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9 スペンサー
しおりを挟むスペンサーの家に行った夜、私たちはただお互いを抱きしめ合って眠った。
「出会ったばかりだし、リオナのこと大事にしたいから」
きゅん。
ここに来てから頭おかしくなってたわ。
非日常で、致すのが当たり前みたいになってた!
少女漫画みたいな展開にときめく。
スペンサーはちょっと草食系かもしれないから、タイミングをみて私から働きかけよう。
多分そういうことだよね?
「リオナが華奢過ぎて、潰してしまわないか心配になる」
二人の二度目の夜にスペンサーが言った。
華奢とか。
骨太だし、女性としては結構しっかりしてると思うけど、スペンサーの腕の中にすっぽりおさまっていると勘違いするな、これ。
「スペンサー、私丈夫だからもっとぎゅってしても平気だよ?」
恐る恐る抱きしめてくるから思わず吹き出した。
「女の子と眠ったことないんだ」
「そう、なんだ」
もしかして童貞なのかな?
私の疑問が顔に出ていたのか、ちょっと困った顔をした後話してくれた。
「この世界は女性が少ないから、その……男同士での経験はあるんだ。だけど、恋愛対象として見ることができなくてしっくりこなかった。……こんな俺のこと、いやか?」
「スペンサーに対する気持ちは変わらないよ。むしろ、誠実に話してくれて嬉しい。ありがとう……これからもよろしくね」
私がそう言うと、ありがとうって言ってはにかんだ笑みと触れるだけのキスを落とす。
「リオナ、好きだ」
「うん、私も好き。スペンサーが夫になってくれてすごく嬉しい」
草食系の旦那様。
癒される。
でもドキドキしてきゅんきゅんする。
「俺もリオナを妻と呼べて嬉しい」
「……幸せ」
「それは俺のセリフだ」
キスとハグと、合間に好きって繰り返しているうちに、スペンサーに満たしてもらいたくなった。
ベッド脇に置いておいたメガネをかけて、スペンサーにぎゅっとしがみついて深く口づけた。
「……っ、リオナっ……」
スペンサーが私を引き離そうとするからますますぎゅっとくっついて彼の口内を舌で探索する。
もっと反応して欲しいのに、私の経験値と色気のなさにだんだん自信がなくなっていく。
「スペンサー……いや?」
唇を離してスペンサーの瞳を見つめる。
「そうじゃない、けど……」
けど?
私の腰に温かくて硬いものが触れた、けどすっとスペンサーが腰を引く。
思わず私はソレを掴んだ。
「……!」
「私、スペンサーと本当の夫婦になりたい」
「リオナ、俺だって……!」
ちょっぴり自信を取り戻して、私はズボンの中に手を入れて直に掴んだ。
「もっとあなたと近づきたい」
「……俺もだよ。そんなこと言わせてごめん。……いやだと感じたら、すぐ言って?」
「うん。……スペンサーのこと、信用してる」
私の手の中で彼のアレがぴくんと動く。
ぎゅっと握ってしごきながら、私は頭の位置を下げた。
私の意図に気づいたスペンサーが慌てて私の顔を挟む。
「そんなことしないで! 最初くらい俺にさせて」
「でも……」
「俺たちの初めての夜だから。……リオナのこと大事にしたいんだ」
きゅん。
どこの少女漫画かな?
やだ、感動で涙が浮かぶし身体が震える。
「リオナ、可愛すぎてどうしようか。ドキドキして、始まる前に終わりそうだから手を離してくれる?」
慌ててアレを握っていた手を離した。
「メガネ、いらないだろ」
「あっ!」
そう言いながらメガネを外され、私の脇の下に手を差し入れて引っ張り上げた。
「一生大事にするから」
私の寝間着の裾に手を入れて太ももを撫でる。
彼の骨っぽい手にぞくぞくして身震いした。
「もっと心が近づくのを待っていたんだ。ただヤるだけは虚しいから」
スペンサーが私の唇を啄む。
そんなふうに考えてくれていたなんて。
「あぁ、でももう戻れない。俺だって、リオナを感じたい」
「スペンサー、好き……」
私のまぶたに唇が触れる。
そのまま顔中に口づけを落とし、耳たぶを食み首筋へと降りていく。
「白くてなめらかな肌だね。綺麗だ」
焦ったいくらい丁寧に触れてくるから私はいつまでたっても落ち着かない。
鎖骨に口づけたスペンサーが笑みを浮かべる。
「すごくドキドキしてるね……俺と一緒だ」
「だって……スペンサーが触れてるから」
するすると寝間着を持ち上げて一気に脱がされた。
身につけているのはサイドを紐で結んだ小さな下着だけ。
思わず胸を隠すと、その腕にもキスして手を握ってくれる。
「きれいな胸を隠さないで」
スペンサーに優しく手を引かれて、あらわになったふくらみに彼は唇を寄せた。
「美しい。柔らかくて神秘的だ……」
舌で先端に向かってつつっと舐め上げる。何度も何度も。
「甘いね。……触れてないのに先端が立ってきた。リオナ、いい?」
私は彼に押しつけるように身体を反らす。
熱い口の中に含まれるとそれだけでずぐりとお腹の中が重くなった。
「木苺みたいだ。かわいくて、あまくて、愛おしい。好きだリオナ」
この人、私をどうする気だろう。
このままじゃ、身がもたない。
そう思うのに優しく宝物を扱うように全身に触れられて私は蕩けてくったりと倒れた。
「リオナは全部美しい。蜜をこぼすこの花も、甘い香りも俺を誘う。中も俺の指に吸いついて温かく締めつけてくるんだ」
言われ慣れない恥ずかしい言葉なのに、身体は悦んでますます蜜を垂らす。
「スペンサー……もう、いいから……」
「俺も……こんなご馳走を目の前にして、我慢できそうにない。リオナをもらっていいか?」
「うん、うん……私にスペンサーをちょうだい」
大きく開いた太ももの間で、スペンサーが細く息を吐いた。
蜜口に触れる彼のアレが待ち遠しくてたまらない。
ゆっくりと私を味わうように入ってくるから、全身で彼の形を感じてしまう。
「ぁ――っ……」
「リオナ、待って!」
彼のすべてを受け入れた時、あまりにも焦らされていたからかあっさり達してしまった。
自分の意思ではどうすることもできなくて、苦しそうな表情のスペンサーの手をぎゅっと握った。
「リオナ……あれだけでイったの、か?」
「……そう、みたい……」
自分の反応が恥ずかしいけど、スペンサーとようやく一つになれて嬉しい。
そんな私ににっこり笑って口づけする。
「俺じゃ満足させられないかと思ったから……よかった。続けていい?」
頷く私に口づけが落ちる。
「こうなれて、幸せだ。すごく嬉しい」
「私も。スペンサーを選んでよかった」
ゆったりと揺さぶられてすぐさま絶頂に追い上げられる。
「リオナの中は、熱く濡れていて俺を掴んで離さないんだな……すごく、気持ちいい。……っ、……良すぎて、持ちそうもない……ごめんっ」
動きを早めた彼が私の中で果てる。
「はぁっ……すごく、締めつけられて……我慢できなかった……少し休んだら、もう一度だけ、したい」
私を抱きしめ髪を撫でながら耳元で囁くからちょっと笑った。
控えめな感じもかわいいなって。
「いいよ、スペンサー」
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