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31 褐色肌のJKが小さいDTと出会う話

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* 週の半ばも疲れますね。地雷要素はないと思います。






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「角田、今日までお疲れさん」
「あ、はいお世話になりました」

 5年勤めた職場を退職することになった。
 去年、再婚した社長の奥さんに目をつけられて、仕事の邪魔をされたのは数えられないくらいある。特に一人でいる時。
 そのせいで職場の居心地も悪くなり、他人のミスを押しつけられた。

 真面目に働いてきたんだけどな。
 結局みんな、表面しか見ていなかったんだと思う。

 海は好きだし日焼けすると肌がすぐ浅黒くなった。髪も今までカラーリングしたことはないけど茶色なのは日焼けと遺伝のせい。
 遊んでみえたかもしれないが、実際はそんなことはない。

 ここで学べることは学んだし、もう関わらないでいいと思うとすっきりする。
 でも次の職場が決まっていないのがつらい。

 同じ業界で働けないように社長が悪い噂を流したらしく、クリーンで優良な職場は難しそうだ。
 好きな仕事だったし、今の土地を離れればどこかに職はあるはずだが、全体的にブラックになりやすい業界ではある。

 本心を言えば、あと少し金を貯めてから辞めたかった。
 なんでこんなことになったんだろう。
 お金目当ての若づくりの性悪女と結婚した、社長が悪い。
 
おじさんとじゃ満足できないのよ、ジュンヤくん。いいでしょ? 彼女がいても気にしないから』

 よくねーよ。
 社長の奥さんだから適当にかわしていたし、不倫関係になんてなかったんだけど。
 絶対に他にも男がいて、俺が身代わりになったんだろう。

 付き合っていた彼女には二股をかけられていて、少し前にフラれたし踏んだり蹴ったりだ。

「なんかいいことねーかなぁ。心機一転、新しい場所でイチからやるしかねーかな」

 せまくて暗いアパートに着いて、思わずため息をついた。
 
「思い切って、引っ越すかな」
「そうしなさい♡ 仕事も恋愛もまかせてちょうだい♡」

 背後からライトを浴びたグラマラスな謎めいた女。
 いつ入って来た?

「誰……?」
「えーと、縁結びの女神? 今までうまくいかなかったことないの♡」
「へ、へぇ……」

 不法侵入。
 頭のおかしい人なのか……?
 やばい、早く引っ越そう。

「うんうん♡ 衣食住、困ることもないから、思い切って飛び込んでみない?」

「あー、いいっすねー。そうしよっかなー」

 警察に電話しないと。
 スマホを握った瞬間、目の前の女神(?)がにっこり笑って言った。

「決定! 幸せになるのよ~♡」
「うわあぁぁ~~‼︎」

 床が抜けて深くて暗い落とし穴に落とされた。










「あの……大丈夫、ですか?」

 目を開けると、小柄な女の子が俺を覗きこんでいた。
 髪は黒いけど、目の色は海の中から空を見上げたみたいにキラキラしてた。
 綺麗だな。

 いや、俺なに考えてんだ?

「あ、あぁ。大丈夫。俺は一体……?」
「空から落ちて来ました。あの……日本から来たんでしょう?」

 彼女の話によると、ここは日本なんてない異世界らしい。
 この世界に転生した彼女は日本が恋しくて毎日祈っていたら、女神に運命の相手をこの場所に連れてくると夢で言われたそうだ。

 辺りの景色はテレビで観たヨーロッパみたいな感じだし、彼女が嘘をついているとも思えない。
 あの人、本当に女神だったのか……?

「あの、私ドレミ・テイラーです。今日18歳になりました。あなたが……私の、運命の人……?」

 顔を赤くして尋ねてくる様子が可愛い。
 未成年かと思ったから少し安心……いや、さすがに10代の女の子となんて――。

「そうだ」

 違うと答えるつもりがなぜか即答してた。
 これじゃあ、社長の奥さんと変わらないんじゃないか?

 小柄だから余計幼く感じる。
 犯罪だろ。
 否定しようとあせって口を開いたが、彼女がふんわり微笑んだ。

「よかった……私、ずっとあなたのことを待っていました。一緒に来てもらえますか?」
「……あぁ、わかった。俺は角田かくだジュンヤ、28歳になる」

 10歳差。
 本当にうまくいくだろうか。
 でもあの怪しげな女神のことを信じたい自分がいる。

「私の家は多国籍レストランを幾つも経営しているんです。和食が食べたくて両親たちに協力してもらいました。すごく流行っているんですよ」
 
「俺、日本で板前をしていたんだ。もしかしたら役に立つかもしれない」

 俺の言葉に彼女が目をキラキラさせた。

「すごいです! こっちでは作れないものがまだあるから……あのジュンヤさんと呼んでもいいですか?」

「いいよ。俺もドレミって呼んでいい?」
「……はい」

 変わった名前に聞こえるけどこの国ではきっと普通なんだろうな。

「音階みたいでおかしいですよね」
「そんなことない、可愛い。すぐ覚えられた」
「優しいですね、ジュンヤさん」

 照れた顔も可愛くて、一緒にいたら簡単に好きになってしまいそうだ。

「そんなことない」

 彼女に連れられて両親に紹介されたが、あっさり受け入れられて驚く。
 女神様信仰というものがあるらしく、拝まれて困った。

「どうか、娘をよろしくお願いいます。娘の幸せが約束されて、私どもも幸せですよ。ささ、どうぞこちらへ。案内しましょう」

 すんなり仕事が決まって、広くて明るいアパートに入ることができた。
 彼女一家の屋敷の一室にどうぞと言われたがさすがに断って、一人の快適な空間。
 職場の雰囲気も良くて何もかも順調。
 
 それから数年して一店舗任せてもらえるようになった。
 彼女とも時々デートをする関係になって、徐々に親しくなって――。

「ドレミ、結婚してほしい」
「はい、つつしんでお受けいたします」

 俺はこの世界で、小柄な女の子と出会い、幸せを手に入れた。







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* お読みいただきありがとうございます。タイトル詐欺と感じた方いましたらごめんなさい! BL要素もなかったですね……どうしましょう。


(登場人物)
JK  角田ジュンヤ
DT  ドレミ・テイラー
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