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20 俺はロックスターになってやる! と思ったんだが最上のものになれるらしい
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* 楽器が女性に擬人化してます。一応NLです。無自覚腐男子が主人公、大丈夫な方はどうぞ……。
******
「俺はロックスターになる! はずだった……」
音楽の方向性の違いから、俺は大学の軽音部から続いていたバンドを抜けた。
その後バンドのメンバーのゲーム実況動画がバズり、音楽性も認められて、彼らはライブをするまでに人気が出ていた。
この間の生ライブ配信では、投げ銭だけで69万円。
ロックだけに!
課金代にしてって、ジャンジャン1万円が投げられるとはどういうことだろう。
ものすごく悔しかった。
あのまま残っていたら、俺も……。
短期バイトを終えて、とぼとぼ歩く。
午前0時過ぎ。
コンビニでちょろ酔いサワーと漫画を買って飲みながら帰ることにした。
この漫画は男同士の恋愛ものなんだが、元メンバー達が攻めだの受けだの言われててなんのこっちゃと調べたのが始まり。
奴らはみんなノーマルだが、コメント欄は勝手にカップル成立してたり、妄想爆発していたり、それを売り物にしているのも気に食わない。
まぁ、漫画はバンド関係なくエロいから息抜きに定期的に読むんだが、情報収集であって、決してハマっているわけでもない。
手軽な息抜きなだけだ。
そんなことはどうでもいい。
「俺だって! やればできる!」
「うん、うん♡ あなたはできる子よ~! スターになってみない?」
あれ? 美人のお姉さんは、スカウトの人かな?
俺の恋人リフェーイ、ローン36回払いで買った愛しのエレキベースを抱きしめる。
「あなたにこの世界は狭すぎるのよ! 行くでしょ? あなたのための世界へ!」
「そうか……ここは、俺のステージじゃないんだな。覚悟キメたよ、お姉さん!」
「うん、うん♡ ちゃあんと、幸せになるからね。安心して、その子と幸せになるのよ~♡」
その子?
目の前が明るくなって、俺はリフェーイをぎゅっと抱きしめた。
「んっ、……ちょっとゆるめて? 苦しいわ」
耳元でハスキーボイスにささやかれて、目を開けた。
ナイスバディのアッシュブランドの女の子。目の色はなんとレッド!
リフェーイと同じカラーだ。
「あっ、ごめん……。あれ? 俺のリフェーイはどこだ?」
ぱっと手を離したものの、大事に抱えていたエレキベースがない!
バイトしてこつこつ貯金……ができなかったからローン組んで買ったのに‼︎
「目の前に」
「君、俺の……エレキベースを知らない? とても大切なものなんだ」
俺は焦っているのに、目の前の彼女はなんだかとっても嬉しそう。
「だから、私がリフェーイよ」
「まさか、そんなことが……」
「あなたとどんな夜も一緒に過ごした私のことを忘れたの? まさか、捨てる気?」
「どんな夜って……」
彼女が俺のリフェーイ?
「片想いの女の子に振られて泣きながら失恋ソングを歌った夜も、その子から結婚式の2次会の招待状が届いて嫌いなハイハイボールを飲んで吐いちゃった日も、それから、酔った勢いで裸で私を抱えて弾き語りを自撮りした時も……全部知っているわ。あれはエロティックで恥ずかしかった……」
そう言ってこちらをチラチラ赤い顔でみる。
一人暮らしだから、のぞいていない限り知らないはずだ。
「まさか、俺のファンでストーカー?」
「そうねぇ、ファンではあるけど……私はずっと恋人だと思っていたわ。そう呼ばれていたし。他の女の子に目移りしている時も、ずっとずっとあなただけを見てた」
あれ?
そう言われると俺がクズみたいだが、彼女もやっぱりストーカー体質な気もする。
「本当の名は?」
「リフェーイよ。信じて、サム」
俺はオサム。だが、新しくベーシスト・サムとして活動する予定だった。
誰にも打ち明けていない。
そう、リフェーイ以外には。
「……わかった。信じるよ、リフェーイ。だけど、どうしてその姿に? そして、ここはどこだ?」
すると、リフェーイが説明してくれた。
ここは日本とは別の世界で、まだ音楽が発展してないらしくサムとリフェーイで音楽を広めて欲しいと女神様に言われたらしい。
「だけど、リフェーイは女性の姿になっちゃったし、俺はどうやって音楽を広めたらいいんだ?」
そう言うと、リフェーイが笑った。
「こうすれば、大丈夫!」
ぽわんとベースの姿になるから、落とさぬよう慌てて抱きしめた。
「いきなりは危ないよ! リフェーイは俺の命なんだから!」
『私にとっても、サムは命よ。さぁ、私を奏でて。サムはスターになるんだから!』
ベースが震えて、俺に伝えてくれた!
「ああ! リフェーイさえいれば、俺は頑張れる! 愛してるぜ、俺の恋人!」
『ぎゅうぅ~~ん!』
「サイコーだよ、リフェーイ!」
そして俺達は、この世界のレジェンドとなった。
******
お読みいただきありがとうございます。
ベース動画にはまってます(笑)
******
「俺はロックスターになる! はずだった……」
音楽の方向性の違いから、俺は大学の軽音部から続いていたバンドを抜けた。
その後バンドのメンバーのゲーム実況動画がバズり、音楽性も認められて、彼らはライブをするまでに人気が出ていた。
この間の生ライブ配信では、投げ銭だけで69万円。
ロックだけに!
課金代にしてって、ジャンジャン1万円が投げられるとはどういうことだろう。
ものすごく悔しかった。
あのまま残っていたら、俺も……。
短期バイトを終えて、とぼとぼ歩く。
午前0時過ぎ。
コンビニでちょろ酔いサワーと漫画を買って飲みながら帰ることにした。
この漫画は男同士の恋愛ものなんだが、元メンバー達が攻めだの受けだの言われててなんのこっちゃと調べたのが始まり。
奴らはみんなノーマルだが、コメント欄は勝手にカップル成立してたり、妄想爆発していたり、それを売り物にしているのも気に食わない。
まぁ、漫画はバンド関係なくエロいから息抜きに定期的に読むんだが、情報収集であって、決してハマっているわけでもない。
手軽な息抜きなだけだ。
そんなことはどうでもいい。
「俺だって! やればできる!」
「うん、うん♡ あなたはできる子よ~! スターになってみない?」
あれ? 美人のお姉さんは、スカウトの人かな?
俺の恋人リフェーイ、ローン36回払いで買った愛しのエレキベースを抱きしめる。
「あなたにこの世界は狭すぎるのよ! 行くでしょ? あなたのための世界へ!」
「そうか……ここは、俺のステージじゃないんだな。覚悟キメたよ、お姉さん!」
「うん、うん♡ ちゃあんと、幸せになるからね。安心して、その子と幸せになるのよ~♡」
その子?
目の前が明るくなって、俺はリフェーイをぎゅっと抱きしめた。
「んっ、……ちょっとゆるめて? 苦しいわ」
耳元でハスキーボイスにささやかれて、目を開けた。
ナイスバディのアッシュブランドの女の子。目の色はなんとレッド!
リフェーイと同じカラーだ。
「あっ、ごめん……。あれ? 俺のリフェーイはどこだ?」
ぱっと手を離したものの、大事に抱えていたエレキベースがない!
バイトしてこつこつ貯金……ができなかったからローン組んで買ったのに‼︎
「目の前に」
「君、俺の……エレキベースを知らない? とても大切なものなんだ」
俺は焦っているのに、目の前の彼女はなんだかとっても嬉しそう。
「だから、私がリフェーイよ」
「まさか、そんなことが……」
「あなたとどんな夜も一緒に過ごした私のことを忘れたの? まさか、捨てる気?」
「どんな夜って……」
彼女が俺のリフェーイ?
「片想いの女の子に振られて泣きながら失恋ソングを歌った夜も、その子から結婚式の2次会の招待状が届いて嫌いなハイハイボールを飲んで吐いちゃった日も、それから、酔った勢いで裸で私を抱えて弾き語りを自撮りした時も……全部知っているわ。あれはエロティックで恥ずかしかった……」
そう言ってこちらをチラチラ赤い顔でみる。
一人暮らしだから、のぞいていない限り知らないはずだ。
「まさか、俺のファンでストーカー?」
「そうねぇ、ファンではあるけど……私はずっと恋人だと思っていたわ。そう呼ばれていたし。他の女の子に目移りしている時も、ずっとずっとあなただけを見てた」
あれ?
そう言われると俺がクズみたいだが、彼女もやっぱりストーカー体質な気もする。
「本当の名は?」
「リフェーイよ。信じて、サム」
俺はオサム。だが、新しくベーシスト・サムとして活動する予定だった。
誰にも打ち明けていない。
そう、リフェーイ以外には。
「……わかった。信じるよ、リフェーイ。だけど、どうしてその姿に? そして、ここはどこだ?」
すると、リフェーイが説明してくれた。
ここは日本とは別の世界で、まだ音楽が発展してないらしくサムとリフェーイで音楽を広めて欲しいと女神様に言われたらしい。
「だけど、リフェーイは女性の姿になっちゃったし、俺はどうやって音楽を広めたらいいんだ?」
そう言うと、リフェーイが笑った。
「こうすれば、大丈夫!」
ぽわんとベースの姿になるから、落とさぬよう慌てて抱きしめた。
「いきなりは危ないよ! リフェーイは俺の命なんだから!」
『私にとっても、サムは命よ。さぁ、私を奏でて。サムはスターになるんだから!』
ベースが震えて、俺に伝えてくれた!
「ああ! リフェーイさえいれば、俺は頑張れる! 愛してるぜ、俺の恋人!」
『ぎゅうぅ~~ん!』
「サイコーだよ、リフェーイ!」
そして俺達は、この世界のレジェンドとなった。
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お読みいただきありがとうございます。
ベース動画にはまってます(笑)
応援ありがとうございます!
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