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【2】
19 クリスマス⑥ ※
しおりを挟む晩餐を楽しんだ後、寝室に引き上げました。
寝支度を終えると、ブレンダン様が私をそっと抱きしめました。
「具合は悪くないか?」
「はい、大丈夫です」
昨年は食べ過ぎてしばらく動けませんでした。そんな私を思い出したようで控えめに笑い出したのです。
「ブレンダン様こそ、飲み過ぎではありませんか?」
「いや、まさか。あなたに触れたいから酒は控えたよ」
「…………」
そうでしょうか。
楽しそうに笑うので、ブレンダン様は少し酔っているかもしれません。
「アリソン、あなたは可愛い」
私を持ち上げてベッドに運びました。
ふらつくこともないですし、滑舌も悪くありません。
口づけは……少しウイスキーの香りがしますが、お互い様だと思います。
「ブレンダン様、愛しています」
私からも口づけを返しました。
首に腕を回して身を寄せて、それから――。
「大好きです」
「……あなたのほうが酔っている」
「そんなわけありません。飲んでいませんから」
夜になって、二人きりになって。
ブレンダン様を独り占めできるのが嬉しいです。
本当に好きで、大好きで――。
「アリソン、それ以上言うと手加減できなくなる」
情欲を浮かべたブレンダン様に見下ろされて心臓が跳ねました。
ほんの少し彼の口角が上がるのが見えます。
「……口に出していた。また後でゆっくり聞かせて欲しい」
一気に赤くなった私の口内に舌が差し入れられました。いきなり上顎を嬲られて思わず、声を漏らしてしまいます。
巧みな舌の動きに翻弄されているうちに、私のそれが絡めとられました。
「んっ……ぁ」
腰の辺りから快楽が這い上り体が跳ねます。ブレンダン様の熱い昂まりが寝衣越しに触れてますます体温が上がりました。
初めの頃は大きくて苦しかったのに、今では体がブレンダン様に合わせたように潤み、受け入れることを焦がれるような気持ちになります。
「アリソン」
口づけの合間に名前を呼ばれて、寝衣を脱がされました。彼に触れられていない場所はもうないでしょう。
私を知り尽くした手が体を這い回り、欲を煽ります。
彼からもたらされる快楽を知ってしまった私は、すべてを委ねました。
その様子を見て、ブレンダン様は笑みを深めます。
「先にあなたと繋がりたい」
ブレンダン様の指が脚の間を撫でて十分に濡れているのを確認してから二本の指が挿し入れられました。中で曲げられた指が快楽を引き出し、それからゆっくりと拡げるように動きます。
「……あぁっ、ブレンダンさまっ」
すぐに繋がりたいのだと思いましたのに。
ブレンダン様は二本の指を動かしながら、親指でかたくなった粒をむき出しにするように撫で上げました。
内壁がうねって彼の指を喰い締めてしまいます。ブレンダン様が喉の奥で笑いました。
「アリソン」
指を引き抜き、昂まりを押し当てます。
でもブレンダン様は擦りつけるように前後に滑らせ、中々先へと進みません。
先端で粒を刺激するので体は震えて、焦ったくてたまらないのです。
ブレンダン様に満たされるのを待っていますのに、どうして焦らされているのでしょう。
今の私は早くお互いの距離を縮めてしまいたいと、強く願っていてもどかしくなります。
「ブレンダン様……」
「どうしてほしい……? 口で言ってみてごらん」
「あの、……その、私……」
時々こうして私に言わせようとするのですが、理性の残っている今は恥ずかしくて、するりと言葉が出てきません。
困ってしまって泣きそうになるのを我慢して見上げますと、ブレンダン様の口角が再びあがりました。
あ、と思った時には一息に昂まりを迎え入れて、私は――。
「あぁっ……!」
「愛おしいな」
あえなく絶頂に打ち震える私の奥深くに、押しつけるように小刻みに打ちつけます。
そうされると私は絶頂から降りることができなくて、ただひたすら快楽を受け続けることになるのでした。
「……まだ、これからだ。今からが愉しい」
ブレンダン様の眉間に皺が寄っていますが、十分余裕がありそうです。
温かいだとか、気持ちいいだとか、ずっとこのままでいたい、だなんて囁くので。
私は少しも余裕がなくておかしくなりそうです。ブレンダン様にしがみついて乗り切るしかないのに。
それなのに。
「まだ今夜は触れていないところがたくさんある」
更なる甘い刺激は私にとって毒にならないのでしょうか。
ゆったりとした動きのまま、胸を撫で先端を指先で摘みました。
「ブレンダン、さま……っ!」
「……触れなくて悪かったね。こんなにかたくして私を誘っていたのに」
そんなつもりは、ないはずです。
でも口に含まれ強く吸いつかれると、勝手にブレンダン様の昂まりをもっと奥へと誘うように動いてしまいました。
ブレンダン様はほとんど動いていないのに。
「もう、大丈夫、ですからっ」
「何が? 私は十分じゃない」
楽しそうにもう片方の胸にも吸いつきます。それだけで、私は再び――。
「何度だって達したらいい。あなたが震えるのを感じて、私も愉しいから」
「あっ、また……っ」
目の前が白み、打ち震える私の体を抱きしめて逃してくれません。
そのまま奥深くを突くのですから、ますます訳が分からなくなります。
「冬の、この時間が一番愉しい」
そうして全身を愛しみ、言葉にすることすらできなくなった私を大きく揺さぶって、ようやくブレンダン様が果てました。
「アリソン、ゆっくりおやすみ」
「はい……」
何度か唇を啄んでから、私をそっと抱きしめてくださいました。
ブレンダン様は言葉だけでなくこうしてたくさん愛情を示してくださいます。
私もなるべくお返ししたいのですが……。
「大好き、ブレンダン様」
「私も愛している、アリソン」
ブレンダン様の腕の中に包まれて、満ち足りた気分でそっと目を閉じました。
二度目のクリスマスはこうして幕を閉じたのです。
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