27 / 52
【2】
27 女王生誕祭①
しおりを挟む
* 全三話、異母妹が出てくるお話です。
******
この国の初代は女王で、彼女の誕生日の前後合わせて三日間が国民の祝日となっています。
国中が賑わうのですが、特に王都に人々が集まるため目新しい屋台が並び、いつ行っても新鮮に感じました。
ブレンダン様と結婚してからは、女王生誕祭を祝うために王都へ足を伸ばすことは初めてです。
夫が早くから宿屋を予約してくださったので、いつもと同じところへ泊まることができました。
今回は二週間の予定でいます。
生誕祭を楽しむだけじゃなく、久しぶりに友人に会ったり、兄夫婦から食事に招かれたりしていますので、領地にいる時よりも忙しくなるでしょう。
兄夫婦とパーティーで会うことは何度かありましたし、身内だけの茶会に招かれたこともありますが、二組の夫婦での晩餐は初めてです。
義母や異母妹と顔を合わせなくてすむのは気楽でした。
「生誕祭が終わると本格的な夏がやって来るから、みんな弾けているね」
ブレンダン様が王都で暮らす人々を眺めながら言いました。
賑やかなかけ声が響き、笑い声も聞こえてきます。
領地より王都のほうが暖かいですが、それでも暑い夏は他国より短いそうです。
冬を耐え、春に浮かれ、夏に弾けるのが国民の特性かもしれません。
秋は短いのであっという間に過ぎていきます。
雪に覆われた長く厳しい冬も、ブレンダン様と過ごせる今はとても大好きな季節なのですが……。
「……見ていたら私もわくわくしてきました」
「いいね」
ブレンダン様が私をのぞき込んでそっと、口づけをします。
「今日も可愛いね。まず、何がしたい? 先に言うが、私のしたいことはアリソンのやりたいことを叶えることだよ」
「……私も、同じことを考えていました」
夫が少し首を傾げて笑い、口を開きました。
「私が可愛い?」
「いえ、そうではなくて。ブレンダン様がしたいことを私も……んっ!」
最後まで言い終わる前にもう一度強く唇を押しつけられました。
「私はいつだってあなたを愛でたい。宿屋に行くことになるがいいのか?」
「ブレンダン様っ!」
耳元でささやかれて恥ずかしくなりました。
まだ太陽の位置は高いところにありますのに。
「だからね、アリソンの行きたいところへ行こう。夜まで待つから」
「……今夜は兄に食事に誘われています」
だから夜遅くまで宿屋に戻ることはないでしょう。もしかしたら、泊まって行くように言われるかもしれません。
「夜は長い。それに明日の予定はないから時間は気にしなくても大事だよ」
「…………」
意味ありげに見つめられて、すぐに言葉が出てきません。
「……それなら、少し街を歩いて早めに宿屋に戻りましょう。……支度に時間がかかりますもの」
「わかった」
今度はこめかみに口づけを受けました。
「ブレンダン様、兄夫婦と会うのですから、途中で抜けるわけにはいきませんよ?」
「私が夜まで我慢できないと思っている?」
「いえ、そう言うわけでは……」
そう答えながらも、思わないわけでもありません。ブレンダン様に体力を奪われて、気だるいまま参加した夜会はいくつもありますから。
今、ひどく穏やかな笑顔を浮かべています。
「ちゃんとお行儀よくするよ」
「信じてもいいのでしょうか?」
「アリソンが大事にしている人に心配はかけないよ。それに……夜は長いから」
これでは夜は手加減しないと言われているような気分です。困ってしまいました。
「そんな顔をしないで。ただあなたを愛したいだけだ」
「わかりました、大通りのほうへ行きましょう。新しい店もできているでしょうから」
生誕祭のために、初代女王だけでなく現在の王族の姿絵がたくさん並んでいます。
両陛下の威厳のある姿、王太子殿下と婚約者が寄り添ったものが目立ちますが、少し前に結婚されて公爵となった弟君のものまであるようです。
小さなものはよく売れるようで、店の脇で画家が描いているところまでのぞけました。
「今度私達のものも描いてもらおうか。ついでに画家を探してもいいね」
ブレンダン様の言葉に私は頷きました。
鏡を見ているくらいそのまま描かれているものや、実物よりもたくましかったり可愛らしかったり、芸術的過ぎて私にはわからないものまであります。
たくさんありますから、きっと好みの画風が見つかる気がしました。
生誕祭の準備の様子を眺めた後は宿屋へ戻り滞りなく準備を終えて、兄達の屋敷へ向かいます。
父が大きくし、義母が派手に飾っていた伯爵家の屋敷は処分して、家族の距離が近くなるような品の良い素敵な屋敷に二人は住み始めました。
そのお披露目もあったのでしょう。
兄はそれについて何も言いませんでしたが、メープルシロップをひと樽ときれいなガラス瓶に詰めたものを用意しました。本当はもっと形の残るものがいいのでしょうけど……。
ガラス瓶は細工がほどこされていて、義姉が嬉しそうな笑顔を浮かべてくださったのでほっとしました。
お酒をいただきながら、お互いの近況を話し、話し上手な義姉から王都での最近の噂を聞きます。
ふと、会話が途切れた時に兄が話し出しました。
「ファニーのことだが、遠縁の子爵家と縁談があったんだ。うちよりも財政が豊かで、相手の年も五つほど上。身分は子爵夫人になるが、贅沢できると花嫁修業に向かった」
異母妹のファニーについては同じパーティーで顔を合わせることもなく、これまで特に話題に上がりませんでした。
「それはよかったですね」
「いや、それが王都からかなり離れた畑ばかりの土地と生真面目な子爵に嫌気が差したのか、次男と駆け落ちをしたそうだ。婚約はもちろん白紙、子爵家もこちらも二人は除籍して助けないこととなった。子爵家は隣国に近い領地だから、この国にいない可能性が高いが、もし現れても援助の必要はない」
驚きました。
昔は王子様に憧れるような娘でしたし、身分の高い相手へ嫁ぐことを夢見ていたように思います。
けれど裕福な子爵家よりも次男との禁断の恋に浮かれてしまったのでしょうか。
「むしろ見つけたら捕まえて慰謝料をむしり取りたいと義母が言っていたくらいだから……父が用意した持参金で穴埋めするには足りないくらい使い込んだらしい」
唯一の味方だった義母まで腹を立てているなんて、大変なことになりました。
「きっと会うことはないだろうが、もし捕まえたいなら知り合いにも声をかけよう」
ブレンダン様が兄に言います。
各地に散らばった頼りになる仲間たちが見つけ出すかもしれません。
「それには及びません。隣国に向かう馬車があったと聞いています。身分など関係なく自由な国だそうですから……もう関わりたくありませんね」
兄はそう言ってグラスを傾けました。
「生誕祭に向けて盛り上がっていますから、今ある噂などすぐ消えてしまうでしょう。特に王太子殿下の婚約者のドレスや宝石が話題に上がっていますのよ。とても斬新でゴージャスですの。きっとこれから流行りますわ」
義姉の新しい話題で沈んだ空気が明るくなりました。兄はとても素敵な女性と結婚したと思います。
「そういえば、この間もご兄弟で張り合うようにダンスをされていましたわ。殿下も可愛らしい面があるのだなぁと、微笑ましい気持ちになりました」
「それは一度見てみたいですわ。生誕祭のパーティーで殿下のご兄弟が揃うでしょうし」
頭の中で想像しながら義姉に向けて言いました。
堅苦しい式典は気が重かったのですが、その後のパーティーが楽しみになります。
デザートをいただいた後、私たちはいとまを告げました。
泊まって行くように誘われましたが、ブレンダン様が明日は予定があるからと言ってきっぱりと断ったのです。
明日はきっと部屋から出ないことでしょう。
宿屋に戻ると、ブレンダン様が私の髪を解いて下さいました。とても手際が良くて、ドレスも脱がせてくださるのです。
疲れた様子は少しも見えません。
「まずは風呂に浸かろう。疲れがとれるから。その後は……」
******
この国の初代は女王で、彼女の誕生日の前後合わせて三日間が国民の祝日となっています。
国中が賑わうのですが、特に王都に人々が集まるため目新しい屋台が並び、いつ行っても新鮮に感じました。
ブレンダン様と結婚してからは、女王生誕祭を祝うために王都へ足を伸ばすことは初めてです。
夫が早くから宿屋を予約してくださったので、いつもと同じところへ泊まることができました。
今回は二週間の予定でいます。
生誕祭を楽しむだけじゃなく、久しぶりに友人に会ったり、兄夫婦から食事に招かれたりしていますので、領地にいる時よりも忙しくなるでしょう。
兄夫婦とパーティーで会うことは何度かありましたし、身内だけの茶会に招かれたこともありますが、二組の夫婦での晩餐は初めてです。
義母や異母妹と顔を合わせなくてすむのは気楽でした。
「生誕祭が終わると本格的な夏がやって来るから、みんな弾けているね」
ブレンダン様が王都で暮らす人々を眺めながら言いました。
賑やかなかけ声が響き、笑い声も聞こえてきます。
領地より王都のほうが暖かいですが、それでも暑い夏は他国より短いそうです。
冬を耐え、春に浮かれ、夏に弾けるのが国民の特性かもしれません。
秋は短いのであっという間に過ぎていきます。
雪に覆われた長く厳しい冬も、ブレンダン様と過ごせる今はとても大好きな季節なのですが……。
「……見ていたら私もわくわくしてきました」
「いいね」
ブレンダン様が私をのぞき込んでそっと、口づけをします。
「今日も可愛いね。まず、何がしたい? 先に言うが、私のしたいことはアリソンのやりたいことを叶えることだよ」
「……私も、同じことを考えていました」
夫が少し首を傾げて笑い、口を開きました。
「私が可愛い?」
「いえ、そうではなくて。ブレンダン様がしたいことを私も……んっ!」
最後まで言い終わる前にもう一度強く唇を押しつけられました。
「私はいつだってあなたを愛でたい。宿屋に行くことになるがいいのか?」
「ブレンダン様っ!」
耳元でささやかれて恥ずかしくなりました。
まだ太陽の位置は高いところにありますのに。
「だからね、アリソンの行きたいところへ行こう。夜まで待つから」
「……今夜は兄に食事に誘われています」
だから夜遅くまで宿屋に戻ることはないでしょう。もしかしたら、泊まって行くように言われるかもしれません。
「夜は長い。それに明日の予定はないから時間は気にしなくても大事だよ」
「…………」
意味ありげに見つめられて、すぐに言葉が出てきません。
「……それなら、少し街を歩いて早めに宿屋に戻りましょう。……支度に時間がかかりますもの」
「わかった」
今度はこめかみに口づけを受けました。
「ブレンダン様、兄夫婦と会うのですから、途中で抜けるわけにはいきませんよ?」
「私が夜まで我慢できないと思っている?」
「いえ、そう言うわけでは……」
そう答えながらも、思わないわけでもありません。ブレンダン様に体力を奪われて、気だるいまま参加した夜会はいくつもありますから。
今、ひどく穏やかな笑顔を浮かべています。
「ちゃんとお行儀よくするよ」
「信じてもいいのでしょうか?」
「アリソンが大事にしている人に心配はかけないよ。それに……夜は長いから」
これでは夜は手加減しないと言われているような気分です。困ってしまいました。
「そんな顔をしないで。ただあなたを愛したいだけだ」
「わかりました、大通りのほうへ行きましょう。新しい店もできているでしょうから」
生誕祭のために、初代女王だけでなく現在の王族の姿絵がたくさん並んでいます。
両陛下の威厳のある姿、王太子殿下と婚約者が寄り添ったものが目立ちますが、少し前に結婚されて公爵となった弟君のものまであるようです。
小さなものはよく売れるようで、店の脇で画家が描いているところまでのぞけました。
「今度私達のものも描いてもらおうか。ついでに画家を探してもいいね」
ブレンダン様の言葉に私は頷きました。
鏡を見ているくらいそのまま描かれているものや、実物よりもたくましかったり可愛らしかったり、芸術的過ぎて私にはわからないものまであります。
たくさんありますから、きっと好みの画風が見つかる気がしました。
生誕祭の準備の様子を眺めた後は宿屋へ戻り滞りなく準備を終えて、兄達の屋敷へ向かいます。
父が大きくし、義母が派手に飾っていた伯爵家の屋敷は処分して、家族の距離が近くなるような品の良い素敵な屋敷に二人は住み始めました。
そのお披露目もあったのでしょう。
兄はそれについて何も言いませんでしたが、メープルシロップをひと樽ときれいなガラス瓶に詰めたものを用意しました。本当はもっと形の残るものがいいのでしょうけど……。
ガラス瓶は細工がほどこされていて、義姉が嬉しそうな笑顔を浮かべてくださったのでほっとしました。
お酒をいただきながら、お互いの近況を話し、話し上手な義姉から王都での最近の噂を聞きます。
ふと、会話が途切れた時に兄が話し出しました。
「ファニーのことだが、遠縁の子爵家と縁談があったんだ。うちよりも財政が豊かで、相手の年も五つほど上。身分は子爵夫人になるが、贅沢できると花嫁修業に向かった」
異母妹のファニーについては同じパーティーで顔を合わせることもなく、これまで特に話題に上がりませんでした。
「それはよかったですね」
「いや、それが王都からかなり離れた畑ばかりの土地と生真面目な子爵に嫌気が差したのか、次男と駆け落ちをしたそうだ。婚約はもちろん白紙、子爵家もこちらも二人は除籍して助けないこととなった。子爵家は隣国に近い領地だから、この国にいない可能性が高いが、もし現れても援助の必要はない」
驚きました。
昔は王子様に憧れるような娘でしたし、身分の高い相手へ嫁ぐことを夢見ていたように思います。
けれど裕福な子爵家よりも次男との禁断の恋に浮かれてしまったのでしょうか。
「むしろ見つけたら捕まえて慰謝料をむしり取りたいと義母が言っていたくらいだから……父が用意した持参金で穴埋めするには足りないくらい使い込んだらしい」
唯一の味方だった義母まで腹を立てているなんて、大変なことになりました。
「きっと会うことはないだろうが、もし捕まえたいなら知り合いにも声をかけよう」
ブレンダン様が兄に言います。
各地に散らばった頼りになる仲間たちが見つけ出すかもしれません。
「それには及びません。隣国に向かう馬車があったと聞いています。身分など関係なく自由な国だそうですから……もう関わりたくありませんね」
兄はそう言ってグラスを傾けました。
「生誕祭に向けて盛り上がっていますから、今ある噂などすぐ消えてしまうでしょう。特に王太子殿下の婚約者のドレスや宝石が話題に上がっていますのよ。とても斬新でゴージャスですの。きっとこれから流行りますわ」
義姉の新しい話題で沈んだ空気が明るくなりました。兄はとても素敵な女性と結婚したと思います。
「そういえば、この間もご兄弟で張り合うようにダンスをされていましたわ。殿下も可愛らしい面があるのだなぁと、微笑ましい気持ちになりました」
「それは一度見てみたいですわ。生誕祭のパーティーで殿下のご兄弟が揃うでしょうし」
頭の中で想像しながら義姉に向けて言いました。
堅苦しい式典は気が重かったのですが、その後のパーティーが楽しみになります。
デザートをいただいた後、私たちはいとまを告げました。
泊まって行くように誘われましたが、ブレンダン様が明日は予定があるからと言ってきっぱりと断ったのです。
明日はきっと部屋から出ないことでしょう。
宿屋に戻ると、ブレンダン様が私の髪を解いて下さいました。とても手際が良くて、ドレスも脱がせてくださるのです。
疲れた様子は少しも見えません。
「まずは風呂に浸かろう。疲れがとれるから。その後は……」
23
お気に入りに追加
1,709
あなたにおすすめの小説
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる