上 下
43 / 79

第43話 初恋はレモーネのお味

しおりを挟む
ネギ塩タンの次は、厚切り牛タン。タンって薄いものだと思ってたけど、仙台に行って初めて食べた時、思わず、日本酒を注文しちゃったぜ。この噛み応えと滴る肉汁、なんで、厚切り牛タンを、俺は今まで食べれなかったのか、悔やんだよ。

これは、ナナミも初めてだったみたいだが、いい笑顔とサムズアップで応えてくれた。猫又達は噛り付き、噛み切るのに少し苦労してたから、口の周りがべとべとだ、後でふけばいいよ。

シンさんは、薄切りよりもこっちが好みだったみたいで、キラキラ笑顔がパワーアップしてた。

お次はカルビ、これはこの世界でも普通に食べられてるけど、炭火で焼くとやっぱ、香ばしさが違うんだよね、そして、このつけダレ。

ニンニク、唐辛子、ねぎを軽く炒めたら、お酒、みりん、醤油をベースにリゴーネのすりおろしたものをイン。一煮立ちさせたら、白ゴマを散らして出来上がり。本当は海苔も欲しかったが、今回はお見送り。
でも、十分、満足。

ほとんどの料理が塩、コショウ、ハーブの世界で、食欲をそそる醤油の匂い、もう、たまらん。匂いテロだね。 ナナミと猫又達は懐かしい味に手が止まらないらしい。猫又達の口の周りを時々、ナナミが拭いている。

シンさんも、いたくお気に召したようで、このようなものは食べたことが無い、
そうでしょうとも!
食材とは、料理をするとこんなにも美味しくなるのだなと感激。

いつもは一口で丸呑み。お腹に中で消化するので、味わったことがそもそもないらしい。 ・・・・そうでしたか、
唯一、酒だけが味がしたのだと、・・・・・・・酒豪になる訳ですね。

どっかのフランスシェフが、TVで言ってたけど、牛肉に一番合う調味料は醤油だと。俺もそう思うぜ。
なんかのコンテストで、ソースの隠し味に醤油を使って、優勝したらしい。

俺はそんな繊細な料理はつくれないけど、味なら自信がある。ダンジョン”日本の食卓”に恥じるようなものはつくらない!


最後は〆のデザート、食べて驚け!  ヒンヤリ、さっぱり、レモーネとメローネのシャーベットだ。
シャクシャクと、いい感じに固まった。ナナミはメローネ、猫又達はレモーネとメローネで二匹づつ。

シノブちゃんが、目をウルウルさせながら、ミハル様にも食べさせたいにゃん、と上目づかいでおねだり、  いいよ、いいよ、勿論だよ。
お留守番の猫又達にも持っていこうよ、  でも、足りなくなったら作るの手伝ってね。

シンさんは、どちらも満足気に食べている。そんな、シンさんを見てふと思いついたので、レモーネシャーベットに梅酒をチョロッとかけて出してみたら、蕩けそうな笑顔を見せてくれたので、俺も満足。

「シンさんって、普段と違って食べてる時の顔は可愛いんだね。」

そう言ったら、シンさんの顔がちょっと赤くなった?
あっ、こんな若造にそんな事言われて、怒って・・・ないよね、大丈夫だよね?

「うんうん、普段は怖いくらいの美形だけど、食べてる時の顔はマジ可愛いよね。」

854年、生きてきて可愛いと初めて言われたシンさん。
見た目は、超絶イケメン。ハートはピュアラヴ。

焼き肉とシャーベットと初恋の味を覚えました。


「そういえばさ、シンさん、ダンジョン・マスターって知ってる?」

「無論、知っておるが、何か?」

「ダンジョン・マスターって、神様なの?シンさんのお父さんは神族でしょう、その辺、どうなってんのかと思ったんだけど。」

ナナミが猫又達を膝に載せながら、会話に加わる。

「私もそれ、気になってたんだ、猫又達のご主人様はミハルでしょう?、やっぱり神様なの?」

「正確に言えば、ダンジョン・マスターは神ではない。」

シンさんは、はっきりそう言った。おお、流石に長年生きてるだけあって知識も豊富だ。

「神とは、主神、オーディンの御子達となるので、ダンジョン・マスターは違うのだ。ただ、神とよく似た力を持ち、ダンジョンルールが適用される場所では、ヴァルハラの神々でさえも手出し出来ぬ。
ダンジョン・マスターとは、世界の管理者に選ばれた者なのだ。」

世界の管理者?  俺とナナミは顔を見合わせる。

「主様は、時空魔法を会得した時、ナナミはギフトスキルを手に入れた時、頭の中で声が聞こえてきたと思う、それが ”世界の声” 管理者じゃな。」

頭が混乱してきました。話、デカすぎんじゃね、邪神ロキでもお腹いっぱいなのに、世界の管理者とか、もう、いいか、・・・・あるがままで、・・・・シンさんだって、邪神族とかだし、オレ、 人間だし、

「シンさんってさ、神様の子供なんだよね、そんな人が俺みたいな、ただの人間に仕えてていいの?」

「ん?  何を言うているのか良くわからんが、主様がただの人間というのはどういう意味なのかの?
我を上回る魔力を持っているではないか、ましてや時空魔法など、神々でも使える者などそうはおらぬよ。」

神々でも、あんまりいないって、・・・ダメですね。

「それより、主様、このような料理を居酒屋とやらで出すつもりなのかの?」

「んー、焼き肉はやらないと思うけど、この調味料は使うつもりだよ、あとは、お米とかもだな。」

「なるほど、それであのような小さな店を選ばれたのか、では、内装は主様と最高の料理にふさわしく王都から、最高級の職人を20人程、呼び寄せればよいかの。」

なんの、はなしかな?  居酒屋だよね。

「あのような料理であれば、一皿、白金貨2~3枚(200万~300万)程の値段であろう、客も選ばれたもののみで、内装も華麗に整えばならぬ。」

なにやら、一人で夢を見てるのか? 

「シンさんや、一皿、純銀貨1枚(1000円)くらいの値段になると思うけど、・・」

「なんと、そのようなこと、許されませぬ、至高の料理がそのような・・、」

あり得ないと首をふる。

「人間風情が、主様の御料理をいただくのであれば、地にひれ伏し、神々への感謝を述べねばなるまい。」

俺は、・・人間で・・すよ。

「まあまあ、シンさんも落ち着いて、ね、  ちょっと、こっち、  こっちきてくれる。」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

トレンダム辺境伯の結婚 妻は俺の妻じゃないようです。

白雪なこ
ファンタジー
両親の怪我により爵位を継ぎ、トレンダム辺境伯となったジークス。辺境地の男は女性に人気がないが、ルマルド侯爵家の次女シルビナは喜んで嫁入りしてくれた。だが、初夜の晩、シルビナは告げる。「生憎と、月のものが来てしまいました」と。環境に慣れ、辺境伯夫人の仕事を覚えるまで、初夜は延期らしい。だが、頑張っているのは別のことだった……。 *外部サイトにも掲載しています。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...