君の笑顔が見たいから

第二章

冒険者 03

　外階段で裏庭へ出る。周りを建物に囲まれているため、とても静かだ。
「どうですか？良い場所でしょう？日当たりも良いし人目も気にならない。普段はギルドメンバーにも開放していますが、試験などで使用の際は封鎖することもできる。今回は剣技の試験ですので魔法は禁止です。それではレベッカ様から始めましょう」
　お互い距離を取り剣を構えて戦闘態勢になる。
「（模擬戦とは言えエミーもおじい様も見ている。ギルドマスターは兄弟子だし、思いっきりいこう）では、参ります」
　レベッカはフェイントを交え距離を詰め下段から攻撃。それを受け止められると中段、上段への連続攻撃。力では勝てない相手へスピード技で勝負した。
「流石ですね。技の切れとスピード。とても12歳の少女には思えません。3級戦士程の実力はありますね。合格です」
　すべての技を受け流され落ち込むレベッカ。
「（支援魔法が使えないとは言え、ここまで通用しないなんて……。もっと修行しなくちゃ一人前の冒険者にはなれないわ）」
「続きましてエマ様。お願いします」
「よろしくお願いします。マスターはとても強いので僕も本気でいきますね」
　そう言うとエマは瞬く間に詰め寄った。レベッカと同じくスピード勝負だ。ただ技の切れや手数が実技の鍛錬に毎日狩りをしているエマの方が勝った。
「素晴らしい。エマ様は2級戦士程の実力です。合格です。兄弟子として
お2人の将来が楽しみです。では2階へ戻りましょうか」


「それでは検査と試験が終了しましたのでギルド関連の簡単な説明をします。どんなに実力があっても最初は5級スタートです。張り出されている依頼書には対応ランクが明記してあり、それに満たないランクの方は受けられません。ですがパーティーを組んでいる中に該当者がいる場合は低ランクの方も同行ができます。ランクが上がる条件としては依頼遂行具合と実力を加味してギルド職員が判断します。なので実力があれば上位ランクになるのも時間は掛かりません。お2人の実力なら学校卒業までには1級になれることでしょう。一番大切なのは命です。危険を顧みないのは無謀です。冒険者生活を楽しんでくださいね」
　2人に5級ランカーのプレートが渡された。これを見せれば色々な国へ自由に出入りできる通行書変わりになる。2人の冒険の始まりだ。