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6章 すこやかで愛しい日々に
第2話 愛情はいくらあっても
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「悠ちゃん、手伝うで」
みのりが言うと、悠ちゃんは「ええ、ええ」とシンクの前で手を泡だらけにしながら首を振った。
「疲れてるやろ。ゆっくりしとき。すぐに終わらせるから」
「ありがとう」
みのりはありがたく、コーラのグラスを手にリビングに向かう。お父さんたちがL字ソファの長いところを詰めて端に場所を空けてくれたので、そこに腰を降ろした。
「みのりちゃん、今村さんのこと、聞いたんやってな」
おばちゃんのせりふに、みのりは目を丸くする。
「はい。もしかしておばちゃんらも知っとったんですか?」
「うん。常盤家が隣に越してきたときは、もう常盤さんとかのこさんは一緒になっとって、みのりちゃんも2歳やったかな? やったから、私らも普通のご夫婦やて思って接しとったんやけど、悠一がえらいみのりちゃんのこと気に入ってしもたもんやから、自然と親同士の繋がりも濃くなって、家族づきあいが増えたんよ」
そうしてお付き合いが深くなったとき、お父さんたちはおじちゃんたちに、ママのことを話したのだそうだ。ママがみのりたちに関わることは無かったし、知られる要素は限りなく少なかった。それでも万が一があって、タイミング悪くみのりの耳に入る様なことがあってしまったら。
お父さんもお母さんも、ママに対してこれっぽっちも悪い思いは無い。だがママが親で無くなった経緯が周囲に知られる様なことがあってしまったら、みのりが辛い思いをするのでは無いかと危惧したのだ。偏見とはいつの時代でもはびこっているものである。
お父さんたちがママのことをみのりに最近まで言わなかったのは、ママがどうこうでは無く、お父さんが実のお父さんでは無いと知らされることで、ショックを受けると思ったからだ。
お父さんたちもいつかは話をしようと思ってくれていたそうだ。だがタイミングを決めあぐねていた。そんなときにみのりが母子手帳を見つけたのだ。
「そっかぁ」
みのりは小さく息を吐く。そしてコーラのグラスに口を付けた。しゅわしゅわの甘く香ばしい液体が喉を爽やかに通り過ぎ、気持ちがすっきりとする。
「私らは今村さんに会ったこと無いけど、みのりちゃんの親やし、かのこさんが選んだ人やし、常盤さんの幼なじみなんから、絶対にええ人なんやろなって思ってたんよ。せやからみのりちゃんが今村さんと仲良うなったんやったら、良かったなって思って」
「うん。親からの愛情はあればあるだけええなんて、僕は思うんよ。もちろん過剰はあかんと思うで。甘やかしたりな。でもそうして受けられるもんは、絶対にみのりちゃんのためになると思うんや」
おじちゃんもそんなことを言ってくれる。みのりもそう思う。ママはあれから会うたびに、親としての愛情を惜しげもなく表現してくれている。みのりは幸せを感じていた。
「なんや、おとんもおかんも、ママさんのこと知っとったんか」
洗い物を終えたのか、悠ちゃんが缶ビール片手に戻って来た。もうソファは空いて無いので、悠ちゃんはみのりの傍らで胡坐をかく。
「あ、聞こえとった?」
「聞こえるわ。おかん、声でかいねん」
「せやで。やから言うたやろ、「みのりちゃんを守るんやで」って」
「いや、おかん、みのりを守るんは当たり前のことやけど、ママさんのことは言うてくれな、さすがに分からんわ」
「だってみのりちゃんが知らんねんから、あんたに言うわけにもいかんやん」
「そりゃそうかも知れんけど」
悠ちゃんはそう呟いて、ぶすっと口をへの字に曲げた。親に隠しごとをされておかんむりなのかも知れない。だがことはデリケードだ。お父さんたちがまもりに言うのに悩んだ様に、おじちゃんたちも悠ちゃんに言うことをためらったのだろう。
「けど、巧いことまとまって良かったわ。私らもいつか、今村さんにお会いしたいねぇ、パパ」
「せやな。また機会もあるやろ。あ、せや、言うん忘れてた。僕ら、4月末で日本に戻ってくることになったから」
「あらっ! ほな、また賑やかになるわねぇ」
おじちゃんが何気なくさらっと言った知らせに、お母さんが華やいだ声を上げた。
「ほんまやな。これまでは悠くんとふたりで晩酌やったけど、帰って来たらもっと楽しなるな」
お父さんも嬉しそうだ。
「僕、結構ひとり暮らし満喫しとったんやけど」
悠ちゃんが言うと、おばちゃんが「何言うてんの」と呆れた声を出す。
「どうせあんたのことやから、常盤家に入り浸っとったんやろ。想像付くわ」
確かにその通りだ。みのりも両親も歓迎していたので、それは良いのだが。
「4月頭や無くて、末なんですね」
みのりの素朴な疑問に、おじちゃんは「せやねん」と頷く。
「タイは新年度が5月やねん。学校とかも5月が新学期や」
「それやったら今回、帰ってこんで良かったんちゃうん?」
悠ちゃんが言うと、おばちゃんが「いやいや」と首を振る。
「日本に帰って来たら、平日にこんな悠長に旅行なんて行ってられへんもん。連休にディズニーとか行ってみぃ、アトラクションどころや無いで」
「ユニバで我慢しとけや」
「ユニバも人出は変わらんわ。今はインバウンドもえげつないし」
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはハリウッド映画の世界を表現した、大阪が誇るテーマパークである。今は日本の大人気ゲームやキャラクタ、期間限定でアニメなども取り入れ、日本独自の発展を遂げている。
ディズニーワールドでは千葉県浦安市の成人式が行われているが、このユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは大阪市の成人式が執り行われている。こちらも参加者が楽しめる趣向が凝らされている。
柏木親子の間で繰り広げられる軽口の応酬に、みのりはおかしくなって微笑む。そうか、おじちゃんおばちゃんが帰って来るのか。それは楽しみだ。
みのりが言うと、悠ちゃんは「ええ、ええ」とシンクの前で手を泡だらけにしながら首を振った。
「疲れてるやろ。ゆっくりしとき。すぐに終わらせるから」
「ありがとう」
みのりはありがたく、コーラのグラスを手にリビングに向かう。お父さんたちがL字ソファの長いところを詰めて端に場所を空けてくれたので、そこに腰を降ろした。
「みのりちゃん、今村さんのこと、聞いたんやってな」
おばちゃんのせりふに、みのりは目を丸くする。
「はい。もしかしておばちゃんらも知っとったんですか?」
「うん。常盤家が隣に越してきたときは、もう常盤さんとかのこさんは一緒になっとって、みのりちゃんも2歳やったかな? やったから、私らも普通のご夫婦やて思って接しとったんやけど、悠一がえらいみのりちゃんのこと気に入ってしもたもんやから、自然と親同士の繋がりも濃くなって、家族づきあいが増えたんよ」
そうしてお付き合いが深くなったとき、お父さんたちはおじちゃんたちに、ママのことを話したのだそうだ。ママがみのりたちに関わることは無かったし、知られる要素は限りなく少なかった。それでも万が一があって、タイミング悪くみのりの耳に入る様なことがあってしまったら。
お父さんもお母さんも、ママに対してこれっぽっちも悪い思いは無い。だがママが親で無くなった経緯が周囲に知られる様なことがあってしまったら、みのりが辛い思いをするのでは無いかと危惧したのだ。偏見とはいつの時代でもはびこっているものである。
お父さんたちがママのことをみのりに最近まで言わなかったのは、ママがどうこうでは無く、お父さんが実のお父さんでは無いと知らされることで、ショックを受けると思ったからだ。
お父さんたちもいつかは話をしようと思ってくれていたそうだ。だがタイミングを決めあぐねていた。そんなときにみのりが母子手帳を見つけたのだ。
「そっかぁ」
みのりは小さく息を吐く。そしてコーラのグラスに口を付けた。しゅわしゅわの甘く香ばしい液体が喉を爽やかに通り過ぎ、気持ちがすっきりとする。
「私らは今村さんに会ったこと無いけど、みのりちゃんの親やし、かのこさんが選んだ人やし、常盤さんの幼なじみなんから、絶対にええ人なんやろなって思ってたんよ。せやからみのりちゃんが今村さんと仲良うなったんやったら、良かったなって思って」
「うん。親からの愛情はあればあるだけええなんて、僕は思うんよ。もちろん過剰はあかんと思うで。甘やかしたりな。でもそうして受けられるもんは、絶対にみのりちゃんのためになると思うんや」
おじちゃんもそんなことを言ってくれる。みのりもそう思う。ママはあれから会うたびに、親としての愛情を惜しげもなく表現してくれている。みのりは幸せを感じていた。
「なんや、おとんもおかんも、ママさんのこと知っとったんか」
洗い物を終えたのか、悠ちゃんが缶ビール片手に戻って来た。もうソファは空いて無いので、悠ちゃんはみのりの傍らで胡坐をかく。
「あ、聞こえとった?」
「聞こえるわ。おかん、声でかいねん」
「せやで。やから言うたやろ、「みのりちゃんを守るんやで」って」
「いや、おかん、みのりを守るんは当たり前のことやけど、ママさんのことは言うてくれな、さすがに分からんわ」
「だってみのりちゃんが知らんねんから、あんたに言うわけにもいかんやん」
「そりゃそうかも知れんけど」
悠ちゃんはそう呟いて、ぶすっと口をへの字に曲げた。親に隠しごとをされておかんむりなのかも知れない。だがことはデリケードだ。お父さんたちがまもりに言うのに悩んだ様に、おじちゃんたちも悠ちゃんに言うことをためらったのだろう。
「けど、巧いことまとまって良かったわ。私らもいつか、今村さんにお会いしたいねぇ、パパ」
「せやな。また機会もあるやろ。あ、せや、言うん忘れてた。僕ら、4月末で日本に戻ってくることになったから」
「あらっ! ほな、また賑やかになるわねぇ」
おじちゃんが何気なくさらっと言った知らせに、お母さんが華やいだ声を上げた。
「ほんまやな。これまでは悠くんとふたりで晩酌やったけど、帰って来たらもっと楽しなるな」
お父さんも嬉しそうだ。
「僕、結構ひとり暮らし満喫しとったんやけど」
悠ちゃんが言うと、おばちゃんが「何言うてんの」と呆れた声を出す。
「どうせあんたのことやから、常盤家に入り浸っとったんやろ。想像付くわ」
確かにその通りだ。みのりも両親も歓迎していたので、それは良いのだが。
「4月頭や無くて、末なんですね」
みのりの素朴な疑問に、おじちゃんは「せやねん」と頷く。
「タイは新年度が5月やねん。学校とかも5月が新学期や」
「それやったら今回、帰ってこんで良かったんちゃうん?」
悠ちゃんが言うと、おばちゃんが「いやいや」と首を振る。
「日本に帰って来たら、平日にこんな悠長に旅行なんて行ってられへんもん。連休にディズニーとか行ってみぃ、アトラクションどころや無いで」
「ユニバで我慢しとけや」
「ユニバも人出は変わらんわ。今はインバウンドもえげつないし」
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはハリウッド映画の世界を表現した、大阪が誇るテーマパークである。今は日本の大人気ゲームやキャラクタ、期間限定でアニメなども取り入れ、日本独自の発展を遂げている。
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