51 / 88
2幕 新婚旅行を満喫します!
51場 弟の悩み
しおりを挟む
「うーん……。まさかこんなことになるとは」
「お姉ちゃんの巻き込まれ体質も健在だね」
「私っていうか、今回はレイさんじゃない?」
玄関ホールから五番路を抜けた先、生徒の家族のために設けられた宿泊所に案内されたメルディは、クイーンサイズのベッドに腰掛けてため息をついた。
天井には最新式の魔石灯。床にはふかふかの緋色の絨毯。窓も大きいし、立派な鏡台や洗面所もあってなかなか快適だ。長期滞在する場合は、依頼すれば三日に一度は掃除もしてくれるらしい。
部屋の中にレイの姿はない。教授選の打ち合わせのため、ミルディアに連れられて校長室に行ってしまった。
副実行委員長のラルク先生とやらが、故郷の母親が倒れたとかで急遽帰省することになり、その穴埋め要員として駆り出されることになったのだ。
教授選の実行委員には、これから教授選に挑む教師や、その教師に教えを受けている生徒の家族は関われない。
教授選になんのしがらみもなく、学校の内部にも詳しい上に、魔法紋師として一流の腕を持つレイは好都合の人材というわけだ。
「こんなことになる気はしてた」
メルディをグレイグに預け、そう呟くレイの顔は、いつもと変わらず冷静だったが、どことなくげっそりしているように見えた。
「これ、宿泊所の説明と魔法学校の地図。あとで読んどいて」
渡されたのは新書サイズのパンフレットだった。観光がてらに宿泊する父兄が多いため、必要に応じて作ったそうだ。
費用は別途かかるものの、三度の食事は食堂で食べられるし、洗濯室や医務室もあって、校内の施設は自由に利用できる。至れり尽くせりである。
「部屋に入れなくなるから、家族証は絶対に失くさないでね。立ち入り禁止のところはカードをかざしても開かないようになってるし、危険な魔物もいないから、敷地内は自由に見て回ってもらっても大丈夫だよ」
「ありがとう。しっかり生徒やってんのね。パパが心配してたわよ」
ここに来た経緯を話すと、グレイグは進路の悩みを素直に吐露してきた。
「みんなの言う通り、教師には向いてないんだろうなって思ってる。僕はどう逆立ちしても、ミルディア先生やレイさんみたいにはなれないから」
メルディの隣に腰掛け、憂鬱そうにため息をつく弟の背中を黙って見つめる。
「僕はママに似てパワーも魔力もあるデュラハンに生まれた。幸いにも、知恵も回る。でも、努力してないわけじゃないんだよ。訓練だって、勉強だって、人一倍してるつもりだし……。だから、簡単に『出来ない』って言う人の気持ちがわかんないんだ」
「グレイグ……」
宥めるように背中を撫でると、グレイグは力無く首を横に振った。
「すごく傲慢だよね。でも、どうしても割り切れなくてさ……。出来ないって嘆くなら、なんで出来るまでやらないんだろうって思っちゃうんだよ。どんなに絶望的な状況でも、諦めずに挑戦し続ける人もいるのに」
グレイグが魔法学校に入学したのは、ミルディアとレイに憧れたからだ。いつも冷静で、他人のために惜しみなく自分の力を使えるのがすごいと、しきりに興奮していたのを覚えている。
つまり、誰かの役に立ちたいという思いはきちんとあるのだ。しかし、実際に魔法学校に入ってみると、みんながみんなそうではないと気づいた。
四大侯爵家の頂点に君臨するリヒトシュタイン家の後継ぎ。祖父や母親の力を受け継いだ強いデュラハン。多くの人間に頼られ、期待され、利用される。それでも腐らずにまだここにいるのは、学ぶことを――夢を諦めなかったからだ。
「あんた、そういうところパパそっくりねえ。クールぶってるけど、本当は熱いんだから」
背中を撫でる手を止め、今度は頭を撫でる。子供の頃、いつもそうしていたように。
「最後まで諦めずにいられるのも才能なのよ。あんたはパパからその才能を受け継いでいるから出来るの。それを他の人にも押し付けちゃいけないわ」
「……そうなのかなあ。でも、今さら気づいても遅いよね。これからどうすればいいんだろ。院に進むんじゃなくて、就職した方がいいのかなあ」
「何言ってんのよ、もったいない。まだ一年あるんだから、ゆっくり考えなさいな。教師が向いてなくても、他で発揮すればいいじゃない。あんたには、それだけの力があるんだから」
優しく囁くと、グレイグは顔の闇を真っ赤にして、「もう頭撫でなくていいよ」とメルディの腕を振り払った。思春期を爆発させる弟に、思わず笑みが漏れる。
「あんたも一丁前に悩むのね。魔法学校に入ってさらに強くなっちゃったから、何事にも動じないかと思ってた。逆に安心したわよ」
「失礼な。人の気持ちに疎いって、よく言われるけどさ。僕にだって感情はあるんだよ」
「わかってるわよ。あんた、本当は優しい子だもんね。範囲がごく狭いだけで」
もう一度頭を撫でようとするメルディから逃れようと、グレイグがベッドから慌てて腰をあげる。
「もう、やめてったら。僕もそろそろ行くよ。ミルディア先生の手伝いしなきゃなんないし」
「そういえば、手伝いってどんなことするの?」
メルディの問いに、グレイグは顎辺りの闇に手を当て、少し逡巡したあとで言葉を続けた。
「色々だよ。試験会場の設営したり、答案用紙配ったり集めたり。ミルディア先生が試験官やってる間は、代わりに事務仕事したりするしさ。まあ、要は雑用だよね」
「その合間に論文書かなきゃいけないんでしょ? 大丈夫なの?」
「大学院に進む論文の方は大丈夫。ただ、研究室論文がね……。こっちはレイさんに相談するよ。お姉ちゃんに言ってもわかんないと思うし」
小さく笑いながらグレイグが答える。いつもの調子に戻ったのはいいが、失礼すぎる。仮にも姉なのに。
「ちょっと! お姉ちゃんは初等学校しか行ってないけど、人生の先輩よ? さっきみたいに、あんたの悩みぐらいどーんと答えて……」
「よく言うよ。二歳しか変わんないのに。レイさん、お姉ちゃんの世間知らずっぷりにいつも頭抱えてんだからね」
「えっ、それどういうこと? あんた、私がいないときにどんな話してるの?」
「教えなーい。レイさんに直接聞いたら?」
追い縋るメルディを無視して、グレイグが廊下に続くドアを開ける。そして、腰のポーチから小さな鈴を取り出すと、メルディに手渡した。
「何、これ?」
「迷子防止の鈴。ここは広いからね。もし帰り道がわかんなくなったら、しっかり握って二回鳴らしてよ。そしたら、僕が持つもう一つの鈴と共鳴して、居場所がわかるようになってるから」
首から掛けられるように、鈴には赤い組み紐が取り付けられていた。気分は小さな子供か、放し飼いの猫かなんかである。
「ええ……。成人してこれってどうなの? 恥ずかしくない?」
「仕方ないでしょ。お姉ちゃん、すぐどっか行っちゃうんだから。去年のウィンストンでのやらかし、忘れちゃったの?」
それを言われると言い返せない。黙って鈴を首にかけるメルディに、グレイグが目を細める。
「後で一緒に晩ご飯食べよ。今日はミルディア先生が腕によりをかけてくれるって。せっかくの新婚旅行に旦那さんを借りて申し訳ないけど、ぜひ満喫してってよ。忙しいのに、遥々来てくれてありがとうね」
珍しく可愛いことを言う弟に、メルディも目を細めた。
これから巻き込まれる厄介ごとの気配にも気づかずに。
「お姉ちゃんの巻き込まれ体質も健在だね」
「私っていうか、今回はレイさんじゃない?」
玄関ホールから五番路を抜けた先、生徒の家族のために設けられた宿泊所に案内されたメルディは、クイーンサイズのベッドに腰掛けてため息をついた。
天井には最新式の魔石灯。床にはふかふかの緋色の絨毯。窓も大きいし、立派な鏡台や洗面所もあってなかなか快適だ。長期滞在する場合は、依頼すれば三日に一度は掃除もしてくれるらしい。
部屋の中にレイの姿はない。教授選の打ち合わせのため、ミルディアに連れられて校長室に行ってしまった。
副実行委員長のラルク先生とやらが、故郷の母親が倒れたとかで急遽帰省することになり、その穴埋め要員として駆り出されることになったのだ。
教授選の実行委員には、これから教授選に挑む教師や、その教師に教えを受けている生徒の家族は関われない。
教授選になんのしがらみもなく、学校の内部にも詳しい上に、魔法紋師として一流の腕を持つレイは好都合の人材というわけだ。
「こんなことになる気はしてた」
メルディをグレイグに預け、そう呟くレイの顔は、いつもと変わらず冷静だったが、どことなくげっそりしているように見えた。
「これ、宿泊所の説明と魔法学校の地図。あとで読んどいて」
渡されたのは新書サイズのパンフレットだった。観光がてらに宿泊する父兄が多いため、必要に応じて作ったそうだ。
費用は別途かかるものの、三度の食事は食堂で食べられるし、洗濯室や医務室もあって、校内の施設は自由に利用できる。至れり尽くせりである。
「部屋に入れなくなるから、家族証は絶対に失くさないでね。立ち入り禁止のところはカードをかざしても開かないようになってるし、危険な魔物もいないから、敷地内は自由に見て回ってもらっても大丈夫だよ」
「ありがとう。しっかり生徒やってんのね。パパが心配してたわよ」
ここに来た経緯を話すと、グレイグは進路の悩みを素直に吐露してきた。
「みんなの言う通り、教師には向いてないんだろうなって思ってる。僕はどう逆立ちしても、ミルディア先生やレイさんみたいにはなれないから」
メルディの隣に腰掛け、憂鬱そうにため息をつく弟の背中を黙って見つめる。
「僕はママに似てパワーも魔力もあるデュラハンに生まれた。幸いにも、知恵も回る。でも、努力してないわけじゃないんだよ。訓練だって、勉強だって、人一倍してるつもりだし……。だから、簡単に『出来ない』って言う人の気持ちがわかんないんだ」
「グレイグ……」
宥めるように背中を撫でると、グレイグは力無く首を横に振った。
「すごく傲慢だよね。でも、どうしても割り切れなくてさ……。出来ないって嘆くなら、なんで出来るまでやらないんだろうって思っちゃうんだよ。どんなに絶望的な状況でも、諦めずに挑戦し続ける人もいるのに」
グレイグが魔法学校に入学したのは、ミルディアとレイに憧れたからだ。いつも冷静で、他人のために惜しみなく自分の力を使えるのがすごいと、しきりに興奮していたのを覚えている。
つまり、誰かの役に立ちたいという思いはきちんとあるのだ。しかし、実際に魔法学校に入ってみると、みんながみんなそうではないと気づいた。
四大侯爵家の頂点に君臨するリヒトシュタイン家の後継ぎ。祖父や母親の力を受け継いだ強いデュラハン。多くの人間に頼られ、期待され、利用される。それでも腐らずにまだここにいるのは、学ぶことを――夢を諦めなかったからだ。
「あんた、そういうところパパそっくりねえ。クールぶってるけど、本当は熱いんだから」
背中を撫でる手を止め、今度は頭を撫でる。子供の頃、いつもそうしていたように。
「最後まで諦めずにいられるのも才能なのよ。あんたはパパからその才能を受け継いでいるから出来るの。それを他の人にも押し付けちゃいけないわ」
「……そうなのかなあ。でも、今さら気づいても遅いよね。これからどうすればいいんだろ。院に進むんじゃなくて、就職した方がいいのかなあ」
「何言ってんのよ、もったいない。まだ一年あるんだから、ゆっくり考えなさいな。教師が向いてなくても、他で発揮すればいいじゃない。あんたには、それだけの力があるんだから」
優しく囁くと、グレイグは顔の闇を真っ赤にして、「もう頭撫でなくていいよ」とメルディの腕を振り払った。思春期を爆発させる弟に、思わず笑みが漏れる。
「あんたも一丁前に悩むのね。魔法学校に入ってさらに強くなっちゃったから、何事にも動じないかと思ってた。逆に安心したわよ」
「失礼な。人の気持ちに疎いって、よく言われるけどさ。僕にだって感情はあるんだよ」
「わかってるわよ。あんた、本当は優しい子だもんね。範囲がごく狭いだけで」
もう一度頭を撫でようとするメルディから逃れようと、グレイグがベッドから慌てて腰をあげる。
「もう、やめてったら。僕もそろそろ行くよ。ミルディア先生の手伝いしなきゃなんないし」
「そういえば、手伝いってどんなことするの?」
メルディの問いに、グレイグは顎辺りの闇に手を当て、少し逡巡したあとで言葉を続けた。
「色々だよ。試験会場の設営したり、答案用紙配ったり集めたり。ミルディア先生が試験官やってる間は、代わりに事務仕事したりするしさ。まあ、要は雑用だよね」
「その合間に論文書かなきゃいけないんでしょ? 大丈夫なの?」
「大学院に進む論文の方は大丈夫。ただ、研究室論文がね……。こっちはレイさんに相談するよ。お姉ちゃんに言ってもわかんないと思うし」
小さく笑いながらグレイグが答える。いつもの調子に戻ったのはいいが、失礼すぎる。仮にも姉なのに。
「ちょっと! お姉ちゃんは初等学校しか行ってないけど、人生の先輩よ? さっきみたいに、あんたの悩みぐらいどーんと答えて……」
「よく言うよ。二歳しか変わんないのに。レイさん、お姉ちゃんの世間知らずっぷりにいつも頭抱えてんだからね」
「えっ、それどういうこと? あんた、私がいないときにどんな話してるの?」
「教えなーい。レイさんに直接聞いたら?」
追い縋るメルディを無視して、グレイグが廊下に続くドアを開ける。そして、腰のポーチから小さな鈴を取り出すと、メルディに手渡した。
「何、これ?」
「迷子防止の鈴。ここは広いからね。もし帰り道がわかんなくなったら、しっかり握って二回鳴らしてよ。そしたら、僕が持つもう一つの鈴と共鳴して、居場所がわかるようになってるから」
首から掛けられるように、鈴には赤い組み紐が取り付けられていた。気分は小さな子供か、放し飼いの猫かなんかである。
「ええ……。成人してこれってどうなの? 恥ずかしくない?」
「仕方ないでしょ。お姉ちゃん、すぐどっか行っちゃうんだから。去年のウィンストンでのやらかし、忘れちゃったの?」
それを言われると言い返せない。黙って鈴を首にかけるメルディに、グレイグが目を細める。
「後で一緒に晩ご飯食べよ。今日はミルディア先生が腕によりをかけてくれるって。せっかくの新婚旅行に旦那さんを借りて申し訳ないけど、ぜひ満喫してってよ。忙しいのに、遥々来てくれてありがとうね」
珍しく可愛いことを言う弟に、メルディも目を細めた。
これから巻き込まれる厄介ごとの気配にも気づかずに。
1
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

せっかく家の借金を返したのに、妹に婚約者を奪われて追放されました。でも、気にしなくていいみたいです。私には頼れる公爵様がいらっしゃいますから
甘海そら
恋愛
ヤルス伯爵家の長女、セリアには商才があった。
であれば、ヤルス家の借金を見事に返済し、いよいよ婚礼を間近にする。
だが、
「セリア。君には悪いと思っているが、私は運命の人を見つけたのだよ」
婚約者であるはずのクワイフからそう告げられる。
そのクワイフの隣には、妹であるヨカが目を細めて笑っていた。
気がつけば、セリアは全てを失っていた。
今までの功績は何故か妹のものになり、婚約者もまた妹のものとなった。
さらには、あらぬ悪名を着せられ、屋敷から追放される憂き目にも会う。
失意のどん底に陥ることになる。
ただ、そんな時だった。
セリアの目の前に、かつての親友が現れた。
大国シュリナの雄。
ユーガルド公爵家が当主、ケネス・トルゴー。
彼が仏頂面で手を差し伸べてくれば、彼女の運命は大きく変化していく。
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。

筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる