上 下
11 / 21

9 スペンサー

しおりを挟む


 スペンサーの家に行った夜、私たちはただお互いを抱きしめ合って眠った。
 
「出会ったばかりだし、リオナのこと大事にしたいから」

 きゅん。
 ここに来てから頭おかしくなってたわ。
 非日常で、致すのが当たり前みたいになってた!
 少女漫画みたいな展開にときめく。
 スペンサーはちょっと草食系かもしれないから、タイミングをみて私から働きかけよう。
 多分そういうことだよね?









「リオナが華奢過ぎて、潰してしまわないか心配になる」

 二人の二度目の夜にスペンサーが言った。

 華奢とか。
 骨太だし、女性としては結構しっかりしてると思うけど、スペンサーの腕の中にすっぽりおさまっていると勘違いするな、これ。
 
「スペンサー、私丈夫だからもっとぎゅってしても平気だよ?」

 恐る恐る抱きしめてくるから思わず吹き出した。

「女の子と眠ったことないんだ」
「そう、なんだ」

 もしかして童貞なのかな?
 私の疑問が顔に出ていたのか、ちょっと困った顔をした後話してくれた。

「この世界は女性が少ないから、その……男同士での経験はあるんだ。だけど、恋愛対象として見ることができなくてしっくりこなかった。……こんな俺のこと、いやか?」
「スペンサーに対する気持ちは変わらないよ。むしろ、誠実に話してくれて嬉しい。ありがとう……これからもよろしくね」

 私がそう言うと、ありがとうって言ってはにかんだ笑みと触れるだけのキスを落とす。

「リオナ、好きだ」
「うん、私も好き。スペンサーが夫になってくれてすごく嬉しい」

 草食系の旦那様。
 癒される。
 でもドキドキしてきゅんきゅんする。

「俺もリオナを妻と呼べて嬉しい」
「……幸せ」
「それは俺のセリフだ」

 キスとハグと、合間に好きって繰り返しているうちに、スペンサーに満たしてもらいたくなった。
 ベッド脇に置いておいたメガネをかけて、スペンサーにぎゅっとしがみついて深く口づけた。

「……っ、リオナっ……」

 スペンサーが私を引き離そうとするからますますぎゅっとくっついて彼の口内を舌で探索する。
 もっと反応して欲しいのに、私の経験値と色気のなさにだんだん自信がなくなっていく。
 
「スペンサー……いや?」

 唇を離してスペンサーの瞳を見つめる。

「そうじゃない、けど……」

 けど?
 私の腰に温かくて硬いものが触れた、けどすっとスペンサーが腰を引く。
 思わず私はソレを掴んだ。

「……!」
「私、スペンサーと本当の夫婦になりたい」
「リオナ、俺だって……!」

 ちょっぴり自信を取り戻して、私はズボンの中に手を入れて直に掴んだ。

「もっとあなたと近づきたい」
「……俺もだよ。そんなこと言わせてごめん。……いやだと感じたら、すぐ言って?」
「うん。……スペンサーのこと、信用してる」

 私の手の中で彼のアレがぴくんと動く。
 ぎゅっと握ってしごきながら、私は頭の位置を下げた。
 私の意図に気づいたスペンサーが慌てて私の顔を挟む。

「そんなことしないで! 最初くらい俺にさせて」
「でも……」
「俺たちの初めての夜だから。……リオナのこと大事にしたいんだ」

 きゅん。
 どこの少女漫画かな?
 やだ、感動で涙が浮かぶし身体が震える。

「リオナ、可愛すぎてどうしようか。ドキドキして、始まる前に終わりそうだから手を離してくれる?」

 慌ててアレを握っていた手を離した。

「メガネ、いらないだろ」
「あっ!」

 そう言いながらメガネを外され、私の脇の下に手を差し入れて引っ張り上げた。

「一生大事にするから」

 私の寝間着の裾に手を入れて太ももを撫でる。
 彼の骨っぽい手にぞくぞくして身震いした。

「もっと心が近づくのを待っていたんだ。ただヤるだけは虚しいから」

 スペンサーが私の唇を啄む。
 そんなふうに考えてくれていたなんて。

「あぁ、でももう戻れない。俺だって、リオナを感じたい」
「スペンサー、好き……」

 私のまぶたに唇が触れる。
 そのまま顔中に口づけを落とし、耳たぶを食み首筋へと降りていく。
 
「白くてなめらかな肌だね。綺麗だ」

 焦ったいくらい丁寧に触れてくるから私はいつまでたっても落ち着かない。
 鎖骨に口づけたスペンサーが笑みを浮かべる。

「すごくドキドキしてるね……俺と一緒だ」
「だって……スペンサーが触れてるから」

 するすると寝間着を持ち上げて一気に脱がされた。
 身につけているのはサイドを紐で結んだ小さな下着だけ。
 思わず胸を隠すと、その腕にもキスして手を握ってくれる。

「きれいな胸を隠さないで」

 スペンサーに優しく手を引かれて、あらわになったふくらみに彼は唇を寄せた。

「美しい。柔らかくて神秘的だ……」

 舌で先端に向かってつつっと舐め上げる。何度も何度も。
 
「甘いね。……触れてないのに先端が立ってきた。リオナ、いい?」

 私は彼に押しつけるように身体を反らす。
 熱い口の中に含まれるとそれだけでずぐりとお腹の中が重くなった。

「木苺みたいだ。かわいくて、あまくて、愛おしい。好きだリオナ」

 この人、私をどうする気だろう。
 このままじゃ、身がもたない。
 そう思うのに優しく宝物を扱うように全身に触れられて私は蕩けてくったりと倒れた。

「リオナは全部美しい。蜜をこぼすこの花も、甘い香りも俺を誘う。中も俺の指に吸いついて温かく締めつけてくるんだ」

 言われ慣れない恥ずかしい言葉なのに、身体は悦んでますます蜜を垂らす。

「スペンサー……もう、いいから……」
「俺も……こんなご馳走を目の前にして、我慢できそうにない。リオナをもらっていいか?」
「うん、うん……私にスペンサーをちょうだい」

 大きく開いた太ももの間で、スペンサーが細く息を吐いた。
 蜜口に触れる彼のアレが待ち遠しくてたまらない。
 ゆっくりと私を味わうように入ってくるから、全身で彼の形を感じてしまう。

「ぁ――っ……」
「リオナ、待って!」

 彼のすべてを受け入れた時、あまりにも焦らされていたからかあっさり達してしまった。
 自分の意思ではどうすることもできなくて、苦しそうな表情のスペンサーの手をぎゅっと握った。
 
「リオナ……あれだけでイったの、か?」
「……そう、みたい……」

 自分の反応が恥ずかしいけど、スペンサーとようやく一つになれて嬉しい。
 そんな私ににっこり笑って口づけする。

「俺じゃ満足させられないかと思ったから……よかった。続けていい?」

 頷く私に口づけが落ちる。

「こうなれて、幸せだ。すごく嬉しい」
「私も。スペンサーを選んでよかった」

 ゆったりと揺さぶられてすぐさま絶頂に追い上げられる。

「リオナの中は、熱く濡れていて俺を掴んで離さないんだな……すごく、気持ちいい。……っ、……良すぎて、持ちそうもない……ごめんっ」

 動きを早めた彼が私の中で果てる。
 
「はぁっ……すごく、締めつけられて……我慢できなかった……少し休んだら、もう一度だけ、したい」

 私を抱きしめ髪を撫でながら耳元で囁くからちょっと笑った。
 控えめな感じもかわいいなって。

「いいよ、スペンサー」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

辺境騎士の夫婦の危機

世羅
恋愛
絶倫すぎる夫と愛らしい妻の話。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】

ちゃむにい
恋愛
その時ユリアは、ただ教室で座っていただけのはずだった。 「……っ!!?」 気がついた時には制服の着衣は乱れ、股から白い粘液がこぼれ落ち、体の奥に鈍く感じる違和感があった。 ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

【R18】白と黒の執着 ~モブの予定が3人で!?~

茅野ガク
恋愛
コメディ向きの性格なのにシリアス&ダークな18禁乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私。 死亡エンドを回避するためにアレコレしてたら何故か王子2人から溺愛されるはめに──?! ☆表紙は来栖マコさん(Twitter→ @mako_Kurusu )に描いていただきました! ムーンライトノベルズにも投稿しています

処理中です...