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4章 期間限定の恩恵
第13話 考え方を変えることで
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それから少ししてお母ちゃんはスーパーのお仕事に行った。休んでくれようとしたのだが、和馬がいらないと言ったのだ。
本当は、お母ちゃんにそばにいて欲しかった。でも熱があるわけでも無いし、どこかが痛いわけでは無い。だからわがままを言うわけにはいかなかった。学校を休むだけでも迷惑と心配を掛けてしまっているのに。
お昼、お母ちゃんはお仕事のお昼休みにお弁当を買って帰ってきてくれた。
「食べれる? おかゆとかおうどんのほうがええかな? あるで?」
「大丈夫、食べれる」
本当は食欲など無かった。けど食べられなければお母ちゃんにまた心配を掛けてしまう。和馬は巻き寿司とおいなりのお弁当を頑張って詰め込んだ。
そして翌日。和馬は思い切ってお母ちゃんに言ってみた。
「お母ちゃんごめん、ぼく、しばらく学校休んでええかな」
和馬が震える声で言うと、お母ちゃんは和馬を優しく抱き締めてくれた。
「和馬、無理に行かんでええんよ。和馬が行きたくなるまでゆっくりしたらええ。明日も明後日も次の日も、休んだらええんよ」
それで、和馬の気がぐっと楽になった。救われた、そんな思いだった。
それから和馬は不登校児になった。
学校を休む様になって、ああ、自分は頑張りすぎていたのだなと気付くことができた。そうしてきた分、少しぐらい休んでも良いのでは。そう思いもした。
(ぼく、何やってんやろ)
それが全てだったのだ。自分はこの環境を望んでいなかったのだ。お母ちゃんが望むから頑張っていただけで。お母ちゃんのせいにするわけでは無いが、やはり和馬は無理をしていたのだ。
お母ちゃんのためにもできるならちゃんと卒業したいと思うが、今は無理だ。和馬は少し時間をもらうことにしたのだった。
お母ちゃんがお昼ごはん代に毎日500円を置いて行ってくれるので、毎日コンビニで調達した。予算内ではあるものの、自分が食べたいものを選ぶことができるのが小さな楽しみになった。
ある日、またコンビニに行こうと外に出たら、いつも前を通るたこ焼き屋さんに行列ができていた。
和馬は大阪人であるにも関わらず、たこ焼きを食べる習慣があまり無かった。お母ちゃんが買ってくれることもあまり無かったし、お家にたこ焼き器も無かったからだ。
たまにはたこ焼きもええかも。こんなに並んでいる人が多いのだから、きっと美味しいに違いない。和馬は思い、列の後ろにちょこんと並んだ。
たこ焼きを焼いているお姉さんは、にこにこと笑顔だった。楽しそう、そう感じた。和馬がいつも行くコンビニの定員さんは無愛想で、でもそんなものだと思っていたから気にしていなかったのだが、笑顔で対応してくれることは和馬にとって嬉しいものだった。
そういえば、最近自分は笑っただろうか、誰かが笑うのを見ただろうか。ふとそんなことを思ってしまう。
お母ちゃんは和馬に笑いかけてくれるが、和馬が学校を休んでいるせいで、きっと無理をさせていると思うのだ。でもやはり、ごめん、そう思いながらも、まだ学校に行く気持ちにはなれなかった。
たこ焼きを家に持って帰って食べたら、とても美味しかった。それは和馬の心をほっこりと和ませてくれた。また買いに行きたい、あのお姉さんの笑顔が見たい、そう思った。列に並ぶのは少し大変だけど、それだけの価値があると思った。
するとある日、それまであった行列がぱたりと無くなっていた。お客さんはいる様だが、どうしたのだろう。そう思いながらそれまでの様にたこ焼きを買おうとしてみたら。
お姉さんが話し掛けて来てくれて、こっそりとコーラをごちそうしてくれたのだ。
「お母さんにも内緒やで」
お姉さんはいたずらっ子の様な顔で、そんなことを言ってくれた。少し悪いことをしている気がして、和馬はどきどきした。
だが和馬は嘘に慣れてはおらず、結局はお母ちゃんの顔を見たら、言ってしまったのだ。
お母ちゃんは怒らなかった。だがお店に申し訳が無い、ジュース代を払わなければと戸惑った。
ああ、やはり自分は悪いことをしてしまったのだ、と罪悪感に襲われた。お母ちゃんに内緒にしようとしたこと、でも結局お姉さんとの約束を破ってしまったこと。
翌日、お母ちゃんと一緒にお姉さんにお金を払いに行くと、お姉さんがお母ちゃんと話をして、巧く決着させてくれて、また美味しいたこ焼きを用意してくれた。
その時、お姉さんは「必要な嘘」のお話をしてくれた。嘘の全てが悪いものでは無い。自分を守ったり、相手のことを思って吐くものもある。それは少し難しい話だったのだが。
そうか、嘘も巧く使えば良いんだ。自分を守るために、お母ちゃんを心配させないために、上手に取り入れれば良いのだ。
もちろん嘘ばかりではいけないだろう。オオカミ少年では無いが、きっとみんな信じてくれなくなる。でも和馬が少しでも楽になれるなら。お母ちゃんが少しでも安心してくれるのなら。
きっとそういうやり方を、巧く立ち回ると言うのだろう。和馬は今まで自分に正直にい過ぎたのだ。全てをそのまま受け取って、お母ちゃんの言葉もそのまま受け入れて、それで疲れてしまったのだ。
もちろんお母ちゃんは和馬のことを思って言ってくれている。それは紛れもない真実だと思う。でもそれを全て取り込むのでは無く、自分の負担になるものとならないもの、それをより分けて、でもお母ちゃんには「分かった」とほんの少しの嘘を吐く。それが和馬を守ることになるのだ。
もう少しお休みをもらえたら、また学校に通えそうだ。
和馬がそうして自分を落ち着かせた時だった。お母ちゃんがお昼のお仕事でパートから正社員になって、夜のお仕事を辞めることになったのだ。
「これから夜は、家におれるからね。今までほんまにごめんね、ありがとうね」
お母ちゃんはまだ少し疲れた様子ではあったが、その笑顔は晴れ晴れとしていた。本当に嬉しかった。これからはたくさんお母ちゃんと一緒にいれる。たくさんお話ができる。一緒に眠ることができる。甘えることだってできるかも知れない。
たこ焼き屋さんのお姉さんが「必要な嘘」を教えてくれて、和馬が考え方を切り替えてから、いろいろなことが巧く行く様になった気がする。
「お母ちゃん、今度お母ちゃんがお休みの日、お昼にあのたこ焼き屋さん行かへん? おいしいんやで」
お母ちゃんは一瞬目を丸くしたあと、ふんわりと微笑んで言った。
「そうやね。お母ちゃんも食べてみたいわ。今度行こうな」
和馬はお願いを聞いてもらえたのが嬉しくて、「うん!」と満面の笑顔を浮かべた。
本当は、お母ちゃんにそばにいて欲しかった。でも熱があるわけでも無いし、どこかが痛いわけでは無い。だからわがままを言うわけにはいかなかった。学校を休むだけでも迷惑と心配を掛けてしまっているのに。
お昼、お母ちゃんはお仕事のお昼休みにお弁当を買って帰ってきてくれた。
「食べれる? おかゆとかおうどんのほうがええかな? あるで?」
「大丈夫、食べれる」
本当は食欲など無かった。けど食べられなければお母ちゃんにまた心配を掛けてしまう。和馬は巻き寿司とおいなりのお弁当を頑張って詰め込んだ。
そして翌日。和馬は思い切ってお母ちゃんに言ってみた。
「お母ちゃんごめん、ぼく、しばらく学校休んでええかな」
和馬が震える声で言うと、お母ちゃんは和馬を優しく抱き締めてくれた。
「和馬、無理に行かんでええんよ。和馬が行きたくなるまでゆっくりしたらええ。明日も明後日も次の日も、休んだらええんよ」
それで、和馬の気がぐっと楽になった。救われた、そんな思いだった。
それから和馬は不登校児になった。
学校を休む様になって、ああ、自分は頑張りすぎていたのだなと気付くことができた。そうしてきた分、少しぐらい休んでも良いのでは。そう思いもした。
(ぼく、何やってんやろ)
それが全てだったのだ。自分はこの環境を望んでいなかったのだ。お母ちゃんが望むから頑張っていただけで。お母ちゃんのせいにするわけでは無いが、やはり和馬は無理をしていたのだ。
お母ちゃんのためにもできるならちゃんと卒業したいと思うが、今は無理だ。和馬は少し時間をもらうことにしたのだった。
お母ちゃんがお昼ごはん代に毎日500円を置いて行ってくれるので、毎日コンビニで調達した。予算内ではあるものの、自分が食べたいものを選ぶことができるのが小さな楽しみになった。
ある日、またコンビニに行こうと外に出たら、いつも前を通るたこ焼き屋さんに行列ができていた。
和馬は大阪人であるにも関わらず、たこ焼きを食べる習慣があまり無かった。お母ちゃんが買ってくれることもあまり無かったし、お家にたこ焼き器も無かったからだ。
たまにはたこ焼きもええかも。こんなに並んでいる人が多いのだから、きっと美味しいに違いない。和馬は思い、列の後ろにちょこんと並んだ。
たこ焼きを焼いているお姉さんは、にこにこと笑顔だった。楽しそう、そう感じた。和馬がいつも行くコンビニの定員さんは無愛想で、でもそんなものだと思っていたから気にしていなかったのだが、笑顔で対応してくれることは和馬にとって嬉しいものだった。
そういえば、最近自分は笑っただろうか、誰かが笑うのを見ただろうか。ふとそんなことを思ってしまう。
お母ちゃんは和馬に笑いかけてくれるが、和馬が学校を休んでいるせいで、きっと無理をさせていると思うのだ。でもやはり、ごめん、そう思いながらも、まだ学校に行く気持ちにはなれなかった。
たこ焼きを家に持って帰って食べたら、とても美味しかった。それは和馬の心をほっこりと和ませてくれた。また買いに行きたい、あのお姉さんの笑顔が見たい、そう思った。列に並ぶのは少し大変だけど、それだけの価値があると思った。
するとある日、それまであった行列がぱたりと無くなっていた。お客さんはいる様だが、どうしたのだろう。そう思いながらそれまでの様にたこ焼きを買おうとしてみたら。
お姉さんが話し掛けて来てくれて、こっそりとコーラをごちそうしてくれたのだ。
「お母さんにも内緒やで」
お姉さんはいたずらっ子の様な顔で、そんなことを言ってくれた。少し悪いことをしている気がして、和馬はどきどきした。
だが和馬は嘘に慣れてはおらず、結局はお母ちゃんの顔を見たら、言ってしまったのだ。
お母ちゃんは怒らなかった。だがお店に申し訳が無い、ジュース代を払わなければと戸惑った。
ああ、やはり自分は悪いことをしてしまったのだ、と罪悪感に襲われた。お母ちゃんに内緒にしようとしたこと、でも結局お姉さんとの約束を破ってしまったこと。
翌日、お母ちゃんと一緒にお姉さんにお金を払いに行くと、お姉さんがお母ちゃんと話をして、巧く決着させてくれて、また美味しいたこ焼きを用意してくれた。
その時、お姉さんは「必要な嘘」のお話をしてくれた。嘘の全てが悪いものでは無い。自分を守ったり、相手のことを思って吐くものもある。それは少し難しい話だったのだが。
そうか、嘘も巧く使えば良いんだ。自分を守るために、お母ちゃんを心配させないために、上手に取り入れれば良いのだ。
もちろん嘘ばかりではいけないだろう。オオカミ少年では無いが、きっとみんな信じてくれなくなる。でも和馬が少しでも楽になれるなら。お母ちゃんが少しでも安心してくれるのなら。
きっとそういうやり方を、巧く立ち回ると言うのだろう。和馬は今まで自分に正直にい過ぎたのだ。全てをそのまま受け取って、お母ちゃんの言葉もそのまま受け入れて、それで疲れてしまったのだ。
もちろんお母ちゃんは和馬のことを思って言ってくれている。それは紛れもない真実だと思う。でもそれを全て取り込むのでは無く、自分の負担になるものとならないもの、それをより分けて、でもお母ちゃんには「分かった」とほんの少しの嘘を吐く。それが和馬を守ることになるのだ。
もう少しお休みをもらえたら、また学校に通えそうだ。
和馬がそうして自分を落ち着かせた時だった。お母ちゃんがお昼のお仕事でパートから正社員になって、夜のお仕事を辞めることになったのだ。
「これから夜は、家におれるからね。今までほんまにごめんね、ありがとうね」
お母ちゃんはまだ少し疲れた様子ではあったが、その笑顔は晴れ晴れとしていた。本当に嬉しかった。これからはたくさんお母ちゃんと一緒にいれる。たくさんお話ができる。一緒に眠ることができる。甘えることだってできるかも知れない。
たこ焼き屋さんのお姉さんが「必要な嘘」を教えてくれて、和馬が考え方を切り替えてから、いろいろなことが巧く行く様になった気がする。
「お母ちゃん、今度お母ちゃんがお休みの日、お昼にあのたこ焼き屋さん行かへん? おいしいんやで」
お母ちゃんは一瞬目を丸くしたあと、ふんわりと微笑んで言った。
「そうやね。お母ちゃんも食べてみたいわ。今度行こうな」
和馬はお願いを聞いてもらえたのが嬉しくて、「うん!」と満面の笑顔を浮かべた。
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