君の笑顔が見たいから

第一章

初めてのラブレター

エルフの村から空間転移魔法にてブンヒル王国に帰還する3人。
「屋敷に着く前に僕から2人に相談なんだけど……。ソフィーには転生する事を内緒にしたいんだ」
　サンは大声で……。
「なんでだよ。アルが死んで一番悲しむのはソフィーじゃないか？少しでもショックを和らげる為に事前に言っておいた方が良いと俺は思うぜ」
　スーは少し考えて……。
「サンの言う事は最もだが、アルが心配してるのは転生が上手くいくのかって事でしょ？変に期待させて駄目だったら結局悲しむからね。私も内緒にする方に賛成よ」
　サンも納得し、アレックスの転生術はソフィアには内緒にすることにした。

「ソフィーただいま～」
　その声を聴き、急いで玄関に行くソフィア。
「みんな、お帰りなさい。長旅ご苦労様でした。疲れたでしょう？今、お茶にするから座ってて」
　ソフィアに今回の旅話を披露する3人。
「先ずはベルーストで買ったお土産だよ。君に似合うと思ってね」
　そう言って小箱を渡すアレックス。
「あら、とても綺麗なブローチね。大事にするわ。ありがとうアル」
　皆が無事に帰国した事もあり、とても上機嫌なソフィア。そして道中での野営やベルースト国での宴、サン・スーが初めて行ったエルフの村など話は尽きないのだった。
「やっぱり私も一緒に行きたかったわ。どれを聞いても楽しそうだもの」
　少し不貞腐れたソフィアにアレックスは。
「元々は僕の1人旅だったからね。ごめんね。ソフィー」

　夕食を終え、寛ぎ談笑する4人。そこでサンは。
「そろそろ俺は領地に帰るかな。留守にしてだいぶ経つからな」
「私は、しばらくの間ソフィーやアルの手伝いをする事にするわ」
　そう言って食器の片付けを始めたスー。
　そしてサンは西の聖域へ帰っていった。

　その夜アレックスはソフィアへの思いを綴った手紙を書いた。
「愛するソフィアへ
　ソフィーに手紙を書くのは初めてじゃないかな？幼い頃、隣に住んでいたこともあり遊びや勉強、時には悪い事も一緒に経験し僕にとって君は唯一無二の存在になったんだよ。今日まで楽しく暮らせたのは君のお陰さ。
　僕が心に決めていた事。どんな事が有ってもソフィーを一生守る。僕は君の笑顔を守れたかな？ソフィーは楽しく過ごせたかな？
　もう直ぐヒト属の僕は寿命を終えるだろう。その時が来ても悲しまないでソフィー。君の笑顔が大好きだ。
　君に会えて良かった。もし生まれ変わっても君を探して会いに行くよ。
　大切な君へ　アレックス」

　その手紙を枕元に置き、アレックスは転生術を発動した。初めての試みだったがとても心地良く穏やかに、眠る様に息を引き取った。



　4年後……。
　小鳥の囀りで目が覚めた。
「ここは何処だろう？」
　周りを見渡すと見知らぬ風景が広がっていた。木造ログハウス風の壁。可愛らしいタンスに机と椅子。けれど、物がとても大きく見える事に気付く。
「わぁ～僕の手が小さい。本当に子供になれたんだ」