君の笑顔が見たいから

第二章

内緒

「いやぁ～。心臓がまだバクバクしているよ。こんなに緊張したのは久しぶりだよ」
　そう言って胸を押さえて歩くアレッサンドロ。
「ねぇお父さん。そんなに偉い人なの？さっきのおじさん」
「そりゃそうだよ。お父さんの卒業した学校の創設者で魔王を倒し世界を救ったパーティーの一員であるレオナルド様だぞ。お父さんだって1、2度挨拶した程度だぞ。あ～～ビックリした。取り敢えず買い物を済まして早く帰ろう。なんか疲れたよ」
　手をつないで足早に家路に向かう2人であった。
「（レオとは来週に遊びに行くって約束できたから、まぁいいか）」

次の週
「ごちそうさまでした。お母さん、これから友達と遊んでくるね。行ってきます」
　そう言って外へ出かけたエマ。
「（嘘ついて1人の遠出。夕方までには戻らなきゃ）よし。周りに人はいないよね。フラ～イ。そしてマルルロ国上空に転移」
　人気のない建物裏に降りてレオナルドと会った門へ向かった。建物内に入り最初に出逢った女性に訪ねてみた。
「すみません。僕はエマといいますが、学校の創設者のレオナルド様は何処にいらっしゃいますか？今日会う約束をしたのですが……」
「あら可愛らしいお嬢様ですね。確認しますので、こちらで少々お待ちください」
　
　しばらくすると、さっきの女性が戻ってきた。
「離れでレオナルド様がお待ちになっております。こちらへどうぞ」
　女性の後について行くエマ。
「（建物の前に随分立派な馬車があるなぁ）」
「こちらです」
　離れの扉を開けた女性。
「待ってたよアル～～。」
　駆け寄ってエマを抱き上げるレオナルド。傍から見ると老人と少女。少し滑稽だ。
「レオ～～。またぁ恥ずかしいよ。降ろしてくれよ～～。んんん？後ろの子は誰だい？」
　ビックリした顔でこちらを見ている可憐な少女がいる。
「あぁ嬉しくて紹介を忘れてたよ。俺の孫でこの前言った練習パートナーだよ。さぁ自己紹介しなさい」
　話を振られ挨拶する少女。
「初めましてエマ様。レベッカと申します。よろしくお願いいたします」
「（しっかりと挨拶のできる可愛い子だ）よろしくね！　様は要らないよ。僕もベッキーと呼ぶからエミーと呼んでおくれ」
「さぁ紹介も済んだ事だし早く部屋に行こう2人共」
　そう言って2人を手招くレオナルド。部屋の前に行くと中から声がする。扉を開けると……。
「アル～～。やっと会えたぞぉ～～」
　中にいたのは国王を引退したリュカだった。泣きながらエマを抱き上げるリュカ。
「リュカ。今日会えるとは思わなかったよ。元気だったかい？（外の馬車はリュカだったのか）」
「どうだいビックリしたか？リュカに話をしたら是非会いたいと言っていたからな。サプライズだぞ」
　ドヤ顔をするレオナルド。やっと3人が約束通りに集まった。
「（一体この3人はどういう関係なの？）」
　理解に苦しむレベッカだった。