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#187 日常朝の風景
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裏庭に出て、身体を解す様に大きく伸びをしていると、ガイ、ジェン、ナイル、リオンの米農家勢がやって来た。
「おはようございます」
「おはようっす!」
「おはようございますー」
「……おはようございます」
「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「おはようカピ」
それぞれの挨拶に壱とサユリが応えると、各々「よろしく」と笑みを寄越してくれる。
「では早速始めましょう」
ガイは言うと如雨露を出し、みんなに渡してくれる。サユリは少し離れたところで腰を落とし、のんびりと。
米の苗に水を遣り始めると、ジェンが嬉しそうに口を開いた。
「大分伸びて来たっすね! イチくん、田んぼに植えるのそろそろっすかね?」
「そうですね。もう少しでしょうか。でもそろそろ田んぼの準備はした方が良いかも知れません。明日どうでしょうか」
ガイたちは米農家としての仕事以外の時間は、今でも以前の職場に通っている。何せまだ苗を育てる以外の事は出来ないからだ。
「俺は大丈夫ですよ」
「オレもっす!」
「僕も大丈夫ですよー」
リオンは返事代わりに1度頷く。
「じゃあ明日、苗の水遣りしたら早速始めましょう。よろしくお願いします」
壱が言うと、みんな嬉しそうな笑みを浮かべた。
「苗作りも大事な仕事ですが、漸く本格的に始められる様な気がします」
「よっしゃー! 楽しみっす!」
「そうですねー。美味しいものを作るのは楽しいですよねー」
「ナイルはブレないっすね!」
リオンも口角を上げたまま幾度か頷いた。
壱もとても楽しみだ。
米が育つまで約6ヶ月。村のみんなが気に入ってくれると嬉しいのだが。
昼の仕込みをしている最中、ホール係の女性?3人が出勤して来た。
「おはようございまーす!」
「おはようございまぁす」
「お、おはよう、ございます」
「ほいほい、おはようの。今日もよろしく頼むぞい」
「はーい!」
メリアンが元気に腕を上げた。
「じゃあそうねぇ、今日は時間もあるしぃ、軽くお掃除しておきましょ~」
「は、はい!」
「ええ~? 面倒くさーい」
マーガレットの提案に、マユリとメリアンそれぞれの反応は性格が良く表れている。
「メリアン、さぼるんじゃ無ぇぞ!」
カリルから檄が飛ぶと、メリアンは「ええ~?」と膨れる。
「ほらほらぁ、お客さまをお迎えするんだから~、ちゃんとするのよぉ」
「わ、私、頑張ります!」
マーガレットの促しに、やはりメリアンは唇を尖らせ、マユリは小さくガッツポーズを作る。
「本当にマユリは良い子ねぇ~。ほらほらぁ、メリアンもたまにで良いから見習いなさぁい。はい箒ねぇ~」
マーガレットは厨房の入り口付近の木製ロッカーから箒を出すと、マユリには普通に渡し、メリアンには押し付けた。
「む~」
メリアンは渋々と言った様子で、それでも受け取ると箒を手にホールへ行く。マーガレットとマユリもそれに続いた。
「本当にメリアンはしょうが無ぇなぁ」
カリルがクラムチャウダーを混ぜながら呆れた様に言う。サントは黙々とパスタを伸ばしている。
壱はミートソースの仕上げをしながら苦笑する。茂造は愉快そうにほっほっほっと笑った。
昼営業が始まり、慌ただしい時間帯が過ぎた頃。
ふっと手が空いた壱は、ホールに出てみた。
ピークでは無いとは言え、席は粗方埋まっている。
牧場勤務のシェムスとカッツェが何やら話し込みながら口を動かしていて、他の席は大半が学校に通う子どもである。
校長のツムラと教師を囲んで、美味しそうに食事を摂っている。微笑ましい光景である。
昼の客はこれで最後の筈だ。さて、そろそろ片付けを始めようか。壱は厨房へと戻った。
「おはようございます」
「おはようっす!」
「おはようございますー」
「……おはようございます」
「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「おはようカピ」
それぞれの挨拶に壱とサユリが応えると、各々「よろしく」と笑みを寄越してくれる。
「では早速始めましょう」
ガイは言うと如雨露を出し、みんなに渡してくれる。サユリは少し離れたところで腰を落とし、のんびりと。
米の苗に水を遣り始めると、ジェンが嬉しそうに口を開いた。
「大分伸びて来たっすね! イチくん、田んぼに植えるのそろそろっすかね?」
「そうですね。もう少しでしょうか。でもそろそろ田んぼの準備はした方が良いかも知れません。明日どうでしょうか」
ガイたちは米農家としての仕事以外の時間は、今でも以前の職場に通っている。何せまだ苗を育てる以外の事は出来ないからだ。
「俺は大丈夫ですよ」
「オレもっす!」
「僕も大丈夫ですよー」
リオンは返事代わりに1度頷く。
「じゃあ明日、苗の水遣りしたら早速始めましょう。よろしくお願いします」
壱が言うと、みんな嬉しそうな笑みを浮かべた。
「苗作りも大事な仕事ですが、漸く本格的に始められる様な気がします」
「よっしゃー! 楽しみっす!」
「そうですねー。美味しいものを作るのは楽しいですよねー」
「ナイルはブレないっすね!」
リオンも口角を上げたまま幾度か頷いた。
壱もとても楽しみだ。
米が育つまで約6ヶ月。村のみんなが気に入ってくれると嬉しいのだが。
昼の仕込みをしている最中、ホール係の女性?3人が出勤して来た。
「おはようございまーす!」
「おはようございまぁす」
「お、おはよう、ございます」
「ほいほい、おはようの。今日もよろしく頼むぞい」
「はーい!」
メリアンが元気に腕を上げた。
「じゃあそうねぇ、今日は時間もあるしぃ、軽くお掃除しておきましょ~」
「は、はい!」
「ええ~? 面倒くさーい」
マーガレットの提案に、マユリとメリアンそれぞれの反応は性格が良く表れている。
「メリアン、さぼるんじゃ無ぇぞ!」
カリルから檄が飛ぶと、メリアンは「ええ~?」と膨れる。
「ほらほらぁ、お客さまをお迎えするんだから~、ちゃんとするのよぉ」
「わ、私、頑張ります!」
マーガレットの促しに、やはりメリアンは唇を尖らせ、マユリは小さくガッツポーズを作る。
「本当にマユリは良い子ねぇ~。ほらほらぁ、メリアンもたまにで良いから見習いなさぁい。はい箒ねぇ~」
マーガレットは厨房の入り口付近の木製ロッカーから箒を出すと、マユリには普通に渡し、メリアンには押し付けた。
「む~」
メリアンは渋々と言った様子で、それでも受け取ると箒を手にホールへ行く。マーガレットとマユリもそれに続いた。
「本当にメリアンはしょうが無ぇなぁ」
カリルがクラムチャウダーを混ぜながら呆れた様に言う。サントは黙々とパスタを伸ばしている。
壱はミートソースの仕上げをしながら苦笑する。茂造は愉快そうにほっほっほっと笑った。
昼営業が始まり、慌ただしい時間帯が過ぎた頃。
ふっと手が空いた壱は、ホールに出てみた。
ピークでは無いとは言え、席は粗方埋まっている。
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校長のツムラと教師を囲んで、美味しそうに食事を摂っている。微笑ましい光景である。
昼の客はこれで最後の筈だ。さて、そろそろ片付けを始めようか。壱は厨房へと戻った。
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