2 / 20
二.マジノ・ダンケルク
しおりを挟む
翌日の土曜。休日出勤して夕方早めに会社からアパートに帰ってみると……まだ居た。しかもTVを見ながら、冷蔵庫から缶ビール出して勝手に飲んでやがる……
「ねえ、五十嵐さん。今日の朝言ったよね。あなたの準備が出来たら出てってくれって。女の子は朝の支度が大変なんだーとか言ってさんざん騒ぐから、鍵は下の郵便ポストでいいよーって預けたはずなんだけど?」
しかしデガラシは悪びれずに言う。
「まあ、堅い事言いなさんなって。でも田中君、定時帰りだとしてもずいぶん早くない? あっ、それから……そこの棚にあった焼き鳥の缶詰も頂戴したから!」
「あっ、それは俺の非常用おつまみ……はあ。まあいいです。ですが、今日は泊めませんからね。それ飲んだら出てって下さい!」
「えー。そこを何とかもう一声! ほらー。このへんならちょっと触ってもいいからさー。君のあこがれのダンケちゃんのおっぱいだよー」
そう言いながら、それほど大きくはない胸を前に突き出してくる。
「ふざけるな! どこがダンケちゃんだ! 全然似てないし……それにダンケちゃんならそんな事はしない!!」
「そんなに怒鳴らなくても……あれはアニメだし、かなり美化されちゃってるけど、私は正真正銘、本物のマジノ・ダンケルク!」
「まったく口から出まかせを……証拠はあるんですか? あー、あのインチキ魔法以外に」
「いや、証拠と言われてもねー。戸籍は多分、五十嵐かえでだし……そうだな。マジノ・リベルテの秘話とかじゃだめかな?」
「何を適当な。どうせブルーレイで覚えた知識とかでしょ!?」
「いやいやいや。本当の秘話。例えば……マジノ・アルデンヌは黒い半透けレースのパンティーしか履かないとか……」
「えっ!? マジ?」しまった! 思わず喰いついてしまった!!
「ふふふー。やっぱり男の子だねえ……マジノ・ノルマンディのネタもあるよ!」
「い、いや。俺、推しはダンケルクだから……」
「だからー。昔話でよければなんぼでもお話してあげるからさー。いっしょに飲も!!」そういいながら、デガラシは冷蔵庫から缶ビールを二本取り出し、一本を「ホイッ」と俺に押し付け、もう一本の口をプシュッと開け、おいしそうに一口飲んだ。
◇◇◇
「そんでね。さっきも言ったけど……アルデはもともと家がお金持ちで、めっちゃおしゃれなのよー。魔法少女ってさ。変身するとスカートの中があのフリフリで満たされてぱんつ見えないじゃん。なのに万一見えたら大変-って言って、いっつも超高級なやつを履いてた訳」
「へえー。でもアルデって、そんな感じですよね。インテリお嬢様キャラだし……だけど変身の時って、下着も飛び散るんじゃ?」
「いやいや。なぜか一度飛び散ってまた元に戻る! 衣装は替わるのにね。
そんな事、アニメじゃわかんないよね!」
結局、二人で缶ビールを何本空けたのか……冷蔵庫には結構入れてあったはずなんだが。話がマジノネタだった事もあり、俺も気分が良くなってきて、デガラシとすっかり話し込んでいた。
「そんでね。それと対象的に、ノルマは男兄弟が多くてさ。たまに男物のぱんつじゃね見たいなの履いてるの! 多分ああいうトランクスっぽいのが好きなんだよね。でも、私は普通のシマパンが好きかなー」
「はははは、ほんとだったらすげえ裏話っすね。でもマジノの三人って、そんなぱんつ見せあうくらいの仲なんですね」
「そりゃそうよ。最初はたまたまいっしょの中学だって事で知り合ったけど、あのハンザキに騙されて魔法少女になってさ。変身する度に着てるもんが一度はじけて、またくっつく過程を何度見たか……もう、お互いの体形も下着の好みもバレバレなのよ! 毛が生えるのだってアルデが一番早かったし……」
「はははは……でもハンザキって? そんなのアニメにいましたっけ?」
「ああ、さすがにそのまんまはグロいんで、アニメでは丸っちい妖精みたいな恰好してたけど、モノホンは白いオオサンショウウオみたいな奴なのよ。こう体長が80cmくらいあって、ヌチャッ、ヌチャッって歩くの。ノルマンディがもともと西の方出身で、ハンザキだって言ってた。あっちでは、オオサンショウウオをそう呼ぶんだって」
「ああ。妖精のクリムポンかな……そっか。あれがオオサンショウウオ……でも、何でそんなものが魔法少女を?」
「よくわかんない。なんか魔王が出現すると連動してあれも出てくるみたいよ。
でさ、田中君。もうビールが無いんだけど……それにお腹もすいた。おつまみももっとない?」
「あー、しょうがないなー。そんじゃ、明日は休みだし、秘蔵のやつ出しちゃおうかなー」俺はもうかなり酔っぱらっていて、ほとんど反射的に押し入れから一升瓶を取り出し、その脇に置いてあった乾きモノのツマミもテーブルに並べた。
そして……あれ? 俺、寝落ちしてた?
気が付くと、一升瓶は空になっていて、出したツマミもすでに全滅していた。
ありゃ、もうこんな時間か……風呂も行きそびれちまったな……などと考えながら頭をあげたら、目の前にデガラシの尻があった。どうやらこいつも寝落ちしたらしい。
「まいったな……結局、泊めちまった。でもこいつの話、面白かったな。まあ、かなりコアなマジノファンなのは間違いない。こいつが二次創作とかやったらウケるかもな」などと言いつつ、ついデガラシのぱんつの方に眼がいってしまう。
「いかんいかん。こんな盗み見る様なマネは男らしくない……って、あー!? ぱんつ!」俺が大きな声を出したせいで、デガラシが気が付いた様だ。
「なによー。何騒いでんの? 見る位は別にいいわよ……」
「そうじゃねえ! お前、なんで俺のぱんつ履いてるんだ!?」
「あー。これ? そりゃ、私のは三日前から履きっぱなしだったから、洗って窓の外に干してあるわ。ブラとTシャツはまだ我慢出来るけど、さすがにぱんつは……ちょっとくらい貸してくれてもいいでしょ? ちゃんと洗って返すからさ。それとも洗わない方がいい?」
なんか一気に酔いが醒めたのか、頭が痛くなったので流しで水を飲んだ。
「あー私にも水、頂戴」
デガラシが足元に這い寄ってくるので、仕方なく水を入れたコップを渡した。
「ふはー。蘇る……」デガラシが俺の足元で女の子座りしながら水を一気飲みした。
「あのさデガラシ……」
「はい? デガラシ?」
「あ、いやごめん。五十嵐なんだけど、なんか魔法少女の出がらし見たいな感じがしてて」
「はは…‥それいいかも。私は確かに出がらしだわ」
「ここまで話こんじゃったら、まあ、友達という事でいいんだけど……いつまでここにいるつもり?」
「それなんだけどさ。田中は私の熱心な信者みたいだし……手伝ってくれないかな?」
「手伝う? 何を?」
「私さ。魔王倒して魔法少女卒業してからずっと心が満たされていないの。何が足りないのかはよく分からないんだけど、人として大事なものが欠落しちゃってる様な気がしててね。それを探そうと思ってるんだ。だから、それを手伝ってくれる人を探していたの」
「……それって、自分探しって事? 魔王倒して燃え尽き症候群とかになってた?」
「まあ、そんなところかも。ある奴のアドバイスで、中卒で手にスキルの無い私でも風俗なら稼げるって言われて……まあ確かに最初は、デリヘルで処女ってさ。なんか貴重がられていたんだけど、二十歳過ぎたころから何か変に気味悪がられる様になってさ。ある日、突然指入れようとしてきた酔っ払いの指をへし折ってやったのよ。それでクビ! それで、それまで貯めたお金が五百万円位あったんだけど、これだけあれば一生海見ながら暮らせるよって、またある奴に言われて沖縄に移住したんだけど……」
「ちょっと待った! あんたに風俗や沖縄移住を勧めた奴って一体?」
「うん……ハンザキ」
うわー。マスコット妖精、じゃないオオサンショウウオ……かなり闇深くねえか?
「そっか。それでいよいよお金が無くなって、こっちに舞い戻ってきたと?」
「うーん。お金が無かったのはもう数年前からよ。でも海で魚獲ったりしてなんとか暮らせていたの。それでずっと海見ながら考えてた。私の人生ってずっとこんななのかなーって」
「ちなみに、両親とか親戚とかは?」
「そんなのいないよ。それは魔法少女になる前からそうだった」
「ああ、そうなんだ。まあそれじゃそのへんの事情は深くは聞かないよ。でもそっか。あんたはあんたなりに悩んで苦労してきたって訳だ……わかった。それじゃこうしよう。俺も普通に仕事があるサラリーマンだから、あんたの自分探しをいつも手伝ってやるのは難しいと思う。だけど、あんたが自分でなんとかするってんなら、当面、ここにいてもいいよ。しかし……タダ飯はダメだ。金も何とかして自分で稼げ!」
「えー。でもありがと。助かる……アルバイトは蒲田とか川崎でいいかな?」
「あのー。俺の夢が壊れるんで、風俗はやめてね。別に家賃まで寄こせとは言わんので、自分の食費位ならコンビニでもファミレスでも、バイトで稼げるでしょ」
「わかった。田中がそう言うならそうする」おっ、なんか意外と素直だな。
「でも、お金なくて、よく東京に来られたな」
「ああ。最初は泳ごうかと思ったんだけど、奄美に着く前にお腹空いちゃったんで、考え直して旅客機の車輪にへばりついて羽田まで来たんだ!」
マジかよ。まったくどこまでが本当でどっからがホラなのか……
「それで……自分探しの当面の方針はなんかあるの?」
「うん。昔の仲間に会ってみようかなって思って。
こっちに出て来た理由もそれが大きいかな」
「仲間って……アルデンヌとノルマンディ?」
「そう。それに……あと、カルカチュアの幹部とかにも会ってみたい」
カルカチュアというのは、魔王を擁していた悪の組織だな。
はは。実在しているなら俺も会ってみたい……
「そっか。それじゃ俺、明日は休みなんで、取り合えずいっしょに買い物行こうな。おまえのぱんつ買いに……金は少しなら貸してやるから、後で返してくれ」
「あー。ご奉仕で返すのは? 手でも口でも……」
「それは……なし!」
「ねえ、五十嵐さん。今日の朝言ったよね。あなたの準備が出来たら出てってくれって。女の子は朝の支度が大変なんだーとか言ってさんざん騒ぐから、鍵は下の郵便ポストでいいよーって預けたはずなんだけど?」
しかしデガラシは悪びれずに言う。
「まあ、堅い事言いなさんなって。でも田中君、定時帰りだとしてもずいぶん早くない? あっ、それから……そこの棚にあった焼き鳥の缶詰も頂戴したから!」
「あっ、それは俺の非常用おつまみ……はあ。まあいいです。ですが、今日は泊めませんからね。それ飲んだら出てって下さい!」
「えー。そこを何とかもう一声! ほらー。このへんならちょっと触ってもいいからさー。君のあこがれのダンケちゃんのおっぱいだよー」
そう言いながら、それほど大きくはない胸を前に突き出してくる。
「ふざけるな! どこがダンケちゃんだ! 全然似てないし……それにダンケちゃんならそんな事はしない!!」
「そんなに怒鳴らなくても……あれはアニメだし、かなり美化されちゃってるけど、私は正真正銘、本物のマジノ・ダンケルク!」
「まったく口から出まかせを……証拠はあるんですか? あー、あのインチキ魔法以外に」
「いや、証拠と言われてもねー。戸籍は多分、五十嵐かえでだし……そうだな。マジノ・リベルテの秘話とかじゃだめかな?」
「何を適当な。どうせブルーレイで覚えた知識とかでしょ!?」
「いやいやいや。本当の秘話。例えば……マジノ・アルデンヌは黒い半透けレースのパンティーしか履かないとか……」
「えっ!? マジ?」しまった! 思わず喰いついてしまった!!
「ふふふー。やっぱり男の子だねえ……マジノ・ノルマンディのネタもあるよ!」
「い、いや。俺、推しはダンケルクだから……」
「だからー。昔話でよければなんぼでもお話してあげるからさー。いっしょに飲も!!」そういいながら、デガラシは冷蔵庫から缶ビールを二本取り出し、一本を「ホイッ」と俺に押し付け、もう一本の口をプシュッと開け、おいしそうに一口飲んだ。
◇◇◇
「そんでね。さっきも言ったけど……アルデはもともと家がお金持ちで、めっちゃおしゃれなのよー。魔法少女ってさ。変身するとスカートの中があのフリフリで満たされてぱんつ見えないじゃん。なのに万一見えたら大変-って言って、いっつも超高級なやつを履いてた訳」
「へえー。でもアルデって、そんな感じですよね。インテリお嬢様キャラだし……だけど変身の時って、下着も飛び散るんじゃ?」
「いやいや。なぜか一度飛び散ってまた元に戻る! 衣装は替わるのにね。
そんな事、アニメじゃわかんないよね!」
結局、二人で缶ビールを何本空けたのか……冷蔵庫には結構入れてあったはずなんだが。話がマジノネタだった事もあり、俺も気分が良くなってきて、デガラシとすっかり話し込んでいた。
「そんでね。それと対象的に、ノルマは男兄弟が多くてさ。たまに男物のぱんつじゃね見たいなの履いてるの! 多分ああいうトランクスっぽいのが好きなんだよね。でも、私は普通のシマパンが好きかなー」
「はははは、ほんとだったらすげえ裏話っすね。でもマジノの三人って、そんなぱんつ見せあうくらいの仲なんですね」
「そりゃそうよ。最初はたまたまいっしょの中学だって事で知り合ったけど、あのハンザキに騙されて魔法少女になってさ。変身する度に着てるもんが一度はじけて、またくっつく過程を何度見たか……もう、お互いの体形も下着の好みもバレバレなのよ! 毛が生えるのだってアルデが一番早かったし……」
「はははは……でもハンザキって? そんなのアニメにいましたっけ?」
「ああ、さすがにそのまんまはグロいんで、アニメでは丸っちい妖精みたいな恰好してたけど、モノホンは白いオオサンショウウオみたいな奴なのよ。こう体長が80cmくらいあって、ヌチャッ、ヌチャッって歩くの。ノルマンディがもともと西の方出身で、ハンザキだって言ってた。あっちでは、オオサンショウウオをそう呼ぶんだって」
「ああ。妖精のクリムポンかな……そっか。あれがオオサンショウウオ……でも、何でそんなものが魔法少女を?」
「よくわかんない。なんか魔王が出現すると連動してあれも出てくるみたいよ。
でさ、田中君。もうビールが無いんだけど……それにお腹もすいた。おつまみももっとない?」
「あー、しょうがないなー。そんじゃ、明日は休みだし、秘蔵のやつ出しちゃおうかなー」俺はもうかなり酔っぱらっていて、ほとんど反射的に押し入れから一升瓶を取り出し、その脇に置いてあった乾きモノのツマミもテーブルに並べた。
そして……あれ? 俺、寝落ちしてた?
気が付くと、一升瓶は空になっていて、出したツマミもすでに全滅していた。
ありゃ、もうこんな時間か……風呂も行きそびれちまったな……などと考えながら頭をあげたら、目の前にデガラシの尻があった。どうやらこいつも寝落ちしたらしい。
「まいったな……結局、泊めちまった。でもこいつの話、面白かったな。まあ、かなりコアなマジノファンなのは間違いない。こいつが二次創作とかやったらウケるかもな」などと言いつつ、ついデガラシのぱんつの方に眼がいってしまう。
「いかんいかん。こんな盗み見る様なマネは男らしくない……って、あー!? ぱんつ!」俺が大きな声を出したせいで、デガラシが気が付いた様だ。
「なによー。何騒いでんの? 見る位は別にいいわよ……」
「そうじゃねえ! お前、なんで俺のぱんつ履いてるんだ!?」
「あー。これ? そりゃ、私のは三日前から履きっぱなしだったから、洗って窓の外に干してあるわ。ブラとTシャツはまだ我慢出来るけど、さすがにぱんつは……ちょっとくらい貸してくれてもいいでしょ? ちゃんと洗って返すからさ。それとも洗わない方がいい?」
なんか一気に酔いが醒めたのか、頭が痛くなったので流しで水を飲んだ。
「あー私にも水、頂戴」
デガラシが足元に這い寄ってくるので、仕方なく水を入れたコップを渡した。
「ふはー。蘇る……」デガラシが俺の足元で女の子座りしながら水を一気飲みした。
「あのさデガラシ……」
「はい? デガラシ?」
「あ、いやごめん。五十嵐なんだけど、なんか魔法少女の出がらし見たいな感じがしてて」
「はは…‥それいいかも。私は確かに出がらしだわ」
「ここまで話こんじゃったら、まあ、友達という事でいいんだけど……いつまでここにいるつもり?」
「それなんだけどさ。田中は私の熱心な信者みたいだし……手伝ってくれないかな?」
「手伝う? 何を?」
「私さ。魔王倒して魔法少女卒業してからずっと心が満たされていないの。何が足りないのかはよく分からないんだけど、人として大事なものが欠落しちゃってる様な気がしててね。それを探そうと思ってるんだ。だから、それを手伝ってくれる人を探していたの」
「……それって、自分探しって事? 魔王倒して燃え尽き症候群とかになってた?」
「まあ、そんなところかも。ある奴のアドバイスで、中卒で手にスキルの無い私でも風俗なら稼げるって言われて……まあ確かに最初は、デリヘルで処女ってさ。なんか貴重がられていたんだけど、二十歳過ぎたころから何か変に気味悪がられる様になってさ。ある日、突然指入れようとしてきた酔っ払いの指をへし折ってやったのよ。それでクビ! それで、それまで貯めたお金が五百万円位あったんだけど、これだけあれば一生海見ながら暮らせるよって、またある奴に言われて沖縄に移住したんだけど……」
「ちょっと待った! あんたに風俗や沖縄移住を勧めた奴って一体?」
「うん……ハンザキ」
うわー。マスコット妖精、じゃないオオサンショウウオ……かなり闇深くねえか?
「そっか。それでいよいよお金が無くなって、こっちに舞い戻ってきたと?」
「うーん。お金が無かったのはもう数年前からよ。でも海で魚獲ったりしてなんとか暮らせていたの。それでずっと海見ながら考えてた。私の人生ってずっとこんななのかなーって」
「ちなみに、両親とか親戚とかは?」
「そんなのいないよ。それは魔法少女になる前からそうだった」
「ああ、そうなんだ。まあそれじゃそのへんの事情は深くは聞かないよ。でもそっか。あんたはあんたなりに悩んで苦労してきたって訳だ……わかった。それじゃこうしよう。俺も普通に仕事があるサラリーマンだから、あんたの自分探しをいつも手伝ってやるのは難しいと思う。だけど、あんたが自分でなんとかするってんなら、当面、ここにいてもいいよ。しかし……タダ飯はダメだ。金も何とかして自分で稼げ!」
「えー。でもありがと。助かる……アルバイトは蒲田とか川崎でいいかな?」
「あのー。俺の夢が壊れるんで、風俗はやめてね。別に家賃まで寄こせとは言わんので、自分の食費位ならコンビニでもファミレスでも、バイトで稼げるでしょ」
「わかった。田中がそう言うならそうする」おっ、なんか意外と素直だな。
「でも、お金なくて、よく東京に来られたな」
「ああ。最初は泳ごうかと思ったんだけど、奄美に着く前にお腹空いちゃったんで、考え直して旅客機の車輪にへばりついて羽田まで来たんだ!」
マジかよ。まったくどこまでが本当でどっからがホラなのか……
「それで……自分探しの当面の方針はなんかあるの?」
「うん。昔の仲間に会ってみようかなって思って。
こっちに出て来た理由もそれが大きいかな」
「仲間って……アルデンヌとノルマンディ?」
「そう。それに……あと、カルカチュアの幹部とかにも会ってみたい」
カルカチュアというのは、魔王を擁していた悪の組織だな。
はは。実在しているなら俺も会ってみたい……
「そっか。それじゃ俺、明日は休みなんで、取り合えずいっしょに買い物行こうな。おまえのぱんつ買いに……金は少しなら貸してやるから、後で返してくれ」
「あー。ご奉仕で返すのは? 手でも口でも……」
「それは……なし!」
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる