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26 アラサーの私は浮気性の今彼を逃したら結婚できないと思い込んでいたけど、素敵な鳥獣人と番う話
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* 週の真ん中ですが。ちょっと長め、4000字近く。作者、鳥ブームです。
******
彼とつき合って3年、結婚を前提に同棲を始めて半年。
1枚のハガキにため息をつく。
つき合い初めて丸1年経った頃、彼は出張と偽って女の子と旅行していた。あの時もハガキで発覚。
その子が彼氏の誕生日にサプライズ旅行を用意していたのにフラれたから、可哀想でつき合っただけだって。
何もなかった、なんて言葉……信じたいけど信じきれないところもあって。
別れようと思ったけど私だけって年上の彼が子どものように泣いて土下座してきて、つい絆されてしまった。
「またか……」
泊まった記憶のないペンションからお礼状のハガキ。
5パーセント割引きのクーポン付き。 アンケートにどうしてうちの住所書いたんだろう、懲りていない。
そういえば先月、出張だと言って出かけていたっけ。
どうしよう。
彼の実家へ挨拶をすませ、3ヶ月後に結婚式を控えている。
招待状も出したばかり。
どうしたらいい?
確かに私たちは恋人同士と言うより、もう夫婦のような気楽さがある。
友だち同士みたいに仲はいいと思うけど、恋愛中の緊張感はない。
結婚したら変わるかも。
独身の今を楽しんでいるだけかも。
そうだったらいい。けど……。
本当は浮気なんてしないで私だけを見てほしい。
でももうすぐ30になる。
最近は昔ほど好きだって気持ちはなくなっているけど……彼を逃したら私はこの先結婚できないかも。
子どもだってほしい。
「はぁっ……そんな男やめちゃいなさい♡ あなたはもっと幸せになっていいのよ♡」
目の前に現れたのは、縁結びの女神様らしい。神々しく光っているから本物だと思う。
「世界は広いのよ~! 飛び込んでみなさいよ♡」
私にぴったりの人がいるから、異世界に行こうって誘ってくる。
一人っ子で数年前に両親を亡くしているし、彼中心の生活をしていたら友人がいなくなった。
仕事は引き継ぎ中で、来月有給消化した後辞めることになっている。
「でも……」
知らない場所へ飛び込むのは怖い。
戻って来られないって言うし。
「……あ、修羅場になるわよ。ちょうどいいわ、決別なさい♡」
スーッと女神様が消えて、今のは夢かと思っていると玄関が開いた。
彼が帰ってきたらしい。
「おかえりなさ……え?」
深刻そうな顔の彼と、その後ろにまだ二十歳くらいの女の子が一緒に入ってくる。
私たちの部屋なのに。
なんで?
修羅場ってこれ?
「ミエ、話があるんだ。……すまない、別れてほしい」
「それは……そこにいる子に関係するの?」
私が言うと、女の子がキラキラした目を潤ませて声を張り上げた。
「タイシと別れてください! あなたより私のほうが彼のこと好きなんです。どうか彼を縛りつけないで!」
縛りつけてなんていないけど。
むしろフラフラしてるのはその男なんだけど。
恋愛初期で浮かれているんだなーなんて冷静に考えている自分がいる。
「ごめん、ミエのこと今も好きだ。でも、もっとユウタンを愛してしまったんだ!」
「ユウタン……」
きも。
ひとまわり年の差ありそうなのに、馬鹿っぽい。
今のを見たら彼に対する気持ちがスーッと冷めていく。
これまでにも怪しい行動はあったけど、決定的なものは見ていない……というより、見ないようにしていたのかも。
「タイシ! 私も大好き。愛してる」
「ユウタン……! 出会う順番が違っていたら、俺たちはっ‼︎」
「ううん、きっと試練を乗り越えた先に幸せがあるのっ!」
2人は盛り上がって抱き合っているけど意味がよくわからない。
私はこんなあほな男と結婚しようとしていたの?
無理無理、ないわー。
「わかった。式場のキャンセルとか、全部やってよね。それから、私の引越し代も出してもらうわよ」
本当は慰謝料とかもらってもいいんだけど、早く縁を切りたい。
「それくらいわかってる。式場はユウタンとこのまま結婚するから問題ないよ」
「タイシぃ~、嬉しい」
馬鹿ぁ?
招待状の名前、私になってるんだけど……いちいち言うのも面倒くさい。
コワモテの叔父夫妻と会社の人しか呼んでいないから、連絡は簡単にすむけど叔父が激怒しそう。
最初の浮気の時に別れていればよかった。
時間、無駄にしちゃったな。
あ~、縁結びの女神様。
今ならどこへでも行っちゃうよ。
どこか遠くへ行きたいな。
「そうこなくっちゃ♡ 赤い糸を辿るわよ~♡ あ、そこのキミタチ、ちょうどいいわ、旅行行く?」
突然現れた女神様に誘われて、タイシとユウタンも頷いた。
適応力、高いな。
「お? 旅行⁉︎ 行く行く! なんだよ、ミエ。ずいぶんセレブな友だちいるんだな!」
「わ~、嬉しい。おうちデートのつもりでいたから泊まりの用意はしてあるんだ♡」
何言ってるの、キミタチ?
「え? 帰れないんでしょ、女神様?」
「テキトーに戻しておくわ♡ ちょっとした余興よぉ♡」
キャッキャしながら話す2人
には、私たちの会話は聞こえていない。
「さぁ、出発するよ~♡」
「イェイ、イェイ!」
ユウタンのはしゃぐ声に力が抜けそう。
「ふふ♡ あなたは今までの分、幸せになるのよ♡」
目の前が明るくなって、次の瞬間体が浮いた。
「……ようやく出会えた、私の番」
目を開けると、スラっとしたイケメン。
黒髪に赤いメッシュが入っていて、モード系?
私と同い年か、少し年下のスタイリッシュイケメンが私の手をとった。
「はじめまして、私はタンチョウツル獣人のウェインだ。私と結婚してくれないか?」
スタイルがいいと思ったらタンチョウツル?
なんか渋い! クール!
獣人だ、BLの電子書籍いっぱい持ってる。
番もの、大好物!
お互いしかない感じ、サイコーなんだよね。
「私は生涯、あなた一人を愛すると誓うよ。……タンチョウツルは一夫一婦制で一緒に子育てもするし、最後まで添い遂げる」
鳥獣人もの、読んだことあるかも!
女神様が言っていたのは彼のことかな?
私の直感がそうだって言ってる!
一目惚れ! 一目惚れ!
新しい恋を前に、昔のことなんて忘れちゃう。
過去は消去。
目の前の彼以上に素敵な人なんていない。
「私はミエ。これからよろしくお願いします、ウェインさん」
「もちろん。あなたを大切にする」
きゅーん。好きになっちゃう。
「おいおい、なんだよ。俺と婚約していたくせに、変わり身早いなー」
彼らがいたの忘れてた。
いつの間にか村人たちが集まってきて、ざわついている。
黒髪が多くてこの世界、違和感ないな。
「もう婚約解消してるからいいんだけどさ。俺、この子を好きになっちゃって、ミエの幸せを奪っちゃったからさ。だからよかったじゃん?」
この男のどこを好きだったんだろう?
年上なのにちょっと子どもっぽいんだよね。前は私の前で弱いところを見せてくれて可愛いって思ったけど……何のフィルターかかっていたんだろう。
ユウタンがタイシの腕に絡みついたまま口を開く。
「私、彼が婚約してるのがわかっていても、彼のこと好きになっちゃったんですー。そうゆうのって、しかたないっていうかぁ。私たち愛し合っているしぃ。でもよかったぁ!」
一気に不穏な空気が漂った。
「お前ら、浮気か? 婚約……つまり結婚するという約束を取り決めておいて破ったのか⁉︎」
「こいつら、裏切り者だー!」
「許せない、最低だわ!」
二人を取り囲み、足元の砂を投げつけ始めた。
土ぼこりが立ち上がって、前がよく見えない。
女神様? どこ?
「こっちにおいで」
私はウェインさんに抱きしめられてその場から離れた。
「この村は鳥獣人が多いんだが、特にクロコンドル獣人が多い。彼らは浮気を毛嫌いしているから、自分たちに起こったことのように怒る」
あーなるほど!
それで、女神様が一時的に連れてきたのかも。
「痛いっ、痛いって! 何が悪いんだ!」
「やめてよー! 私女の子なのに!」
「男も女も関係ない」
「別の相手に手を出して、悪くない? 寝ぼけてる?」
「浮気者は、この村から出ていけ!」
ヒートアップしてる!
「旅行にきたはずなのに、なんで! 口に入るって、ケホッ」
「ミエ! と、その友だち! どこだよ、助けてー、ペッ、ペッ」
「よくも、まぁ! ずうずうしい!」
「地獄を見せてやる!」
女神様、そろそろ連れて行かないとボロボロになっちゃうよー?
「仕方ないわねぇ♡ 4ヶ月後に2人を戻しておくわ♡ 元婚約者は失踪、浮気カップルの職場はどうなっているかしらね。式場のキャンセル代も♡ あなたはここで幸せになりなさいよ~♡」
「あっ、叔父さんたちに無事って伝えてほしいです!」
「オッケー♡」
女神様は私にウィンクして2人を連れて去って行った。
向こうの世界も大変そう!
「……私はあなたを悲しませない。今すぐ私を好きにならなくてもいい。一緒にここで暮らしてもらえないか? 織物業で潤っているから苦労はさせないよ」
織物業‼︎
それってつまり⁇
「私、元婚約者のことなんて、今はもうなんとも思っていません。裏切るような人、好きじゃないです。……だから、ウェインさんのこともっと知りたいです。その、命を削らないで……」
夜中に羽を織り込んで翌朝美しい織物が……とかダメ、絶対。
「ありがとう……作業はみんなに任せているし、私はデザインを考えるほうが好きなんだけど、ミエがいたら私はそばにいたいし、ゆっくり休むよ」
モードっぽいのも、そういうわけかー!
もしかしてデザイナーってやつ?
おっしゃれー♪
「それなら喜んで!」
浮気を許さない村で、私を大事にしてくれるタンチョウツル獣人のウェインさんと結婚した。
お互いよそ見なんてしない。
もちろんクロコンドル獣人ににらまれることもなく、村にもすぐとけ込んだ。
子どもが産まれた時も、たくさんベビー服を作ってくれて、私たちは今もずーっと仲良く暮らしている!
******
お読みいただきありがとうございます。
一夫一婦制の動物調べていたら鳥類にたどり着きました。
クロコンドルは浮気を見つけたらみんなで攻撃するらしいです。
******
彼とつき合って3年、結婚を前提に同棲を始めて半年。
1枚のハガキにため息をつく。
つき合い初めて丸1年経った頃、彼は出張と偽って女の子と旅行していた。あの時もハガキで発覚。
その子が彼氏の誕生日にサプライズ旅行を用意していたのにフラれたから、可哀想でつき合っただけだって。
何もなかった、なんて言葉……信じたいけど信じきれないところもあって。
別れようと思ったけど私だけって年上の彼が子どものように泣いて土下座してきて、つい絆されてしまった。
「またか……」
泊まった記憶のないペンションからお礼状のハガキ。
5パーセント割引きのクーポン付き。 アンケートにどうしてうちの住所書いたんだろう、懲りていない。
そういえば先月、出張だと言って出かけていたっけ。
どうしよう。
彼の実家へ挨拶をすませ、3ヶ月後に結婚式を控えている。
招待状も出したばかり。
どうしたらいい?
確かに私たちは恋人同士と言うより、もう夫婦のような気楽さがある。
友だち同士みたいに仲はいいと思うけど、恋愛中の緊張感はない。
結婚したら変わるかも。
独身の今を楽しんでいるだけかも。
そうだったらいい。けど……。
本当は浮気なんてしないで私だけを見てほしい。
でももうすぐ30になる。
最近は昔ほど好きだって気持ちはなくなっているけど……彼を逃したら私はこの先結婚できないかも。
子どもだってほしい。
「はぁっ……そんな男やめちゃいなさい♡ あなたはもっと幸せになっていいのよ♡」
目の前に現れたのは、縁結びの女神様らしい。神々しく光っているから本物だと思う。
「世界は広いのよ~! 飛び込んでみなさいよ♡」
私にぴったりの人がいるから、異世界に行こうって誘ってくる。
一人っ子で数年前に両親を亡くしているし、彼中心の生活をしていたら友人がいなくなった。
仕事は引き継ぎ中で、来月有給消化した後辞めることになっている。
「でも……」
知らない場所へ飛び込むのは怖い。
戻って来られないって言うし。
「……あ、修羅場になるわよ。ちょうどいいわ、決別なさい♡」
スーッと女神様が消えて、今のは夢かと思っていると玄関が開いた。
彼が帰ってきたらしい。
「おかえりなさ……え?」
深刻そうな顔の彼と、その後ろにまだ二十歳くらいの女の子が一緒に入ってくる。
私たちの部屋なのに。
なんで?
修羅場ってこれ?
「ミエ、話があるんだ。……すまない、別れてほしい」
「それは……そこにいる子に関係するの?」
私が言うと、女の子がキラキラした目を潤ませて声を張り上げた。
「タイシと別れてください! あなたより私のほうが彼のこと好きなんです。どうか彼を縛りつけないで!」
縛りつけてなんていないけど。
むしろフラフラしてるのはその男なんだけど。
恋愛初期で浮かれているんだなーなんて冷静に考えている自分がいる。
「ごめん、ミエのこと今も好きだ。でも、もっとユウタンを愛してしまったんだ!」
「ユウタン……」
きも。
ひとまわり年の差ありそうなのに、馬鹿っぽい。
今のを見たら彼に対する気持ちがスーッと冷めていく。
これまでにも怪しい行動はあったけど、決定的なものは見ていない……というより、見ないようにしていたのかも。
「タイシ! 私も大好き。愛してる」
「ユウタン……! 出会う順番が違っていたら、俺たちはっ‼︎」
「ううん、きっと試練を乗り越えた先に幸せがあるのっ!」
2人は盛り上がって抱き合っているけど意味がよくわからない。
私はこんなあほな男と結婚しようとしていたの?
無理無理、ないわー。
「わかった。式場のキャンセルとか、全部やってよね。それから、私の引越し代も出してもらうわよ」
本当は慰謝料とかもらってもいいんだけど、早く縁を切りたい。
「それくらいわかってる。式場はユウタンとこのまま結婚するから問題ないよ」
「タイシぃ~、嬉しい」
馬鹿ぁ?
招待状の名前、私になってるんだけど……いちいち言うのも面倒くさい。
コワモテの叔父夫妻と会社の人しか呼んでいないから、連絡は簡単にすむけど叔父が激怒しそう。
最初の浮気の時に別れていればよかった。
時間、無駄にしちゃったな。
あ~、縁結びの女神様。
今ならどこへでも行っちゃうよ。
どこか遠くへ行きたいな。
「そうこなくっちゃ♡ 赤い糸を辿るわよ~♡ あ、そこのキミタチ、ちょうどいいわ、旅行行く?」
突然現れた女神様に誘われて、タイシとユウタンも頷いた。
適応力、高いな。
「お? 旅行⁉︎ 行く行く! なんだよ、ミエ。ずいぶんセレブな友だちいるんだな!」
「わ~、嬉しい。おうちデートのつもりでいたから泊まりの用意はしてあるんだ♡」
何言ってるの、キミタチ?
「え? 帰れないんでしょ、女神様?」
「テキトーに戻しておくわ♡ ちょっとした余興よぉ♡」
キャッキャしながら話す2人
には、私たちの会話は聞こえていない。
「さぁ、出発するよ~♡」
「イェイ、イェイ!」
ユウタンのはしゃぐ声に力が抜けそう。
「ふふ♡ あなたは今までの分、幸せになるのよ♡」
目の前が明るくなって、次の瞬間体が浮いた。
「……ようやく出会えた、私の番」
目を開けると、スラっとしたイケメン。
黒髪に赤いメッシュが入っていて、モード系?
私と同い年か、少し年下のスタイリッシュイケメンが私の手をとった。
「はじめまして、私はタンチョウツル獣人のウェインだ。私と結婚してくれないか?」
スタイルがいいと思ったらタンチョウツル?
なんか渋い! クール!
獣人だ、BLの電子書籍いっぱい持ってる。
番もの、大好物!
お互いしかない感じ、サイコーなんだよね。
「私は生涯、あなた一人を愛すると誓うよ。……タンチョウツルは一夫一婦制で一緒に子育てもするし、最後まで添い遂げる」
鳥獣人もの、読んだことあるかも!
女神様が言っていたのは彼のことかな?
私の直感がそうだって言ってる!
一目惚れ! 一目惚れ!
新しい恋を前に、昔のことなんて忘れちゃう。
過去は消去。
目の前の彼以上に素敵な人なんていない。
「私はミエ。これからよろしくお願いします、ウェインさん」
「もちろん。あなたを大切にする」
きゅーん。好きになっちゃう。
「おいおい、なんだよ。俺と婚約していたくせに、変わり身早いなー」
彼らがいたの忘れてた。
いつの間にか村人たちが集まってきて、ざわついている。
黒髪が多くてこの世界、違和感ないな。
「もう婚約解消してるからいいんだけどさ。俺、この子を好きになっちゃって、ミエの幸せを奪っちゃったからさ。だからよかったじゃん?」
この男のどこを好きだったんだろう?
年上なのにちょっと子どもっぽいんだよね。前は私の前で弱いところを見せてくれて可愛いって思ったけど……何のフィルターかかっていたんだろう。
ユウタンがタイシの腕に絡みついたまま口を開く。
「私、彼が婚約してるのがわかっていても、彼のこと好きになっちゃったんですー。そうゆうのって、しかたないっていうかぁ。私たち愛し合っているしぃ。でもよかったぁ!」
一気に不穏な空気が漂った。
「お前ら、浮気か? 婚約……つまり結婚するという約束を取り決めておいて破ったのか⁉︎」
「こいつら、裏切り者だー!」
「許せない、最低だわ!」
二人を取り囲み、足元の砂を投げつけ始めた。
土ぼこりが立ち上がって、前がよく見えない。
女神様? どこ?
「こっちにおいで」
私はウェインさんに抱きしめられてその場から離れた。
「この村は鳥獣人が多いんだが、特にクロコンドル獣人が多い。彼らは浮気を毛嫌いしているから、自分たちに起こったことのように怒る」
あーなるほど!
それで、女神様が一時的に連れてきたのかも。
「痛いっ、痛いって! 何が悪いんだ!」
「やめてよー! 私女の子なのに!」
「男も女も関係ない」
「別の相手に手を出して、悪くない? 寝ぼけてる?」
「浮気者は、この村から出ていけ!」
ヒートアップしてる!
「旅行にきたはずなのに、なんで! 口に入るって、ケホッ」
「ミエ! と、その友だち! どこだよ、助けてー、ペッ、ペッ」
「よくも、まぁ! ずうずうしい!」
「地獄を見せてやる!」
女神様、そろそろ連れて行かないとボロボロになっちゃうよー?
「仕方ないわねぇ♡ 4ヶ月後に2人を戻しておくわ♡ 元婚約者は失踪、浮気カップルの職場はどうなっているかしらね。式場のキャンセル代も♡ あなたはここで幸せになりなさいよ~♡」
「あっ、叔父さんたちに無事って伝えてほしいです!」
「オッケー♡」
女神様は私にウィンクして2人を連れて去って行った。
向こうの世界も大変そう!
「……私はあなたを悲しませない。今すぐ私を好きにならなくてもいい。一緒にここで暮らしてもらえないか? 織物業で潤っているから苦労はさせないよ」
織物業‼︎
それってつまり⁇
「私、元婚約者のことなんて、今はもうなんとも思っていません。裏切るような人、好きじゃないです。……だから、ウェインさんのこともっと知りたいです。その、命を削らないで……」
夜中に羽を織り込んで翌朝美しい織物が……とかダメ、絶対。
「ありがとう……作業はみんなに任せているし、私はデザインを考えるほうが好きなんだけど、ミエがいたら私はそばにいたいし、ゆっくり休むよ」
モードっぽいのも、そういうわけかー!
もしかしてデザイナーってやつ?
おっしゃれー♪
「それなら喜んで!」
浮気を許さない村で、私を大事にしてくれるタンチョウツル獣人のウェインさんと結婚した。
お互いよそ見なんてしない。
もちろんクロコンドル獣人ににらまれることもなく、村にもすぐとけ込んだ。
子どもが産まれた時も、たくさんベビー服を作ってくれて、私たちは今もずーっと仲良く暮らしている!
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お読みいただきありがとうございます。
一夫一婦制の動物調べていたら鳥類にたどり着きました。
クロコンドルは浮気を見つけたらみんなで攻撃するらしいです。
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