上 下
19 / 51
【2】

19 クリスマス⑥ ※

しおりを挟む


 晩餐を楽しんだ後、寝室に引き上げました。
 寝支度を終えると、ブレンダン様が私をそっと抱きしめました。

「具合は悪くないか?」
「はい、大丈夫です」

 昨年は食べ過ぎてしばらく動けませんでした。そんな私を思い出したようで控えめに笑い出したのです。

「ブレンダン様こそ、飲み過ぎではありませんか?」
「いや、まさか。あなたに触れたいから酒は控えたよ」
「…………」

 そうでしょうか。
 楽しそうに笑うので、ブレンダン様は少し酔っているかもしれません。

「アリソン、あなたは可愛い」

 私を持ち上げてベッドに運びました。
 ふらつくこともないですし、滑舌も悪くありません。
 口づけは……少しウイスキーの香りがしますが、お互い様だと思います。

「ブレンダン様、愛しています」

 私からも口づけを返しました。
 首に腕を回して身を寄せて、それから――。

「大好きです」
「……あなたのほうが酔っている」
「そんなわけありません。飲んでいませんから」

 夜になって、二人きりになって。
 ブレンダン様を独り占めできるのが嬉しいです。
 本当に好きで、大好きで――。

「アリソン、それ以上言うと手加減できなくなる」

 情欲を浮かべたブレンダン様に見下ろされて心臓が跳ねました。
 ほんの少し彼の口角が上がるのが見えます。

「……口に出していた。また後でゆっくり聞かせて欲しい」
 
 一気に赤くなった私の口内に舌が差し入れられました。いきなり上顎をなぶられて思わず、声を漏らしてしまいます。
 巧みな舌の動きに翻弄されているうちに、私のそれが絡めとられました。

「んっ……ぁ」

 腰の辺りから快楽が這い上り体が跳ねます。ブレンダン様の熱い昂まりが寝衣越しに触れてますます体温が上がりました。
 初めの頃は大きくて苦しかったのに、今では体がブレンダン様に合わせたように潤み、受け入れることを焦がれるような気持ちになります。

「アリソン」

 口づけの合間に名前を呼ばれて、寝衣を脱がされました。彼に触れられていない場所はもうないでしょう。
 私を知り尽くした手が体を這い回り、欲をあおります。

 彼からもたらされる快楽を知ってしまった私は、すべてを委ねました。
 その様子を見て、ブレンダン様は笑みを深めます。

「先にあなたと繋がりたい」

 ブレンダン様の指が脚の間を撫でて十分に濡れているのを確認してから二本の指が挿し入れられました。中で曲げられた指が快楽を引き出し、それからゆっくりと拡げるように動きます。

「……あぁっ、ブレンダンさまっ」
 
 すぐに繋がりたいのだと思いましたのに。
 ブレンダン様は二本の指を動かしながら、親指でかたくなった粒をむき出しにするように撫で上げました。
 内壁がうねって彼の指を喰い締めてしまいます。ブレンダン様が喉の奥で笑いました。

「アリソン」

 指を引き抜き、昂まりを押し当てます。
 でもブレンダン様は擦りつけるように前後に滑らせ、中々先へと進みません。
 
 先端で粒を刺激するので体は震えて、じれったくてたまらないのです。
 ブレンダン様に満たされるのを待っていますのに、どうして焦らされているのでしょう。

 今の私は早くお互いの距離を縮めてしまいたいと、強く願っていてもどかしくなります。

「ブレンダン様……」
「どうしてほしい……? 口で言ってみてごらん」
「あの、……その、私……」

 時々こうして私に言わせようとするのですが、理性の残っている今は恥ずかしくて、するりと言葉が出てきません。

 困ってしまって泣きそうになるのを我慢して見上げますと、ブレンダン様の口角が再びあがりました。
 あ、と思った時には一息に昂まりを迎え入れて、私は――。

「あぁっ……!」
「愛おしいな」

 あえなく絶頂に打ち震える私の奥深くに、押しつけるように小刻みに打ちつけます。
 そうされると私は絶頂から降りることができなくて、ただひたすら快楽を受け続けることになるのでした。

「……まだ、これからだ。今からが愉しい」

 ブレンダン様の眉間に皺が寄っていますが、十分余裕がありそうです。
 温かいだとか、気持ちいいだとか、ずっとこのままでいたい、だなんて囁くので。
 
 私は少しも余裕がなくておかしくなりそうです。ブレンダン様にしがみついて乗り切るしかないのに。
 それなのに。

「まだ今夜は触れていないところがたくさんある」

 更なる甘い刺激は私にとって毒にならないのでしょうか。
 ゆったりとした動きのまま、胸を撫で先端を指先で摘みました。

「ブレンダン、さま……っ!」
「……触れなくて悪かったね。こんなにかたくして私を誘っていたのに」

 そんなつもりは、ないはずです。
 でも口に含まれ強く吸いつかれると、勝手にブレンダン様の昂まりをもっと奥へと誘うように動いてしまいました。
 ブレンダン様はほとんど動いていないのに。

「もう、大丈夫、ですからっ」
「何が? 私は十分じゃない」

 楽しそうにもう片方の胸にも吸いつきます。それだけで、私は再び――。

「何度だって達したらいい。あなたが震えるのを感じて、私も愉しいから」
「あっ、また……っ」

 目の前が白み、打ち震える私の体を抱きしめて逃してくれません。
 そのまま奥深くを突くのですから、ますます訳が分からなくなります。

「冬の、この時間が一番愉しい」
 
 そうして全身を愛しみ、言葉にすることすらできなくなった私を大きく揺さぶって、ようやくブレンダン様が果てました。

「アリソン、ゆっくりおやすみ」
「はい……」

 何度か唇を啄んでから、私をそっと抱きしめてくださいました。
 ブレンダン様は言葉だけでなくこうしてたくさん愛情を示してくださいます。
 私もなるべくお返ししたいのですが……。
 
「大好き、ブレンダン様」
「私も愛している、アリソン」

 ブレンダン様の腕の中に包まれて、満ち足りた気分でそっと目を閉じました。
 二度目のクリスマスはこうして幕を閉じたのです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【R18】幼馴染な陛下と、甘々な毎日になりました💕

月極まろん
恋愛
 幼なじみの陛下に、気持ちだけでも伝えたくて。いい思い出にしたくて告白したのに、執務室のソファに座らせられて、なぜかこんなえっちな日々になりました。

三角関係勃発!? 寝取り上司の溺愛注意報

朝比奈萌子
恋愛
大学三年生のときから、尚樹と付き合っている沙耶。 もう五年になるからか、最近尚樹とはマンネリ気味…… けれど沙耶は尚樹と結婚すると思っていた――のに。 あるとき尚樹が浮気しているところに居合わせてしまう! 許せるか、許せないか、そんな沙耶は会社の飲み会で泥酔してしまい…… 翌朝気づいたら、上司の藤本が隣に寝ていた!? それ以降、藤本は沙耶を溺愛してきて――って、一応彼氏いるんですが! 宮城沙耶(26歳) 『ナルカワコーポレーション』勤務のOL事務職 藤本亮(31歳) 『ナルカワコーポレーション』課長 小林尚樹(28歳) 『ナルカワコーポレーション』平社員で五年付き合っている彼氏 宮城沙耶は新卒から中堅どころの『ナルカワコーポレーション』で働く、ごく普通のOL。大学三年のときから付き合っている彼氏、小林尚樹とは交際五年目。そろそろ結婚を視野に入れはじめていた。しかし尚樹に浮気され、その夜の会社の飲み会で泥酔……翌朝気づいたら上司の課長である藤本亮が隣に寝ていて――!?それから藤本は沙耶を溺愛するようになっていき……三角関係勃発!?沙耶を寝取った上司の溺愛注意報発令中!

お飾り妻は離縁されたい。「君を愛する事はできない」とおっしゃった筈の旦那様。なぜか聖女と呼んで溺愛してきます!!

友坂 悠
ファンタジー
この先はファンタジー色が強くなりすぎて恋愛ジャンルではどうかとの思いもあって完結させていましたが、ジャンルを移し連載再開することにしました。 よろしくお願いします。 「君を愛する事はできない」 新婚初夜に旦那様から聞かされたのはこんな台詞でした。 貴族同士の婚姻です。愛情も何もありませんでしたけれどそれでも結婚し妻となったからにはそれなりに責務を果たすつもりでした。 元々貧乏男爵家の次女のシルフィーナに、良縁など望むべくもないことはよく理解しているつもりで。 それでもまさかの侯爵家、それも騎士団総長を務めるサイラス様の伴侶として望んで頂けたと知った時には父も母も手放しで喜んで。 決定的だったのが、スタンフォード侯爵家から提示された結納金の金額でした。 それもあって本人の希望であるとかそういったものは全く考慮されることなく、年齢が倍以上も違うことにも目を瞑り、それこそ両親と同年代のサイラス様のもとに嫁ぐこととなったのです。  何かを期待をしていた訳では無いのです。 幸せとか、そんなものは二の次であったはずだったのです。 貴族女性の人生など、嫁ぎ先の為に使う物だと割り切っていたはずでした。 だから。縁談の話があったのも、ひとえに彼女のその魔力量を買われたのだと、 魔力的に優秀な子を望まれているとばかり。 それなのに。 「三年でいい。今から話す条件を守ってくれさえすれば、あとは君の好きにすればいい」 とこんなことを言われるとは思ってもいなくて。 まさか世継ぎを残す義務さえも課せられないとは、思ってもいなくって。 「それって要するに、ただのお飾り妻ってことですか!?」 「何故わたくしに白羽の矢が立ったのですか!? どうして!?」 事情もわからずただただやるせない気持ちになるシルフィーナでした。 それでも、侯爵夫人としての務めは果たそうと、頑張ろうと思うのでしたが……。 ※本編完結済デス。番外編を開始しました。 ※第二部開始しました。

『別れても好きな人』 

設樂理沙
ライト文芸
 大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。  夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。  ほんとうは別れたくなどなかった。  この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には  どうしようもないことがあるのだ。  自分で選択できないことがある。  悲しいけれど……。   ―――――――――――――――――――――――――――――――――  登場人物紹介 戸田貴理子   40才 戸田正義    44才 青木誠二    28才 嘉島優子    33才  小田聖也    35才 2024.4.11 ―― プロット作成日 💛イラストはAI生成自作画像

あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜

桜井 恵里菜
恋愛
トップモデル × 失恋女子 「今は、忘れろ。 忘れさせてやる」 たったひと晩の出来事は、 運命を変えるのか? 「思い知らせてやる。 お前がどんなにいい女かってことを」 そこから始まる 2人の物語とは… 2人で挑む 大きな夢とは…

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

もの狂い

能登原あめ
恋愛
* R18大人向けとなりますので、タグの確認をお願いします。 ヴィルジニアは女嫌いで男色の噂がある辺境伯のドランドのもとへ、従者のエディを連れて嫁ぐことになった。 エディは継母の連れ子で義弟にあたるが、虐げられてきたから実家に残すわけにもいかない。 そのうち養子を迎えることになるだろうし、辺境伯領で形だけの妻として穏やかに暮らせると思ったが――。 * 両刀要素とありますが、ヒーロー同士はありません(念のためのタグ)。 * 本編5話+おまけ1話予定。 * Rシーンには※マークがつきます。2話目〜 * Canvaさまで作成した画像を使用しております。

処理中です...