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第1章
第163話 レギオン再編
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シュンは、"ガジェット・マイスター"と"竜の巣""狐のお宿"を集め、使徒に選ばれたこと、使徒の役割や魔王の事などを伝えた。その上で、"ネームド"を頂点にしたレギオンを組むことを提案した。
それぞれのレギオンに主権を持たせた"同盟"としての、カテナ・レギオンでは無く、シュンをリーダーにしたレギオンである。
いきなり従属しろと言われれば、当然のように抵抗感を覚えるだろうし、離脱をする人間が大勢出るだろうと考えていたが・・。
「異議無し!」
「お前が大将なら文句ねぇぜ!」
アオイとアレクが即答した。
「うちは、ずっと前から従属しているから今さらね」
ケイナが笑う。
「俺を狙ってくる使徒との戦いに巻き込まれる可能性は高い。また、魔王という妙な生き物が世界を滅ぼしに来るというのなら、今のレベルでは心許ない。"ネームド"傘下に入った以上、更なる高みを目指して貰わなければならない」
シュンは、壇上から居並んだ探索者達を見回した。
商工ギルド前の広場に、"狐のお宿""竜の巣""ガジェット・マイスター"の面々が勢揃いしていた。無論、他のパーティやレギオンも集まって来ている。
「シュン様、主神なる者の声はこの場の全員が聴いております。100階層を素手で制圧できる"ネームド"は探索者の頂点なのです。"ネームド"が・・シュン様が敵わぬほどの相手が現れ、それで世界が滅ぶというのなら諦めがつきます」
"ケットシー"のロシータが穏やかな表情で言った。
「よく言ったぜ! クソ猫の言う通りだ! 使徒だろうが魔王だろうが、ぶっ潰してやるぜぇ!」
アレクが吼える。
「・・使徒は、使徒が斃すしかないんですよ」
タチヒコが呟く。
「あぁん? 何か言いやがったか?」
「いいえ、面倒なので何も」
「おうっ! タチヒコてめぇ・・」
「使徒は"ネームド"が狩る。だが、使徒には連れが居るかもしれない。あるいは魔王という生き物が先に襲って来る可能性もある。最低でもレベル500か、それ以上の敵と戦うつもりで、5パーティ以上による単体撃滅を基本行動にしてくれ」
シュンは、右手の内側に並んだ神具の紋章を見た。
「アオイやロシータなど、すでに知っている人間がいるが、俺の神具は俺がリーダーを務めるパーティやレギオンのメンバーに貸与することができる。今回、わざわざレギオンを再編する理由は、レギオンメンバー全員に神具を貸与するためだ」
「おっ!? なんだ、それ? つえぇ武器か?」
アレクが、タチヒコを放ってシュンに向き直った。
「目潰し、目眩ましを防ぎ、毒や酸から鼻や喉を守り、爆音や咆吼から耳を保護し、離れた相手と会話ができるようになる。どれも魔法を使えば似たような事ができると思うが・・この神具は、MP等の消費が無いまま効果を発揮する」
シュンの説明に、広場全体がどよめいた。
「さらに、今回、使徒を引き受けるにあたり、"隷属無効"と"鑑定無効"の神具を与えられた。この迷宮とは違い、別の世界には相手を強制的に隷属させる魔法や魔導具が存在する可能性がある。さらに、こちらの能力を明け透けに調べる魔法があるかもしれない。それらを防ぐために、これらの神具をレギオンメンバー全員に貸与する」
「それって・・すげぇのか? おいっ、ロシータ?」
アレクが、ざわめいているメンバー達の反応に戸惑いながらロシータに訊ねた。
「眼、鼻、耳を護る神の防具を与えられるということです。恐らく、魔獣の咆吼による状態異常や毒竜の毒煙も無効化できます」
ロシータが溜め息交じりに説明した。
「すげぇじゃねぇか!」
アレクが無邪気に喜ぶ。
「加えて、希望者には"文明の恵み"という神具の貸与を考えている」
シュンはやや声を落として言った。
「詳細な効果のほどは、ここに居る・・アオイやロシータ、ケイナなどから教えて貰ってくれ。簡単に言えば、いつでも、完全に安全な状態で、便所と風呂を使用できるという神具だ。この神具だけ、使用中はMPを消費する。現状に満足をしている者も居るだろうから強制はしない」
やや早口に説明を終えて、シュンはざっと広場に集まった男女を見回した。
見ると、すでに数人の女が手を挙げていた。
「ん?・・なにか?」
「総長から伺いました。中に居る間、時間が経過しない・・お風呂で自由に時間が使えるというのは本当でしょうか?」
"ケットシー"のメンバーが質問した。
「まあ・・その通りだ。ただし、滞在した時間分MPを消費するぞ?」
「シュン様! つまり、仮に戦闘中であっても、その・・行って戻って、そのまま戦闘を継続可能ということですよね?」
別の女が訊いてくる。
「そういうことだな」
シュンはやや硬い表情で頷いた。どうやら、"文明の恵み"が注目されてしまっている。
「アオイ隊長が、中では私達の世界にある飲料を購入できると言っていましたが・・本当ですか?」
「異世界の飲料のことなら本当だ。ただ、それは、何度も"文明の恵み"を使用して練度があがってからだ。最初は、便所と風呂しか無い。中身が進化していく神具だから」
ちなみに、シュンの"文明の恵み"は露天風呂と檜の内湯、サウナ、水風呂、ナノミストシャワー室など種類が増え、飲料の自動販売機には、乳酸飲料から炭酸飲料、お茶、天然水、エナジードリングが並んでいる。加えて、目覚まし付きの仮眠室もある。
「そこは完全にプライベート・・個室なんですよね? 誰の目も気にしなくて良いんですよね?」
「そうだな。個人の空間だ」
女の探索者ばかりが興奮顔で質問をしてくる。
「ボディソープやシャンプーなんかも常備されてるって聴きました。本当ですか?」
「・・体や髪を洗う石鹸類は揃っている。それらも練度の上昇に伴って種類や品質が変化するようだ」
シュンは女性陣の熱量に驚きを覚えながら答えた。
「す、すいません! "ベルリンク"というパーティのリーダーで、ミサエと言います! あなたのレギオンに加入できる条件は何でしょうか?」
広場の野次馬の中から、ひょろりと背丈のある少女が前に出て来た。
「75階の突破だ」
「そんな・・だって、あんな階層、無理ですよっ!」
「そうか」
シュンは小さく頷いて、アオイやアレク達へ視線を戻した。
「神具は各人で確かめてくれ。それより、使徒戦がどう行われるのか、世界がどう合わさるのか、魔王がどういう生き物なのか・・まだ何も分からない。ただ、外に居るよりも迷宮の中が安全だと思う。迷宮を創った神に護られているはずだ」
「私も同意です。結界などが弱まっているという話ですが、それでも外ほど無防備では無いでしょう」
アオイが言った。
「迷宮防衛の備えをしたことは正解でした。神殿町の騎士達が自分の世界の使徒を支援して暴動を起こす可能性はありますが・・」
「"狐のお宿"や"竜の巣"なら天馬騎士に負ける事は無いだろう?」
シュンは、アオイとアレクの顔を見た。
「無論です」
「負けはしねぇが・・割と気の良い連中だからよ。死なせるのは、ちと後味が良くねぇんだが・・」
珍しくアレクの歯切れが悪い。
「なら、殺さずに鎮圧しろ」
「お、おう! そりゃそうだな!」
アレクが大きく頷く。
「基本戦略は、迷宮に拠っての防衛戦になりますでしょうか?」
ロシータが訊いた。
「使徒の戦いで3つの世界が残されるそうだ。まずは、他の使徒を斃し、3つの世界を確定させる。それまでは迷宮の防衛だ。使徒が残り3人・・3体となった段階で、魔王狩りに移行だ。これは、レギオン単位での遠征となる」
シュンは大雑把に考えていた流れを話した。
使徒戦は正直どういう流れになるのか予想がつかない。ただし、魔王の方は問題無いと感じている。
「魔王は、迷宮もしくは、それに類する場所に棲み着くだろう。迷宮内なら獲物が安定的にポップして居なくなることが無い。人の町などを襲うより遙かに効率が良い」
使徒戦を最速で収束させ、魔王が逃げ込んだであろう迷宮に突入して魔物ごと狩り尽くせば良い。どこの迷宮も、100階層以下なのだから。
「天馬騎士達の世界の迷宮は、地下へ潜って行くらしいが・・あのレベルで86階層まで到達できているそうだ」
「難易度に、そこまで差が無いのかな?」
ケイナが首を傾げた。
「俺は、使徒戦に勝利した後、迷宮を中心とした支配地を拡大するつもりだ。初期目標としては、殲滅した3国の王都までを迷宮の支配地としたい。その方が、より迷宮を守りやすくなる」
シュンの宣言に、アオイやタチヒコが軽く眼を見張り、アレクが眼を輝かせ、ロシータが微笑を浮かべた。
「以上が、"ネームド"からの連絡事項となる。では、レギオンの編成と神具の貸与を開始するが・・"文明の恵み"は全員で良いのか?」
シュンの問いかけに、トップレギオンのメンバーが漏れなく挙手した。
「では、レギオンを編成しよう」
シュンは左手甲のステータス表示へ指を伸ばした。全体の大まかな動きを決めたら、次はリーダーを集めて個別の動き方の打合せだ。
使徒戦で迷宮を留守にする可能性が高い。ある程度詰められるところまでは打合せを済ませておきたい。
『主殿・・』
リールの声が"護耳の神珠"から聞こえた。
「どうした?」
『迷路の外の連中が魔物に襲われておるようじゃ』
「あぁ・・そうだったな」
すっかり忘れていた。迷路の外に集団が来ていたのだった。シュンはレギオンの勧誘をすべて終えると、加入したメンバーに神具の貸与を済ませていった。
それぞれのレギオンに主権を持たせた"同盟"としての、カテナ・レギオンでは無く、シュンをリーダーにしたレギオンである。
いきなり従属しろと言われれば、当然のように抵抗感を覚えるだろうし、離脱をする人間が大勢出るだろうと考えていたが・・。
「異議無し!」
「お前が大将なら文句ねぇぜ!」
アオイとアレクが即答した。
「うちは、ずっと前から従属しているから今さらね」
ケイナが笑う。
「俺を狙ってくる使徒との戦いに巻き込まれる可能性は高い。また、魔王という妙な生き物が世界を滅ぼしに来るというのなら、今のレベルでは心許ない。"ネームド"傘下に入った以上、更なる高みを目指して貰わなければならない」
シュンは、壇上から居並んだ探索者達を見回した。
商工ギルド前の広場に、"狐のお宿""竜の巣""ガジェット・マイスター"の面々が勢揃いしていた。無論、他のパーティやレギオンも集まって来ている。
「シュン様、主神なる者の声はこの場の全員が聴いております。100階層を素手で制圧できる"ネームド"は探索者の頂点なのです。"ネームド"が・・シュン様が敵わぬほどの相手が現れ、それで世界が滅ぶというのなら諦めがつきます」
"ケットシー"のロシータが穏やかな表情で言った。
「よく言ったぜ! クソ猫の言う通りだ! 使徒だろうが魔王だろうが、ぶっ潰してやるぜぇ!」
アレクが吼える。
「・・使徒は、使徒が斃すしかないんですよ」
タチヒコが呟く。
「あぁん? 何か言いやがったか?」
「いいえ、面倒なので何も」
「おうっ! タチヒコてめぇ・・」
「使徒は"ネームド"が狩る。だが、使徒には連れが居るかもしれない。あるいは魔王という生き物が先に襲って来る可能性もある。最低でもレベル500か、それ以上の敵と戦うつもりで、5パーティ以上による単体撃滅を基本行動にしてくれ」
シュンは、右手の内側に並んだ神具の紋章を見た。
「アオイやロシータなど、すでに知っている人間がいるが、俺の神具は俺がリーダーを務めるパーティやレギオンのメンバーに貸与することができる。今回、わざわざレギオンを再編する理由は、レギオンメンバー全員に神具を貸与するためだ」
「おっ!? なんだ、それ? つえぇ武器か?」
アレクが、タチヒコを放ってシュンに向き直った。
「目潰し、目眩ましを防ぎ、毒や酸から鼻や喉を守り、爆音や咆吼から耳を保護し、離れた相手と会話ができるようになる。どれも魔法を使えば似たような事ができると思うが・・この神具は、MP等の消費が無いまま効果を発揮する」
シュンの説明に、広場全体がどよめいた。
「さらに、今回、使徒を引き受けるにあたり、"隷属無効"と"鑑定無効"の神具を与えられた。この迷宮とは違い、別の世界には相手を強制的に隷属させる魔法や魔導具が存在する可能性がある。さらに、こちらの能力を明け透けに調べる魔法があるかもしれない。それらを防ぐために、これらの神具をレギオンメンバー全員に貸与する」
「それって・・すげぇのか? おいっ、ロシータ?」
アレクが、ざわめいているメンバー達の反応に戸惑いながらロシータに訊ねた。
「眼、鼻、耳を護る神の防具を与えられるということです。恐らく、魔獣の咆吼による状態異常や毒竜の毒煙も無効化できます」
ロシータが溜め息交じりに説明した。
「すげぇじゃねぇか!」
アレクが無邪気に喜ぶ。
「加えて、希望者には"文明の恵み"という神具の貸与を考えている」
シュンはやや声を落として言った。
「詳細な効果のほどは、ここに居る・・アオイやロシータ、ケイナなどから教えて貰ってくれ。簡単に言えば、いつでも、完全に安全な状態で、便所と風呂を使用できるという神具だ。この神具だけ、使用中はMPを消費する。現状に満足をしている者も居るだろうから強制はしない」
やや早口に説明を終えて、シュンはざっと広場に集まった男女を見回した。
見ると、すでに数人の女が手を挙げていた。
「ん?・・なにか?」
「総長から伺いました。中に居る間、時間が経過しない・・お風呂で自由に時間が使えるというのは本当でしょうか?」
"ケットシー"のメンバーが質問した。
「まあ・・その通りだ。ただし、滞在した時間分MPを消費するぞ?」
「シュン様! つまり、仮に戦闘中であっても、その・・行って戻って、そのまま戦闘を継続可能ということですよね?」
別の女が訊いてくる。
「そういうことだな」
シュンはやや硬い表情で頷いた。どうやら、"文明の恵み"が注目されてしまっている。
「アオイ隊長が、中では私達の世界にある飲料を購入できると言っていましたが・・本当ですか?」
「異世界の飲料のことなら本当だ。ただ、それは、何度も"文明の恵み"を使用して練度があがってからだ。最初は、便所と風呂しか無い。中身が進化していく神具だから」
ちなみに、シュンの"文明の恵み"は露天風呂と檜の内湯、サウナ、水風呂、ナノミストシャワー室など種類が増え、飲料の自動販売機には、乳酸飲料から炭酸飲料、お茶、天然水、エナジードリングが並んでいる。加えて、目覚まし付きの仮眠室もある。
「そこは完全にプライベート・・個室なんですよね? 誰の目も気にしなくて良いんですよね?」
「そうだな。個人の空間だ」
女の探索者ばかりが興奮顔で質問をしてくる。
「ボディソープやシャンプーなんかも常備されてるって聴きました。本当ですか?」
「・・体や髪を洗う石鹸類は揃っている。それらも練度の上昇に伴って種類や品質が変化するようだ」
シュンは女性陣の熱量に驚きを覚えながら答えた。
「す、すいません! "ベルリンク"というパーティのリーダーで、ミサエと言います! あなたのレギオンに加入できる条件は何でしょうか?」
広場の野次馬の中から、ひょろりと背丈のある少女が前に出て来た。
「75階の突破だ」
「そんな・・だって、あんな階層、無理ですよっ!」
「そうか」
シュンは小さく頷いて、アオイやアレク達へ視線を戻した。
「神具は各人で確かめてくれ。それより、使徒戦がどう行われるのか、世界がどう合わさるのか、魔王がどういう生き物なのか・・まだ何も分からない。ただ、外に居るよりも迷宮の中が安全だと思う。迷宮を創った神に護られているはずだ」
「私も同意です。結界などが弱まっているという話ですが、それでも外ほど無防備では無いでしょう」
アオイが言った。
「迷宮防衛の備えをしたことは正解でした。神殿町の騎士達が自分の世界の使徒を支援して暴動を起こす可能性はありますが・・」
「"狐のお宿"や"竜の巣"なら天馬騎士に負ける事は無いだろう?」
シュンは、アオイとアレクの顔を見た。
「無論です」
「負けはしねぇが・・割と気の良い連中だからよ。死なせるのは、ちと後味が良くねぇんだが・・」
珍しくアレクの歯切れが悪い。
「なら、殺さずに鎮圧しろ」
「お、おう! そりゃそうだな!」
アレクが大きく頷く。
「基本戦略は、迷宮に拠っての防衛戦になりますでしょうか?」
ロシータが訊いた。
「使徒の戦いで3つの世界が残されるそうだ。まずは、他の使徒を斃し、3つの世界を確定させる。それまでは迷宮の防衛だ。使徒が残り3人・・3体となった段階で、魔王狩りに移行だ。これは、レギオン単位での遠征となる」
シュンは大雑把に考えていた流れを話した。
使徒戦は正直どういう流れになるのか予想がつかない。ただし、魔王の方は問題無いと感じている。
「魔王は、迷宮もしくは、それに類する場所に棲み着くだろう。迷宮内なら獲物が安定的にポップして居なくなることが無い。人の町などを襲うより遙かに効率が良い」
使徒戦を最速で収束させ、魔王が逃げ込んだであろう迷宮に突入して魔物ごと狩り尽くせば良い。どこの迷宮も、100階層以下なのだから。
「天馬騎士達の世界の迷宮は、地下へ潜って行くらしいが・・あのレベルで86階層まで到達できているそうだ」
「難易度に、そこまで差が無いのかな?」
ケイナが首を傾げた。
「俺は、使徒戦に勝利した後、迷宮を中心とした支配地を拡大するつもりだ。初期目標としては、殲滅した3国の王都までを迷宮の支配地としたい。その方が、より迷宮を守りやすくなる」
シュンの宣言に、アオイやタチヒコが軽く眼を見張り、アレクが眼を輝かせ、ロシータが微笑を浮かべた。
「以上が、"ネームド"からの連絡事項となる。では、レギオンの編成と神具の貸与を開始するが・・"文明の恵み"は全員で良いのか?」
シュンの問いかけに、トップレギオンのメンバーが漏れなく挙手した。
「では、レギオンを編成しよう」
シュンは左手甲のステータス表示へ指を伸ばした。全体の大まかな動きを決めたら、次はリーダーを集めて個別の動き方の打合せだ。
使徒戦で迷宮を留守にする可能性が高い。ある程度詰められるところまでは打合せを済ませておきたい。
『主殿・・』
リールの声が"護耳の神珠"から聞こえた。
「どうした?」
『迷路の外の連中が魔物に襲われておるようじゃ』
「あぁ・・そうだったな」
すっかり忘れていた。迷路の外に集団が来ていたのだった。シュンはレギオンの勧誘をすべて終えると、加入したメンバーに神具の貸与を済ませていった。
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