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第41話 シンさんはすごい人の息子さんだった

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店の名前は、サクラに決まった。

この世界の言葉だと、人の名前みたいに聞こえるかな、日本と繋がりのある言葉を使いたかったんだよね。

店の準備金は、ダンジョン発見の報奨金が白金貨150枚(約1億5千万)を、ナナミと半分に分けたので十分だ。ちなみにタイガーヴァイスにも同額支払われた。

イリアンさんが、同額では申し訳ないから、3:7に分けようと言ってきたが、別に今、お金に困っていないし、かまわないと言ったのだが、そんな訳には行かないと、押し付けようとするので、自分達は、冒険者としてのランクが低いから、これからもいろいろと手助けして欲しい。その顧問料を先払いすると言って、押しつけた。

実際、シュバーツェン家の話し合いに行ってもらったりしたし、これからも、何かあった時に頼れる相手がいるのは心強いからさ。

そして、念願の俺の店、ギルドから真っすぐ行った通りに、屋台や飲食店が軒を連ねている一角に、希望通りの小さめの店が借りられた。

看板には、漢字で”櫻”の文字と、この国の言葉で”サクラ”と一緒に書いてもらった、漢字を説明するのが大変だったけど、この印は自分の故郷で発展を示す魔力が込められてると言ったら、納得してた。

もし、転生者がこの看板を見たら店に入ってきてくれるだろうとも思ったんだ。

シンさんは、看板の文字が気になったようで、俺とナナミが元居た世界は、漢字とカタカナ、ひらがなが基本で文字だけで3種類あるといったら、興味深々で教えて欲しいと頼まれたが、・・・そのうちね。

シンさんとは、主従の誓いを交わしてるので、俺がダメだと言ったら絶対にしないらしいので、転生者の件を打ち明けたんだ。

信じてるよ、シンさん。・・・・大丈夫だよね?

あとね、一応、本人の了解を取って【鑑定】してみたんだ。

名前:シン(シンシア)・ヨルムンガンド(854)
種族:蛇神族
レベル:752
位階:蛇人族、蛇淫族の始祖、
HP:4200/4200
MP:3800/3800
スキル:土魔法、Lv,8 金魔法、Lv,MAX 水魔法、Lv,MAX 火魔法、Lv,9、闇魔法 Lv,MAX
ギフト:花魁おいらん   Lv,MAX
ギフトスキル:芸術乱舞、紅蓮の舞、誑かし、淫酒、淫夢、女王様、床上手

もう、何から突っ込んでいいのかわからない・・・・。
全てにおいてぶっ飛んでる。

    人族の平均      人族のトップ
レベル:40~60      180~220
HP  :200~300    700~800
MP  :200~300    1,000~2、000
スキル:1個~2個       4個

よくこんなんで、人間に捕まってたなと思ったら、シンさんの父親は邪神ロキ、洞穴に撒かれた薬も父親ロキのお手製らしい、なんでそんな事をってきいたら、多分、ヒマだったからだろうと。

よくわかんないだけど・・・。俺が不思議そうな顔をしていたら、シンさんが教えてくれた。

ロキは、人や神が争ってたり、困っているのを見るのが大好き。地上も神界もこのところ平和でつまらなかったから、シンさんを人間に捕らえさせれば面白いこと(戦争や虐殺)が起きるんじゃないかと思って、人間に力を貸してみたけど、シンさんの力が強すぎて、縛りつけるだけで魔力の消費が膨大で、思ったほど楽しめなかったから、飽きてどこかに行ってしまったと。

なんだ、それ、・・・・・・・・なんだよ、それ、毒親にも程がある!

シンさん曰く、あれは快楽主義者だからどうしようもない、一般的な善悪の感情自体が無いのだと。神の身であるロキにとって、自分が死ぬことさえヒマつぶしに過ぎないらしい。誰が死のうと思い切り暴れられれば、それでいい。

実際、一度死んで黄泉の国ニブルヘルに行ったことがあるが、なんと、女王様はロキの娘!シンさんの妹さん、にセクハラを働いて、このクソ親父!お前がこの黄泉の国ニブルヘルに居るのは許さない!! と、生者の国に送り返されたんだと。

凄すぎるし、確かに死ぬのも怖くないよな、死んだら自分の娘から、生者の国に送り返されるんじゃな。
ボッコボッコにされたらしいが。

神々の大半が死んでしまう神々の黄昏ラグナロクさえ、彼にとってはお祭りにすぎないのだ。神々は神々の黄昏ラグナロクを止めるためにロキを見張っていたが、悪知恵が働き、人を騙すことが得意なので、いつも逃げられるらしい。

・・・なんて奴。    聞かなきゃ良かった。

もし、また、ロキの罠に落ちることがあっても、主従の誓いがあれば、俺の嫌がることをシンさんに強制させることは、難しくなるので、世界を混沌に落としたくなければ、このままでいるべきだ、って・・・なんでだよー。


シンさんが、邪神ロキの息子さんだったとはね、驚いたよ。

「主様、黙っていて申し訳なかった、だが、私が邪神ロキの息子だと知ると、神々でさえも私を疎んじるので、あまり、知られたくなかったのだ。
どうか、私のような汚らわしい存在が許せぬと思われるのなら、殺して欲しい。我もロキ程ではないが、強大な力を持っておる。恐れ敬われるもは慣れておるが、弟や妹以外に助けてもらったのは、初めてだったのだ。」

そう言いながら、俺の顔を見ているシンさんの目から、一すじの涙がつぅーと落ちた。

・・・ヤバすぎる。     男なのに、スッゲーアブナイ奴なのに、
・・・なに、この気持ち。
俺、ドキドキしてる、もしかして、顔、赤い?!

し、しっかりしろ、オレ、

「あ、あのさ、シンさん、何も悪くないじゃん、そのー、お父さんのロキさんだって、考え方によっては可哀そうだよね、だって、人の気持ちがわからなくて、それで、迷惑かけちゃってさ、友達や家族の誰にも分ってもらえないなんて、寂しいと思うよ。
もう、シンさんは、俺達の家族だからさ、そんな、殺してとか死ぬとか簡単に言ったらダメだからね。」

「・・・・・主様、   家族というのは夫婦という事か?」

「違うわよ、このバカ蛇!」

シンさんの言葉にがっくりと肩を落とした俺を、ナナミが救ってくれた。


「ダイチの優しさをエロに変換してんじゃないわよ!」

「何をいうか、エロスとは究極の愛情なのだ。」

「お前は、ただの変態な蛇でしょう。」

「未成熟な子供は黙っておればよい、変態もまた、一つの愛のカタチなのだ。」

否定しないんかーい。

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