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最終話(エピローグ)
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予定通り姫様達が自分の世界に帰還するので、関係者一同がカスミの家に集合した。
セシルとブレタム、ミルダと共に、マサハルも向こうに帰る。
マサハルは、一年ぶりに娘に会えるのが楽しみで仕方ないようだ。
マホミンが見送りに来てくれている。
「内縁関係? ですか……」
「そうにゃ。なんかもう、あたいでないとダメだって……。
あたいの魅力にもうメロメロなんだにゃん! あたいはこっちに戸籍がないんで、結婚しても、そういうのを内縁関係っていうらしいんにゃ!」
「いや、それは知ってるんですが……まあ、ミルダさんの術式改良のおかげで、前よりも簡単に行き来できるみたいですし……いいんじゃないですか」
マサハルがなかば呆れ顔で、マホミンにそう告げた。
しっかし、勇者さんも物好きですね……。
◇◇◇
「りんたろーさん。申し訳ございません。無理をお願いして、勇者として来ていただける事になって……あちらに着いたら、お父様と兄様には、私の夫として紹介させていただきますね」
「あー、いや、姫様。僕はパートタイマー勇者なもんで……お手柔らかに……」
ミルダの改良術式で、回数の制限なくあちらとこちらを行き来きるようにはなったのだが、これが広く世間に知れ渡ってしまうといろいろ問題が起きるのは眼に見えている。
当面は、勇者の魔王討伐に関わる行き来のみに使用する事が、あちらの世界では法令化されたらしい。つまり、姫様であっても、今後、簡単に行き来は出来ないという事だ。
りんたろーは、日中は普通に学校に行い、夜や休日は、あたかもVRMMORPGにでも参加するかの如く、セシルの世界で魔王討伐のミッションにあたる事となったのだが、まあ、これで大学受験が大丈夫なのかと言われると、ちょっとしんどいかな……。
「カスミ様、真理様。本当にお世話になりました。本来ならお二人もお招きして、王宮で晩餐会など開きたいところなのですが、いかんせん、勇者様以外の往来が禁止されましたので……まあ、魔王が倒れれば、規制が緩和されるかも知れませんし、その時までお待ち下さいね」
「姫様。私も本当に楽しかったよ。晩餐会楽しみにしてるから……。
そんで、りんたろーだけど、こっちの世界での彼女は私なんで、その辺はよろしくね」
カスミがセシルに釘を刺す。
「ええ、もちろん。でも、あちらの世界では、私が妻です!」
二人はお互いバチバチと目から火花を飛ばし合い……やがて大声で笑いあった。
それを見ながら真理がつぶやく。
「あーあ。私も早く彼氏探そう……リンタローさん誰かお友達紹介してくれないかな。
でもそうか、もう一つ別の世界作って、そこにりんたろーさん呼ぶのもありか……。
ねえねえ、ブレタムさん。この世界と姫様の世界以外の異世界引っ張ってこられないか、ミルダさんに聞いてくれない?」
真理に頼まれたブレタムがその事をミルダに伝えた。
「何を無茶な……どれだけの手間と時間がかかると思って……」
呆れ顔のミルダに、ブレタムが言った。
「いいじゃないか。別に時間がかかっても……一人一人が、自分の住みやすい世界を見つけられたらなら、そいつは最高なんじゃないか?」
(終)
セシルとブレタム、ミルダと共に、マサハルも向こうに帰る。
マサハルは、一年ぶりに娘に会えるのが楽しみで仕方ないようだ。
マホミンが見送りに来てくれている。
「内縁関係? ですか……」
「そうにゃ。なんかもう、あたいでないとダメだって……。
あたいの魅力にもうメロメロなんだにゃん! あたいはこっちに戸籍がないんで、結婚しても、そういうのを内縁関係っていうらしいんにゃ!」
「いや、それは知ってるんですが……まあ、ミルダさんの術式改良のおかげで、前よりも簡単に行き来できるみたいですし……いいんじゃないですか」
マサハルがなかば呆れ顔で、マホミンにそう告げた。
しっかし、勇者さんも物好きですね……。
◇◇◇
「りんたろーさん。申し訳ございません。無理をお願いして、勇者として来ていただける事になって……あちらに着いたら、お父様と兄様には、私の夫として紹介させていただきますね」
「あー、いや、姫様。僕はパートタイマー勇者なもんで……お手柔らかに……」
ミルダの改良術式で、回数の制限なくあちらとこちらを行き来きるようにはなったのだが、これが広く世間に知れ渡ってしまうといろいろ問題が起きるのは眼に見えている。
当面は、勇者の魔王討伐に関わる行き来のみに使用する事が、あちらの世界では法令化されたらしい。つまり、姫様であっても、今後、簡単に行き来は出来ないという事だ。
りんたろーは、日中は普通に学校に行い、夜や休日は、あたかもVRMMORPGにでも参加するかの如く、セシルの世界で魔王討伐のミッションにあたる事となったのだが、まあ、これで大学受験が大丈夫なのかと言われると、ちょっとしんどいかな……。
「カスミ様、真理様。本当にお世話になりました。本来ならお二人もお招きして、王宮で晩餐会など開きたいところなのですが、いかんせん、勇者様以外の往来が禁止されましたので……まあ、魔王が倒れれば、規制が緩和されるかも知れませんし、その時までお待ち下さいね」
「姫様。私も本当に楽しかったよ。晩餐会楽しみにしてるから……。
そんで、りんたろーだけど、こっちの世界での彼女は私なんで、その辺はよろしくね」
カスミがセシルに釘を刺す。
「ええ、もちろん。でも、あちらの世界では、私が妻です!」
二人はお互いバチバチと目から火花を飛ばし合い……やがて大声で笑いあった。
それを見ながら真理がつぶやく。
「あーあ。私も早く彼氏探そう……リンタローさん誰かお友達紹介してくれないかな。
でもそうか、もう一つ別の世界作って、そこにりんたろーさん呼ぶのもありか……。
ねえねえ、ブレタムさん。この世界と姫様の世界以外の異世界引っ張ってこられないか、ミルダさんに聞いてくれない?」
真理に頼まれたブレタムがその事をミルダに伝えた。
「何を無茶な……どれだけの手間と時間がかかると思って……」
呆れ顔のミルダに、ブレタムが言った。
「いいじゃないか。別に時間がかかっても……一人一人が、自分の住みやすい世界を見つけられたらなら、そいつは最高なんじゃないか?」
(終)
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