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58 抑制剤がそんなお注射だなんてきいてません!※

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* 後半♡が飛びますのでご注意ください。あほエロです。






******


 身体が熱い。

「きちゃった……」

 発情期が!
 急いで誰もいない会議室に駆け込む。
 カバンの中を探ってウサギ獣人にとって即効性のある抑制剤を取り出した。

 ばば~ん!

「いつ見てもでかいわ」

 極太バイブ型の注射器で、中に薬が入っているのが見えるように透明なつくり。個包装、使い切り。衛生的!
 すぐに注入しないと大惨事になってしまう(らしい)。

「……っ、はぁ。……女神様、いつになったら、運命の恋人に会えるのー?」

 とにかく明るい女神様から返事はない。
 むしゃくしゃしていた私に、今すぐ転移したら運命の人に会えると言われた。

 私はそのままの自分が嫌いで、パラレルの私――白くてふわふわで可愛いウサギ獣人と入れ替わることに。

 私と名前が同じミミちゃん。

『予定が狂っちゃったけど♡ 大丈夫、2人ともうまくいくから♡ 少し時間をちょうだいね♡ あはっ♡』
 
 女神様はそう言って笑った。
 まさかいつ発情するかわからなくて、発情抑制剤を持ち歩かなきゃいけないなんて思わなかったんだけどね。

 飲み薬だと効果が中々現れないらしくて、お注射型の抑制剤を発情するたび……というか月に一度使っている。

 ウサギ獣人ってつらッ!
 薬局でお注射もらう時も恥ずかしい。
 初めて使い方の説明書された時は周りがざわざわしたよね。
 今もカウンターに並べられるとつらい。
 毎回羞恥プレイすぎる!
 
 盛って誰でもいい、ってなる種族らしいから使わないわけにはいかない。
 物理的にうめちゃうのが安全なんだそう。いやん。

 生理的に受けつけない相手ともそういう状況に追い込まれる可能性、というかこのウサギ獣人のミミちゃんには怖い思いをした記憶が残っている。

 発情しちゃって大嫌いなすけべじじい社長とニート息子の次期社長に襲われて、いやみっぽい副社長(すけべじじいの妻)に危機一髪で助けられたけどねちねち言われて解雇されたっていうね。

 そりゃ、普通の人間になりたくなるわ。
 私と入れ替わって喜んでたし、彼女はつがいではない相手と恋をしたいのだって。

「……っ、まだ⁉︎」

 運命の相手とは一年以内に会えるって言われて半年が経った。
 そろそろ、そろそろ、会いたいんだ!
 もうコレのお世話になるのはいや。
 
 プルプル震えながら、抑制剤のパッケージを開ける。

 デカいな。
 デカくなくてもいいんじゃないのー?
 痛くないようにシリコンっぽい素材でできているけど、毎回最初は違和感がある。

「……ファイトぉ!」

 スカートをまくって下着を下げて、お注射しようとした時――。

「見つけた」

 会議室の扉が開いた。








「どうも」

 あられもない姿で私はつがいと出会ってしまった。
 どうもってなんだ。
 多分同じウサギ獣人で可愛い雰囲気なんだけど、なんかちょっとかっこいい。
 
「ようやく、会えた……そんなもの、もう使わなくていいよ」

 私に駆け寄ってお注射を取り上げた。

「あ……」

 そのまま抱きしめられて、いい匂いのするつがいを抱きしめ返す。

「よかった、嬉しい……もう、使いたく、なかったから……あっ」

 私のお腹にゴリっと本物のお注射が当たる。
 
「その、していい? あまりにいい匂いで、俺……」
「お願い♡ 本物のお注射して♡」

 そう言ってすり寄ると彼から甘い香りがブワッと広がった。
 昼下がりの会議室。

「もう我慢できない!」

 私ももう何も考えられない!
 立ったまま私の膝裏に手をかけて持ち上げ、もう片方の手で本物のお注射を取り出すと一気に腰を前に突き出した。

「ああん♡ すごいーっ♡♡♡ いい♡ はやく♡ はやく♡ ぜんぶほしーの♡」

 抑制剤だったらぴゅーって注入して終わる。
 速くていい、むしろ早くして♡

「く……ッ、熱くて、とけてしまいそうだッ」

 これよ、これ♡

「これすきぃ♡ こっちがいいっ♡ もうニセモノの、お注射、したくないっ♡」
「待ってッ、俺は……ッ、クッ、つがいのためなら!」

 つがいさいこー♡

「気持ちいい♡ もっとはやく、会いたかったぁ♡♡♡」
「待たせて、すまない……俺も会いたかったんだ! これから先はずっと一緒だ! もうつらい思いはさせない!」
 
「約束、して♡ ずっと会いたかったんだからぁ♡」
「約束する。だからッ、くぁ‼︎」

 つがいのお注射発射ぁ♡
 即効性ばつぐん!

「あああ~~ん♡♡♡♡♡♡」

 もうこれからは、極太バイブ型お注射を使わなくていいんだ!
 最高!
 ちょっと残念とか、あまり思ってないんだからね!

 安心したら眠くなってきちゃった。

「今すぐうちに連れて行くよ。いい?」
「ん」
「可愛い、俺のつがい」


 そうしてウサギハウスという名の山小屋に連れ去られた私は、半分監禁状態で蜜月を過ごしたのだけども!
 セッ、の回数多いなって思うけども!
 抑制剤のお注射を使わずに幸せに暮らしている。
 サイコーにハッピーライフ!
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