69 / 79
第68話 夢よ再び
しおりを挟む
ミハルに自警団の宿泊所兼、詰所を建築してもらおうと思ったら、既に出来上がっていて、確認してるんだけどさ、見た目は中世の建物なんだけど、中身は3LDK~1DKのマンションかよ!
上下水道は、当たり前のように完備され、電気、ガスは無いけど、それは、魔石で代用出来る。
地下に大規模な貯水池と地下水路を造って、大量のスライムを放してあるから、循環されて綺麗な水が使えるんだって、レバーを捻れば、水もお湯も使えて、大量の水を確保してあるから、魔石の消耗も少なくて済む家計に優しいお家だってさ。
住む家族構成に合わせて選べる広さと間取り、快適な住環境を貴方に、そんなキャッチフレーズが聞こえてきそうな宿泊所という名のマンションだよね、これは。
自警団に選抜された面々が、宿泊所を見学しながら、口をあんぐり開けている。
「ス、スゲー、本当にこんなとこに住めんのか?」
「家族もOKって、マジか? こっちに住んだら、ぜってー帰んねーぞ」
「風呂って、貴族が使うっていう、あれか?」
興味津々であちこち見て回るおっさん達にほっこりしていると、カシムさんが、空気も読まずに自己中発言。
「あー、俺はいいや、あっちの屋敷に住むから、美味い料理もあるし、いい女もいるからな」
俺に拒否権は……ないんですよね、別に嫌なわけじゃないからいいんだけどね、なんか嫌いになれないんだよね、この人、笑うとちょっと可愛いし。
一通り見て回った後で、皆の希望を聞いてみたら、カシムさんは屋敷に住むことになり、エルミオとカルーギナは二人で一部屋。
仲間と住んでもいいか聞かれたけど、それは断った、どこかでけじめをつけないと困るからね、その代わり、時々泊まりに来るのは大丈夫だよと伝えてあげた。
他の人達にも、誰かを泊めてもいいけど必ず許可を取ることにして、無許可で宿泊させた場合は出て行ってもらうと伝えた。
そうしないと不法滞在者が増えそうだからさ、だってシュバーツェンの街より絶対に住み心地いいからね。
そうすると誰か、宿泊所を監視するというか、寮母さんみたいな人? 誰か決めないとな、本当はカシムさんをリーダーにしてって考えてたけど、人をまとめるとか、規則を守らせるってむいてなさそうだしね。
残りの9名、そのうち家庭を持ってるのは3名だけで、子供がいるのは一人だけだった、冒険者とかって生活が安定しないから、彼女はいても結婚するのは少ないんだって。
三人に家族と住むかどうか確認したら、もちろん、一緒に住みます! だって。
ちなみに、魔石の消費が家計に占める割合が多いこの世界で、魔石の消耗を減らせるこの宿泊所は、主婦達から大絶賛されたんだ。
宿泊所の管理は、主婦三人にお小遣い程度だがお給料も出すからとお願いしたら、快く引き受けてくれた、建物全体の掃除と管理、住んでいる人達が気持ち良く暮らせるように自分達でルールを決めてもらう事にしたんだ。
住人以外の宿泊の申告とか、最低限のルールは伝えるけど、あとは自分達でお願いね。
住むところも決まったので、あとはお仕事の説明しないとな、まず、リーダーはカシムさん、サブリーダーはひとまず、タイガーヴァイスにやってもらう事にした、この街にも慣れてるしね。
やってもらう仕事は、街へ出入りする人の監視、街の治安維持が大きな柱になるかな、あとの細々とした仕事は、ナナミの指示に従ってもらう、街の安全に交番は欠かせない! と張り切っていたから、お任せしよう、細かく口出しするより丸投げで!
商人や冒険者、自警団の人達と少しづつ、人口も増え、活気に満ちてくる街を見てると、充実感もあるんだけど、なんていうか、こう、……ね、
領主なんかやるより、居酒屋やりてー!
うん、わがままかもしんないけど、やっぱ、やりたいものはやりたいんだよな。
試食会も楽しかったけど、そうじゃないんだよ、もっとさ、俺のつくった料理を目に前で食べてもらって、酒を飲んでさ、距離が近いっていうのがいいんだよな。
「主様、何やら悩んでおられるようですが、どうかされましたか?」
急に話しかけられると、びっくりしちゃうよ、シンさん。
「街が少しづつ、賑やかになってきてさ、やっぱ、居酒屋やりたいなーって思ってたんだよ」
「やればよろしいのでは? なにか出来ない理由があるのですか」
「んー、領主が居酒屋なんて、聞いたことないしな、安全だって考えないといけないし、」
「聞いたことが無い、ならば、ご自分が前例となられればよろしいのではないですか、安全という事なら、我が常にお側におれば大抵のことは問題ないかと思いますが、カシムとかいう男も腕は立ちそうですが、我が本気になれば相手になりませぬ」
護衛付きの居酒屋なんて、誰がくるんだよ、嫌だよ、そんなの。
「領主もお嫌ならば、やらなくともよろしいのではないですか?」
シンさんは、基本がフリーダム過ぎるんだよな、悪気はないんだ、きっと。
「そんなわけにはいかないよ、人間にはしたく無くてもやらなきゃいけないこともあるし、それにやっと街だって活気づいてきたのに、放り出すわけにはいかないよ、皆の生活だってあるんだからさ、シンさんだって、蛇人族の人達を守ってきたんだろう」
「ふうむ、我は始祖であるから、子の面倒を見るのは当たり前だが、彼らは主様と何の関りも無い故、お嫌であれば滅ぼしてしまえばよい」
当たり前のように、なんて怖い事を言うんですか! そんなこと出来る訳ないでしょう。
「良くわからないのだが、領主であるのが問題ならば、ハットリに頼んで化身の術でも掛けてもらえば良いのでは? その、居酒屋の間だけ、ばれなければ問題は無くなるのではないのか?」
「化身の術って何?」
俺は、勢いこんでシンさんを摑まえる、……嬉しそうにされたので、すぐに手を離したけどな。
「ハットリは忍術というスキルを持っていて、変身できる術式もあると聞いている。詳しくはわからぬので、お気になるのであれば直接聞かれるのが一番じゃろう」
めちゃめちゃ、気になります! シンさんとすぐに屋敷に戻って訊いてみたら、変身は出来ないが、見た目をごまかすことは出来るらしい。
ハットリくんてスゴイ! 猫又万歳!
居酒屋、やれる? 本当に?
上下水道は、当たり前のように完備され、電気、ガスは無いけど、それは、魔石で代用出来る。
地下に大規模な貯水池と地下水路を造って、大量のスライムを放してあるから、循環されて綺麗な水が使えるんだって、レバーを捻れば、水もお湯も使えて、大量の水を確保してあるから、魔石の消耗も少なくて済む家計に優しいお家だってさ。
住む家族構成に合わせて選べる広さと間取り、快適な住環境を貴方に、そんなキャッチフレーズが聞こえてきそうな宿泊所という名のマンションだよね、これは。
自警団に選抜された面々が、宿泊所を見学しながら、口をあんぐり開けている。
「ス、スゲー、本当にこんなとこに住めんのか?」
「家族もOKって、マジか? こっちに住んだら、ぜってー帰んねーぞ」
「風呂って、貴族が使うっていう、あれか?」
興味津々であちこち見て回るおっさん達にほっこりしていると、カシムさんが、空気も読まずに自己中発言。
「あー、俺はいいや、あっちの屋敷に住むから、美味い料理もあるし、いい女もいるからな」
俺に拒否権は……ないんですよね、別に嫌なわけじゃないからいいんだけどね、なんか嫌いになれないんだよね、この人、笑うとちょっと可愛いし。
一通り見て回った後で、皆の希望を聞いてみたら、カシムさんは屋敷に住むことになり、エルミオとカルーギナは二人で一部屋。
仲間と住んでもいいか聞かれたけど、それは断った、どこかでけじめをつけないと困るからね、その代わり、時々泊まりに来るのは大丈夫だよと伝えてあげた。
他の人達にも、誰かを泊めてもいいけど必ず許可を取ることにして、無許可で宿泊させた場合は出て行ってもらうと伝えた。
そうしないと不法滞在者が増えそうだからさ、だってシュバーツェンの街より絶対に住み心地いいからね。
そうすると誰か、宿泊所を監視するというか、寮母さんみたいな人? 誰か決めないとな、本当はカシムさんをリーダーにしてって考えてたけど、人をまとめるとか、規則を守らせるってむいてなさそうだしね。
残りの9名、そのうち家庭を持ってるのは3名だけで、子供がいるのは一人だけだった、冒険者とかって生活が安定しないから、彼女はいても結婚するのは少ないんだって。
三人に家族と住むかどうか確認したら、もちろん、一緒に住みます! だって。
ちなみに、魔石の消費が家計に占める割合が多いこの世界で、魔石の消耗を減らせるこの宿泊所は、主婦達から大絶賛されたんだ。
宿泊所の管理は、主婦三人にお小遣い程度だがお給料も出すからとお願いしたら、快く引き受けてくれた、建物全体の掃除と管理、住んでいる人達が気持ち良く暮らせるように自分達でルールを決めてもらう事にしたんだ。
住人以外の宿泊の申告とか、最低限のルールは伝えるけど、あとは自分達でお願いね。
住むところも決まったので、あとはお仕事の説明しないとな、まず、リーダーはカシムさん、サブリーダーはひとまず、タイガーヴァイスにやってもらう事にした、この街にも慣れてるしね。
やってもらう仕事は、街へ出入りする人の監視、街の治安維持が大きな柱になるかな、あとの細々とした仕事は、ナナミの指示に従ってもらう、街の安全に交番は欠かせない! と張り切っていたから、お任せしよう、細かく口出しするより丸投げで!
商人や冒険者、自警団の人達と少しづつ、人口も増え、活気に満ちてくる街を見てると、充実感もあるんだけど、なんていうか、こう、……ね、
領主なんかやるより、居酒屋やりてー!
うん、わがままかもしんないけど、やっぱ、やりたいものはやりたいんだよな。
試食会も楽しかったけど、そうじゃないんだよ、もっとさ、俺のつくった料理を目に前で食べてもらって、酒を飲んでさ、距離が近いっていうのがいいんだよな。
「主様、何やら悩んでおられるようですが、どうかされましたか?」
急に話しかけられると、びっくりしちゃうよ、シンさん。
「街が少しづつ、賑やかになってきてさ、やっぱ、居酒屋やりたいなーって思ってたんだよ」
「やればよろしいのでは? なにか出来ない理由があるのですか」
「んー、領主が居酒屋なんて、聞いたことないしな、安全だって考えないといけないし、」
「聞いたことが無い、ならば、ご自分が前例となられればよろしいのではないですか、安全という事なら、我が常にお側におれば大抵のことは問題ないかと思いますが、カシムとかいう男も腕は立ちそうですが、我が本気になれば相手になりませぬ」
護衛付きの居酒屋なんて、誰がくるんだよ、嫌だよ、そんなの。
「領主もお嫌ならば、やらなくともよろしいのではないですか?」
シンさんは、基本がフリーダム過ぎるんだよな、悪気はないんだ、きっと。
「そんなわけにはいかないよ、人間にはしたく無くてもやらなきゃいけないこともあるし、それにやっと街だって活気づいてきたのに、放り出すわけにはいかないよ、皆の生活だってあるんだからさ、シンさんだって、蛇人族の人達を守ってきたんだろう」
「ふうむ、我は始祖であるから、子の面倒を見るのは当たり前だが、彼らは主様と何の関りも無い故、お嫌であれば滅ぼしてしまえばよい」
当たり前のように、なんて怖い事を言うんですか! そんなこと出来る訳ないでしょう。
「良くわからないのだが、領主であるのが問題ならば、ハットリに頼んで化身の術でも掛けてもらえば良いのでは? その、居酒屋の間だけ、ばれなければ問題は無くなるのではないのか?」
「化身の術って何?」
俺は、勢いこんでシンさんを摑まえる、……嬉しそうにされたので、すぐに手を離したけどな。
「ハットリは忍術というスキルを持っていて、変身できる術式もあると聞いている。詳しくはわからぬので、お気になるのであれば直接聞かれるのが一番じゃろう」
めちゃめちゃ、気になります! シンさんとすぐに屋敷に戻って訊いてみたら、変身は出来ないが、見た目をごまかすことは出来るらしい。
ハットリくんてスゴイ! 猫又万歳!
居酒屋、やれる? 本当に?
0
お気に入りに追加
245
あなたにおすすめの小説

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

ペット(老猫)と異世界転生
童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。
最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。
でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。
記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ!
貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。
でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!!
このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない!
何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない!
だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。
それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!!
それでも、今日も関係修復頑張ります!!
5/9から小説になろうでも掲載中

まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる