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4章 ミステリアスレディの中身
第7話 浄霊の余波
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伊集さんが打ち鳴らした柏手が室内に響く。すると唐突に強い風が巻き上がった。
その風は女の子から発生していた。女の子の周りにだけ吹きすさんでいる。長い髪が乱れて方々に激しく揺れた。
伊集さんの横顔が見え、その口が動いている。小さく何かを唱えている様だ。お経か何かだろうか。少し離れている朔には聞き取れない。
女の子を取り巻く風はさらに強さを増し、髪や掛け布団がぱさぱさと翻る。
伊集さんがまた大きく両手を打った。すると伊集さんの身体がぶわっと風に吹かれる。だがそれはすぐに落ち着く。しかし女の子はまだ風の渦中だ。
朔はその景色を呆然と眺める。局地的とはいえあれだけ強い風なのに、朔たちに届かないことや、例えば勉強机の上の本やハンガーに掛けられている制服やコートに影響が無いことが不思議だった。まるで女の子の周辺にバリアが張られている様だ。
すると女の子の身体がゆっくりと浮き始め、朔は目を見張る。ふんわりとした掛け布団ごと浮き上がった身体は、やはり強風に晒されている。風はまた強くなって、掛け布団がばたばたと派手にめくれ上がった。
(どうなってるんや、これ)
小さなマリコちゃんの身体を背中から抱きかかえながら、超常的な光景に朔の心臓はどきどきと大きく打った。何が起こっているのか、素人に毛も生えていない朔にはさっぱりと判らない。ただ伊集さんがしている何かが原因で、女の子から風が巻いているということだけは判る。
見える人が見れば、もっと違う見方ができるのだろう。朔が目にしているもの以外の何かも見えるのかも知れない。朔は見えないと分かっていながら、つい目を凝らしてしまう。
「朔……」
その時、マリコちゃんの弱々しい声が朔の耳に届いた。
「マリコちゃん?」
大声は出せないと、朔は小声で返事をし、下を向いた。するとマリコちゃんの身体が透けていたのだ。
朔は思わず息を飲む。大声でマリコちゃんの名を呼びそうになって、咄嗟に両手で口を押さえ、声を抑え込んだ。
「マリコちゃん、どうしたん!?」
囁く、だが叫ぶ様に聞くと、マリコちゃんはとろんと意識が朦朧としていそうな顔で、切れ切れに言った。
「気が……遠くなりそうじゃ……」
もうなってるやん! 朔はマリコちゃんの身体を全身で抱き締めた。
「マリコちゃん! マリコちゃん!」
吐息だけ、口を動かしているだけだが、マリコちゃんの耳元で必死に何度も呼び掛ける。マリコちゃんの小さな手が伸びて来たので、ぎゅっと強く握り締めた。
どうしよう。このままマリコちゃんが消えてしもたらどうしよう。怖い、怖い!
もう伊集さんと女の子の顛末を見ている余裕は無い。朔は泣きそうになりながらマリコちゃんを護る様に、力の限りマリコちゃんを包み込んだ。
「終わりましたわ」
どれぐらいそうしていただろうか。やがて伊集さんの穏やかなお声が上から降って来た。完全に意識がマリコちゃんに行っていた朔は、はっと我に帰り、焦って顔を上げた。そして慌ててマリコちゃんを見る。
マリコちゃんを抱いている感触はずっとあった。だから消えていないはずだ。そしてその通り、マリコちゃんはしっかりと実体化していた。表情も穏やかになっていて、すぅすぅと小さな寝息を立てて眠っていた。
「良かった……、マリコちゃん」
朔はまたぎゅっとマリコちゃんを抱き締めた。安心して涙が出そうだった。
「何があったんですか?」
「実は」
朔は伊集さんにマリコちゃんに起こったことを掻い摘んで話した。伊集さんは「まぁ」と眉根を寄せる。
「お清めのお塩で結界を張った上で、朔さんとマリコさんをお護りしていたのですけども、もしかしたらそれが悪影響だったのでしょうか」
「どうなんでしょうか。私、霊能者である伊集さんがマリコちゃんの様な妖怪は見えへんってことから、このふたつは別次元のもんやって思ってたんです。せやから問題無いやろうって」
「私も同じことを思っておりました。気配を感じられるだけですから……。でもそれだけでも、もしかしたら干渉しあっているのかも知れませんわね。特に今回は強い悪霊で、私もかなり強い力で対抗しました。なので影響が出てしまったのかも知れませんわね」
真実は判らない。教えてくれる人もこの場にはいない。だからそう想像するしかできなかった。それでもマリコちゃんはこうして無事なのだから、今は棚上げするとしよう。朔はマリコちゃんの寝顔を見て、またほっと安堵した。
「マリコさんは今、眠っておられるのですね?」
「はい。疲れたんやと思います。他の妖怪はどうか分かりませんけど、マリコちゃんは私らが寝る時には一緒に寝るんで。体力が戻ったら起きてくれると思います」
朔と陽はそれぞれの部屋でベッドで寝ているが、マリコちゃんは「べっどは好かん」と言って、床に子ども用の布団を敷いて寝ている。部屋は朔と陽、交代である。
双子それぞれの部屋に子ども用の布団一式があるのは、両親の目から見たら不自然ではあるが、部屋の掃除はそれぞれでしているし、両親が双子の部屋に入ることは無いので、見付かる心配は無い。
ちなみに布団はマリコちゃんが使っても汚れないのである。なので洗濯の回数が極端に少ないのだ。それでも敷いていれば部屋の湿気などを吸い込む。そういう時は布団乾燥機の出番である。マリコちゃんはふかふかの布団をいつも喜んでくれた。
「でしたら良かったですわ」
伊集さんが柔らかく微笑んでくださったので、朔も「へへ」とはにかむ。
そう言えば浄霊はどうなったのか。終わったとのことだが。朔はマリコちゃんを抱いたまま立ち上がり、ベッドを見る。
女の子はベッドの中でぐっすりと眠っていた。ついさっきまで身体が空中に浮くだなんてスペクタクルなことが起こっていたとは思えない、健やかな寝顔だった。
ああ、ほんまに成功したんや。良かった。朔はこのことにもほっとする。マリコちゃん消滅の危機? なんてとんでも無いこともあったが、どうやら伊集さんのご負担になってしまう様なことは避けられた様だ。
「伊集さん、立ち会わせてくださって、ありがとうございました」
「いいえ。マリコさんがそんな状態になってしまっていたのでは、ご見学どころでは無かったでしょう。私もマリコさんへの影響を軽く考えてしまっておりました。本当にごめんなさい」
伊集さんが頭を下げられるので、朔は慌てて首を振った。
「いいえ。そんなんどうなるんか判らんかったんですから。マリコちゃんもこんなことになるなんて、思っても見ぃひんかったと思います」
「そう、ですわね。でも心苦しいですわ」
伊集さんは肩を落としてしまっている。朔は「ほんまに大丈夫です!」と力強く言う。
「誰も悪ぅ無いですよ。未知のことやったんですから。それよりも成功して良かったです。あのお嬢さん、さっきと比べたら凄く楽そうなお顔で」
「ええ。本当に良かったですわ。先に兵動さんにお知らせと説明をいたしましょう。奥さまとご一緒にリビングでお待ちですわ」
「はい」
朔はマリコちゃんを抱えたまま床に置いておいたショルダーバッグを肩に掛け、伊集さんもポーチにお数珠を入れてトートバッグにしまった。
「朔さん、行けますかしら?」
「はい。大丈夫です」
伊集さんがドアを開け、マリコちゃんを抱えた朔はその後を追い掛けた。
伊集さんのお仕事は午前中で終えることができた。これだとお家でお昼ごはんを食べて、「あずき食堂」の仕込みも時間通りに入れそうだ。
マリコちゃんを抱っこした朔と伊集さんは庄内駅へと戻り、阪急電車に乗って曽根で降りる。伊集さんとは改札口の前でお別れである。
「今日はほんまにありがとうございました」
朔が頭を下げると、伊集さんも「こちらこそ」と頭を下げてくださる。
「また「あずき食堂」にもお越しください。お待ちしてます」
「ええ。近いうちに必ず」
そうしてその場で別れた。朔はマリコちゃんを抱え、家路に着く。伊集さんの前では平気そうに振舞っていたが、やはり半透明になってしまってからの睡眠なので、本当は心配でたまらなかった。朔はもどかしげにぎりりと歯を食いしばった。
その風は女の子から発生していた。女の子の周りにだけ吹きすさんでいる。長い髪が乱れて方々に激しく揺れた。
伊集さんの横顔が見え、その口が動いている。小さく何かを唱えている様だ。お経か何かだろうか。少し離れている朔には聞き取れない。
女の子を取り巻く風はさらに強さを増し、髪や掛け布団がぱさぱさと翻る。
伊集さんがまた大きく両手を打った。すると伊集さんの身体がぶわっと風に吹かれる。だがそれはすぐに落ち着く。しかし女の子はまだ風の渦中だ。
朔はその景色を呆然と眺める。局地的とはいえあれだけ強い風なのに、朔たちに届かないことや、例えば勉強机の上の本やハンガーに掛けられている制服やコートに影響が無いことが不思議だった。まるで女の子の周辺にバリアが張られている様だ。
すると女の子の身体がゆっくりと浮き始め、朔は目を見張る。ふんわりとした掛け布団ごと浮き上がった身体は、やはり強風に晒されている。風はまた強くなって、掛け布団がばたばたと派手にめくれ上がった。
(どうなってるんや、これ)
小さなマリコちゃんの身体を背中から抱きかかえながら、超常的な光景に朔の心臓はどきどきと大きく打った。何が起こっているのか、素人に毛も生えていない朔にはさっぱりと判らない。ただ伊集さんがしている何かが原因で、女の子から風が巻いているということだけは判る。
見える人が見れば、もっと違う見方ができるのだろう。朔が目にしているもの以外の何かも見えるのかも知れない。朔は見えないと分かっていながら、つい目を凝らしてしまう。
「朔……」
その時、マリコちゃんの弱々しい声が朔の耳に届いた。
「マリコちゃん?」
大声は出せないと、朔は小声で返事をし、下を向いた。するとマリコちゃんの身体が透けていたのだ。
朔は思わず息を飲む。大声でマリコちゃんの名を呼びそうになって、咄嗟に両手で口を押さえ、声を抑え込んだ。
「マリコちゃん、どうしたん!?」
囁く、だが叫ぶ様に聞くと、マリコちゃんはとろんと意識が朦朧としていそうな顔で、切れ切れに言った。
「気が……遠くなりそうじゃ……」
もうなってるやん! 朔はマリコちゃんの身体を全身で抱き締めた。
「マリコちゃん! マリコちゃん!」
吐息だけ、口を動かしているだけだが、マリコちゃんの耳元で必死に何度も呼び掛ける。マリコちゃんの小さな手が伸びて来たので、ぎゅっと強く握り締めた。
どうしよう。このままマリコちゃんが消えてしもたらどうしよう。怖い、怖い!
もう伊集さんと女の子の顛末を見ている余裕は無い。朔は泣きそうになりながらマリコちゃんを護る様に、力の限りマリコちゃんを包み込んだ。
「終わりましたわ」
どれぐらいそうしていただろうか。やがて伊集さんの穏やかなお声が上から降って来た。完全に意識がマリコちゃんに行っていた朔は、はっと我に帰り、焦って顔を上げた。そして慌ててマリコちゃんを見る。
マリコちゃんを抱いている感触はずっとあった。だから消えていないはずだ。そしてその通り、マリコちゃんはしっかりと実体化していた。表情も穏やかになっていて、すぅすぅと小さな寝息を立てて眠っていた。
「良かった……、マリコちゃん」
朔はまたぎゅっとマリコちゃんを抱き締めた。安心して涙が出そうだった。
「何があったんですか?」
「実は」
朔は伊集さんにマリコちゃんに起こったことを掻い摘んで話した。伊集さんは「まぁ」と眉根を寄せる。
「お清めのお塩で結界を張った上で、朔さんとマリコさんをお護りしていたのですけども、もしかしたらそれが悪影響だったのでしょうか」
「どうなんでしょうか。私、霊能者である伊集さんがマリコちゃんの様な妖怪は見えへんってことから、このふたつは別次元のもんやって思ってたんです。せやから問題無いやろうって」
「私も同じことを思っておりました。気配を感じられるだけですから……。でもそれだけでも、もしかしたら干渉しあっているのかも知れませんわね。特に今回は強い悪霊で、私もかなり強い力で対抗しました。なので影響が出てしまったのかも知れませんわね」
真実は判らない。教えてくれる人もこの場にはいない。だからそう想像するしかできなかった。それでもマリコちゃんはこうして無事なのだから、今は棚上げするとしよう。朔はマリコちゃんの寝顔を見て、またほっと安堵した。
「マリコさんは今、眠っておられるのですね?」
「はい。疲れたんやと思います。他の妖怪はどうか分かりませんけど、マリコちゃんは私らが寝る時には一緒に寝るんで。体力が戻ったら起きてくれると思います」
朔と陽はそれぞれの部屋でベッドで寝ているが、マリコちゃんは「べっどは好かん」と言って、床に子ども用の布団を敷いて寝ている。部屋は朔と陽、交代である。
双子それぞれの部屋に子ども用の布団一式があるのは、両親の目から見たら不自然ではあるが、部屋の掃除はそれぞれでしているし、両親が双子の部屋に入ることは無いので、見付かる心配は無い。
ちなみに布団はマリコちゃんが使っても汚れないのである。なので洗濯の回数が極端に少ないのだ。それでも敷いていれば部屋の湿気などを吸い込む。そういう時は布団乾燥機の出番である。マリコちゃんはふかふかの布団をいつも喜んでくれた。
「でしたら良かったですわ」
伊集さんが柔らかく微笑んでくださったので、朔も「へへ」とはにかむ。
そう言えば浄霊はどうなったのか。終わったとのことだが。朔はマリコちゃんを抱いたまま立ち上がり、ベッドを見る。
女の子はベッドの中でぐっすりと眠っていた。ついさっきまで身体が空中に浮くだなんてスペクタクルなことが起こっていたとは思えない、健やかな寝顔だった。
ああ、ほんまに成功したんや。良かった。朔はこのことにもほっとする。マリコちゃん消滅の危機? なんてとんでも無いこともあったが、どうやら伊集さんのご負担になってしまう様なことは避けられた様だ。
「伊集さん、立ち会わせてくださって、ありがとうございました」
「いいえ。マリコさんがそんな状態になってしまっていたのでは、ご見学どころでは無かったでしょう。私もマリコさんへの影響を軽く考えてしまっておりました。本当にごめんなさい」
伊集さんが頭を下げられるので、朔は慌てて首を振った。
「いいえ。そんなんどうなるんか判らんかったんですから。マリコちゃんもこんなことになるなんて、思っても見ぃひんかったと思います」
「そう、ですわね。でも心苦しいですわ」
伊集さんは肩を落としてしまっている。朔は「ほんまに大丈夫です!」と力強く言う。
「誰も悪ぅ無いですよ。未知のことやったんですから。それよりも成功して良かったです。あのお嬢さん、さっきと比べたら凄く楽そうなお顔で」
「ええ。本当に良かったですわ。先に兵動さんにお知らせと説明をいたしましょう。奥さまとご一緒にリビングでお待ちですわ」
「はい」
朔はマリコちゃんを抱えたまま床に置いておいたショルダーバッグを肩に掛け、伊集さんもポーチにお数珠を入れてトートバッグにしまった。
「朔さん、行けますかしら?」
「はい。大丈夫です」
伊集さんがドアを開け、マリコちゃんを抱えた朔はその後を追い掛けた。
伊集さんのお仕事は午前中で終えることができた。これだとお家でお昼ごはんを食べて、「あずき食堂」の仕込みも時間通りに入れそうだ。
マリコちゃんを抱っこした朔と伊集さんは庄内駅へと戻り、阪急電車に乗って曽根で降りる。伊集さんとは改札口の前でお別れである。
「今日はほんまにありがとうございました」
朔が頭を下げると、伊集さんも「こちらこそ」と頭を下げてくださる。
「また「あずき食堂」にもお越しください。お待ちしてます」
「ええ。近いうちに必ず」
そうしてその場で別れた。朔はマリコちゃんを抱え、家路に着く。伊集さんの前では平気そうに振舞っていたが、やはり半透明になってしまってからの睡眠なので、本当は心配でたまらなかった。朔はもどかしげにぎりりと歯を食いしばった。
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