そのものは失敗だったが、蟲がそんなに増えていたのでは仕方ない。むしろ良く生きて戻ったとみんなに賞賛された。
だが……ヤッちまったよ。やらかしちまったよ。確かにこれで人生終わったとは思ったけど、僕は、こともあろうか血の繋がった実の妹とさんざんエッチしてしまった。
「ヨリ……今度の事は、お互い胸の内にしまおうな」
「えっ、何で? 別にいいじゃん、エッチ位。私はお兄ちゃんを一杯感じられてうれしかったよ。どうせ異世界だし、誰も文句言わないよ。これからもたくさんしようよ!」
そう言って屈託なく微笑む妹が、僕にはなんだかとっても眩しく見えた。
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