通訳なので他国の皇子にBLの婚約破棄の現場を実況した結果、旅立つことになりました。

能登原あめ

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夫婦編

7 国が違うと……《バレンタイン記念》

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* 一日早いのですが、よろしくお願いします! エロなし、息抜きにどうぞ。







******


 ジェリーが私に薔薇の花束とチョコレートをくれた。

「クミン、一日早いが受け取ってほしい」
「嬉しい! 私、チョコレート大好き!」

 チョコレートだけじゃなくて甘いもの全般、肉も炭水化物もなんでも大好きだけど!
 ぎゅっと抱きつくとジェリーが私を膝に乗せる。

「うむ、本当は明日渡したかったのだが…明日入国する国は、バレンタインを祝うと……」

 ジェリーが私の耳に唇を寄せる。

「死刑⁉︎ 愛する人に贈り物をする日な、んむぅ……」

 口を大きな手で覆われてびっくりしていると、ジェリーがキョロキョロ辺りを見回した。
 旅先の部屋には侍従のピートしかいないし、部屋の外に護衛のアーロとデールがいるはず。

「うむ。あまり大きい声では言えないが、彼の国の王子がそう宣言したと聞いている。だから、明日は街でチョコレートを買うこともできないし、食べることもできないし、言葉に出すのも……念のためやめておいた方がいいだろう」

 そういうことなら仕方ない。

「ジェリー、じゃあ、今日たくさんお祝いしよう! 私の生まれた国では女性から男性にあげるの。ピート!」

 明日渡そうと思って用意していたチョコレートは、ピートに預かってもらっている。
 だって私が持っているとうっかり食べちゃいそうだし、雑に扱って箱がボロボロになりそうだったから。

 ジェリーが護衛のアーロと出かけている時に、ピートと一緒にバレンタインのチョコレートの試食と買い出しに出かけた。
 この国はチョコレート売り場が賑わっていたから、隣の国のことは想像つかなかったな。

「クミさま、どうぞ」

 ピートから受け取って、それをジェリーに差し出した。
 なぜかちょっと眉をひそめているのは、もしかしてピートが持ってたから?
 結婚してもピートにやきもち妬いちゃうの?

「ジェリー、あのね。大好きなジェリーのために特別に用意したの。驚かせたくて隠してもらっていたんだ」

 ジェリーの顔がぱあっと明るくなる。
 ちょろいよ、私の旦那さま!
 そんなところも大好きだけどね!

「うむ、そうか……オレのために、クミンが……!」
「ジェリーの喜ぶ顔も見たかったし、一緒に食べたらもっとおいしいよね!」
「うむうむ、さっそく食べよう」

 ジェリーがそう言うってわかっていたのか、有能なピートがさっとティーセットを用意して、スパークリングワインとグラスまで並べてくれた。

 スパークリングワインの気分じゃないなーって思ってるとノックがして、ホットチョコレートとハムやチーズにパンとかローストビーフとかパスタとか、軽食も運び込まれる。
 これは軽食だよ?

「何かございましたらベルでお知らせください。それでは失礼いたします」

 至れり尽くせり!
 さすがピート!

「クミン、どれから食べたい?」
「まずはホットチョコレートを飲んで、ジェリーからもらったチョコレートを一粒食べたい」

「一粒?」
「だって、だってジェリーが用意してくれるものはなんだっておいしいし、大事に食べたいから!」
 
 ジェリーの鼻息が荒くなって、おちんちん様が元気になっちゃった!
 そういえばチョコレートってそういう効果もあるのかな⁉︎

「クミン……チョコレートはきっと美味しいだろう。オレにとって、チョコレートよりもクミンが甘くておいしいに違いない」

 なんか変なこと言い始めた!
 このままだと、今すぐチョコレートが食べられなくなる。

「先にチョコを……その方がこのあと甘い時間を過ごせるよ、ジェリー♡」

 抱っこしてもらったまま、甘くて苦いホットチョコレートを飲み干し、石畳風にぎっしり敷き詰められたチョコレートを二つとって、一つをジェリーの口へ。もう一つを自分の口へ入れた。

「…………⁉︎」

 ジェリーの首に腕を回して、おいしいって仕草で伝える……伝わったかな?

「うむ、なめらかでうまいな。もう一つどうだ?」
「三つ」

 おいしすぎる!
 ジェリーが次々に口に入れてくれるから、わたしはひな鳥の気分で端から食べた。
 誘惑に負け続けて、大きな箱が半分くらいなくなったところでストップをかける。

「ジェリー、私幸せ。私から用意したこっちも食べよう」
「楽しみだな」

 ジェリーのために、カカオがいっぱいの大人味!
 ナッツやドライフルーツにチョココーティングされてるのもあって、どれを買うか迷ったから端から試食して全種類、一人一粒ずつ買ってきた。

「……すごいな、クミン。お茶をもう一杯飲んでから一緒に食べよう」

 一度口の中さっぱりしたいもんね。
 量に驚いたわけじゃないよね、ジェリーがお腹の辺り押さえているけど!

「はい、あ~ん♡」

 一緒にいろんな味を試したらあっという間になくなっちゃった!
 途中で口直しの軽食もおいしくて、食欲が満たされたからかジェリーのおちんちん様は大人しくなっちゃったけど、とっても素敵なバレンタイン前夜だった。

「クミンの国のバレンタインはすごいのだな」

 その夜はお茶をがぶがぶ飲むジェリーと、夕食をペロリと食べた私はベッドでころころ転がった。
 
「ジェリー、今日はこんなにたくさんチョコレートを食べることができて、幸せ!」
「うむ、クミンが嬉しいならよかった……チョコレートはまた来年だな……」


 バレンタインの翌日、しれっと王室御用達のチョコレート専門店が開いていて、日本のチョコレートにすごく似ていてびっくりした!








******


 お読みくださりありがとうございます。
 バレンタインを祝うと死刑の国を今さら知りまして、書いた次第です。
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感想 11

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みんなの感想(11件)

鍋
2022.02.13

バレンタインで死刑!

(*゚.゚)ホ・(*゚。゚)ホーーッ!!

そんな国があるんですね(;>_<;)

相変わらずラブラブな二人😍

なかなか脳内が甘くならず、今回はあめ様のバレンタインSS読んで糖分補給しまーす💐

2022.02.13 能登原あめ

世界の変わったバレンタインを調べていたら、出てきたのです(*゚O゚*)))
びっくりしてちょっと取り入れてみました。
石油の国ですが、死刑判決は今のところないそうですよ。

今切ないお話書かれてますもんね🥲
私、微糖の話も大好きです♡
鍋さま、コメントありがとうございました🤗

解除
セライア(seraia)

甘~いっ!!!
ほぼ全話にいちゃラブ、胸焼けする前に読了できてよかった~(笑)

あの人数で旅ができるほど強くて、役目をしっかり果たせるほど有能で、なのに超愛妻家で激甘・・・まさにスパダリですね!
お約束の絶倫は私はパスしたいですけどね(笑)

2020.10.18 能登原あめ

こちらにも嬉しいです〜😊
胸焼け寸前でした⁉︎
この2人、それはもう楽しく書きました〜
言われてみれば、スパダリですね!
絶倫なのは、話の中だけならアリかと!
ありがとうございました〜🤗

解除
2020.08.03 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2020.08.03 能登原あめ


前回返信した後、ピートのお兄さん達の名前にすればいいなぁって思いました〜(≧艸≦)

南の国はおしまいですが、気が向いたら……何か書いてしまうかもしれません❗️
気まぐれなもので😆

最後の年下王子カップルですか🌟 
ええ、はい、彼らはきっと幸せになります💕
最後までおつきあいありがとうございました〜🤗

解除

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