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はち スパ!スパ!スパ?
しおりを挟む個室露天風呂で盛り上がった翌日、温泉着を着てみんなでスパリゾート風温泉街へ!
手首に本日の入泉料ですよ~っていうお揃いのリボンを着けている。
温泉マップを見ながら自由に好きなだけ好きな温泉に入ることができて、全部入ると認定証がもらえて……日本にもそんな温泉街があったなぁ、入り放題じゃなかったけど。
温泉道の達人、いや名人を目指す!
ここも百近く温泉場があるみたいだから一日じゃ足りない。
足りないけど、時間の限り楽しむつもり!
ちなみに南国風でもないし、ダンスショーもないけれど、流しのミュージシャンやら複数人の音楽団やらがいたるところで演奏をしている。
それで気に入ったらチップを渡している人もいた。
ジェリー様とか。
ジェリー様とかね。
「クミンの分も渡しているのだ」
目の前で私たちのために幸せを祈って愛の歌を歌います、とかやられてジェリー様は相手が驚くほどチップを渡していた。
もしかしたらこれを買うと二人が幸せになるっていう壺だって買っちゃうかもしれない、ジェリー様なら。
うん、それはまずい。
「ジェリー様、私壺はいらないですからね?」
「壺? ふむ、わかった」
首を傾げながらもジェリー様が頷く。
「あのですね! 私は物がなくても幸せになれるので! 今すでに幸せですし」
いきなりぎゅっと抱きしめられた。
「クミンはかわいいな。オレと一緒なら幸せだと思ってくれるのだな……」
「ええ、まぁ……なので、壺とか絵画とか、いらないですよ?」
「ふむ、次は絵画か。絵は好みがあるからな」
幸せになれる絵とかね。
「ものより一緒に過ごす時間とか、大事です! もらって嬉しいのは美味しい食べ物くらいですよ」
「ふむ。時間は限りがあるから貴重なものだ。だが、食べ物はお腹に入ったら消えてしまうがいいのか?」
「記憶が残りますよ!ジェリー様と食べた焼き鳥おいしかったなぁ、とか忘れられません!」
つい数日前だしね。
「クミン……いっぱい食べさせてやる」
「ありがとうございます!」
その後海水温泉で温まり、次に肌がつるつるになるとろりとした湯に入って、お互いすべすべだねって言い合って触り合う私たちを少し離れたところで護衛の二人とピートさんが半笑いというか苦笑いというか微妙な笑みを浮かべていた。
「……ジェリー様、あの三人ってどういう関係なんですか?」
小声でみんなに聞こえないように尋ねる。
「……クミンにはどのように見えるのだ?」
「アーロさんとデールさんが恋愛関係、でも、もしかしてピートさんを奪い合う仲、とかですか⁉︎」
「ふむ……外からはそのように見えるのか。……アーロとデールの間には、まぁ、愛がなくもない」
「ジェリー様⁉︎」
愛がなくもないって、多少の愛があるってこと?
過去恋人同士だったけど、今は友情に落ち着いているとか?
「まぁ、そう興奮するな。ピートには国に結婚を考えている相手が」
「男ですか?」
食い気味の私にジェリー様がちょっとだけ後ろに身を引いた。
「いや……多分女だ」
なにそれ、男装の麗人なの?
それともゴリゴリのマッチョさん?
それとも性転換した男の娘?
「すまぬ。名前しか知らぬのだ」
「あー……ジェリー様の国に着いたら会うことができるでしょうか?」
「うむ。……クミンの侍女にと考えていたのだが」
断っちゃったけど、え? どうしよう?
仕事ないけどついてきてもらったほうがいいのかな。
でもやることないだろうな。
「クミンは気にしなくていいのだ。着替えなどオレが手伝うからな」
「あ、はい」
「さて、食事にしよう」
ベルミチェッリにカペリーニ、スパゲッティーニにリングイネ。
大好き、パスタの国!
温泉があってパスタもあってなんて素晴らしい国だ‼︎
「クミン、うまいか?」
ジェリー様がくるくるとフォークに巻きつけたシーフードとトマトのパスタを私の口に運ぶ。
「おいしいです!」
私の口の端についたソースを親指で拭い、ぺろりと舐めた。
王子様だから、周りの目を気にしないのかな。
ジェリー様、堂々としてかっこいいなぁ!
私は同じことできないよ!
「ほら、これもどうだ?」
今度はニンニクたっぷりのきのこソースでおいしい!
外食といえば食べ放題にしか連れて行ってもらえなかった私を、同じレベルで食べさせてくれるジェリー様って最高すぎる。
「おいしいです……ジェリー様も食べてくださいね!」
「うむ」
そう言いながら私の口元へクリーミーなカレー風味のパスタが。
「ナマステ~」
「なますてー? なんだそれは?」
思わず心の声が。
「えっと、ありがとうとかこんにちはとか、さようならって意味のアッチの外国の言葉です」
「……ふむ。……クミン、ナマステー」
似合い過ぎる!
やっぱりカレーの王子様だ!
「ジェリー様、とっってもイイです!」
「そうか、それならばたまに使うことにしよう」
ずきゅん。
「ジェリー様、この後出発するんですよね?」
「うむ。……ここが気に入ったのか?」
「気に入りましたけど、ジェリー様の都合があると思うので、また来れる機会があればいいなと思います」
「ふむ……今夜泊まるつもりでいた宿は今食べたみたいなスパイスのきいた料理が有名なんだが、もう一泊この町で」
「いえ、予定通り行きましょう‼︎」
「そうか、わかった……きっと、クミンも気にいる」
もしかしてカレーっぽいものがあるのかも!
わくわくしながら私はジェリー様と馬車に乗った。
ピートさんは御者の隣、護衛の二人は馬に乗っている。
「クミン、しばらく眠っておくといい」
ジェリー様に膝抱っこされて背中をトントンされる。
「ジェリー様も眠くないですか?」
昨日は温泉に出たり入ったり、いや間違った。
出したり挿れたりしていたもんで、かなり体力を使ったと思う!
『お湯の中でしたら、ナカにお湯が入っちゃう~!』
というやつをリアルに経験した。
温泉から上がっておちんちん様が抜けた後、お漏らしみたいにちょろちょろと水がしたたった。
ジェリー様のアレと一緒に。
『ジェリー様、見ないでっ!これ、違うんですっ……』
『お漏らしするクミンもかわいいな』
『これはっ、ジェリー様がおっきいからお湯が入っちゃったんです‼︎』
『……かき出してやろう』
立ったまま、いつの間にか回復していたジェリー様にじゅぷんとひと突きされて、そのまま大きく揺さぶられた。
『あ♡ あぁっ♡ ジェリーさまっ……もぅ、だめ♡ もぉ、足に力がはいらないからぁ♡♡』
『クミン煽り過ぎだ』
『あおって、ませんっ♡』
いわゆる駅弁スタイルでぱんぱん腰を打ちつけられて本当に気を失った。
目が覚めると、私はジェリー様の身体の上にのびていたのだけど、おちんちん様は私のナカにゆったり滞在していた。
『すまない。クミンの国の温泉の魅力に取り憑かれてしまったようだ』
いやそれ違う。
なんでかな、誤解は解けなかった。
まぁ、もういいか。
「ジェリー様も一緒に眠りませんか?」
背中をトントンされるの、気持ちいい。
「うむ、そうするとしよう。……今夜の宿でもクミンを味わいたいからな」
そういう意図は全くなかったんだけどね?
まぁ、いいけど。
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