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第1話 出会い
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夜明け前、こっそりと抜け出して、今、門の前に立つ。
振り返り、18年過ごした屋敷に向かって深々と頭を下げる。
「お世話になりました。」
ゆっくりと頭を戻し、門に手をかける。
キィィと小さな音を鳴らして開いた門から一歩踏み出す。
家族に不満があった訳じゃない。俺はただ、他にやりたい事があっただけだ。
こんな田舎な小さな領主でも長男の俺は後継ぎとしての責任があったが、弟のジェドが継いでくれるだろう。俺の補佐をしたいと一生懸命、領地経営の勉強をしていたあいつなら、領民も苦しむことなく過ごしていけるだろう。
「なんで兄さんが出ていくんだ! それぐらいなら俺が出ていく!」
いつも俺を立ててくれたジェドが本気で怒っていた。
義母さんも本当に良くしてくれた。何をするにも俺を優先してたから、そんなに気を使わないで欲しいと何度言ってもわきまえる事は大事です。と譲らなかった。
俺とジェドが仲違いしたりすれば、家が乱れる。家が乱れれば領地が乱れる。結果、苦しむのは使用人や領民達だからと、言っていた。
ジェド、義母さん、悪い。
そんな二人だから、任せられると思ったんだ。本当にごめん。
キィィともう一度小さな音を立てて門を閉じた。
そして歩き始め・・・・
・・・・・・なんだ、これ?
屋敷の前に・・・・・・・・簀巻きになった・・・・・・・人?
なんで、 こんなものが・・・ここに・・・
いや、・・・ものじゃない・・・・・人だよね・・・
えっ、どうする? ・・・・俺?
俺の旅立ちは・・・? どうなる・・・・?
・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
いや・・・・いやいや、・・・・こんな時に自分の事ってダメだろ・・・
落ち着け・・・俺は・・・・そう、やり直せる・・
・・・・・・・・うん。大丈夫・・・・・
また、やり直せばいい・・・・又、新たな旅立ちをすることも・・・・できる。
とりあえず、助けないと、・・・・死んでないよな?
近づいてロープを切る。手をかざして呼吸と体温を確かめる。薄汚れているがケガはなさそうだし呼吸もしている。
ってか、この子めっちゃ綺麗。俺より二つ、三つ下かな、でも、年下でも可愛いっていうより本当、美少女。着ている服もシンプルだけど上質で品がいい感じ。
この子、貴族・・・だよね? どうみてもさ、
なんで・・・
まぁ、考えても分からない・・それより
「大丈夫ですか? どこか痛いところはありませんか? 苦しくないですか?」
声をかけながら、顔を軽く叩いてみる。
瞼が少し動いたので、更に声をかけながら、繰り返してみる。
呼吸が少し荒くなり、ヒビ割れた唇が少し開いた。
「あ・・・・ああっ・・・・み・・・みず・・」
「水だね、今あげるから、少し待ってて。」
持ってた水筒を口につけてみたけど、まだ意識がはっきりしないのか自分で上手く飲むことが出来ない。口移しが一番確実だろうけど、難度が高いので(ヘタレです、こんな綺麗な子に口移しとか・・・無理・無理・・)唇を指で押さえて2、3滴垂らして様子を見る。
変わらない。もう少し多めに垂らしてみる。
喉に詰まらせないようゆっくり、ゆっくり、水を垂らしていく。
少し開いていた唇が閉じて喉が動いた。・・・飲み込めたかな、
少しづつ水の量を増やしていき、何度か繰り返していたら薄く目を開けた。
良かった。でも、まだ焦点があっていないようでぼーっとしている。
薄く開いた水色の瞳、抜けるような白い肌、今は汚れて乱れているけど十分に手入れされてきたであろう銀色の髪。透き通るような美少女がそこにいた。
目を何度かしばたたかせて、周りを見る。
「ここは、・・・・・どこ?・・・私は・・・」消え入りそうなか細い声。
驚かせないようになるべく優しい声を心がけて話す。
「ここは、シュバーツェン。シュバーツェンの領主の屋敷の前だよ。どこから来たの?
少し屋敷で休むといい。話はそれからゆっくり聞くよ。」
「シュバーツェン・・・シュバーツェンって、どこ? 王都からどれくらい?」
ああ、やっぱりこの子は王都から来たんだ。こんな田舎にいたら絶対に目立つよな。
「王都からは大分離れているよ。ここはアスガルド王国の辺境だからね。馬車で2週間位かな。」
「馬車で2週間・・・・シュバーツェン・・・」
せっかく開かれた瞳が、陰を宿し、瞼が落ちて閉ざされた。
何をどう声をかけていいのか分からず、ただ、見つめていた。
「あの・・・・」 何を言えばいいのか・・・
閉ざされた瞼がゆっくりと動き、空色の瞳が見つめていた。
少し視線が下に落ち、もう一度上を向いて目があった時、
空色の瞳に光が戻った。いや、力がこもった。
ギンッ! えっ、 にらまれた・・何、怖い・・・
「逃げるわよ!」
・・・声にも力が戻ったようだ。
振り返り、18年過ごした屋敷に向かって深々と頭を下げる。
「お世話になりました。」
ゆっくりと頭を戻し、門に手をかける。
キィィと小さな音を鳴らして開いた門から一歩踏み出す。
家族に不満があった訳じゃない。俺はただ、他にやりたい事があっただけだ。
こんな田舎な小さな領主でも長男の俺は後継ぎとしての責任があったが、弟のジェドが継いでくれるだろう。俺の補佐をしたいと一生懸命、領地経営の勉強をしていたあいつなら、領民も苦しむことなく過ごしていけるだろう。
「なんで兄さんが出ていくんだ! それぐらいなら俺が出ていく!」
いつも俺を立ててくれたジェドが本気で怒っていた。
義母さんも本当に良くしてくれた。何をするにも俺を優先してたから、そんなに気を使わないで欲しいと何度言ってもわきまえる事は大事です。と譲らなかった。
俺とジェドが仲違いしたりすれば、家が乱れる。家が乱れれば領地が乱れる。結果、苦しむのは使用人や領民達だからと、言っていた。
ジェド、義母さん、悪い。
そんな二人だから、任せられると思ったんだ。本当にごめん。
キィィともう一度小さな音を立てて門を閉じた。
そして歩き始め・・・・
・・・・・・なんだ、これ?
屋敷の前に・・・・・・・・簀巻きになった・・・・・・・人?
なんで、 こんなものが・・・ここに・・・
いや、・・・ものじゃない・・・・・人だよね・・・
えっ、どうする? ・・・・俺?
俺の旅立ちは・・・? どうなる・・・・?
・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
いや・・・・いやいや、・・・・こんな時に自分の事ってダメだろ・・・
落ち着け・・・俺は・・・・そう、やり直せる・・
・・・・・・・・うん。大丈夫・・・・・
また、やり直せばいい・・・・又、新たな旅立ちをすることも・・・・できる。
とりあえず、助けないと、・・・・死んでないよな?
近づいてロープを切る。手をかざして呼吸と体温を確かめる。薄汚れているがケガはなさそうだし呼吸もしている。
ってか、この子めっちゃ綺麗。俺より二つ、三つ下かな、でも、年下でも可愛いっていうより本当、美少女。着ている服もシンプルだけど上質で品がいい感じ。
この子、貴族・・・だよね? どうみてもさ、
なんで・・・
まぁ、考えても分からない・・それより
「大丈夫ですか? どこか痛いところはありませんか? 苦しくないですか?」
声をかけながら、顔を軽く叩いてみる。
瞼が少し動いたので、更に声をかけながら、繰り返してみる。
呼吸が少し荒くなり、ヒビ割れた唇が少し開いた。
「あ・・・・ああっ・・・・み・・・みず・・」
「水だね、今あげるから、少し待ってて。」
持ってた水筒を口につけてみたけど、まだ意識がはっきりしないのか自分で上手く飲むことが出来ない。口移しが一番確実だろうけど、難度が高いので(ヘタレです、こんな綺麗な子に口移しとか・・・無理・無理・・)唇を指で押さえて2、3滴垂らして様子を見る。
変わらない。もう少し多めに垂らしてみる。
喉に詰まらせないようゆっくり、ゆっくり、水を垂らしていく。
少し開いていた唇が閉じて喉が動いた。・・・飲み込めたかな、
少しづつ水の量を増やしていき、何度か繰り返していたら薄く目を開けた。
良かった。でも、まだ焦点があっていないようでぼーっとしている。
薄く開いた水色の瞳、抜けるような白い肌、今は汚れて乱れているけど十分に手入れされてきたであろう銀色の髪。透き通るような美少女がそこにいた。
目を何度かしばたたかせて、周りを見る。
「ここは、・・・・・どこ?・・・私は・・・」消え入りそうなか細い声。
驚かせないようになるべく優しい声を心がけて話す。
「ここは、シュバーツェン。シュバーツェンの領主の屋敷の前だよ。どこから来たの?
少し屋敷で休むといい。話はそれからゆっくり聞くよ。」
「シュバーツェン・・・シュバーツェンって、どこ? 王都からどれくらい?」
ああ、やっぱりこの子は王都から来たんだ。こんな田舎にいたら絶対に目立つよな。
「王都からは大分離れているよ。ここはアスガルド王国の辺境だからね。馬車で2週間位かな。」
「馬車で2週間・・・・シュバーツェン・・・」
せっかく開かれた瞳が、陰を宿し、瞼が落ちて閉ざされた。
何をどう声をかけていいのか分からず、ただ、見つめていた。
「あの・・・・」 何を言えばいいのか・・・
閉ざされた瞼がゆっくりと動き、空色の瞳が見つめていた。
少し視線が下に落ち、もう一度上を向いて目があった時、
空色の瞳に光が戻った。いや、力がこもった。
ギンッ! えっ、 にらまれた・・何、怖い・・・
「逃げるわよ!」
・・・声にも力が戻ったようだ。
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