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第21話 すれ違い
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新宿駅から始発の千葉行に乗って、家路についた。
さすがに完徹はきつく、りんたろーも真理も、お互いに寄りかかり合いながら、グーグー寝ていて、危うく乗り過ごしそうになった、
家で休みたいところではあるが、その足でカスミの部屋に向かった。
「あけおめー」
カスミは、昨夜無事に帰ってこられたようで、元気に二人を迎えてくれた。
姫様とブレタムも、おせちとお雑煮の準備をしていた。
みんなでそれらを食べて、落ち着いたころを見はからって、りんたろーがセシルに昨夜のことを切り出した。
「何よそれ! 姫様はそんな都合のいい女じゃないって!」
カス姉は憤っており、ブレタムも言語道断と怒りまくっている。
しかし、肝心のセシルは、しばらく考え事をしていたと思ったら、眼に大きな涙を溜めて、やがて泣き出した。
「あー、ほら。姫様泣いちゃった。本当に男ってのは身勝手よね」
「いえ……そうではなくて……まだ未練があるとおっしゃって下さったのがうれしいのです」
「はいー? そこ?」
カスミは驚いているが、りんたろーは、なんかこうなる様な予感はしていた。
「で、どうします、姫様。多分、勇者様は、言った通りにされると思いますが……。
その……エッチしてから、姫様を振るという……もう、勇者さんのお気持ちは分かったかと思いますんで、このままマホミンさん達と帰り支度をされるのがいいだろうとは思いますが……」
「りんたろーさん。真理さん。ここまで勇者を追い詰めていただいて、本当にありがとう。私は、彼と二人で会います。もともと、この貧相な身体は、あの人に捧げるつもりでしたし……振られても後悔はしないと思います」
「そう……ですか……」
セシルは、りんたろーが苦しそうにそう言ったのが、ちょっと気になった。
「わかりました。それでは、僕が勇者と姫様の密会の手はずを整えます」
そう言って、りんたろーは自分の家に戻っていった。
その日のうちに、勇者と、マサハルとも連絡を取り、一月三日の夜、寿旅館で勇者と姫様が密会するお膳立てをした。
(もう勇者の気持ちは分かったんだから、姫様。もっと自分を大切にすればいいのに)
そうした思いが、りんたろーの頭を離れない。やはり、あの姫様が勇者に犯されてしまうという現実が、心に深く突き刺さってくる。
ベッドの上で悶々としながらゴロゴロしていたら、セシルからRINEが入った。
いままでの事に感謝しかなく、出来ればお礼がしたいので、明日会ってほしいとの事なのだが、また稲毛浅間神社に行きたいと書いてある。
まあお正月だし、姫様と初詣もいいかなと思った。
翌日、結構冷え込んだが天気も良く、だんだん気温も上がってきた。
りんたろーはセシルと二人で、以前おとずれた、稲毛浅間神社に来た。
正月だけあって以前来た時とは比べものにならない位人が多い。
そんな中、列に並んで二人で本殿にお参りした。
(あー、ここで姫様のぱんつ見えたんだよなー。かわいいピンクの……)
明日は勇者のものになってしまうとはいえ、やはり自分にとって姫様は、大事な人なんだとあらためて思い知らされる。
そして参拝の後、セシルが海が見たいというので、バスで海浜幕張まで行って、人工海浜に出た。さすがに今時期は、人が少ないや……あっちに、メッセがちょっと見える。
姫様と最初に出会ったのもあそこだったっけ。
陽だまりの中、二人で浜を散歩していたら、セシルが口を開いた。
「りんたろーさん。私は明日で本懐を遂げます。今まで助けていただいて本当にありがとうございました。それで、私……あなたに何もお礼出来なくて……」
「ああ。なんかRINEにもそんなこと書いてましたけど……気にしなくていいですよ。
僕も姫様といられて、すごく楽しかったですし……」
「それで……りんたろーさん。
よろしければ……私の処女を貰っていただけませんか?」
「? ……えっ?」
「あの……私、明日勇者様と同衾しますが、あの人は別に処女性とかに、こだわる方ではないので、私の一生一度の思い出は、大切な方にと……」
「…………」
「あの……りんたろーさん?」
ぱしーん!
「ふっ……ふざけるな!」そう言ってりんたろーは、セシルの左頬をひっぱたいた。
「あっ、あっ……りんたろーさん。私また何か、粗相を?」
「何言ってんだ! あなたは相変わらず、何もわかっていないじゃないか!
そんな……処女だけ貰って、僕にどうしろというんですか……もうあなたの顔は見たくないです……明日頑張って勇者とセックスして、さっさとお国に帰って下さい!」
そう言い放ってりんたろーは、マリンスタジアムの方に走り去った。
浜に一人ぽつんと残され、セシルは動揺を隠せない。
自分の左頬がはれ上がっているのが良くわかるくらい、ジンジン痛い。
でも、もしかしたら、りんたろーさんの心の方が、これよりもっと痛かったのかしら。
「あ……もしかして私。またりんたろーさんを傷つけてしまったの?」
そう思って、セシルは途方に暮れた。
さすがに完徹はきつく、りんたろーも真理も、お互いに寄りかかり合いながら、グーグー寝ていて、危うく乗り過ごしそうになった、
家で休みたいところではあるが、その足でカスミの部屋に向かった。
「あけおめー」
カスミは、昨夜無事に帰ってこられたようで、元気に二人を迎えてくれた。
姫様とブレタムも、おせちとお雑煮の準備をしていた。
みんなでそれらを食べて、落ち着いたころを見はからって、りんたろーがセシルに昨夜のことを切り出した。
「何よそれ! 姫様はそんな都合のいい女じゃないって!」
カス姉は憤っており、ブレタムも言語道断と怒りまくっている。
しかし、肝心のセシルは、しばらく考え事をしていたと思ったら、眼に大きな涙を溜めて、やがて泣き出した。
「あー、ほら。姫様泣いちゃった。本当に男ってのは身勝手よね」
「いえ……そうではなくて……まだ未練があるとおっしゃって下さったのがうれしいのです」
「はいー? そこ?」
カスミは驚いているが、りんたろーは、なんかこうなる様な予感はしていた。
「で、どうします、姫様。多分、勇者様は、言った通りにされると思いますが……。
その……エッチしてから、姫様を振るという……もう、勇者さんのお気持ちは分かったかと思いますんで、このままマホミンさん達と帰り支度をされるのがいいだろうとは思いますが……」
「りんたろーさん。真理さん。ここまで勇者を追い詰めていただいて、本当にありがとう。私は、彼と二人で会います。もともと、この貧相な身体は、あの人に捧げるつもりでしたし……振られても後悔はしないと思います」
「そう……ですか……」
セシルは、りんたろーが苦しそうにそう言ったのが、ちょっと気になった。
「わかりました。それでは、僕が勇者と姫様の密会の手はずを整えます」
そう言って、りんたろーは自分の家に戻っていった。
その日のうちに、勇者と、マサハルとも連絡を取り、一月三日の夜、寿旅館で勇者と姫様が密会するお膳立てをした。
(もう勇者の気持ちは分かったんだから、姫様。もっと自分を大切にすればいいのに)
そうした思いが、りんたろーの頭を離れない。やはり、あの姫様が勇者に犯されてしまうという現実が、心に深く突き刺さってくる。
ベッドの上で悶々としながらゴロゴロしていたら、セシルからRINEが入った。
いままでの事に感謝しかなく、出来ればお礼がしたいので、明日会ってほしいとの事なのだが、また稲毛浅間神社に行きたいと書いてある。
まあお正月だし、姫様と初詣もいいかなと思った。
翌日、結構冷え込んだが天気も良く、だんだん気温も上がってきた。
りんたろーはセシルと二人で、以前おとずれた、稲毛浅間神社に来た。
正月だけあって以前来た時とは比べものにならない位人が多い。
そんな中、列に並んで二人で本殿にお参りした。
(あー、ここで姫様のぱんつ見えたんだよなー。かわいいピンクの……)
明日は勇者のものになってしまうとはいえ、やはり自分にとって姫様は、大事な人なんだとあらためて思い知らされる。
そして参拝の後、セシルが海が見たいというので、バスで海浜幕張まで行って、人工海浜に出た。さすがに今時期は、人が少ないや……あっちに、メッセがちょっと見える。
姫様と最初に出会ったのもあそこだったっけ。
陽だまりの中、二人で浜を散歩していたら、セシルが口を開いた。
「りんたろーさん。私は明日で本懐を遂げます。今まで助けていただいて本当にありがとうございました。それで、私……あなたに何もお礼出来なくて……」
「ああ。なんかRINEにもそんなこと書いてましたけど……気にしなくていいですよ。
僕も姫様といられて、すごく楽しかったですし……」
「それで……りんたろーさん。
よろしければ……私の処女を貰っていただけませんか?」
「? ……えっ?」
「あの……私、明日勇者様と同衾しますが、あの人は別に処女性とかに、こだわる方ではないので、私の一生一度の思い出は、大切な方にと……」
「…………」
「あの……りんたろーさん?」
ぱしーん!
「ふっ……ふざけるな!」そう言ってりんたろーは、セシルの左頬をひっぱたいた。
「あっ、あっ……りんたろーさん。私また何か、粗相を?」
「何言ってんだ! あなたは相変わらず、何もわかっていないじゃないか!
そんな……処女だけ貰って、僕にどうしろというんですか……もうあなたの顔は見たくないです……明日頑張って勇者とセックスして、さっさとお国に帰って下さい!」
そう言い放ってりんたろーは、マリンスタジアムの方に走り去った。
浜に一人ぽつんと残され、セシルは動揺を隠せない。
自分の左頬がはれ上がっているのが良くわかるくらい、ジンジン痛い。
でも、もしかしたら、りんたろーさんの心の方が、これよりもっと痛かったのかしら。
「あ……もしかして私。またりんたろーさんを傷つけてしまったの?」
そう思って、セシルは途方に暮れた。
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