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小春が戻ると家には誰もいなかった。座敷の床板が外れている。小春は慌てて床下を覗き込んだ。床下には、いざという時のために蓄えた金が壷に入れてしまってあるのだ。蓋代わりの油紙が破られ、壷の中は空になっていた。
あの金で、清次は幾日くらい、遊ぶことが出来るのだろう。清次にこの家を出る胆力などないことは分かっている。大した額ではないから、すぐに金は尽きるに違いない。金が尽きたら清次は帰って来るだろう。
小春は鍛冶仕事をする手元を一心に見ていた頃の清次を思い出していた。
「すげぇなぁ」
あの言葉に嘘や衒いはなかった。
このまま流されていては、清次も自分も駄目になる。今度こそ清次を全うな職人にしてみせる。小春はいつにない強い気持ちになっていた。
目を覚ますと、辺りはすっかり明るくなっていた。昨夜は着の身着のままで眠ってしまったのだ。小春は急いで身支度を整え、鍛冶場に向かった。
「おはようございます」
「清次は?」
小春が言い淀んでいると、兼正が言った。
「帰って来なかったのだな」
小春が頷くと、兼正の顔がみるみるうちに赤くなった。
「あの野郎。もう許せねぇ。今度こそ懲らしめてやる」
「私が懲らしめてやります」
兼正がおや、という顔をした。いつもの小春なら、半分泣きそうな顔をして、清次の代わりに兼正に謝るのだ。
「よし、分かった。夫婦のことだ。清次のことは任せよう」
「はい。ありがとうございます」
「頼もしいな。それでこそ小春だ」
兼正は小春の晴れやかな顔を久しぶりに見た気がした。善右衛門の仕事を受けてから、小春は変わった。今の小春が説得すれば、清次は必ず仕事に戻ってくるだろう。
「いい知らせがある。頼んでいた鋼が届いたぞ」
「もうですか! 早いですね」
「惣兵衛がな、昨夜遅くに持ってきたのだ」
作業場の真ん中に玉鋼がでん、と置いてあった。
惣兵衛の店は裏店で、部屋の半分が錆びた鉄で埋まっている。一見すると、そこらの屑鉄屋と変わらないが、惣兵衛の鉄を観る眼は確かだった。貧相な爺さんだが、金さえ出せば驚くような玉鋼を仕入れてくるのだ。
「素晴らしいわ」
明かり窓から差し込む朝日に照らされ、鋼が鈍い光を放っている。この中に善右衛門の脇差しが眠っているのだ。
「いい鉄が出たとの知らせを受けて、惣兵衛が蹈鞴場まで仕入れにいったそうだ。旅装も解かずにここに来て、爺さん、ふらふらになっていた。早速はじめるか」
「はい!」
鍛刀の制作は、玉鋼の精製と選別から始まる。鋼を熱し急激に冷やすと炭素の多い硬い鋼は自然に砕ける。炭素の少ない鋼は柔らかいので小槌で叩いて割る。硬い鋼を「皮鉄」、柔らかい鋼「心鉄」といい、剛柔それぞれの鋼を別々に鍛練し、更に不純物を取り除く。
鍛錬が終わったら、皮鉄で心鉄を巻くようにして二つの鋼を密着させ、棒状に打ち伸ばす。この作業を素延べという。刀の長さまで打ち伸ばしたら切先をつくり、持ち手となる茎と刀身との境目となる区を作る。
素延べが終わったら、火造りだ。ここからは刀匠が一人で刀を鍛える。火造りによって刀身の身幅や重ねが決まり、刀が生まれるのである。
「小春の先手を務める日が来るとはな。冥利に尽きる」
先手は刀匠の指示に従って大槌で鋼を叩く役割りだ。刀匠は鋼の色、叩いた感触、飛び散る火花の色から、炭素の量を推測して鋼の何処をどのような強さで何回叩くかを決める。力仕事は先手に任せ、刀匠は小鎚とコテで鋼の微調整をするのである。
「ここまで出来たのは師匠のおかげです。ありがとうございました」
小春が深々と頭を下げた。
「うむ」
兼正は鷹揚に頷いてみせたが、内心忸怩たるものがあった。
兼正も刀匠として刀を鍛えてきた。好事家の間でも兼正の評価は高い。だが、善右衛門は、小春に脇差しを作らせたのだ。
小春の先手を務めながら、兼正も鎚を打つ加減を考えていた。が、小春の鍛練は自分のものとは違っていた。兼正には分からない僅かな差異が小春には見えているのだ。
「明日からはいよいよ火造りだな」
「はい」
汗と煤で真っ黒になった小春の顔にようやく笑みが戻った。
小春が家に戻ると、明かりがついていた。引き戸を開けようとすると、ガラリと戸が開いた。
「今日も鍛冶仕事か」
「そうよ、当たり前でしょ」
「金は戻しておいたぜ。そんな顔をするな。さ、入った入った」
小春は清次をどう懲らしめてやるかで頭がいっぱいなのに、当の本人は上機嫌だ。
「俺もまんざらじゃねぇな。見ろよ、この金」
清次が巾着を逆さにして振ると、豆板銀がバラバラと床に広がった。
「何処に行っていたの」
「賭場さ。決まってるじゃねぇか。ほれ、土産も買ってきたんだぜ」
清次は丸簪を懐から取り出すと、小春の髪に器用に挿した。
「ちっとは女らしくしろよ。いつも煤だらけで、だいたいお前は身なりに構わなさすぎる」
小春は玉簪を抜くと、清次に突き返した。
「金輪際、賭場には行かないって約束して」
「ちっとくらい、いいだろ。金も増えたんだぞ。まったく、つまらねぇ女だ」
「初めての客はわざと勝たせるのでしょう。それで、また賭場に足を向けさせる。胴元の常套手段じゃないの」
金を持っている清次は、さぞかし良いカモに見えたに違いない。
「利いた風な口をきくな。お前に博打のなにが分かるっていうんだ」
「ここに居られなくなったのは、博打のせいなのでしょう」
「親父から聞いたのか」
清次が凄んだが、小春は少しも恐ろしいとは思わなかった。
「違うわ。佐治さんから聞いたの」
目明しの佐治の名を出すと、清次の顔が紙のように白くなった。
「また賭場に行っていることが分かったら、佐治さんだって今度は容赦しないわ」
「佐治に言うつもりなのか。どうせ俺は駄目な男だよ……」
さっきまで凄んでいたかと思えば、今度は泣き落としだ。情けない男だが、それが救いでもある。清次の弱さが、本当の奈落に落ちるのを防いでいるのだ。
「明日から仕事に行くのなら、黙っていてあげる」
清次が目をあげた。
「由奈さんがね」
小春が佐治の妻、由奈の名を出すと、清次はギクリとした顔をした。
「お前、あいつのかかぁとも知り合いなのか」
「由奈さんがあなたの作った鍋を褒めていたわ。取っ手の具合がよくて、とても使いやすいそうよ」
「あの鍋、佐治のかかぁに頼まれた鍋だったのか」
「ええ、そうよ」
小春は清次に職人としての自信を持って欲しかった。客が佐治の妻なら、佐治に清次が真っ当になったことを示すまたとない機会でもある。
「小春が急に鋳物なんぞを手伝うから、不思議だとは思っていた。まったく。お前は大した女房だよ」
「私は少し手伝っだけよ。取っ手の位置を変えたのは清次さんの考えでしょう」
「ま、まぁな」
清次が照れくさそうに頭をかいた。
賭場に二日も居たのだ。布団に入ると、清次はすぐに寝てしまった。清次の寝息を聞きながら、小春は伸び伸びと手足を伸ばした。
「おはようございます」
小春の後ろに立っている清次の姿を見つけると兼正の顔が綻んだ。小春が促すと、突っ立っていた清次がやっと中に入ってきた。
「おやじ、今まですまなかった」
清次が、がば、と頭を下げた。
「よく戻ってきたな。お前はこっちだ。小春の邪魔をするなよ」
清次いつものように小春についていこうとしたが、素直に兼正についていった。清次が頭を掻きながら喜一と何か話している。小平太が冗談でも言ったらしく、清次が笑い声を上げた。そこまで見届けると、小春は自分の作業場に向かった。
小春は素延べが終わった刀の前に端坐して、鉄塊の中に善右衛門の脇差しが見えてくるのを待っていた。
鉄を打つ音が消え、眼の前で赤々と燃えている炉の熱ささえ感じなくなった。やがて、朧だった刀身が明確な形をなして顕れた。
小春は目を閉じて静かに呼吸を整えると、小槌を手にした。
「すげぇな。俺にはとても無理だ」
清次が手を止めて思わず呟いた。
「俺だってあぁは出来ねぇ。誰だって無理さ。あんなに根を詰めたら死んじまうよ」
と、喜一が苦笑いした。
小春は朝から鎚を手にして魔物にでも憑かれたように刀を鍛え続けている。残暑の厳しい日で、皆は休み休み仕事をしているのだが、小春は時々塩を舐め水を口にするだけで、一切休憩をとらない。小鎚を手から離すのは刀を焼くときだけで、その時も食い入るように炉の中を見つめている。
「最後の仕上げはいつも飲まず食わずだ。それでも親方に言われてな、塩と水だけは口にするようになったのだ」
「鋤や鍬を作る時もか?」
「そうだ。小春は刀も鍬もああやって鍛えるのだ。区別なんざねぇ」
いつの間にか清次の傍らに立っていた兼正が答えた。
やがて小春の手が止まった。
あの金で、清次は幾日くらい、遊ぶことが出来るのだろう。清次にこの家を出る胆力などないことは分かっている。大した額ではないから、すぐに金は尽きるに違いない。金が尽きたら清次は帰って来るだろう。
小春は鍛冶仕事をする手元を一心に見ていた頃の清次を思い出していた。
「すげぇなぁ」
あの言葉に嘘や衒いはなかった。
このまま流されていては、清次も自分も駄目になる。今度こそ清次を全うな職人にしてみせる。小春はいつにない強い気持ちになっていた。
目を覚ますと、辺りはすっかり明るくなっていた。昨夜は着の身着のままで眠ってしまったのだ。小春は急いで身支度を整え、鍛冶場に向かった。
「おはようございます」
「清次は?」
小春が言い淀んでいると、兼正が言った。
「帰って来なかったのだな」
小春が頷くと、兼正の顔がみるみるうちに赤くなった。
「あの野郎。もう許せねぇ。今度こそ懲らしめてやる」
「私が懲らしめてやります」
兼正がおや、という顔をした。いつもの小春なら、半分泣きそうな顔をして、清次の代わりに兼正に謝るのだ。
「よし、分かった。夫婦のことだ。清次のことは任せよう」
「はい。ありがとうございます」
「頼もしいな。それでこそ小春だ」
兼正は小春の晴れやかな顔を久しぶりに見た気がした。善右衛門の仕事を受けてから、小春は変わった。今の小春が説得すれば、清次は必ず仕事に戻ってくるだろう。
「いい知らせがある。頼んでいた鋼が届いたぞ」
「もうですか! 早いですね」
「惣兵衛がな、昨夜遅くに持ってきたのだ」
作業場の真ん中に玉鋼がでん、と置いてあった。
惣兵衛の店は裏店で、部屋の半分が錆びた鉄で埋まっている。一見すると、そこらの屑鉄屋と変わらないが、惣兵衛の鉄を観る眼は確かだった。貧相な爺さんだが、金さえ出せば驚くような玉鋼を仕入れてくるのだ。
「素晴らしいわ」
明かり窓から差し込む朝日に照らされ、鋼が鈍い光を放っている。この中に善右衛門の脇差しが眠っているのだ。
「いい鉄が出たとの知らせを受けて、惣兵衛が蹈鞴場まで仕入れにいったそうだ。旅装も解かずにここに来て、爺さん、ふらふらになっていた。早速はじめるか」
「はい!」
鍛刀の制作は、玉鋼の精製と選別から始まる。鋼を熱し急激に冷やすと炭素の多い硬い鋼は自然に砕ける。炭素の少ない鋼は柔らかいので小槌で叩いて割る。硬い鋼を「皮鉄」、柔らかい鋼「心鉄」といい、剛柔それぞれの鋼を別々に鍛練し、更に不純物を取り除く。
鍛錬が終わったら、皮鉄で心鉄を巻くようにして二つの鋼を密着させ、棒状に打ち伸ばす。この作業を素延べという。刀の長さまで打ち伸ばしたら切先をつくり、持ち手となる茎と刀身との境目となる区を作る。
素延べが終わったら、火造りだ。ここからは刀匠が一人で刀を鍛える。火造りによって刀身の身幅や重ねが決まり、刀が生まれるのである。
「小春の先手を務める日が来るとはな。冥利に尽きる」
先手は刀匠の指示に従って大槌で鋼を叩く役割りだ。刀匠は鋼の色、叩いた感触、飛び散る火花の色から、炭素の量を推測して鋼の何処をどのような強さで何回叩くかを決める。力仕事は先手に任せ、刀匠は小鎚とコテで鋼の微調整をするのである。
「ここまで出来たのは師匠のおかげです。ありがとうございました」
小春が深々と頭を下げた。
「うむ」
兼正は鷹揚に頷いてみせたが、内心忸怩たるものがあった。
兼正も刀匠として刀を鍛えてきた。好事家の間でも兼正の評価は高い。だが、善右衛門は、小春に脇差しを作らせたのだ。
小春の先手を務めながら、兼正も鎚を打つ加減を考えていた。が、小春の鍛練は自分のものとは違っていた。兼正には分からない僅かな差異が小春には見えているのだ。
「明日からはいよいよ火造りだな」
「はい」
汗と煤で真っ黒になった小春の顔にようやく笑みが戻った。
小春が家に戻ると、明かりがついていた。引き戸を開けようとすると、ガラリと戸が開いた。
「今日も鍛冶仕事か」
「そうよ、当たり前でしょ」
「金は戻しておいたぜ。そんな顔をするな。さ、入った入った」
小春は清次をどう懲らしめてやるかで頭がいっぱいなのに、当の本人は上機嫌だ。
「俺もまんざらじゃねぇな。見ろよ、この金」
清次が巾着を逆さにして振ると、豆板銀がバラバラと床に広がった。
「何処に行っていたの」
「賭場さ。決まってるじゃねぇか。ほれ、土産も買ってきたんだぜ」
清次は丸簪を懐から取り出すと、小春の髪に器用に挿した。
「ちっとは女らしくしろよ。いつも煤だらけで、だいたいお前は身なりに構わなさすぎる」
小春は玉簪を抜くと、清次に突き返した。
「金輪際、賭場には行かないって約束して」
「ちっとくらい、いいだろ。金も増えたんだぞ。まったく、つまらねぇ女だ」
「初めての客はわざと勝たせるのでしょう。それで、また賭場に足を向けさせる。胴元の常套手段じゃないの」
金を持っている清次は、さぞかし良いカモに見えたに違いない。
「利いた風な口をきくな。お前に博打のなにが分かるっていうんだ」
「ここに居られなくなったのは、博打のせいなのでしょう」
「親父から聞いたのか」
清次が凄んだが、小春は少しも恐ろしいとは思わなかった。
「違うわ。佐治さんから聞いたの」
目明しの佐治の名を出すと、清次の顔が紙のように白くなった。
「また賭場に行っていることが分かったら、佐治さんだって今度は容赦しないわ」
「佐治に言うつもりなのか。どうせ俺は駄目な男だよ……」
さっきまで凄んでいたかと思えば、今度は泣き落としだ。情けない男だが、それが救いでもある。清次の弱さが、本当の奈落に落ちるのを防いでいるのだ。
「明日から仕事に行くのなら、黙っていてあげる」
清次が目をあげた。
「由奈さんがね」
小春が佐治の妻、由奈の名を出すと、清次はギクリとした顔をした。
「お前、あいつのかかぁとも知り合いなのか」
「由奈さんがあなたの作った鍋を褒めていたわ。取っ手の具合がよくて、とても使いやすいそうよ」
「あの鍋、佐治のかかぁに頼まれた鍋だったのか」
「ええ、そうよ」
小春は清次に職人としての自信を持って欲しかった。客が佐治の妻なら、佐治に清次が真っ当になったことを示すまたとない機会でもある。
「小春が急に鋳物なんぞを手伝うから、不思議だとは思っていた。まったく。お前は大した女房だよ」
「私は少し手伝っだけよ。取っ手の位置を変えたのは清次さんの考えでしょう」
「ま、まぁな」
清次が照れくさそうに頭をかいた。
賭場に二日も居たのだ。布団に入ると、清次はすぐに寝てしまった。清次の寝息を聞きながら、小春は伸び伸びと手足を伸ばした。
「おはようございます」
小春の後ろに立っている清次の姿を見つけると兼正の顔が綻んだ。小春が促すと、突っ立っていた清次がやっと中に入ってきた。
「おやじ、今まですまなかった」
清次が、がば、と頭を下げた。
「よく戻ってきたな。お前はこっちだ。小春の邪魔をするなよ」
清次いつものように小春についていこうとしたが、素直に兼正についていった。清次が頭を掻きながら喜一と何か話している。小平太が冗談でも言ったらしく、清次が笑い声を上げた。そこまで見届けると、小春は自分の作業場に向かった。
小春は素延べが終わった刀の前に端坐して、鉄塊の中に善右衛門の脇差しが見えてくるのを待っていた。
鉄を打つ音が消え、眼の前で赤々と燃えている炉の熱ささえ感じなくなった。やがて、朧だった刀身が明確な形をなして顕れた。
小春は目を閉じて静かに呼吸を整えると、小槌を手にした。
「すげぇな。俺にはとても無理だ」
清次が手を止めて思わず呟いた。
「俺だってあぁは出来ねぇ。誰だって無理さ。あんなに根を詰めたら死んじまうよ」
と、喜一が苦笑いした。
小春は朝から鎚を手にして魔物にでも憑かれたように刀を鍛え続けている。残暑の厳しい日で、皆は休み休み仕事をしているのだが、小春は時々塩を舐め水を口にするだけで、一切休憩をとらない。小鎚を手から離すのは刀を焼くときだけで、その時も食い入るように炉の中を見つめている。
「最後の仕上げはいつも飲まず食わずだ。それでも親方に言われてな、塩と水だけは口にするようになったのだ」
「鋤や鍬を作る時もか?」
「そうだ。小春は刀も鍬もああやって鍛えるのだ。区別なんざねぇ」
いつの間にか清次の傍らに立っていた兼正が答えた。
やがて小春の手が止まった。
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表紙はパブリックドメインQ 著作権フリー絵画:小原古邨 「月と蝙蝠」を使用しております。
2024年10月17日〜エブリスタにも公開を始めました。
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