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54 家を追い出されたプレーリードック獣人は私が引き受けます!
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* プレーリードックは雄と複数の雌で暮らすそうですね。
******
「この世界にも獣人がいたら!」
なんで浮気する男とばっかり、つき合っちゃうんだろう。
イケメンだからってこともなくて、お前が⁇ みたいな真面目な顔した男まで浮気するとかある?
いやあったんだけど!
理由も私が仕事優先するからだとか、誘われて断れなかっただとか、自分悪くない! みたいに言うのなんでー?
誘いに乗ったお前も悪いだろって言ってやったけど!
私って本当に見る目ない。
「一途な獣人がいたら、一生ラブラブハピエンなのになぁ」
ドアマットヒロインの比じゃないほどの不憫な状況に置かれた受けも、つがいの攻めが現れたら最後の最後は幸せになる。
えげつない展開は男同士ならでは。
自己投影しないから読めるのかな?
まぁとにかくお互いしか見えないつがいに憧れる。
でもつがい獣人にありがちな童貞はなー。
自分はちょっとなー。
がっつかれるのも嫌だし、教えるのも面倒そうだし、女慣れしてなさそうだし。
なんか色々ヘタそう。
あ、多分そういうところが変な男とつき合っちゃう理由なんだろうな。
初々しい男子とか、まぶしすきて私には無理なんだわ。
面倒なことない、慣れてる男が好きなんだわ。
「恋人と幸せになりたいだけなのにー! たったそれだけなのにー!」
キッチンに駆け込んで冷蔵庫から発泡酒を取り出して一気に飲む。
「うまい! 部屋が広い! ここに1人は寂しいよー」
ここ数年、家で仕事していて、つい最近郊外の広い部屋を借りたばかり。値段は前と変わらない。
元カレも呼ぼうと思ってたけど、その前に浮気発覚して別れた。
「長くつき合える、居心地の良い男がほしい! 私が養うから!」
2本目はアルコール9%のズットゼロを開けてぐびぐび飲む。
「あなた……彼を幸せにしてちょうだい♡」
一瞬部屋の中がピカっと光って、女神さまがプレーリードッグを抱えて現れた!
「かわいいっ! 彼ってことは雄なのかな? そっか、人間じゃなくてもいいかも。なんで気づかなかったんだろう、私!」
「きっと気にいると思ったわ♡ 彼はあなたのことをつがいだと思ってる♡ お互い一緒にいたら幸せになると思うの♡」
この女神さまは動物の神様なのかな?
抱っこしててうらやましい!
私もモフリたい。
「あなたたち、とても相性がいいと思うの♡ 大丈夫、なんとかなるわ♡ 困ったら私もサポートに回るから♡」
そう言ってプレーリードッグを私に預けた。
思ったよりずっしり重い。
暖かくて癒される~。
もぞもぞ動いて私にピッタリくっついてクンクン匂い嗅いでるのもかわいい。
ペットショップに行って色々揃えないと!
「彼、人と同じものを食べても健康に問題ないわ。特別だから♡ ゆっくり話し合って、末長く幸せに過ごすといいわよ♡ お幸せに~♡」
「動物の女神さま、本当にありがとうございます! 私、これからはこの子を大事にして人間の男なんて忘れます!」
プレーリードッグがプギャーと鳴いた。
え?
ワンワンとかじゃないんだ。
「彼、とても嬉しそうよ♡ じゃあまたね♡」
ピカっと光って女神さまが消えた。
「今の嬉し鳴き? 名前、あるのかなぁ……私がつけてもいいのかなあ」
「……タナカ、トシオ」
「え?」
今、鳴き声変じゃなかった?
プレーリードッグが私の腕の中から飛び出した次の瞬間、目の前に人懐っこい笑顔を浮かべた丸っこいかわいい目をした男が立っていた。
目尻のしわが私よりちょっと年上に見えるかな?
「はじめまして、僕はプレーリードッグ獣人のタナカトシオ。この世界の名前を女神様がつけてくれたんだ。……つがいに会えて嬉しい」
「プレーリードッグ獣人?」
プレーリードッグは消えてるし、つぶらな瞳だし、信じるしかないみたい。
さっきの動物の女神さまの存在自体、奇跡的だし!
「実は元の世界で子どもが生まれた途端、妻たちにお役目ごめんだと追い出されたところを女神さまが助けてくれたんだ」
妻たち? 子ども?
「プレーリードッグの群れに雄は一人いればいいから、父親が真っ先に捨てられる。子どもは育てなければならないからね。仕方ないが……実際傷つくね。繁殖期を過ごすだけの相手とはいえね」
へぇーそういう生態なんだ。
私はプレーリードッグ、いや彼を養えるくらいの余裕はあるし、なんか可哀想だし。
捨てられた男……そういうの弱いんだよね。
お世話したくなる。
「トシオさん、よろしくね。この世界に慣れるまでは部屋の中で過ごしてほしいけど、今度一緒に外に行こう」
今回の相手は動物の女神さまが選んだんだし、今までみたいなことにはならないはず。
買い物デートも楽しそう。
ペットショップでゲージとか一応買った方がいいだろうな。
その前に彼におしゃれな服も必要!
よし、頑張って稼ぐぞ~。
「とりあえず今夜はダンボールで、ベッドを作ればいいのかな」
「……嫌じゃないなら、僕はこの姿のままキミと同じベッドで横になりたい」
ふぁッ⁉︎
眠りたいでもなく横になりたい?
「それは……イチャイチャしたいってこと?」
獣人とのアレコレ。
え……おもしろそう!
ハーレム築いていた男ってことはテクニシャンのはず!
なんか自信ありげだし、あ~下半身見ちゃう。
ダメッ、顔を見つめていよう。
「嫌じゃなければ」
あ、彼が私の視線に気づいて笑った。
嫌いじゃない、むしろ好きなタイプ。
「嫌じゃない、よ」
「ベッドルームはどこ?」
「隣の部屋……」
「行こう」
え、もう⁉︎
「ちょっと休むだけ」
「……うん」
それだけじゃすまなそう!
でもいい。
ようやくダブルベッドが役に立つんだから。
広い部屋に引っ越してきてよかった!
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「この世界にも獣人がいたら!」
なんで浮気する男とばっかり、つき合っちゃうんだろう。
イケメンだからってこともなくて、お前が⁇ みたいな真面目な顔した男まで浮気するとかある?
いやあったんだけど!
理由も私が仕事優先するからだとか、誘われて断れなかっただとか、自分悪くない! みたいに言うのなんでー?
誘いに乗ったお前も悪いだろって言ってやったけど!
私って本当に見る目ない。
「一途な獣人がいたら、一生ラブラブハピエンなのになぁ」
ドアマットヒロインの比じゃないほどの不憫な状況に置かれた受けも、つがいの攻めが現れたら最後の最後は幸せになる。
えげつない展開は男同士ならでは。
自己投影しないから読めるのかな?
まぁとにかくお互いしか見えないつがいに憧れる。
でもつがい獣人にありがちな童貞はなー。
自分はちょっとなー。
がっつかれるのも嫌だし、教えるのも面倒そうだし、女慣れしてなさそうだし。
なんか色々ヘタそう。
あ、多分そういうところが変な男とつき合っちゃう理由なんだろうな。
初々しい男子とか、まぶしすきて私には無理なんだわ。
面倒なことない、慣れてる男が好きなんだわ。
「恋人と幸せになりたいだけなのにー! たったそれだけなのにー!」
キッチンに駆け込んで冷蔵庫から発泡酒を取り出して一気に飲む。
「うまい! 部屋が広い! ここに1人は寂しいよー」
ここ数年、家で仕事していて、つい最近郊外の広い部屋を借りたばかり。値段は前と変わらない。
元カレも呼ぼうと思ってたけど、その前に浮気発覚して別れた。
「長くつき合える、居心地の良い男がほしい! 私が養うから!」
2本目はアルコール9%のズットゼロを開けてぐびぐび飲む。
「あなた……彼を幸せにしてちょうだい♡」
一瞬部屋の中がピカっと光って、女神さまがプレーリードッグを抱えて現れた!
「かわいいっ! 彼ってことは雄なのかな? そっか、人間じゃなくてもいいかも。なんで気づかなかったんだろう、私!」
「きっと気にいると思ったわ♡ 彼はあなたのことをつがいだと思ってる♡ お互い一緒にいたら幸せになると思うの♡」
この女神さまは動物の神様なのかな?
抱っこしててうらやましい!
私もモフリたい。
「あなたたち、とても相性がいいと思うの♡ 大丈夫、なんとかなるわ♡ 困ったら私もサポートに回るから♡」
そう言ってプレーリードッグを私に預けた。
思ったよりずっしり重い。
暖かくて癒される~。
もぞもぞ動いて私にピッタリくっついてクンクン匂い嗅いでるのもかわいい。
ペットショップに行って色々揃えないと!
「彼、人と同じものを食べても健康に問題ないわ。特別だから♡ ゆっくり話し合って、末長く幸せに過ごすといいわよ♡ お幸せに~♡」
「動物の女神さま、本当にありがとうございます! 私、これからはこの子を大事にして人間の男なんて忘れます!」
プレーリードッグがプギャーと鳴いた。
え?
ワンワンとかじゃないんだ。
「彼、とても嬉しそうよ♡ じゃあまたね♡」
ピカっと光って女神さまが消えた。
「今の嬉し鳴き? 名前、あるのかなぁ……私がつけてもいいのかなあ」
「……タナカ、トシオ」
「え?」
今、鳴き声変じゃなかった?
プレーリードッグが私の腕の中から飛び出した次の瞬間、目の前に人懐っこい笑顔を浮かべた丸っこいかわいい目をした男が立っていた。
目尻のしわが私よりちょっと年上に見えるかな?
「はじめまして、僕はプレーリードッグ獣人のタナカトシオ。この世界の名前を女神様がつけてくれたんだ。……つがいに会えて嬉しい」
「プレーリードッグ獣人?」
プレーリードッグは消えてるし、つぶらな瞳だし、信じるしかないみたい。
さっきの動物の女神さまの存在自体、奇跡的だし!
「実は元の世界で子どもが生まれた途端、妻たちにお役目ごめんだと追い出されたところを女神さまが助けてくれたんだ」
妻たち? 子ども?
「プレーリードッグの群れに雄は一人いればいいから、父親が真っ先に捨てられる。子どもは育てなければならないからね。仕方ないが……実際傷つくね。繁殖期を過ごすだけの相手とはいえね」
へぇーそういう生態なんだ。
私はプレーリードッグ、いや彼を養えるくらいの余裕はあるし、なんか可哀想だし。
捨てられた男……そういうの弱いんだよね。
お世話したくなる。
「トシオさん、よろしくね。この世界に慣れるまでは部屋の中で過ごしてほしいけど、今度一緒に外に行こう」
今回の相手は動物の女神さまが選んだんだし、今までみたいなことにはならないはず。
買い物デートも楽しそう。
ペットショップでゲージとか一応買った方がいいだろうな。
その前に彼におしゃれな服も必要!
よし、頑張って稼ぐぞ~。
「とりあえず今夜はダンボールで、ベッドを作ればいいのかな」
「……嫌じゃないなら、僕はこの姿のままキミと同じベッドで横になりたい」
ふぁッ⁉︎
眠りたいでもなく横になりたい?
「それは……イチャイチャしたいってこと?」
獣人とのアレコレ。
え……おもしろそう!
ハーレム築いていた男ってことはテクニシャンのはず!
なんか自信ありげだし、あ~下半身見ちゃう。
ダメッ、顔を見つめていよう。
「嫌じゃなければ」
あ、彼が私の視線に気づいて笑った。
嫌いじゃない、むしろ好きなタイプ。
「嫌じゃない、よ」
「ベッドルームはどこ?」
「隣の部屋……」
「行こう」
え、もう⁉︎
「ちょっと休むだけ」
「……うん」
それだけじゃすまなそう!
でもいい。
ようやくダブルベッドが役に立つんだから。
広い部屋に引っ越してきてよかった!
応援ありがとうございます!
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