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5 コリー
しおりを挟む「コリーと名乗っているけど、本名は錦織だ。クォーターなんだけどね」
髪の色も明るいブラウンだし、瞳の色も薄茶で顔立ちが西洋系。
お爺さんが亡国の民だったそうで。
これはモテただろうなあと思う。
二人きりだからか女神様の隣にいた時のようなキラキラ感がなくてよかった。
「神様、じゃないんですか?」
「あー、うん。昔々にギャルゲの世界に落とされて、馴染めなくて惨めな人生を送ったら、あの女神様が哀れに思ったのかな。拾われて新しい世界の創造主にされてね……まぁ、その世界も落ち着いてるから婚活してたんだ」
ギャルゲ転移か……。
ちょっと楽しそうかも。
モブなら、だけど。
「今楽しそうとか思ったでしょ? 価値観や趣味の合う人がいいなって思ったんだよね」
「どちらも大事ですよね。……それで……じゃあ、錦織くんと呼ぶ方がいいですか?」
「いやそこは、コリーで」
元日本人のオタク気質の創造主は自由人だった。
「それで……とりあえず、日本食でも食べようか」
「それじゃあ、寿司がいいです!」
「いいよ~。はい」
ふわっとした空間にふわっと置いてある畳にちゃぶ台。
その上に寿司パックが二つ置かれた。
「いや、いいんですけど……パックって」
「あ、けっこう、おいしいよ? すいませんね、おれの想像力が貧困で」
「あ、ごめんなさい、ご馳走してもらう分際で。意外だったから……」
この部屋の空間がふわふわしてるのも想像力が……微妙なの?
「俺さ……好きなこと以外どうでもよくて。スズがどんな部屋にしたいか願ってくれれば叶えるし。食後に色々試そうか」
なんかちょっと傷つけちゃったかな。
「はい、もっとたくさんおしゃべりして、お互いに知り合っていきたいです、コリーさん」
「コリーでいいよ」
パックの寿司は本当においしくて、煎茶を飲みながら和やかな空気が流れる。
「おいしかったです、ご馳走さまでした」
「……スズはいい子だね」
ふわっとした空間に浮かぶ青い扉を開けると、ふわっとしたバスルームとトイレ、赤い扉を開けると意外にも几帳面なゲーム部屋があった。
「……なにこれ、すごい!!」
これまで日本で発売されたゲームが所狭しと並べられている。
気づいたら敬語も忘れてた。
コリーがそれでいいというから遠慮なくそのまま話す。
「わたしが遊んだゲームもあるのかな」
「なければ、言って。用意するから」
私がこっちにくる直前まで遊んでいたBLゲーを見たいと言うと、思い浮かべるように言われた。
私の額に触れたコリーの手が熱くなる。
「はいどうぞ。合ってる?」
「合ってる! すごい!」
「まぁね」
得意げな様子で他もないかと聞いてくる。
「あの……もしかして、チョコとか出せる?」
「もちろん、簡単だけど」
何言ってるの、って顔をされたけど多分任せるとコンビニチョコになりそう。
いや、それもおいしいけどさ、今欲しいのは違う。
「高級チョコも?」
「……じゃあ、思い浮かべて」
やっぱりだ。
せっかくならおいしいショコラティエの作ったショコラが食べたい。
額に当てられた手が熱くなると、ぽわんと現れる。
「すごい! うれしい! ゲームしながらおやつ食べる派?」
「うん。箸使うけど」
「よかった、一緒に食べよう!」
二人でそれぞれやりたいゲームにのめり込むこと数時間。
満足感に伸びをする。
「すごい……こんなに長時間女の子といられるなんて…」
「何それ」
「いやいや、普通外にデートに行かず、ゲーム漬けって、ないでしょ……」
「相手によるんじゃない? 私はありだと思うけど」
「……いやー、さすが、女神様! すごい相手みつけてくるな~」
生きてた頃にトラウマでもあったかな。
元々この顔でゲーマーだったら、引いちゃう女の子もいたのかもね。
だって、外でみせびらかしたいタイプだもの。多分。
「仲良くやれそうだな!スズ。よろしくな」
夕食はすき焼きを食べ、ふわっとしたバスルームは蛇口をひねれば熱いシャワーが出てくる。
面白い場所。
そして、ふわっとした寝室にはセミダブルベッド。
「あのさ……別に一緒に寝なくてもいいんだよね。もう一個ベッド出そうか?」
「いいの?」
私が即答したら、ちょっと残念そうな顔を見せる。
「んー、まあ、二人で寝れるサイズだしね。このままでいっか」
「そう……⁉︎ じゃあ、どうぞ」
まるで思春期みたいじゃないの。
ちょっとこじらせてるけど、かわいいかも。
「あのさ……俺、三次元の相手とこういうの百年以上ぶりなんだよね、ほら、こっち来て一度死んでるの。だからさ……ただ隣で眠ってくれるだけでいいから」
「わかった」
私がベッドに滑り込むと、かちんこちんになって背を向ける。
「あのさ……おれのところに来てくれてありがとう、スズ」
「こちらこそ? ね、コリー……手、出して」
コリーの方を向いた私は、ちょんちょんと腕を叩いた。
「手くらい繋いで眠ろうよ」
「…………うん」
ちょっと汗ばんだ手が熱くて、かわいい。
こっちも甘酸っぱい気持ちになるじゃないの!
「おやすみ、スズ」
「おやすみなさい、コリー」
「…………」
少年漫画なんかでよくあることだけど、私の胸元にコリーが抱きついてすやすやと眠っていた。
ラッキーすけべ的なイベントかよ、これ。
コリー、起きたら慌てふためくのかな。
ちょっと面白いものが見れるかも。
ふふっと笑いを漏らしたら、コリーの頭がモゾモゾと動き出した。
「んーっ……」
起きたかな。
この後真っ赤な顔して……なんて考えていたら、がっちりと私の両胸を掴まれた。
「えっ⁉︎」
「……やわらけぇ」
にぎにぎと揉まれてパジャマの下に手が滑り込む。
ふにふにと乳首を摘まれて先端が立ち上がった。
「何これ、かわいい……」
「ちょっ、コリー!」
「挟ませて……」
ナニを⁉︎
「ここに、埋れたい……」
ぐりぐりと胸に顔を、私の脚に股間を押しつける。
彼はそのままパンツを濡らした。
「……男の子ならよくあることじゃないの……?」
なぐさめたつもりが、コリーにキッと睨まれた。
「……そんなわけないじゃん」
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