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55 白鳥獣人はクズヒーロー(BL)
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* 白鳥の生態ってすごいですね。今回はBL、エロなしです。
******
「子どもはほしいが結婚はな……」
マイノリティなLGBTQ+のGが俺。
現実的に女性とそういうことはできないし、今はいないけど恋人の子どもなら可愛いだろうし、家族として暮らしたい。
「でも日本じゃ難しいよな」
BL小説みたいに世間にとけ込んで、男同士で子育てとか上手くいくとも思えない。
父親2人に育てられた子が学校に行くようになったらいじめとか心配だ。
ずっとそばで守ることもできないし……俺が家族を持つのは難しい。
別れた昔の男が女性と結婚して子どもがいるって聞いた後だから、色々考えてしまう。
あいつはタチだったし、ゲイじゃなくてバイだったのかもな。
それともその女だけ特別なのか?
俺も家族がほしい。
でも出会いもないし女性は無理だろうな。
想像したら気分悪くなってきた。
「大丈夫、大丈夫♡ あなた、もっと欲張りになっていいわ♡ ピッタリの相手がいるのよ、この世界じゃないけど」
突然俺の思考に割り込んできた女性は、縁結びの女神だというけれど声が高くて頭が痛くなる。
「この世界のことはうまくやっておくから、あなたはあなたを求める相手のいる世界に連れて行ってあげるわ♡」
「イイデスネー、そんな世界があるならイキタイデスヨ」
よくある異世界転移ってやつかな。
はははッ、ないない。
「でしょでしょ♡ あなたが行く世界は同性婚が20%でね、男同士の2馬力! 子どもも守れるし……あなた泳げるわよね?」
夢でも見てるのかな、相当疲れているかも。
「泳げますよ、25メートル。そんな世界なら今すぐ行きたいデスヨー」
「そう? よかった♡ じゃあせっかくだからあなたを白鳥にしてあげる♡」
「え? ハクチョウ?」
「幸せな日々を過ごすのよ~♡」
夢かな。
雄の白鳥に迫られているんだが。
「俺のつがいになれよ。ともに一生を過ごそう」
きゅんてしたぞ、俺。
イケメンの白鳥なんだが。
俺も白鳥になっているし、これって本能?
「子どもは俺がその辺の雌を誘惑して卵を産ませるから、お前を誰にも触れさせない」
めっちゃクズなこと言ってる!
でも白鳥ってそういう生態なんだっけ?
やべー。なのに俺、ときめいてる。
肉食系男子、いや肉食系白鳥……グッとくるな。
「お前の返事は頷くだけだ。大事にする……。雌から俺の卵を奪って一緒に大事に大事に育てよう。強い子どもになるはずだ」
クズだ、クズなんだが、俺も同類なのかな。頷いてしまいたいが、ほんの少し残った理性が邪魔をする。
……いや、俺はなにを考えているんだ!
冷静になれ。
女の子騙して子ども産ませた上、奪って一緒に育てようって言ってるんだぞ?
「俺たち、幸せな家族になろう」
子どもと……家族……。
俺が焦がれて、ずっと欲しかったものだ。
「本当に、幸せになれるか、な……?」
今まで長く続いた恋愛はない。
目の前の男のことは、このまま一緒にいたらどんどん好きになっていくと思う。
でも。
「なぜそう臆病になる? お前は俺と幸せになる運命だというのに」
「だって、まだ会ったばかりで」
「俺はひと目みてわかった。俺のつがいはお前だって」
お前呼びとか好きじゃないのに、なんで俺の心臓はドキドキしてるんだ!
「……わかった、今から俺の巣へ行こう」
「巣? あぁ、家を見せてくれるのか?」
「そうだ、この辺りで一番大きな屋敷だ。不自由はさせない。それに……お互いもっと親密になったほうがいいだろう」
「親密……それって、つまり」
「お前のすべてが見たい。俺もお前の前でだけ人化しよう。雌が寄ってきてうるさいんだ」
そうして向かった宮殿風の屋敷に入ると俺たちは自然と人間の姿になっていた。
細身ですらっとした立ち姿はプロスケーターみたい。
なんちゃらコフとかそんな名前が似合いそうなプラチナブロンドに淡いブルーの瞳で、いかにも女性にモテそう。
「お前が、俺のつがいだと信じるまで、ベッドから出られると思うなよ」
わからせってやつか⁉︎
きれいな顔なのに雄っぽい態度にクラクラする。
「えっ、あ、えっと、はい。信じるから」
「いや、お前はわかっていない。どれだけ俺がお前を必要としているか……来いよ」
きゅん。
そうして身も心も奪われた俺が山小屋でぐっすり眠っている間に、雌をたぶらかしたつがいが卵を抱えてやって来るのは、もう少し先の話。
******
お読みいただきありがとうございます。3週連続、驚いた生態の獣人祭りでした!
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「子どもはほしいが結婚はな……」
マイノリティなLGBTQ+のGが俺。
現実的に女性とそういうことはできないし、今はいないけど恋人の子どもなら可愛いだろうし、家族として暮らしたい。
「でも日本じゃ難しいよな」
BL小説みたいに世間にとけ込んで、男同士で子育てとか上手くいくとも思えない。
父親2人に育てられた子が学校に行くようになったらいじめとか心配だ。
ずっとそばで守ることもできないし……俺が家族を持つのは難しい。
別れた昔の男が女性と結婚して子どもがいるって聞いた後だから、色々考えてしまう。
あいつはタチだったし、ゲイじゃなくてバイだったのかもな。
それともその女だけ特別なのか?
俺も家族がほしい。
でも出会いもないし女性は無理だろうな。
想像したら気分悪くなってきた。
「大丈夫、大丈夫♡ あなた、もっと欲張りになっていいわ♡ ピッタリの相手がいるのよ、この世界じゃないけど」
突然俺の思考に割り込んできた女性は、縁結びの女神だというけれど声が高くて頭が痛くなる。
「この世界のことはうまくやっておくから、あなたはあなたを求める相手のいる世界に連れて行ってあげるわ♡」
「イイデスネー、そんな世界があるならイキタイデスヨ」
よくある異世界転移ってやつかな。
はははッ、ないない。
「でしょでしょ♡ あなたが行く世界は同性婚が20%でね、男同士の2馬力! 子どもも守れるし……あなた泳げるわよね?」
夢でも見てるのかな、相当疲れているかも。
「泳げますよ、25メートル。そんな世界なら今すぐ行きたいデスヨー」
「そう? よかった♡ じゃあせっかくだからあなたを白鳥にしてあげる♡」
「え? ハクチョウ?」
「幸せな日々を過ごすのよ~♡」
夢かな。
雄の白鳥に迫られているんだが。
「俺のつがいになれよ。ともに一生を過ごそう」
きゅんてしたぞ、俺。
イケメンの白鳥なんだが。
俺も白鳥になっているし、これって本能?
「子どもは俺がその辺の雌を誘惑して卵を産ませるから、お前を誰にも触れさせない」
めっちゃクズなこと言ってる!
でも白鳥ってそういう生態なんだっけ?
やべー。なのに俺、ときめいてる。
肉食系男子、いや肉食系白鳥……グッとくるな。
「お前の返事は頷くだけだ。大事にする……。雌から俺の卵を奪って一緒に大事に大事に育てよう。強い子どもになるはずだ」
クズだ、クズなんだが、俺も同類なのかな。頷いてしまいたいが、ほんの少し残った理性が邪魔をする。
……いや、俺はなにを考えているんだ!
冷静になれ。
女の子騙して子ども産ませた上、奪って一緒に育てようって言ってるんだぞ?
「俺たち、幸せな家族になろう」
子どもと……家族……。
俺が焦がれて、ずっと欲しかったものだ。
「本当に、幸せになれるか、な……?」
今まで長く続いた恋愛はない。
目の前の男のことは、このまま一緒にいたらどんどん好きになっていくと思う。
でも。
「なぜそう臆病になる? お前は俺と幸せになる運命だというのに」
「だって、まだ会ったばかりで」
「俺はひと目みてわかった。俺のつがいはお前だって」
お前呼びとか好きじゃないのに、なんで俺の心臓はドキドキしてるんだ!
「……わかった、今から俺の巣へ行こう」
「巣? あぁ、家を見せてくれるのか?」
「そうだ、この辺りで一番大きな屋敷だ。不自由はさせない。それに……お互いもっと親密になったほうがいいだろう」
「親密……それって、つまり」
「お前のすべてが見たい。俺もお前の前でだけ人化しよう。雌が寄ってきてうるさいんだ」
そうして向かった宮殿風の屋敷に入ると俺たちは自然と人間の姿になっていた。
細身ですらっとした立ち姿はプロスケーターみたい。
なんちゃらコフとかそんな名前が似合いそうなプラチナブロンドに淡いブルーの瞳で、いかにも女性にモテそう。
「お前が、俺のつがいだと信じるまで、ベッドから出られると思うなよ」
わからせってやつか⁉︎
きれいな顔なのに雄っぽい態度にクラクラする。
「えっ、あ、えっと、はい。信じるから」
「いや、お前はわかっていない。どれだけ俺がお前を必要としているか……来いよ」
きゅん。
そうして身も心も奪われた俺が山小屋でぐっすり眠っている間に、雌をたぶらかしたつがいが卵を抱えてやって来るのは、もう少し先の話。
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