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1章 お祖父ちゃんが遺した縁
第7話 お祖母ちゃんの野望
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翌週の月曜日。出勤したリリコは所長さんにお祖母ちゃんの希望を相談すると、所長さんは「そりゃあまた!」と大いに驚いた。
「ほんまにアグレッシブなお婆ちゃんやなぁ。土地の大きさ的には問題あらへんけど、そもそもお婆ちゃんの先々のためのバリアフリーっちゅう話やったやろ。テナントやるんやったら1階部分やろうから、2階を住居にするんやったら階段の登り降りせなあかんで。エレベータでも付けるか?」
お祖母ちゃんは家の建て替えの際、1階部分をテナントにして、「いちょう食堂」に入ってもらえないだろうかと言い出したのだ。
リリコにとっては「いちょう食堂」が家と同じ建物内に来るのは歓迎だったが、店舗、特に飲食店となると、消防法などでかなり造りが大事になる。こうなるとハイツの規模では無くなってしまう。
防火などの観点もかなり重要になって来る。プレハブなどで経営している飲食店もたくさんあるが、リリコたちが同じ建物で暮らすのだから、そこはかなりしっかりしないといけない。
そしてお酒を出すお店で遅い時間まで開店しているのだから、防音もきっちりさせなければ。
「リリコちゃん! 俺反対!」
そう言って高々と手を挙げたのは平野さん。
「平野さん」
リリコは驚いて目を見開く。所長さんは「んー」と顔をしかめた。
「平野、理由は?」
「はい。リリコちゃんとお婆ちゃん周りの治安が悪うなります。リリコちゃんが仕事終わって帰ったら、下に酔っ払いがおるんですよ。鉢合わせする可能性かてあります。あかんでしょ」
そうきっぱりと言い切る平野さん。所長さんも「そやな」と頷く。
「私もそれは心配や。お婆ちゃんがそう言うてリリコちゃんも反対せえへんのんは、店員さんの人柄の良さとか料理が旨いとか理由もあるんやろ」
「は、はい。大将さんも若大将さんも本当に良い方で。お料理も美味しくて」
先週末にお邪魔した時、お祖父ちゃんのこともあって、隙を見ては大将さんも若大将さんも気に掛けてくださり、思い出話などをしてくれた。
小さな孫娘が可愛くてたまらない、今日もお馬さんで遊んだ。嫁さんのご飯が美味しい。3人でテーマパークに行って楽しかった。そんな話を嬉しそうにしていたそうだ。
大将さんも若大将さんも懐かしそうにお祖父ちゃんの話をしてくれた。最後に来店した時には、いつもの様にほろ酔いのご機嫌で帰って行ったそうで、ふたりとも「まさかこんなことになるなんてなぁ」と切なげに目を伏せていた。
「私は店舗の設計もようけさしてもろてる縁で、開店後にお邪魔さしてもらうことも多いんやけどな」
「は、はい」
リリコは少しばかり緊張してしまう。
「個人店の客層ってもんはな、経営者側の人間性が反映される部分が大きいんや。その店の人がええ人なんは、リリコちゃんが言うんやったらそうなんやと思う。お爺ちゃんが通ってはったから信頼もあるんやろ。けど今、リリコちゃんの家には男手がおらん。ジェンダーフリーの世の中になりつつある言うても、こればっかりはどうしても女性の方が力が弱いことが多いからな。リリコちゃんはしっかりしたお嬢さんやし、お婆ちゃんも迂闊なこと言わはる方や無いと思う。けど前にも言うたけど、リリコちゃんのことは娘みたいに思っとるんや。せやからもしもがあって欲しく無いんや」
リリコは所長さんの言葉に感動してしまう。そこまで思っていてくれたなんて。そしてこのことでこんなに心配を掛けてしまうなんて。ありがたくて申し訳無くて、リリコは目を瞬かせてしまう。
「ああ、ごめんやでリリコちゃん。責めてるわけや無いんや」
所長さんが慌てると、リリコは「は、はい、大丈夫です」と焦る。
「それを言うたら、俺かてリリコちゃんのことを妹みたいに思っとんで。やからってわけや無いけどやっぱり心配になってまうんや」
「平野さん……」
リリコは本当に人に恵まれたと嬉しくなる。じわりと目頭が熱くなる。目が合ったハナさんもにっこりと微笑んでくれた。
「俺のこと『お兄ちゃん』って呼んでくれてもええんやで」
……台無しである。
「せやったら所長、俺らがその店を見極めません?」
「どういうことや」
「抜き打ちで店に行って、俺らが店の質と店員の人となりを見るんです。所長はいろんな人と関わってはるから、人を見る目もあらはるやろうし。どうです?」
いいこと思い付いた、そんな風に言う平野さん。所長さんも「そうやなぁ。ありかもな」と乗り気だ。するとハナさんが「もう」と呆れた様な声を出す。
「所長も平野くんも、心配なんは解るけど、あんまりやり過ぎん様にしなさいよ」
ハナさんは所長よりも歳上だということもあって、この事務所のお母さん的存在なのである。
「まぁどっちにせよ、お婆ちゃんの希望通りに建て替えるんやったら、店の雰囲気は掴んどきたいからな。今週末どうや。ハナさん行けます?」
「大丈夫やよ。もともとご飯は主人が作ってくれてるし。口うるさい母親がおらん言うて、男どもも羽根伸ばせるでしょ」
「平野も大丈夫か? それよりもリリコちゃんどうや。良かったらお婆ちゃんも」
「祖母もお邪魔させてもろてええんですか?」
「もちろんや。目的が目的やからな。言うてもいつもの飲み会とそう変わらんやろうから、お婆ちゃんにはうるさいかも知れんけどな」
「いえ、祖母は賑やかなん大好きですから喜ぶ思います。それよりも私、祖母がこんなアグレッシブやなんて知らんかったです。ハイツもびっくりしましたけど、テナントやなんて」
「せやなぁ。ハイツ経営もテナント経営も、そう簡単にできることやあらへん。変な店子が入ってきたらえらいことやからな。もちろんお婆ちゃんかて良う分かってはるやろうけどな。賑やかなんが好きやから、いうんもきっかけなんやろうけど、他の理由があるかも知れへんなぁ」
所長さんはそう言って唸る。まだまだ経験値の浅いリリコには分からないことだが、所長さんには思い当たることもあるのかも知れない。
「とりあえずハイツの設計図は一旦保留やな。その店を見て、お婆ちゃんの話も聞いて、それからや。私らに反対する権利は無いけど、不安材料は一個でも多く潰しときたいからな」
「そうですよ所長! リリコちゃんとお婆ちゃんを守るために、俺もやりますよ!」
「何をやる言うねん。頼むから暴走せんでくれよ」
力む平野さんに所長さんは呆れて息を吐いた。
「ほんまにアグレッシブなお婆ちゃんやなぁ。土地の大きさ的には問題あらへんけど、そもそもお婆ちゃんの先々のためのバリアフリーっちゅう話やったやろ。テナントやるんやったら1階部分やろうから、2階を住居にするんやったら階段の登り降りせなあかんで。エレベータでも付けるか?」
お祖母ちゃんは家の建て替えの際、1階部分をテナントにして、「いちょう食堂」に入ってもらえないだろうかと言い出したのだ。
リリコにとっては「いちょう食堂」が家と同じ建物内に来るのは歓迎だったが、店舗、特に飲食店となると、消防法などでかなり造りが大事になる。こうなるとハイツの規模では無くなってしまう。
防火などの観点もかなり重要になって来る。プレハブなどで経営している飲食店もたくさんあるが、リリコたちが同じ建物で暮らすのだから、そこはかなりしっかりしないといけない。
そしてお酒を出すお店で遅い時間まで開店しているのだから、防音もきっちりさせなければ。
「リリコちゃん! 俺反対!」
そう言って高々と手を挙げたのは平野さん。
「平野さん」
リリコは驚いて目を見開く。所長さんは「んー」と顔をしかめた。
「平野、理由は?」
「はい。リリコちゃんとお婆ちゃん周りの治安が悪うなります。リリコちゃんが仕事終わって帰ったら、下に酔っ払いがおるんですよ。鉢合わせする可能性かてあります。あかんでしょ」
そうきっぱりと言い切る平野さん。所長さんも「そやな」と頷く。
「私もそれは心配や。お婆ちゃんがそう言うてリリコちゃんも反対せえへんのんは、店員さんの人柄の良さとか料理が旨いとか理由もあるんやろ」
「は、はい。大将さんも若大将さんも本当に良い方で。お料理も美味しくて」
先週末にお邪魔した時、お祖父ちゃんのこともあって、隙を見ては大将さんも若大将さんも気に掛けてくださり、思い出話などをしてくれた。
小さな孫娘が可愛くてたまらない、今日もお馬さんで遊んだ。嫁さんのご飯が美味しい。3人でテーマパークに行って楽しかった。そんな話を嬉しそうにしていたそうだ。
大将さんも若大将さんも懐かしそうにお祖父ちゃんの話をしてくれた。最後に来店した時には、いつもの様にほろ酔いのご機嫌で帰って行ったそうで、ふたりとも「まさかこんなことになるなんてなぁ」と切なげに目を伏せていた。
「私は店舗の設計もようけさしてもろてる縁で、開店後にお邪魔さしてもらうことも多いんやけどな」
「は、はい」
リリコは少しばかり緊張してしまう。
「個人店の客層ってもんはな、経営者側の人間性が反映される部分が大きいんや。その店の人がええ人なんは、リリコちゃんが言うんやったらそうなんやと思う。お爺ちゃんが通ってはったから信頼もあるんやろ。けど今、リリコちゃんの家には男手がおらん。ジェンダーフリーの世の中になりつつある言うても、こればっかりはどうしても女性の方が力が弱いことが多いからな。リリコちゃんはしっかりしたお嬢さんやし、お婆ちゃんも迂闊なこと言わはる方や無いと思う。けど前にも言うたけど、リリコちゃんのことは娘みたいに思っとるんや。せやからもしもがあって欲しく無いんや」
リリコは所長さんの言葉に感動してしまう。そこまで思っていてくれたなんて。そしてこのことでこんなに心配を掛けてしまうなんて。ありがたくて申し訳無くて、リリコは目を瞬かせてしまう。
「ああ、ごめんやでリリコちゃん。責めてるわけや無いんや」
所長さんが慌てると、リリコは「は、はい、大丈夫です」と焦る。
「それを言うたら、俺かてリリコちゃんのことを妹みたいに思っとんで。やからってわけや無いけどやっぱり心配になってまうんや」
「平野さん……」
リリコは本当に人に恵まれたと嬉しくなる。じわりと目頭が熱くなる。目が合ったハナさんもにっこりと微笑んでくれた。
「俺のこと『お兄ちゃん』って呼んでくれてもええんやで」
……台無しである。
「せやったら所長、俺らがその店を見極めません?」
「どういうことや」
「抜き打ちで店に行って、俺らが店の質と店員の人となりを見るんです。所長はいろんな人と関わってはるから、人を見る目もあらはるやろうし。どうです?」
いいこと思い付いた、そんな風に言う平野さん。所長さんも「そうやなぁ。ありかもな」と乗り気だ。するとハナさんが「もう」と呆れた様な声を出す。
「所長も平野くんも、心配なんは解るけど、あんまりやり過ぎん様にしなさいよ」
ハナさんは所長よりも歳上だということもあって、この事務所のお母さん的存在なのである。
「まぁどっちにせよ、お婆ちゃんの希望通りに建て替えるんやったら、店の雰囲気は掴んどきたいからな。今週末どうや。ハナさん行けます?」
「大丈夫やよ。もともとご飯は主人が作ってくれてるし。口うるさい母親がおらん言うて、男どもも羽根伸ばせるでしょ」
「平野も大丈夫か? それよりもリリコちゃんどうや。良かったらお婆ちゃんも」
「祖母もお邪魔させてもろてええんですか?」
「もちろんや。目的が目的やからな。言うてもいつもの飲み会とそう変わらんやろうから、お婆ちゃんにはうるさいかも知れんけどな」
「いえ、祖母は賑やかなん大好きですから喜ぶ思います。それよりも私、祖母がこんなアグレッシブやなんて知らんかったです。ハイツもびっくりしましたけど、テナントやなんて」
「せやなぁ。ハイツ経営もテナント経営も、そう簡単にできることやあらへん。変な店子が入ってきたらえらいことやからな。もちろんお婆ちゃんかて良う分かってはるやろうけどな。賑やかなんが好きやから、いうんもきっかけなんやろうけど、他の理由があるかも知れへんなぁ」
所長さんはそう言って唸る。まだまだ経験値の浅いリリコには分からないことだが、所長さんには思い当たることもあるのかも知れない。
「とりあえずハイツの設計図は一旦保留やな。その店を見て、お婆ちゃんの話も聞いて、それからや。私らに反対する権利は無いけど、不安材料は一個でも多く潰しときたいからな」
「そうですよ所長! リリコちゃんとお婆ちゃんを守るために、俺もやりますよ!」
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